第6節 保健体育

第1款 目標

 健康・安全や運動についての理解と運動の合理的な実践を通して、計画的に運動をする習慣を育てるとともに、健康の増進と体力の向上を図り、明るく豊かで活力のある生活を営む態度を育てる。

第2款 各科目

第1 体育

1 目標

 各種の運動の合理的な実践を通して、運動技能を高め、強健な心身の発達を促すとともに、公正、協力、責任などの態度を育て、生涯を通じて継続的に運動ができる能力と態度を育てる。

2 内容

A 体操

(1)自己の体力や生活に応じて、次の体操を構成し、活用することができるようにする。
 ア 体力を高めるための体操
 イ スポーツの技能を高めるための体操
 ウ 健康増進のための体操

(2)互いに協力して、計画的に運動ができるようにする。

B 器械運動

(1)次の運動の技能を高め、技が円滑にできるようにする。
 ア マット運動
 イ 鉄棒運動
 ウ 平均台運動
 エ 跳び箱運動う

(2)器械・器具を点検し、安全に留意して練習や発表ができるようにする。

C 陸上競技

(1)次の運動の技能を高め、競技したり、記録を高めたりすることができるようにする。
 ア 競走
 イ 跳躍
 ウ 投てき

(2)勝敗に対して公正な態度がとれるようにする。

(3)自己の身体の調子や練習場などの安全を確かめ、健康・安全に留意して練習や競技ができるようにする。

D 水泳

(1)次の運動の技能を高め、速く、長く泳ぐことができるようにする。
 ア クロール
 イ 平泳ぎ
 ウ 背泳ぎ
 エ バタフライ
 オ 横泳ぎ

(2)水泳の事故防止に関する心得を守り、健康・安全に留意して練習や競泳ができるようにする。

E 球技

(1)次の運動の技能を高め、作戦を立て、それに応じた攻防の仕方を工夫してゲームができるようにする。
 ア バスケットボール
 イ ハンドボール
 ウ サッカー
 エ ラグビー
 オ バレーボール
 カ テニス
 キ 卓球
 ク バドミントン
 ケ ソフトボール

(2)チームにおける自己の役割を自覚して、その責任を果たし、練習やゲームができるようにする。

F 武道

(1)次の運動の技能を高め、相手の動きに対応した攻防の仕方を工夫して練習や試合ができるようにする。
 ア 柔道
 イ 剣道

(2)伝統的な行動の仕方に留意して、相手を尊重し、練習や試合ができるようにする。

(3)禁じ技を用いないなど安全に留意して練習や試合ができるようにする。

G ダンス

(1)次の運動の技能を高め、感じを込めて踊ったり、みんなで楽しく踊ったりすることができるようにする。
 ア 創作ダンス
 イ フォークダンス

(2)グループで役割を分担し、練習や発表ができるようにする。

H 体育理論

(1)体力トレーニングの方法と内容
 体力の測定の意義及び体力の向上を図るための運動強度、運動時間、運動回数などを加味した体操の構成の仕方や行い方などについて理解させる。

(2)運動技能の構造と練習法
 各種の運動技能の構造や上達過程、運動技能の習熟の程度を把握する方法及び各種の運動技能を高めるための練習法などについて理解させる。

(3)現代社会とスポーツ
 現代社会におけるスポーツの必要性について理解させるとともに、個人の生活、健康状態、年齢及び体力に応じた生涯スポーツの設計の仕方について理解させる。

3 内容の取扱い

(1)内容のAからHまでの領域については、各学年において次のとおり取り扱うものとする。
 ア A及びHについては、すべての生徒に履修させること。
 イ B、C、D、E、F及びGについては、これらのうちから3又は4を選択して履修できるようにすること。その際、F又はGのいずれかを含むようにすること。

(2)内容のAからGまでに示す事項については、各学年において次のとおり取り扱うものとする。
 ア Aに示す事項については、すべての生徒に履修させること。なお、Aの(2)の指導については、B、C、D、E、F及びGにおいても行うこと。
 イ Bの(1)の運動については、これらのうちから選択して履修できるようにすること。
 ウ Cの(1)の運動については、これらのうちから選択して履修できるようにすること。なおCの(2)の指導については、D、E及びFにおいても行うこと。
 エ Dの(1)の運動については、これらのうちから選択して履修できるようにすること。また、スタートの指導については、安全に十分留意すること。
 オ Eの(1)の運動については、これらのうちから2を選択して履修できるようにすること。
 カ Fの(1)の運動については、これらのうちから1を選択して履修できるようにすること。なお、地域や学校の実態に応じて、相撲、なぎなた、弓道などその他の武道についても履修させることができること。
 キ Gの(1)の運動については、これらのうちから選択して履修させることができること。なお、地域や学校の実態に応じて、その他のダンスについても履修させることができること。

(3)内容のBからGまでの領域及び運動については、生徒が特性等に応じて、選択して履修できるようにするものとする。その際、内容のBからFまでの領域及び運動については、審判の仕方についても指導するものとする。

(4)自然とのかかわりの深いスキー、スケートなどの指導については、地域や学校の実態に応じて積極的に行うことに留意するものとする。また、レスリングについても履修させることができるものとする。

(5)内容のHに配当する授業時数は、体育の総授業時数の5~10%とするものとする。

(6)集合、整とん、列の増減、方向変換などの行動の仕方の指導については、内容のAからGまでの領域において適切に行うものとする。

第2 保健

1 目標

 個人及び集団の生活における健康・安全について理解を深めさせ、個人及び集団の健康を高める能力と態度を育てる。

2 内容

(1)現代社会と健康

 我が国の疾病構造や社会の変化に対応して、健康を保持増進するためには個人の適切な生活行動が重要であることを理解させる。

ア 健康の考え方
 我が国の健康水準の向上や疾病構造の変化に伴って、健康の考え方やその保持増進の方法も変化してきたことを理解させる。

イ 生活行動と健康
 健康を保持増進するためには、適切な食事、運動、休養が重要であることを理解させる。また、喫煙や飲酒、薬物乱用と健康との関係、医薬品の正しい使い方について理解させる。

ウ 精神の健康
 人間の精神と身体の密接な関連、人間の欲求と適応機制について理解させる。また、精神の健康を保持増進するためには、これらの考え方を踏まえて、自己実現を図るよう努力していくことが重要であることを理解させる。

エ 交通安全
 交通事故を防止するためには、交通環境の整備などの対策とともに個人の適切切な行動が重要であることを理解させる。

オ 救急処置
 心肺蘇生法等の応急処置の意義と方法について理解させる。

(2)環境と健康

 環境と人間の健康とはかかわりがあること、このため環境の保全が重要であることを理解させる。

ア 環境の汚染と健康
 人間の生活や産業活動は、自然環境を汚染し、健康被害をもたらすこともあること、このためさまざまな対策がとられていることを理解させる。

イ 環境の調和と健康
 人間の健康には、自然環境の調和が重要であることを理解させる。

(3)生涯を通じる健康

 生涯の各段階において健康についての課題があり、これに適切に対応することが必要であることを理解させる。

ア 家庭生活と健康
 健康な生活を営むためには、生涯の各段階の課題に応じた健康管理を行うことが必要であることを理解させる。

イ 職業と健康
 職業病や労働災害の防止には、作業形態や作業環境の変化を踏まえた健康管理及び安全管理を行うことが必要であることを理解させる。

(4)集団の健康

 集団の健康を高めるための公衆衛生活動と保健・医療の制度について理解させる。

ア 疾病の予防活動
 伝染病や成人病については、さまざまな予防活動が行われていることを理解させる。

イ 環境衛生活動と食品衛生活動
 環境の整備を図るため上下水道の整備や一般廃棄物の処理が行われていること、また、食品の安全性の確保を図るため食品衛生活動が行われていることを理解させる。

ウ 保健・医療の制度
 国民の健康の保持増進を図るための保健・医療制度や世界保健機関等の国際活動について理解させる。

3 内容の取扱い

(1)内容の(1)のウについては、大脳の機能、神経系及び分泌系の機能について必要に応じ関連付けて取り扱う程度とする。オについては、必要に応じ実習を行うものとする。また、呼吸器系及び循環器系の機能については必要に応じ関連付けて取り扱う程度とする。

(2)内容の(2)のアについては、産業廃棄物とその処理についても取り扱うものとする。イについては、生態系の仕組みと健康を中心に取り扱うものとする。

(3)内容の(3)のアについては、主として思春期と性、家族計画、母子保健、老人保健を取り扱うものとし、老人保健については、高齢化社会の問題も取り扱うものとする。また、生殖器系の機能については必要に応じ関連付けて取り扱う程度とする。

第3款 各科目にわたる指導計画の作成

1 第1章総則第1款の3に示す学校における体育に関する指導の趣旨を生かし、特別活動、運動部の活動などとの関連を図り、日常生活における体育的活動が適切かつ継続的に実践できるよう留意するものとする。

2 「体育」は、毎学年継続して履修できるようにし、各学年の単位数はなるべく均分して配当するものとする。なお、内容のAからGまでの領域に対する授業時数の配当については、その内容の習熟を図ることができるよう考慮するものとする。

お問合せ先

初等中等教育局

-- 登録:平成21年以前 --