第15節 理数

第1款 目標

 事象を探究する過程を通して、自然科学及び数学における基本的な概念、原理・法則などについての系統的な理解を深め、科学的、数学的に考察し、処理する能力と態度を育てる。

第2款 各科目

第1 理数数学Ⅰ

1 目標

 数学における基本的な概念の形成と原理・法則の系統的な理解を通して、数学的な見方や考え方のよさを認識し、基礎的な知識の習得と技能の習熟を図るとともに、それらを的確に活用する能力を伸ばす。

2 内容

(1)数学とコンピュータ
(2)個数の処理、確率
(3)平面幾何
(4)図形と計量
(5)式と関数
(6)数列

3 内容の取扱い

(1)内容の(1)から(6)については、第4節第1の「数学Ⅰ」及び第4の「数学A」の「2  内容」及び「3 内容の取扱い」を参照し、必要に応じて、これらの科目の内容を発展、拡充させて取り扱うものとする。

(2)内容の(1)については、第4節第5の「数学B」の2の(4)の内容も加えて取り扱うものとする。

(3)内容の(5)については、分数式の計算と分数式で表される簡単な関数を取り扱い、これに関連して簡単な方程式、不等式を実数の範囲で解くことも取り扱うものとする。

(4)内容の(6)については、第4節第3の「数学Ⅲ」の2の(1)のイの(ア)及び(イ)の内容も取り扱うものとする。

第2 理数数学Ⅱ

1 目標

 代数・幾何、解析及び確率・統計の各領域における概念を形成し、原理・法則についての理解を深め、数学的な表現力や論理的な思考力を高めるとともに、事象の考察における探究的な態度と創造的な能力を養う。

2 内容

A 代数・幾何

(1)曲線とその表示
(2)ベクトル
(3)複素数と複素数平面
(4)行列と線形計算

B 解析

(1)いろいろな関数
(2)微分法とその応用
(3)積分法とその応用
(4)数値計算

C 確率・統計

(1)確率分布
(2)統計処理

D 課題研究

3 内容の取扱い

(1)内容のA、B及びCについては、第4節第2の「数学Ⅱ」、第3の「数学Ⅲ」、第5の「数学B」及び第6の「数学C」の「2  内容」及び「3 内容の取扱い」を参照し、必要に応じて、これらの科目の内容を発展、拡充させて取り扱うものとする。

(2)内容のBの(1)については、逆関数の考え、簡単な無理関数及び逆三角関数も取り扱うものとする。

(3)内容のBの(3)については、  = ( は定数)程度の簡単な微分方程式の意味と解法も取り扱うものとする。

(4)内容のDについては、内容のA、B及びCの各領域をさらに発展、拡充させた課題を適宜設定し、指導に当たっては、講義、講読研究又は演習など適切な方法を用いるよう配慮するものとする。

第3 理数物理

1 目標

 物理的な事物・現象についての観察、実験や課題研究などを行い、物理学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の系統的な理解を深め、科学的な自然観を育成する。

2 内容

(1)運動とエネルギー
(2)波動
(3)電流と電子
(4)電気と磁気
(5)原子と原子核
(6)課題研究

3 内容の取扱い

(1)内容の構成に当たっては、物理学の基本的な概念の形成と科学の方法の習得が無理なく行われるようにする。

(2)内容の(1)から(6)については、第5節第3の「物理ⅠB」及び第4の「物理Ⅱ」の「2  内容」及び「3 内容の取扱い」を参照し、必要に応じて、これらの科目の内容を発展、拡充させて取り扱うものとする。ただし、内容の(1)については、「物理ⅠB」の2の(1)及び(2)並びに「物理Ⅱ」の2の(1)を取り扱うものとする。なお、内容の(4)については、エレクトロニクスの基礎実験も取り扱う。

第4 理数化学

1 目標

 化学的な事物・現象についての観察、実験や課題研究などを行い、化学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の系統的な理解を深め、科学的な自然観を育成する。

2 内容

(1)物質の構造と状態
(2)物質の性質
(3)物質の変化
(4)反応の速さと平衡
(5)高分子化合物
(6)課題研究

3 内容の取扱い

(1)内容の構成に当たっては、化学の基本的な概念の形成と科学の方法の習得が無理なく行われるようにする。

(2)内容の(1)から(6)については、第5節第6の「化学ⅠB」及び第7の「化学Ⅱ」の「2  内容」及び「3 内容の取扱い」を参照し、必要に応じて、これらの科目の内容を発展、拡充させて取り扱うものとする。なお、内容の(2)については、物質の合成実験も取り扱う

第5 理数生物

1 目標

 生物や生物現象についての観察、実験や課題研究などを行い、生物学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の系統的な理解を深め、科学的な自然観を育成する。

2 内容

(1)生物体の構造と機能
(2)生命の連続性
(3)生物と環境
(4)生物現象と分子
(5)生物と進化と系統
(6)課題研究

3 内容の取扱い

(1)内容の構成に当たっては、生物学の基本的な概念の形成と科学の方法の習得が無理なく行われるようにする。

(2)内容の(1)から(6)については、第5節第9の「生物ⅠB」及び第10の「生物Ⅱ」の「2  内容」及び「3 内容の取扱い」を参照し、必要に応じて、これらの科目の内容を発展、拡充させて取り扱うものとする。なお、内容の(4)については、バイオテクノロジーに関する実験も取り扱う。

第6 理数地学

1 目標

 地学的な事物・現象についての観察、実験や課題研究などを行い、地学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の系統的な理解を深め、科学的な自然観を育成する。

2 内容

(1)宇宙の中の地球
(2)地球の構成
(3)地球の歴史
(4)地球の活動
(5)宇宙の構成
(6)課題研究

3 内容の取扱い

(1)内容の構成に当たっては、地学の基本的な概念の形成と科学の方法の習得が無理なく行われるようにする。

(2)内容の(1)から(6)については第5節第12の「地学ⅠB」及び第13の「地学Ⅱ」の「2  内容」及び「3 内容の取扱い」を参照し、必要に応じて、これらの科目の内容を発展、拡充させて取り扱うものとする。なお、内容の(3)については、地質図の実習も取り扱う。

第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い

1 理数に関する学科における指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)「理数数学Ⅱ」については「理数数学Ⅰ」を履修した後に履修させること。
(2)「理数数学Ⅰ」及び「理数数学Ⅱ」の指導に当たっては、数理現象の視覚的な理解や多数の計算例による法則性の認識を深めるため、コンピュータを積極的に活用すること。
(3)「理数物理」、「理数化学」、「理数生物」及び「理数地学」については、これらのうちから、原則として、3科目以上を履修させること。

2 内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)観察、実験、野外調査などの指導に当たっては、特に、事故防止について十分留意するとともに、生命の尊重や自然環境の保全に関する態度の育成に留意すること。また、使用薬品などの管理及び廃棄についても適切な措置を講ずること。
(2)「理数物理」、「理数化学」、「理数生物」及び「理数地学」の環境問題や化学技術の進歩と人間生活にかかわる内容等については、自然科学的な見地から取り扱うこと。

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