【活動のポイント】
森山町地域には、たくましく生きる子どもを育むため、10年以上前から、生活体験通学合宿「あすなろ塾(注1)」が開設され、実績をあげるなど、地域の教育力は高い。
- (注1)「あすなろ塾」は、地域の有志で構成される「ネットワークあすなろ」による取組。地元の古民家を利用して、宿泊を通じた生活体験活動に取り組んでいる。対象学年は4年生と6年生。5月・10月の年2回、4年生は4泊5日、6年生は5泊6日の日程で行う。募集対象は、森山西・森山東小学校。内容は主として、食事の自炊、自立に基づいた宿泊活動であり、児童は古民家をベースにして、通常と同じように登校し、下校する。また、土曜・日曜は、地域のお年寄りや老人ホームのお年寄りとふれあう活動にも取り組む。
- 「自分再発見、仲間再発見」のテーマのもと、ふり返り活動を重視した野外宿泊プログラムを通して、自他のよさを認め合う活動を行い、自分や仲間のよさを見つめ直す機会とする。
- イニシアティブゲーム(仲間づくりゲーム)や無作為によるグループ構成による児童の関わりを通して、児童が進んで他の児童とコミュニケーションを図ることができるようにする。
- 「自己責任」をキーワードに、児童の主体的な取組を大切にし、自力解決への支援を行うことで、児童相互の真の協力の心と助け合う心を育てる。
- 学校支援会議で協議を交え、保護者・地域ボランティアの協力を得て、学校と保護者、地域が一体となった保護者・地域参加型の野外宿泊体験学習を目指す。
期間中の評価・指導の工夫等
(1)自己評価・相互評価
児童のふり返り活動では、ワークシートを活用するとともに、時間を十分に確保することで、充実した自己評価や相互評価ができるようにした。
(2)教師の評価
ふり返り活動において、教師が児童の活動について認め、励ますことを一人一人に対し行うよう留意した。
(3)保護者、関係者の評価
事前、事後にアンケートを実施したり、学校支援会議で活動についてふり返りの議題を設定したりする際に、保護者や関係者の意見を広く求め、計画の修正に生かした。
活動内容(対象:5年生)
体験活動の支援体制
<学校支援委員会>
- 夏季休業中に、全職員を対象とする体験学習に関する実習を自然の家で行い(注3)、計画内容の共通理解を図ることで、職員の協力意識が高まった。このような雰囲気の下で、全校を挙げての協力体制のもと、授業時間を調整するなどして、最大限の職員が配置できるようになった(注4)。
- (注3)前任の校長と自然の家の事業課長の発案により、全職員を対象とした自然体験実習を行うこととなった。体験学習の一環としての雰囲気作りゲームを通じて、事業の主旨を説明したところ、職員の共感を得ることができた。また、職員集団としてのまとまりを高めることにも有効であるということで、次年度(平成19年度)は、1学期当初に行うことにした。昨年度は、最終的に学校からは、5年生担任、教務主任(理科専科)が最初から最後まで、特別支援学級担任、少人数指導支援担当、2学級ある学年の担任が途中で参加した。
- (注4)教務主任の理科については、他の週で充足することで対応し、他の職員は同学年の担任(2学級ある学年の担任)との時間調整で対応した。(交流学習の時間を調整するなど)他学年が自習にならないですむ方向で基本的に調整を行い、最小限の負担ですむようにした。
- 学校支援会議の議題として、野外宿泊体験学習の準備状況を取り上げ、支援の要請や計画の確認を行った。
- 夏に1回、直前に1回、現地でのテント泊を職員が行い、状況を確認した。
- 「あすなろ塾」のメンバーと意見を交換し、支援体制についてアドバイスを受けるとともに、計画の実施の際にも野営活動の支援の役割を分担してもらった。
- 保護者に計画について説明会を行い、支援をしてもらうように依頼した。その際に、自然の家の職員も同席し、説明の補助をすることで、保護者が内容をよく理解できた。
体験活動の成果と課題
【児童生徒の変容】
質問内容 |
事前 |
事後 |
友達の良いところを見つけようとしている |
46パーセント |
51パーセント |
自分にはあまり自慢できるところがない |
31パーセント |
23パーセント |
自主的に友人に話しかけていく |
43パーセント |
52パーセント |
【その他】
保護者の事後アンケートから、「家の手伝いをするようになり、成長を感じた」など肯定的な意見が聞かれた。
【課題】
- 事前に保護者・関係者との連絡調整をさらに密にし、年度当初から計画的に取り組むことでゆとりある準備と実行を可能にしたい。
- 学校職員の事前研修の充実と、校内研修での位置づけを明確にしていくことで、職員の理解度や意欲が高まり、より充実した取組が期待できる。
- 5年生の総合的な学習の時間をはじめとした教育課程について再確認をすることが必要である。
- 学校職員、地域関係者、保護者の支援体制の確保と役割分担の見直しを行う。
- 自然の家との連絡調整時間を確保する。