学習指導要領「生きる力」

学習評価に関するQ&A

  • このQ&Aは,「児童生徒の学習状況の評価の在り方について」(平成22年3月24日中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会報告)を踏まえ,発出した「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」(平成22年5月11日文部科学省初等中等教育局長通知)の趣旨を明確にするために参考として示すものです。
  • このQ&Aの中で,「通知」とは,「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」(平成22年5月11日文部科学省初等中等教育局長通知)を示します。
  • このQ&Aの中で,「報告」とは,「児童生徒の学習状況の評価の在り方について」(平成22年3月24日中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会報告)を示します。

(総論)

Q1
 平成22年5月に発出された学習評価及び指導要録の通知の要点を教えてください。

A1
 平成22年5月11日に文部科学省が発出した「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」(通知)は,平成22年3月に中央教育審議会教育課程部会においてとりまとめられた「児童生徒の学習状況の評価の在り方について」(報告)を踏まえ,指導要録を含め,新学習指導要領の下における学習評価について,改善の方向性を示したものです。
 学習評価及び指導要録の改善にあたっては,現在の学習評価の考え方が小・中学校を中心に定着してきていること(※)などを踏まえ,新学習指導要領の下での学習評価は,現行の学習評価の在り方を基本的に維持しつつ,その深化を図っていくこととし,
・きめ細かい学習指導の充実や児童生徒一人一人の学習内容の確実な定着を図ることのできる,目標に準拠した評価による観点別学習状況の評価や評定を着実に実施すること
・学習評価においても,学力の重要な要素を示した新しい学習指導要領等の趣旨を反映すること
・学校や設置者の創意工夫を生かす現場主義を重視した学習評価の推進を図ること
 を基本的な考え方として「通知」に示しました。
 
※「学習指導と学習評価に対する意識調査」(平成21年度文部科学省委託調査)の結果等による

Q2
 「簡素で効率的な」学習評価について,「通知」にはどのように示されていますか。

A2
 学習指導要領等の改善については,平成20年1月の中央教育審議会答申(「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」)により方向性がまとめられました。答申では学習評価の改善について,より一層簡素で効率的な学習評価が実施できるような枠組について検討を行うことが示されました。
 このため,今回の「報告」においては,学習評価の意義を踏まえつつ,教師の負担感の軽減や学習評価の妥当性・信頼性の向上を図った「効果的・効率的な」学習評価を推進することの重要性が提言されています。
 このことを受けて,「通知」には,効果的・効率的な学習評価の推進について,
・ 学校や設置者においては,国が示す評価に関する資料等を参考にしつつ,評価規準や評価方法の一層の共有や教師の力量の向上等を図り,組織的に学習評価に取り組むこと    
・ その際,学習評価に関する情報の適切な管理を図りつつ,情報通信技術の活用により指導要録等に係る事務の改善を検討すること    
・ 都道府県等においても,学習評価に関する研究を進め,学習評価に関する参考となる資料を示すとともに,具体的な事例の収集・提示を行うこと
 が重要であることを示しています。

Q3
 学校現場の創意工夫の推進について,「通知」にはどのように示されていますか。

A3
 学校や設置者の創意工夫を生かす学習評価の推進を図ることは,今回の学習評価の改善の基本的な考え方の一つです。
 この考え方を踏まえて「通知」には,学校現場の創意工夫について,例えば次の内容を示しています。
・ 各教科等の観点等については,学習指導要領等を踏まえ,通知に示す観点等を参考に設置者や学校において定めること
・ 指導要録の「参考様式」は,各設置者において指導要録の様式の設定にあたって検討に資するために示したものであること
・ 小・中学校の特別活動について,各学校において評価の観点を定めることができるようにし,各活動・学校行事ご とに評価すること

(目標に準拠した評価)

Q4
 目標に準拠した評価について,保護者の理解を得るためにはどのように説明することが考えられますか。

A4
 目標に準拠した評価は,学習指導要領に示す目標に照らしてその実現状況を評価するものであり,観点別学習状況の評価を基本として,児童生徒の学習の到達度を適切に評価していくことが重要となります。
 平成13年の指導要録の改善通知(※)により,観点別学習状況に加え,各教科の評定についても,学習指導要領に示す基礎的・基本的な内容の確実な習得を図るなどの観点から,学習指導要領に示す目標に照らしてその実現状況を評価することに改められました。
  なお,今回の学習評価の改善に当たっても「報告」において「今後とも,きめの細かい学習指導の充実と児童生徒一人一人の学習内容の確実な定着を図るため,各教科における児童生徒の学習状況を分析的にとらえる観点別学習状況の評価と総括的にとらえる評定とについては,目標に準拠した評価として実施していくことが適当である。」とされました。
 目標に準拠した評価は,児童生徒一人一人の進歩の状況や教科の目標の実現状況を的確に把握するもので,学習評価の改善につながるものであると考えます。
 また,各学校段階において,児童生徒がその学校段階の目標を実現しているかどうかを評価すること,つまり,目標に準拠した評価を適切に行うことは,上級の学校段階の教育との円滑な接続に資する点でも重要です。
 さらには,少子化等による学年や学級の児童生徒数の減少により評価の信頼性を確保する上でも,目標に準拠した評価の信頼性等を高める努力をすることが適切です。
 このような目標に準拠した評価の意義について,まず保護者の理解を得るよう説明を行うことが重要であると考えます。

※「小学校児童指導要録,中学校生徒指導要録,高等学校生徒指導要録,中等教育学校生徒指導要録並びに盲学校,聾学校及び養護学校の小学部児童指導要録,中学部生徒指導要録及び高等部生徒指導要録の改善等について(平成13年4月27日文部科学省初等中等教育局長通知)

(評価の観点(総論))

Q5
 各教科等の評価の観点を設置者や学校が独自に設定することはできますか。

A5
 「通知」では,学習評価に関する基本的な考え方について,「学習評価における観点」については,新しい学習指導要領を踏まえ,「関心・意欲・態度」,「思考・判断・表現」,「技能」及び「知識・理解」に整理し,各教科等の特性に応じて観点を示している。設置者や学校においては,これに基づく適切な観点を設定する必要があること」と示しています。
  また,「通知」の別紙に示した指導要録に記載する事項等において,小学校及び中学校(特別支援学校の小学部及び中学部を含む)の評価の観点については,
・ 各教科の評価の観点については,設置者は学習指導要領等を踏まえ,「通知」の別紙5に示した「各教科等・各学年等の評価の観点等及びその趣旨」を参考に設定する。各学校において,観点を追加して記入できるようにする。
・ 小学校外国語活動の評価の観点については,設置者は小学校学習指導要領等に示す外国語活動の目標を踏まえ,「通知」の別紙5を参考に設定する。また,各学校において,観点を追加して記入できるようにする。
・ 特別活動の評価の観点については,学習指導要領等に示す特別活動の目標を踏まえ,各学校において,「通知」の別紙5を参考に定める。
  としています。
 これらのことから,各学校や設置者においては,「報告」に示された評価の観点に関する考え方を十分理解し,「通知」に示した各教科等の観点や観点の趣旨を参考にしながら,設置者等において十分な検討を行った上で,独自の観点を設定することも考えられます。
 ただし,学習評価を行うにあたって,各学校における創意工夫を生かすことはとても重要ですが,その際,評価の結果が進学等において活用される都道府県等の地域ごとに,一定の統一性を保つよう努めるとともに,保護者等に対し,観点別学習状況の評価の趣旨等について,十分な説明を行うよう努めることも重要です。

Q6 
 「通知」に示された観点のうち,「思考・判断・表現」の「表現」と,これまでの観点にあった「技能・表現」の「表現」はどのように異なるのですか。

A6
 今回,観点別評価の在り方を検討する中で,評価の観点は,学校教育法及び学習指導要領の総則に示された学力の要素(※)に合わせて整理されることとなりました。
 今回設定された「思考・判断・表現」の観点は,それぞれの教科の知識や技能を活用して課題を解決すること等のために必要な思考力・判断力・表現力等を児童生徒が身に付けているかどうかを評価するものであり,各教科の内容等に即して思考・判断したことを,その内容を表現する活動と一体的に評価する観点として設定しています。
 一方,現行の「技能・表現」の観点は,各教科において習得すべき技能(や表現)を児童生徒が身に付けているかどうかを評価するものであり,教科において違いはあるものの ,基本的には現行の「技能・表現」の観点で評価している内容は引き続き「技能」の観点で評価することが適当です。  
 つまり,「技能・表現」と「技能」の観点では評価する内容はほぼ同一であるものの,「思考・判断・表現」の観点との混同を避けるため,観点の名称を変更しました。
 なお,「思考・判断・表現」の観点では,「思考力・判断力・表現力等を児童生徒が身に付けているか」,「技能」の観点では,「習得すべき技能を身に付けているか」と両者については身に付けようとする資質や能力が異なります。

※学校教育法等に示された学力の要素
・基礎的・基本的な知識・技能
・課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等
・主体的に学習に取り組む態度

Q7
 今回新たに示された「技能」の評価は,従来の「技能・表現」の評価と比べて,内容や評価方法が変わるのですか。

A7
 今回示した「技能」の観点は,各教科において取得すべき技能を児童生徒が身に付けているかどうかを評価するものであり,教科によって違いがあるものの,基本的には,従来の「技能・表現」に対し内容や評価方法が異なるものではありません。
 なお,理科においては,4つの観点の区分を明確にするため,内容の整理を行っており,今まで「技能・表現」の観点で評価を行うことを示していた,創意工夫を伴う報告書の作成や発表などは,「思考・判断・表現」の観点において評価を行うことが適当であると示しています。

(「思考・判断・表現」の観点)

 Q8 
 「報告」では,「思考・判断・表現」の観点について,総括的な評価を行う際に,思考・判断の結果だけでなく,その過程を含め評価することが特に重要であることが示されています。具体的にはどのようなことが求められるのですか。

A8
 今回,「思考・判断・表現」の観点については,各教科の内容等に即して思考・判断したことを,その内容を表現する活動と一体的に評価するものとして設定しています。
 そのため,児童生徒の作品など思考・判断の結果としての「表現」を通じて評価することが多くなりますが,ここでいう「表現」とは,基礎的・基本的な知識・技能を活用する学習活動等において思考・判断したことと,その内容を表現する活動とを一体的に評価することを示しています。このため,適切に思考・判断しているが,結果的に作品化などにおいて表現できない場合などにおいても,学習活動の過程において児童生徒の状況を適切に評価することが重要であることを示しているものです。
 例えば,図画工作における作品製作に当たって,発想や構想が作品の実現につながらなかった場合でも,発想や構想の能力について,その過程を含めて評価することが大切です。

Q9 
 今回の見直しにあたっては,「表現」の観点を重視しているにもかかわらず,算数・数学,家庭,技術・家庭,体育・保健体育には,「思考・判断・表現」に該当する評価の観点に「表現」という文言が含まれていないのはなぜですか。

A9
 今回,学習評価における観点については,新しい学習指導要領を踏まえ,「関心・意欲・態度」,「思考・判断・表現」,「技能」及び「知識・理解」に整理し,各教科の特性に応じた観点を示しています。
 そのため,例えば,中学校数学においては,「数学的な見方や考え方」という観点には,観点の趣旨に示しているように「事象を数学的な推論の方法を用いて論理的に考察し表現したり」など言語活動を中心とした表現活動が含まれていること,小学校家庭の「生活を創意工夫する能力」という観点においては,観点の趣旨にある「自分なりに工夫している」状態は表現活動を伴うものであることなど教科の内容に応じて「表現」を前提とする内容が観点に含まれている場合については,あえて「表現」という文言を観点や観点の趣旨に示さず,それぞれの教科の特性に応じた観点等を示しています。
  なお,体育・保健体育については,学習指導要領の指導内容として,ダンスなどの身体表現を技能として示していることから,観点の混同を避けるため「思考・判断」として示しています。

(評定)

Q10 
 評定を「通知」で示されているような小学校3段階,中学校5段階で示すのではなく,10段階で示すことについてどのように考えますか。

A10
 「通知」では学習指導要領に示す各教科の目標に照らして,その実現状況を区別して記入する際,小学校3段階,中学校5段階とすることを示していますが,特に必要な場合には,学習評価について基本的な事項を定める設置者による方針を踏まえつつ,10段階で記入することも可能であると考えます。
 その際,異なる学校段階の間での児童生徒の学習状況を円滑に伝達するため,評価の結果が進学等において活用される都道府県等の地域ごとに一定の統一性を保つことやそのような評定の決定の方法を対外的に明示することに十分留意し,進学先や転校先等で指導要録を活用する際に誤解のないようにするとともに,保護者に対しても十分な説明を行うことが大切です。

(社会)

Q11
 社会の「(観察)資料活用の技能」の観点の趣旨に示されている「資料を効果的に活用する」ことと「社会的な思考・判断・表現」の観点の趣旨に示されている「思考・判断」することの違いは何ですか。

A11
 「資料を効果的に活用する」とは,「資料から必要な情報を集めて読み取り(図表などに)まとめること」であり,児童生徒の調べ学習の作業などを通してそうした技能の習得状況を評価することにつながるものです。
 一方,「思考・判断」するとは,「比較,関連付け,総合し,再構成するなどの思考方法を駆使して,社会的事象の意味を考えている」ことであり,言語活動を通してそうした能力の発揮状況を評価することに結び付くものです。
 本来,両者は学習活動として一体であることが多く,資料活用の技能が高まるほどその傾向は顕著になります。したがって,評価を行う際に,どちらの観点で見るかは,その学習指導のねらいがどちらの観点を主として設定されたのかに応じて決定されることが適当なものと考えます。

(算数・数学)

Q12
 算数・数学の「数量や図形についての技能(数学的な技能)」の観点の趣旨に示されている「数学的な表現」と,「数学的な考え方(数学的な見方や考え方)」の観点の趣旨に示されている「表現」との違いは何ですか。

A12
 算数・数学においては,「思考・判断・表現」に該当する観点を「数学的な考え方」(中学校では「数学的な見方や考え方」),「技能」に該当する観点を「数量や図形についての技能」(中学校では「数学的な技能」)とそれぞれ示しています。
 「数学的な考え方(数学的な見方や考え方)」の観点において「表現」を評価するとは,事象を数学的な推論の方法を用いて論理的に考察し表現するなど,思考・判断したことをその内容を表現する活動と一体的に評価することを意味しています。
 一方,「数量や図形についての技能(数学的な技能)」の観点において「数学的な表現」を評価するとは,事象を数,式,図,表,グラフなどを用いて表現する技能を評価することを意味しています。

(理科)

Q13
 理科の評価の観点のうち「科学的な思考・表現」「観察・実験の技能」の観点とこれまでの観点にあった「科学的な思考」と「観察の技能・表現」の観点との違いは何ですか。

A13
 今回,評価の観点は,学校教育法及び学習指導要領の総則に示された学力の要素に合わせて整理されたため,観点の名称を「科学的な思考」から「科学的な思考・表現」に,「観察・実験の技能・表現」から「観察・実験の技能」に変更しました。
 「科学的な思考・表現」においては,理科の内容等に即して思考したことを,生徒の説明,論述,討論などの言語活動を通して評価することを示しています。そのため,例えば,これまで「観察・実験の技能・表現」で評価していた,創意工夫を伴う報告書の作成や発表などについても,思考したことを表現するという視点から評価する場合は,「科学的な思考・表現」の観点で評価することを示しています。
 一方,「観察・実験の技能」においては,例えば,観察,実験の過程や結果を表,図などを使って的確に記録,整理するといったことについて,引き続きこれまでの「観察・実験の技能・表現」と同様に評価を行うことを示しています。

(音楽)

Q14
 音楽の評価の観点について,これまでの観点にあった「音楽的な感受」が示されていないのはなぜですか。

A14
 新学習指導要領では,音楽的な感受に相当する指導内容を〔共通事項〕として示しました。これからの学習指導は,表現領域,鑑賞領域のいずれにおいても,この〔共通事項〕を支えにしながら,音楽表現をしたり鑑賞をしたりすることが重要です。
 そこで,新学習指導要領に基づく学習指導を行い,その状況を適切に評価するため,観点「音楽表現の創意工夫」及び「鑑賞の能力」の両方の趣旨に〔共通事項〕(事項ア)の内容を明記し,それぞれにおいて音楽的な感受にかかわる学習評価を行うことを示したところです。
 なお,鑑賞領域においては,これまで音楽的な感受で見ていた力の育成を大切にし,それと関連させながら,児童生徒が自分なりに音楽のよさや価値などを思考・判断し,味わって聴くことのできるような力をはぐくむこととしており,こうした学習状況を観点「鑑賞の能力」で評価することになります。このことによって,「音楽的な感受」と「鑑賞の能力」の違いが分かりにくいといった従前の課題の解消も図るものと考えています。

(小学校外国語活動)

Q15
 小学校の外国語活動について,移行期間中の通知(※)では,学校で観点を定めることになっていましたが,今回,設置者が観点を設定することとした理由は何ですか。

A15
 小学校外国語活動については,移行期間中における取扱いとして,各学校において評価の観点を定める様式を設けるなど,各設置者において適切に指導要録の様式を定めることを示していました。
 今回の「通知」においては,教育の機会均等の確保や中学校等との円滑な接続の観点から国として各学校において共通に指導する内容を学習指導要領で示していること,評価の観点は,中学校・高等学校における外国語科との連続性に配慮して設定する必要があることなどから,設置者が観点を設定することを示したものです。

※「小学校学習指導要領等に関する移行期間中における小学校児童指導要録等の取扱いについて」(平成20年12月25日文部科学省初等中等教育局長通知)

(特別活動)

Q16
 小・中学校の特別活動について,指導要録において観点の記載を求めた理由を教えてください。また,なぜ設置者ではなく,学校が観点を定めることとしたのですか。

A16
 特別活動については,今回の学習指導要領の改訂で,各活動・学校行事の目標を新たに規定し,育てたい資質や能力をより明確にして指導に当たることを示しました。一方で,指導要録については,「各内容ごとに○印が明記されていても,どのような資質や能力が身についているのか判然としない」などの課題も指摘されていました。
 このため,今回の「通知」においては,特別活動の目標に照らして育成しようとする資質や能力について観点を明確にした上で評価することを示しています。
 その際,特別活動については,
・ 目標や内容は示されているが,他の教科等に比べて,各学校において多岐にわたる活動に取り組んでいるという実態があること
・ 学級活動以外は,標準授業時数の定めがなく各学校が適切な授業時数を充てていること
 など「特別活動の特質」と,学校等の創意工夫を生かすという「今回の評価の改善の基本的方向性」の両者を踏まえて,設置者ではなく,学校が観点を定めることを示しています。 

(行動の記録)

Q17 
 「行動の記録」について,「各学校において,自らの教育目標に沿って項目を追加できるようにする」とありますが,具体的には,どのような項目が考えられますか。

A17
 今回の「報告」において,「「行動の記録」の項目の設定に当たっては,教育基本法第2条や学校教育法第21条に示されている義務教育の目標,学習指導要領第1章総則や第3章道徳に示す道徳の目標や内容,内容の取扱いで重点化を図ることとしている事項,同第1章総則において示す体育・健康に関する指導等を踏まえる必要がある」とされ,「その上で,各学校において,各学校の教育目標を踏まえた項目を加えることも適当である。」とされています。
 これらを踏まえて,各学校においては,自校における教育目標や道徳教育の重点目標,指導の重点事項などについて,創意工夫を生かして,参考例以外の項目を設定することも考えられます。

 (特別支援)

Q18
通常の学級に在籍しながら通級による指導を受けている児童生徒の学習評価に当たって留意すべき事項は何ですか。

A18
 通級による指導についても,他の学習活動同様に児童生徒の学習状況や結果を適切に評価し,指導の改善に生かすよう努めることが必要です。
 通級による指導を担当する教師がその学習を評価するに当たっては,指導の目標の設定の段階において,児童生徒の実態に即してその到達状況を具体的に捉えておくことが重要です。このことについては,特別支援学校の学習指導要領等に規定する「自立活動」の取組が参考になります。
また,当該児童生徒が在籍する学級の担任教員においては,通級による指導を担当する教師と連携・協力を図るこ とが重要です。
 なお、「通知」においては,当該児童生徒の指導要録について,「総合所見及び指導上参考となる諸事項」に,通級による指導を受けた学校名,通級による指導の授業時数,指導期間,指導の内容や結果等を記入することを示しています。

Q19
 通級による指導の対象となっていない児童生徒で,教育上特別な支援を必要とする児童生徒の指導要録の記載に当たって留意すべき事項は何ですか。

A19
 今回の「通知」においては,通級による指導の対象となっていない児童生徒で,教育上特別な支援を必要とする場合について,必要に応じて,「総合所見及び指導上参考となる諸事項」に,効果があったと考えられる指導方法や配慮事項を記入することを示しています。

(その他)

Q20
 通信簿の様式,名称等についてどのように考えればよいでしょうか。 

A20
 通信簿は,学校から保護者に児童生徒の学習状況を伝えることを目的として,各学校が作成するもので,今後の指導方針を共有する上で重要な役割を果たしています。
 通信簿の扱いや様式,名称等は,このような趣旨を踏まえ、各学校の判断で定めていただきたいと考えています。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課

-- 登録:平成22年11月 --