学習指導要領「生きる力」

Q&A

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3.社会に関すること

Q(小学校)問3−1

 小学校社会科の移行期間中における指導について留意すべきことは何でしょうか。

A答3−1

 社会科の移行措置の内容としては,移行期間中に新学習指導要領を実施するかどうかにかかわらず,新学習指導要領に定める一部の内容(第3学年及び第4学年の県の様子に関する学習において47都道府県の名称と位置を指導すること,第5学年の国土の様子に関する学習において世界の主な大陸と海洋,主な国の名称と位置,我が国の位置と領土を指導することなど)を指導することになっています。このため,すべての学校において,これらの内容を踏まえて年間指導計画を作成することが必要となります。

 加えて,移行期間中に新学習指導要領を実施する場合には,各学年の目標や内容など新学習指導要領において改善された点を理解した上で,各学年の年間指導計画の作成や各単元の指導計画の見直しを行う必要があります。特に,第3学年及び第4学年における「地域社会における災害及び事故の防止に関する内容」,「県の様子に関する内容」,第5学年における「国土の自然などに関する内容」,「情報産業や情報化した社会の様子に関する内容」については,新しい単元の構成や教材の開発が必要となりますので注意が必要です。なお,移行期間中に新学習指導要領を実施しない場合にも,いずれ必要となる年間指導計画の作成等を見据えて準備を進めておくことが重要です。

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Q(小学校)問3−2

 移行期間中における小学校学習指導要領の特例を定める告示(文部科学省告示第98号)のうち,3 社会(2)の規定をどのように読み取ったらよいのでしょうか。

文部科学省告示第98号(抄)
3 社会
(2)平成21年度の第3学年又は平成22年度の第3学年若しくは第4学年の社会の導に当たっては,現行小学校学習指導要領第2章第2節第2の〔第3学年及び第4学の2(6)ウの規定にかかわらず,新小学校学習指導要領第2章第2節第2の〔第3学年び第4学年〕の2(6)ウの規定によること。

A答3−2

 現行学習指導要領における第3学年及び第4学年の県(都,道,府)に関する内容のウでは,産業や地形条件から見て県(都,道,府)内の特色ある地域の人々の生活を学習してきました。この内容について,新学習指導要領では「地形から見て特色ある地域」を第5学年に移行統合し,新たに「自然環境,伝統や文化などの地域の資源を保護・活用している地域」を加えています。

 そこで移行措置では,全面実施となる平成23年度に第5学年を迎える学年の児童に対して平成21年度(第3学年)若しくは平成22年度(第4学年)のいずれかでこの内容を指導する際,又は平成23年度に第4学年を迎える学年の児童に対して平成22年度(第3学年)にこの内容を指導する際には,地形に関する内容の重複を避けるため,新学習指導要領の内容である「自然環境,伝統や文化などの地域の資源を保護・活用している地域」を学習することとしています。

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Q(小学校)問3−3

 第3学年又は第4学年の指導事項として47都道府県の名称と位置について調べる活動を規定した趣旨は何ですか。また,指導に当たってはどのような配慮が必要ですか。

A答3−3

 基礎的・基本的な知識を定着させることとともに,広い視野から地域社会や我が国の国土に対する理解を深めることは重要です。このため,47都道府県の名称と位置について調べる活動を規定し,児童自身が住んでいる県(都,道,府)の位置を広い視野からとらえ,その特色を考える手掛かりとするようにしました。

 また,指導に当たっては,小学校修了までに確実に身に付け,活用できるようにするため,各学年において工夫して指導する配慮が必要です。具体的には,例えば地図帳や統計資料などを効果的に活用するほか,日本の都道府県を表す地図を教室に掲示して活用するなど,教室環境を工夫することも考えられます。また,ただ暗記させるのではなく,「特定の課題に関する調査(社会)」(平成19年国立教育政策研究所実施)(http://www.nier.go.jp/kaihatsu/tokutei_shakai/index.htm)などの各種調査の結果をもとに習熟の傾向と課題をとらえて指導することが必要です。

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Q(小学校)問3−4

 第6学年の指導事項として狩猟・採集を加えたのはなぜでしょうか。

A答3−4

 我が国の伝統や文化を大切にし,日本人としての自覚を持つようにすることは重要です。このため,例えば,貝塚や集落跡などの遺跡,土器などの遺物を取り上げて調べ,日本列島では稲作以前にも長い期間,豊かな自然の中で狩猟や採集が行われていたことが分かるようにすることとしました。

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Q(小学校)問3−5

 第6学年の内容の取扱いにおいて,従来あったいわゆる歯止め規定がなくなる一方で,指導事項の精選については残っているのはなぜでしょうか。

A答3−5

 今回の改訂に当たっては,学習指導要領の基準性を明確にする観点から,いわゆる歯止め規定は全教科等を通じて見直しを行っています。

 一方,指導事項の精選については,児童にとっては我が国の歴史を初めて学習することから,歴史上の細かなできごとや年号などを覚えさせることより,まず我が国の歴史に対する興味・関心を持たせ,その大切さに気づくようにすることを重視することをねらいとし引き続き規定することにしています。

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Q(中学校)問3−6

 移行期間中,地理的分野の学習を新学習指導要領により指導する場合,どのような点に留意したらよいでしょうか。

A答3−6

 新学習指導要領の地理的分野の学習内容は,他分野と比べて異同が大きくなっています。具体的には,現行の地域的特色をとらえる視点や方法を身に付けさせる学習から地誌的な学習内容を中心とした学習に再構成するとともに,世界の扱いを充実させています。このことを踏まえ,所要の授業時数を確保するとともに,世界や日本の諸地域学習に関する教材を準備し,地図帳や多様な資料を十分に活用しながら指導を行うことが必要となります。

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Q(中学校)問3−7

 移行期間中の平成22年度以降の入学生についての指導に当たって,どのような点に留意したらよいでしょうか。

A答3−7

 平成22年度以降の入学生から新学習指導要領に定める授業時数となります(下表参照)。このため,移行期間中の第1学年,第2学年で学習する地理的分野及び歴史的分野の授業時数を適切に配当するとともに,3年間を見通した指導計画を作成して指導することが大切です。

表 中学校社会科の授業時数
21年度入学生 22年度入学生 23年度入学生
移行期間 平成21年度 1年105
地理・歴史
   
平成22年度 2年105
地理・歴史
1年105
地理・歴史
 
平成23年度 3年85
公民
2年105
地理・歴史
1年105
地理・歴史
完全実施 平成24年度   3年140
歴史/公民
2年105
地理・歴史
平成25年度     3年140
歴史/公民
3年間の分野別
配当時間数
地理 歴史 公民
105 105  85
地理 歴史 公民
120 130 100
地理 歴史 公民
120 130 100

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Q(中学校)問3−8

 移行期間中において現行学習指導要領による場合,移行期間最終年度の平成23年度と新学習指導要領全面実施の平成24年度において,地理的分野の学習をどう進めたらよいのでしょうか。

A答3−8

 平成23年度の入学生に対し現行学習指導要領によって指導する場合,新学習指導要領で充実した世界や日本の諸地域学習を平成24年度(第2学年)に行うことを前提に,第1学年で指導すべき内容が,移行期間中における中学校学習指導要領の特例を定める告示には具体的に示されています。これを基にして2年間を見通した指導計画を作成し,指導することが大切です。

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Q(中学校)問3−9

 歴史的分野においては我が国の歴史の大きな流れを理解するための学習が重視されています。個別の事象は軽く扱えばよいのでしょうか。

A答3−9

 今回の改訂においては,我が国の歴史の大きな流れを理解するための学習を重視し,学習指導要領上も学習内容を構造的に,また焦点を明確にして示すことにしました。このことは,これまでの歴史学習がややもすると個別の事象の並列的な提示と記憶に傾き,ひとまとまりの学習内容の焦点がつかみにくくなっていたことを改善することをねらいとしています。この改善の趣旨を踏まえ,各事象の学習の仕方を十分に工夫する必要があります。例えば,焦点化された内容に関わりが低い事象は必ずしも取り上げるべきではないことになり,反対に,それに深くかかわる事象は十分な時間をかけて学習方法を工夫し,しっかりと理解させることが必要になります。

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Q(中学校)問3−10

 公民的分野においては,社会科全体のまとめとして,よりよい社会を築いていくために解決すべき課題を探究させることとなっています。指導に当たって,地理的分野,歴史的分野の学習の成果を活用するとはどのようなことですか。

A答3−10

 この項目において探究させる課題そのものについては,持続可能な社会を形成するという観点から様々なものが想定されます。したがって,例えば,地理的分野における自然環境,人口,資源・エネルギー,産業などの観点からの日本についての学習の成果や,歴史的分野における各時代の日本人の生活や社会の様子についての学習や身近な地域の学習の成果を生かしながら,課題を探究させることが考えられますが,具体的には,課題の内容に応じて,活用される学習成果は異なるものとなると考えられます。

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Q(中学校)問3−11

 宗教教育について,歴史的分野では仏教,キリスト教,イスラム教が例示されていますが,これら以外の宗教を取り扱うことは可能でしょうか。

A答3−11

 宗教に関する学習については,教育基本法の改正を受け,充実させています。具体的には,地理的分野においては世界各地の生活と宗教とのかかわりや世界の主な宗教の分布について,歴史的分野においては世界の主な宗教のおこりについて,公民的分野においては宗教と社会生活とのかかわりなどや,国際社会における文化や宗教の多様性について扱うことになります。歴史的分野で例示されたもの以外の宗教を取り扱うことも可能ですが,それぞれの項目の趣旨を踏まえて取り扱うことが求められます。また,教育基本法第15条の規定に従って行う必要があります。

教育基本法(抄)
第15条 宗教に関する寛容の態度,宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は,教育上尊重されなければならない。
2 国及び地方公共団体が設置する学校は,特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。

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お問合せ先

初等中等教育局教育課程課

-- 登録:平成21年以前 --