学習指導要領「生きる力」

Q&A

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1.総則に関すること

Q(小・中学校)問1−1

 総則第3の1「(略)ただし、各教科等や学習活動の特質に応じ効果的な場合には、夏季、冬季、学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含め、これらの授業を特定の期間に行うことができる。(略)」について、学校の判断で長期休業期間を変更してもよいと理解して良いですか。

 また、中学校では「(略)各教科等(特別活動を除く。)・・・」と規定されており、特別活動が本規定の対象から外されています。中学校でのみ特別活動が対象外になっている理由を教えてください。また、集団宿泊活動や職場体験活動などの学校行事を長期休業期間中にまとめて行うことは可能でしょうか。

A答1−1

 長期休業期間については、学校教育法施行令第29条において、学校の設置者が定めることになっています。

 本規定は長期休業期間の変更について、学校にその権限を付与する趣旨ではなく、長期休業期間中に各教科等の時間をまとめて確保することができることを確認的に規定したものであり、各学校においてどのような手続きを経て長期休業期間中に授業日を設定できるようにするかは、各設置者の定めるところによることとなります。

 また、特別活動のうち総則第3の1が適用され、年間35週以上にわたって行うよう計画することが求められるのは、標準授業時数を示している学級活動だけとなります。そのため、集団宿泊活動や職場体験活動などの学校行事は、そもそも原則として年間35週以上にわたって行うよう計画することは求められておらず、長期休業期間中に授業日を設定してまとめて行うことは可能です。

 なお、中学校においてのみ、特別活動が総則第3の1ただし書きの適用外となっているのは、中学校は教科担任制であり、小学校と比較して学級担任が不断に生徒と接することが難しいという事情に鑑み、毎週、学級活動の時間を設けることを求めているためです。

(参考:学校教育法施行令
第二十九条 公立の学校(大学を除く。)の学期及び夏季、冬季、学年末、農繁期等における休業日は、市町村又は都道府県の設置する学校にあつては当該市町村又は都道府県の教育委員会が、公立大学法人の設置する高等専門学校にあつては当該公立大学法人の理事長が定める。)

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Q(小・中学校)問1−2

 総則第3の1に基づき、道徳の時間についても、夏休み等にまとめ取りはできるのでしょうか。

A答1−2

 道徳教育の要としての道徳の時間については、「各教科、外国語活動、総合的な学習の時間及び特別活動における道徳教育と密接な関連を図りながら、計画的、発展的な指導によってこれを補充、深化、統合し、道徳的価値の自覚及び自己の生き方についての考えを深め、道徳的実践力を育成する」と規定されており、その趣旨を踏まえれば、35週にわたって行うことが原則であり、夏休み等にまとめて実施することは、適切とは言えません。

なお、総則第3の1の「ただし、各教科等や・・・特定の期間に行うことができる。」という規定に基づきたとえば、4週間のうち、2週は週1コマずつ、1週は2コマ続けて時間を確保し、1週は時間をとらないなどの工夫をすることは可能です。

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Q(小・中学校)問1−3

 総則第3の3「各教科等のそれぞれの授業の1単位時間は、各学校において、各教科等の年間授業時数を確保しつつ、児童(生徒)の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して適切に定めるものとする。」について、毎朝15分の学習時間を設定し、週3回計算ドリルや新出漢字の学習を行って、授業時数を1時間とカウントすることや、毎朝15分の授業を1時間目に組み込み60分授業とすることは可能でしょうか。

A答1−3

 学習指導要領の第1章 総則に規定されているとおり、「児童(生徒)の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮し、」当該学習活動を指導計画に適切に位置付け、教育的な配慮に基づいた判断を行った上で、そのような授業を行うことは可能です。

 この規定は、たとえば、観察や実験の際の理科の授業は60分で行ったり、計算や漢字の反復学習を10分間程度の短い時間を活用して行ったりするなど、児童(生徒)の発達の段階や、各教科等や学習活動によっては授業時間の区切り方を変えた方が効果的な場合もあることを考慮して設けたものです。

 ただし、「年間授業時数を確保しつつ」とは、あくまでも授業時数の1単位時間を45分(小学校)または50分(中学校)として計算した学校教育法施行規則別表第1(第51条関係)及び別表第2(第73条関係)に定める授業時数を確保するという意味であることに留意し、授業時数を確保する必要があります。また、1単位時間を弾力的に編成する際には、教科や学習活動の特質に照らして妥当かどうかの教育的配慮に基づいた判断が必要であることは言うまでもありません。

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Q(小・中学校)問1−4

 総則第3の3について、中学校においては、「なお、10分間程度の短い時間を単位として特定の教科の指導を行う場合において、当該教科を担当する教師がその指導内容の決定や指導の成果の把握と活用等を責任を持って行う体制が整備されているときは、その時間を当該教科の年間授業時数に含めることができる。」とされていますが、その場合、教師は教室にいなくても授業時数にカウントできるのでしょうか。

 また、小学校ではこの規定が置かれていませんが、10分間程度の短い時間を単位とした授業を授業時数にカウントすることはできないのでしょうか。

A答1−4

 授業時数としてカウントする場合、教師は生徒を指導できる状況にある必要があり、教室にいることが原則です。この規定は、教育課程編成上、10分間程度の短い時間を単位として特定の教科の指導を行う場合に、一定の要件の下、必ずしも当該教科の担当教師でなくとも、例えば、学級担任の教師がこのような学習に立ち会った場合、授業時数にカウントすることが可能であることを明確にするものです。

 また、小学校は原則として学級担任がすべての教科等の指導を行うことができることから、このような規定は設けていませんが、児童の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質に照らし妥当かどうかの教育的な配慮に基づいた判断に基づき、特定の学習活動を10分間程度の短い時間を単位として行った場合、その時間を授業時数にカウントすることは可能です。

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Q(小・中学校)問1−5

 総則第3の5「総合的な学習の時間における学習活動により、特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては、総合的な学習の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。」について、学校行事の中には、総合的な学習の時間とも目標を同じくする活動がありますが、この場合、一部を総合的な学習の時間、一部を特別活動として授業時数にカウントすることは可能でしょうか。(例:体験活動の事前事後の準備活動(班決めなど)も総合的な学習の時間と考えて良いか。)

A答1−5

 本規定は、特別活動で体験活動を行ったことをもって総合的な学習の時間の代替を認めるものではありません。

 総合的な学習の時間と、特別活動はその目的を異にしています。総合的な学習の時間は、横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して、自ら課題を見付け、解決する力等を身に付けさせること、一方、特別活動は集団活動やその一環としての体験的な活動を通じて社会性や人間関係をはぐくむことを目的としています。

 例えば、修学旅行の中で、訪問調査などを行う場合、そのねらいが「総合的な学習の時間」に合致する場合には、当該旅行全体を特別活動としての修学旅行とするのではなく、総合的な学習の時間としての訪問調査については総合的な学習の時間として位置付け、その他の時間については、特別活動として位置付けることは可能です。その場合において、事前事後のどのような活動が総合的な学習の時間として位置付けられるかは、一律には言えませんが、活動の趣旨に即して適切に判断する必要があります。

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Q(中学校) 問1−6

 選択教科について、新学習指導要領においては、標準授業時数の枠外で開設することができるという扱いになりましたが、「選択教科を開設しない」あるいは「学校(学年)として特定の教科による選択教科を開設する(いわゆる学校選択)」という取扱いも可能でしょうか。

 また、移行期間中に選択教科をいわゆる学校選択とすることは可能でしょうか。その際、例えば、選択教科の時間を数学科に充て、学習指導要領で必ず指導すべきものと位置付けられている内容を行うことは可能でしょうか

A答1−6

 新学習指導要領が本格実施される平成24年度以降については、選択教科を開設しないという判断は当然に可能です。なお、新学習指導要領においては、現行学習指導要領の総則第3の3「(略)生徒の特性等を十分考慮して、それぞれの生徒に適した選択教科を履修させるものとする。」との規定は置いていないことから、いわゆる「学校選択」も可能です。

 なお、移行期間中は、選択教科についても標準授業時数が定められており、選択教科を開設する必要があります。ただし、6月13日付け文部科学事務次官通知「小学校及び中学校の学習指導要領等に関する移行措置並びに移行期間中における学習指導要領について」において示したとおり、現行学習指導要領総則第3の3の規定は適用しないこととしており、いわゆる「学校選択」も可能となっています。

 ただし、この場合に、例えば、平成21年度の中学校第3学年の選択教科のうち1コマを数学科の時間として開設し、数学科の時間を週3コマから4コマに増加した上で、補充的な学習や発展的な学習ではなく、現行学習指導要領上必修教科としての数学の枠内で指導すべき内容を行うことは選択教科の趣旨を踏まえたものとは言えません。選択教科は必修教科とは別に選択教科として開設し、その内容についても、総則の選択教科に関する規定に則って行う必要があります。また、学習評価についても選択教科として必修教科とは別に行うことが必要です。

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Q(中学校)問1−7

 総則第4の2(13)「生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること。(略)」について、新たにこの規定が置かれた理由を教えてください。

A答1−7

 中学校における部活動については、教育課程外の活動であるものの、学校教育活動の一環として中学校教育において大きな意義や役割を果たしていると言えます。中学校学習指導要領では、本年1月の中央教育審議会答申においてこれら部活動が「中学校教育において果たしてきた意義や役割を踏まえ、教育課程に関連する事項として、学習指導要領に記述することが必要」と指摘されたことを受け、部活動の意義や留意点、配慮事項等を規定したものです。

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Q(小・中学校)問1−8

 中央教育審議会答申(平成20年1月)において、「習得・活用・探究」という考え方が示されましたが、「活用」とはどのようなものですか。「基礎的・基本的な知識・技能」や「思考力・判断力・表現力等」との関係はどのように考えればよいですか。

A答1−8

 「習得・活用・探究」の学習の流れの考え方について、ポイントは以下の5点になります。

  1. 「基礎的・基本的な知識・技能」及び「思考力・判断力・表現力等」は子どもに身に付けさせるもの、「習得・活用・探究」はそのための学習活動の類型を示したものである。
  2. 各教科では、基礎的・基本的な知識・技能を「習得」するとともに、観察・実験をしてその結果をもとにレポートを作成する、文章や資料を読んだ上で知識や経験に照らして自分の考えをまとめて論述するといったそれぞれの教科の知識・技能を「活用」する学習活動を行う。それを総合的な学習の時間等における教科等を横断した問題解決的な学習や「探究」活動へと発展させる。
  3. これらの学習活動は相互に関連し合っており、截然と分類されるものではない。
  4. 各教科での「習得」や「活用」、総合的な学習の時間を中心とした「探究」は決して一つの方向で進むだけではない(「習得→活用→探究」の一方通行ではない)。
  5. これらの学習の基盤となるのは言語に関する能力であり、そのために各教科等で言語活動を充実。

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Q(小・中学校)問1−9

 指導要録の改善に伴う評価規準や評価の観点の見直しの可能性と今後のスケジュールはどうなっていますか。現行の「4つの観点を見直す」との情報を聞いたこともありますが、本当でしょうか。

A答1−9

 本年1月の中央教育審議会答申では、「評価の観点並びにそれぞれの観点の評価の考え方、設定する評価規準、評価方法及び評価時期等について、今回の学習指導要領改訂の基本的な考え方を踏まえ、より一層簡素で効率的な学習評価が実施できるような枠組みについて、さらに専門的な観点から検討を行う」ことが提言されています。今後、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領を改訂した後、専門的な検討を行うことになります。

 いわゆる「4観点」をどう考えるかも含め、具体的な改善の内容についてはこれからの検討によります。

 しかしながら、答申でも指摘されているように、今回の学習評価の見直しに当たっては、新学習指導要領の基本的な考え方を踏まえ、「より一層簡素で効率的な」ものとすることが重要であると考えており、まずは、実際に学習評価を行っている学校関係者の方々から、十分にその現状についてのお話をお伺いしつつ、検討を行っていく必要があると考えています。

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お問合せ先

初等中等教育局教育課程課

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