総合的な学習の時間については,平成21年度から先行実施することになっています。指導計画を見直すに当たって,どのようなことに留意すればよいでしょうか。
今回の改訂においては,学校教育において基礎的・基本的な知識・技能を習得させ,思考力・判断力・表現力等を育成することを明確にした上で,総合的な学習の時間については,その教育課程上の位置付けを明確にするとともに,教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習,探究的な学習となるよう充実させています。このことを踏まえ,年間指導計画の作成に当たっては,総合的な学習の時間の教育課程上の役割を踏まえて見直すことが必要です。また,総合的な学習の時間において育てようとする資質や能力及び態度,内容を明確にすることも重要です。具体的な学習活動を検討するに当たっては,このほか総合的な学習の時間の改善点を踏まえ,体験活動や他者と協同する活動,言語により考えを深める活動を積極的に取り入れることを考慮することが重要です。
総合的な学習の時間において,コンピュータの活用方法などを体系的に指導することは可能でしょうか。
総合的な学習の時間の中で,探究的な学習の一環としてコンピュータなどの情報機器の活用方法を学習することは考えられますが,探究的な学習の一環とは言えない,スキル習得を目的とした学習だけで、総合的な学習の指導内容を構成することは適当ではありません。総合的な学習の時間の目標を踏まえ,探究的な学習を行う中で情報機器の活用に必然性があることが重要です。
さらに,内容の取扱い(8)にあるとおり,情報の収集や発信にかかわる技能的側面だけでなく,情報そのものの整理を重視し,入手した情報の信頼性を吟味したり,情報を比較,分類したり,情報を組み合わせて新しい情報を創り出したりするような能力を身に付けさせることが望まれます。
なお,学習指導要領の総則に示されたとおり,各学校には,各教科等の指導に当たって,キーボードなどによる文字の入力など基本的な操作を身に付けさせるための学習活動を充実させることが求められています。このため,コンピュータの活用方法などの指導をどのように行うかについては,各教科等における情報機器を活用した学習活動の内容を考慮した上で検討することが適切であると考えられます。
総合的な学習の時間に,国際理解に関する学習の一環として,外国語を扱うことは出来ますか。(これまでも,小学校3,4年生の総合的な学習の時間で外国語に触れる活動をしていましたが,新学習指導要領の下でも同様に外国語を扱ってもよいですか。)
→問11−3(11.外国語活動・外国語に関すること)参照
学校行事の中には,総合的な学習の時間とも目標を同じくする活動がありますが,この場合,一部を総合的な学習の時間,一部を特別活動として授業時数にカウントすることは可能でしょうか。
→問1−5(1.総則に関すること)参照
中央教育審議会答申や学習指導要領解説に,総合的な学習の時間において学校外部の支援者と学校をつなぐ(コーディネートする)役割を果たす人材について述べられています。そのような人材を育成する意義と育成方法について教えてください。
総合的な学習の時間においては,学校の教育目標との関連性を考慮しつつその目標を定める必要があります。また,総合的な学習の時間の内容を総合的・横断的で特色あるものとするためには教職員の特性や専門性を生かすことが重要です。これらのことから,総合的な学習の時間の実施に当たっては,すべての教職員が協力できる体制をつくることが重要です。その際,各種計画の作成と評価,研修や校内研究の実施,校内の学習環境の整備などを行ったり,これらの役割をうまく分担し調整したりする役割を果たす人材が必要となります。
また,総合的な学習の時間においては横断的・総合的な学習活動を行うこととされていますが,学校外部の専門家に専門的な立場から指導を受けることで児童生徒の学習意欲が高まったり,地域の人々とともに活動することで児童生徒に社会の一員であるという自覚が高まったりすることが期待されます。このような学校外部の支援者と連携した学習活動を充実させるためには,学校が学校外部の支援者に連絡をとり,学習活動に関わって事前の打ち合わせを行ったり,事後の評価を行ったりすることが必要です。このため,学校外部の支援者と学校をつなぐ役割を果たす人材が必要となります。
各都道府県に対しては,総合的な学習の時間を充実させるため,教員研修カリキュラムの検討に当たって,コーディネート役に関する理解や必要となる能力の育成を一つの視点に入れることが期待されます。その際,合わせて学校外部の支援者を育成する方策を検討することも考えられます。
初等中等教育局教育課程課
-- 登録:平成21年以前 --