令和2年度から始まった新たな学習指導要領においては、「社会に開かれた教育課程」を掲げ、 教育課程の実施に当たって、地域の人的資源等を活用し、学校教育を学校内に閉じずに社会と連携しながら実現することとされており、新たな学習指導要領を確実に実施するための指導体制の整備が急務となっている。また、中央教育審議会においては、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について、令和4年12月に答申が取りまとめられた。答申においては、個々の教師の資質能力の向上に加えて、学校組織のレジリエンス(復元力、立ち直る力)の向上の観点から、教職員集団における多様性確保の必要性が示されているところであり、質の高い教職員集団の形成に向けて、様々な専門性や背景を有する人材を学校現場に取り込んでいくことが重要である。
そのための手段の1つとして、特別免許状や特別非常勤講師の制度を活用し、教科に関する専門的な知識経験や技能を有する人材に教師として学校教育に参画いただくことは重要である。文部科学省においては、各都道府県教育委員会による特別免許状の授与に当たっての参考として、平成26年に「特別免許状の授与に係る教育職員検定等に関する指針」を策定するとともに、更なる円滑な活用に向けて、令和3年5月に改訂を行った(※)。こうした取組もあり、特別免許状の授与件数は近年、増加傾向にはあるものの、更なる活用の推進を図る必要がある。
本事業は、こうした背景を踏まえ、令和2年度から令和5年度にかけて実施したものである。令和5年度においては、過年度事業で主に対象としていたアスリート人材に加え、アーティスト人材や博士号取得者、IT人材等の多様な知識経験や技能を有する外部人材について、当該人材が特別免許状の活用等により円滑に学校現場に参画するために必要となる施策等のモデル創出・展開を目的とした調査研究や、アスリートから教師として入職した事例集の作成等を行った。
※令和6年5月には、都道府県における運用の格差の解消や更なる積極的な活用に向けて再び改訂を実施。
特別免許状及び特別非常勤制度について:文部科学省 (mext.go.jp)
就職氷河期世代は教員採用試験倍率が過去最高を記録し、免許状を取得したものの、採用に至らなかった者が約100万人いると推計される。 このような教員免許状を持つものの教職への道を諦めざるを得なかった者等を対象としたリカレント教育プログラムを開発し、学校現場への参画を支援する。
総合教育政策局教育人材政策課