REX教員 海外での活動状況

 8月、真夏の日本から来るとシドニーはやはり寒い。空港には、教育省の人が迎えにきてくれた。用意してもらった家は学校の近くの1戸建で、庭もあり、快適である。家具類のほとんどは学校関係の方々から貸していただいた。電話、保険、車の購入、銀行口座の開設なども先生方に助けられてスムーズにいった。  授業は、週20時間ほど担当することとなった。日本文化を紹介するクラス以外はこちらの日本語の先生とのティーム・ティーチングである。
 授業中の役割は、会話練習、ノート・チェック、発音指導、書き方指導などティームを組む先生によって違う。授業の他には、ワークシートやヒアリングテープなどの教材作りを手伝っている。家でも授業の準備に追われる毎日だが、土日は家族とたっぷりオーストラリアの生活を楽しんでいる。
 こちらで長く日本語を教えている日本人の先生の呼びかけで週1回の日本語教育勉強会が始まった。日本人教員の他にこちらの先生の参加もあり、10人ほどのこぢんまりとした会だが、お互いに分からないところを自由に教え合ういい雰囲気になっている。生徒にどのように教えたらいいか、どんな教材があるかといった情報交換は本当にありがたい。  
 日本の私の勤務校へこちらの学校から交換留学生として行く生徒の選考会があった。その席上、生徒や父母を前に私の地方について英語でスピーチをした。初めての経験でドキドキしたが、皆が真剣に聞いてくれたのでほっとした。
 結局男女2人の生徒が選ばれたが、これから出発まで彼らに日本語、日本の習慣などを教えるのが私の役目である。
 日本から教育委員会の方々、校長、教頭、PTA会長などの一行がこちらを訪問した。学校のスタッフの一員として、私も訪問者の案内や通訳のお手伝いをした。日本からの一行は単なる視察だけでなく、そばとうどんを日本から持ってきて、100人ほどのゲストに御馳走したので、大変好評であった。地域の国際交流が広がっていくのが感じられ、うれしかった。
 8月下旬、ワシントンD.C.に到着。空港では、赴任校のS校長と前期のREX教員お二人の歓迎を受けた。
 赴任中の住居は、すでにこちらで用意してくださっていた1ベッドルームのアパートで、学校からは約2マイルの所にある閑静な住宅街の一角にあった。
 いよいよ新生活のスタートである。
 9月、いよいよ授業開始。毎日6時間の授業を担当した。この小学校は、イマージョン・プログラムで有名である。イマージョン・プログラムというのは、授業を全て日本語で行い、毎日の学校生活を日本語漬けにするというものである。
 前日の予習、授業準備にはかなりの時間が必要であったが、事前研修での知恵と技を小出しにしながら、毎日のカリキュラムを組み立てた。
 赴任当初は、私たちの言うことが分からず泣き出す子もいて、小学生の日本語習得には半信半疑の毎日であった。が、秋も深まったある日、教えたばかりの形容詞をセンテンスの中で使えるようになっていた。
 驚きと感激で目頭が熱くなってしまった。これまでの自分の教育に初めて自信が持てた一瞬でもあった。
 夜のコミュニティー・カレッジの授業で、レストランでの注文の仕方を練習した。
 後日、フィールド・トリップと洒落込んで、隣町にある日本料理店に学生を連れて行った。注文はすべて日本語でするように指示。店内は、日本語で注文しようと奮闘する学生の熱気でもう大変。
 翌日の授業では、「おいしかったです。」という表現がしっかりと定着し、このフィールド・トリップは大成功であった。
 アメリカでの夏休みは、帰国後の英語教育に役立てようと、ビデオ撮りであちらこちら回った。めずらしい風景をはじめ、生活様式、習慣、文化、風物など実際の姿をビデオに撮っておけば、生きた教材を使って授業ができる。貴重な海外体験とビデオ教材---今後の大きな財産となるはずである  



 

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