令和7年12月19日(金曜日)13時15分~14時35分
文部科学省旧庁舎6階 第二講堂 ※オンラインを併用
いわゆる教育無償化について
【全国知事会】
阿部 守一 会長、長野県知事
平井 伸治 副会長・人口戦略対策本部長、鳥取県知事
熊谷 俊人 子ども・子育て政策推進本部長、千葉県知事(オンライン)
大村 秀章 文教・スポーツ常任委員会委員長、愛知県知事(オンライン) 他
【全国市長会】
松井 一實 会長、広島市長(オンライン)
都竹 淳也 社会文教委員会委員長、飛驒市長
松村 淳子 社会文教委員会副委員長、宇治市長 他
【全国町村会】
棚野 孝夫 会長、白糠町長(オンライン)
美浦 喜明 行政委員会委員長、水巻町長(オンライン) 他
【文部科学省】
松本 洋平 文部科学大臣
茂里 毅 官房長
塩見 みづ枝 総合教育政策局長
望月 禎 初等中等教育局長
神山 弘 文部科学戦略官 他
【総務省】
高橋 克法 総務副大臣
出口 和宏 自治財政局長 他
【財務省】
舞立 昇治 財務副大臣 他
○松本文部科学大臣
・年末の御多忙な中、御出席いただき感謝申し上げる。いわゆる教育無償化については、本年2月末に自民党・公明党・日本維新の会による合意がなされ、協議が行われてきたが、昨日、「三党合意に基づくいわゆる高校無償化に関する国と地方の関係について」、「学校給食費の抜本的な負担軽減について」の2つの合意がなされた。全国知事会、全国市長会、全国町村会の皆様におかれては、次年度予算編成を控えた多忙な時期に限られた時間内での協議のお願いとなり大変な負担をおかけした。そのような中でも精力的に御議論いただき、意見をまとめていただいたことに政府の立場からも深く感謝している。
・政府としては、昨日も含めた三党の合意を踏まえ、令和8年度からの円滑な実施に向けた準備を着実に進めていく。
・それに向けては、現場を担っている地方団体との密な連携が必要不可欠なので、本日は、三党合意を踏まえた政府の方針について説明させていただき、それぞれの立場から忌憚のない意見をいただくとともに、御理解を賜りたいと考えている。現場が対応可能な仕組みとなるよう、今後とも最大限努力をしてまいりたい。
○高橋総務副大臣
・今回のいわゆる教育無償化に関する制度設計に当たっては、非常に限られた時間の中で、唐突に地方団体へ協議や検討を依頼することになった。この時期がいかに忙しいかを考えると、まず皆様にお詫びを申し上げなくてはならない。
・この新しい制度を円滑に実施していくためには、実情をしっかりと把握して、皆様の意見を丁寧に伺いながら進めることが最も重要だと考えているので、本日は率直な意見を聞かせていただければ幸い。
・地方行財政を所管する総務省としては、文部科学省をはじめとする関係省庁と連携を取りながら、現場の皆様が対応に苦慮されることのないように、しっかりと対応してまいりたい。
○舞立財務副大臣
・今回、国と地方の負担割合について非常に時間的な余裕がない中で協議をお願いしたことについては申し訳なかった。
・予算編成も佳境を迎えており、財務省としても、文部科学省、総務省等の関係省庁と連携し、最大限の対応をさせていただいたので、本日、政府としての対応案を了解いただきたいと考えている。
・短い期間に全国知事会、全国市長会、全国町村会の皆様には精力的に御議論、意見の集約をいただき感謝している。いわゆる教育無償化に関しては、令和8年度がゴールではなくスタートであり、現場の声を踏まえて修正すべき内容が出てくると考えているので、引き続きしっかりと時間的な余裕を持って、地方の皆様からの忌憚のない意見をいただき、さらに制度のブラッシュアップをしていくことが使命だと考えている。
○全国知事会(阿部知事)
・本日は松本大臣、高橋副大臣、舞立副大臣、そして関係省庁の皆様方には、我々と協議する場を作っていただいたことに感謝している。
・いわゆる教育無償化の実施に当たっては、支援対象者、基準額、財源確保策、さらには国と都道府県、市町村との役割分担の在り方についての丁寧な検討と、事業を実施する主体である都道府県、市町村との十分な調整が必要とされる重要なテーマと考えている。
・今回、地方との協議が十分行われることなく、来年度予算の編成が大詰めという時期に唐突に地方負担を求めることが示された。しかも、政党間における協議の段階において地方に対して検討案が示され、早急な対応を求められたことは、極めて異例と考えている。こうした進め方は遺憾であり、決して前例とすることなく、今後、地方にとって重要なテーマについては、政府において地方側と十分な時間的余裕をもって丁寧な協議を行っていただきたい。
・一方、いわゆる教育無償化の取組については、子供たちの育ちや学び、そして子育て家庭の経済的な負担を軽減する観点からは、基本的には望ましい方向性と考えている。
・しかし、全国知事会の中で制度そのものや制度の内容、地方財源が確実に確保されるのかなど様々な懸念が示されている。こうしたことから、全国知事会としては本日配布した「いわゆる教育の無償化に関する意見」を政府に提出させていただいた。制度の導入を進める前提として、各項目に具体的かつ真摯に対応いただくことを強く求めさせていただきたい。本日の協議では、我々の意見に対して、松本大臣をはじめ各省庁から前向きなお答えをいただくことを期待している。
○全国市長会(松井市長)
・本年2月の三党合意において、いわゆる給食無償化が取り上げられて以降、本会では学校給食が地域の実情に応じて多様な形で実施されている現状を踏まえて、全国のどの自治体においても格差なく取り組むことができる制度とするとともに、国の責任において必要な財源を全額国費で確実に確保する仕組みとするよう、様々な機会を通じて繰り返し要請してきた。
・これまでの間、各政党の実務者による検討が行われてきたとはいえ、来年度予算編成が大詰めを迎えるこの時期に至るまで、政府としてその具体的な制度設計等が示されず、学校給食を運営する我々都市自治体にとっては実施時期のみが示される中で、具体的な対応を一切進めることができず、大きな混乱が生じていた。こうした点において、これまでの政策形成プロセスは誠に遺憾であると言わざるを得ない。
・一方、限られた時間の中で三党と地方団体で協議を重ね、それぞれの立場もありながらも歩み寄りを図ることができた結果、本日「三党合意に基づくいわゆる教育無償化に向けた対応について(案)」を示していただけることになったと承知し、また理解している。
・「いわゆる給食無償化」とは、保護者負担となっている「学校給食費の抜本的な負担軽減」であると明確に示したことは感謝申し上げるが、これまで具体的な内容が示されないまま、「無償化」という言葉だけが流布、浸透しているという感は否めない。今後、本制度の実施までに、国が責任を持って正確な趣旨、すなわち、今回の措置はあくまで保護者負担を軽減するものであって、保護者負担をゼロにしなければならないのではないという趣旨の周知徹底にしっかりと取り組んでいただくようお願いしたい。
・既に実施期日まで残すところ3ヶ月余となっており、この協議の場において地方の実情や意見を十分にお聞きいただいた上で、全国どの自治体においても円滑かつ安定的に制度を実施できるよう、具体的な制度設計について速やかに検討して自治体に早急に示してほしい。
○全国町村会(棚野町長)
・本日は、いわゆる教育無償化という重要な課題について、松本大臣をはじめ、高橋副大臣、舞立副大臣の御尽力で、関係する皆様とこのような場を作っていただいたことに御礼を申し上げたい。
・給食については、子供たちの成長を支える重要な施策である。本日は、現場の実情を踏まえて率直な意見を申し上げるので、よろしくお願いしたい。
〇松本文部科学大臣
・本政府の対応案の検討に当たっては、かねてより地方団体の皆様から様々な御意見をいただき、できる限り反映するよう努めたところ。
・高校教育については、経済的事情による教育格差を是正し、子育て世帯への支援を強化するとともに、多様で質の高い教育機会の確保や選択肢の充実を目指し、高校生に対する授業料支援を実施している。
・今般の制度改正は、所得要件を撤廃し、支給上限額を大幅に引き上げることで、全ての生徒に対し、公私立を問わず多様な学びの選択肢を与えることを目的とするもの。
・就学支援金制度の支給対象者の範囲や支給上限額、制度の拡充に伴う合理性のない授業料値上げの抑止策などについては、10 月末に三党で合意された内容を踏まえ、文部科学省として具体的な制度設計を進めているところ。
・その上で、残された課題であった国と地方の役割分担の在り方については、昨日三党で合意がなされており、文部科学省としても、それに基づき今後制度設計を行ってまいりたい。
・負担割合について、新たな制度は所得要件の撤廃により全ての生徒が対象になるが、都道府県は公立高校の設置者、私立高校の所轄庁として高校教育を提供する責任があり、高校無償化についても一定の責任を有していることから、地方における安定的な財源の確保を前提に、4分の1の都道府県負担を導入することに御理解をいただけるようお願い申し上げたい。なお、国の負担割合については、就学支援金法に4分の3を負担することを明記し、就学支援交付金として確実に措置される。
・また、新たな制度を運用するに当たっては、必要な事務費は適切に措置するとともに、DXの活用等により事務負担の軽減にも努めてまいりたい。
・次に、就学支援金制度の見直しとあわせて、高校教育の改革も推進していきたい。公立高校や専門高校等への支援については、安定財源を確保した上で、令和9年度からの交付金等の新たな財政支援の仕組みの構築に取り組むとともに、緊要性のある取組等の先行実施のため、令和7年度補正予算に高等学校教育改革促進基金の創設のための事業(約 3,000 億円)を計上し、各都道府県における高校教育改革を積極的に支援してまいりたい。また、政府として、公立高校の施設整備等の整備に活用することのできる交付税措置のある地方債を創設する。
・なお、学校給食費の抜本的な負担軽減にかかるものを含め、地方負担に関する対応については総務副大臣から、安定財源の確保については財務副大臣からも説明させていただくが、政府としても安定財源をしっかりと確保するよう努めてまいりたい。
・学校給食費の抜本的な負担軽減について、まず、今回の取組は、保護者負担の軽減を通じた子育て支援に取り組む自治体を支援するものである。
・本年2月の三党合意における「いわゆる給食無償化」の表現は、完全な学校給食費の無償化を想起させ、自治体の財政負担の増加を招いたり、逆に予算の制約により給食の質の低下につながったりすることが懸念されるため、今回の取組の趣旨が保護者負担となっている学校給食費の抜本的な負担軽減であることを明確化し、正確な趣旨の周知に取り組んでまいりたい。
・支援対象者の範囲としては、給食を実施する公立の小学校、義務教育学校前期課程と特別支援学校小学部とする。
・支援の基準額は、完全給食実施校については、令和5年実態調査における平均額に近年の物価動向を加味し、一月当たり 5,200 円とする。また、毎年給食費に関する調査を実施し、その上で、基準額については今回の取組の実施状況や物価動向等を踏まえ適切な額を設定していく。
・基準額を超える部分については、学校給食法に基づき引き続き保護者から給食費を徴収することが可能である。さらに、特色ある給食の提供に係る各省関係事業等を柔軟に活用可能とし、各市町村の工夫で更なる負担軽減を行うことも可能とする。
・実施方法と学校給食法との関係については、今回は学校給食法の改正は行わず、自治体に対する予算補助により食材費相当額を対象として支援することとする。また、必要な事務費についても適切に措置してまいりたい。
・現場が対応可能な仕組みとなるよう、今回の取組の円滑な実施に向け地方との意見交換を行い、事務負担の軽減も含めた実務に関する検討を実施してまいりたい。
・国からの支援については各自治体において適正に管理する必要はあるが、公会計化等の実施を支援の条件とはしない。
・負担割合の関係では、今般の取組が子育て支援を図るとの制度趣旨であることや、広域的な支援により財政力の違いによらず各市町村の給食の質を確保すべきという観点から、安定的な財源の確保を前提に、2分の1の都道府県負担をお願いしたい。なお、人件費や施設設備費等の負担や、献立作成等は、引き続き市町村で実施するものとする。
・三党合意の内容に加え、皆様からの御意見を踏まえ、(1)子ども子育てに関する国の役割やナショナルスタンダードの観点も踏まえて、全国的な支援の在り方を財源も含め地方団体と協議しながら検討すること、(2)今回の進め方を前例としないようにとの指摘を真摯に受け止め、今後、地方にとって重要なテーマについては、関係する地方団体と十分な時間的余裕を持って丁寧に協議することとすること、(3)各制度・事業の開始後、一定期間を経た後に、事業の進め方や課題、法制面等について地方団体を交えて検証すること、また、中学校給食についても、小中学校の給食実施状況の違い等も含めた課題の整理を行った上で検討すること、(4)上記のほか、一連の三党合意と地方団体の意見を踏まえた取組について真摯に対応すること、についてしっかりと受け止め対応してまいる。
〇高橋総務副大臣
・地方負担に関する対応について、このたびのいわゆる教育無償化のうち、いわゆる高校無償化については4分の1、学校給食費の抜本的な負担軽減については2分の1の都道府県負担をお願いすることになるが、地方団体の皆様からは、確実な財政措置を講じるべきとの御要望をいただいている。
・このため、今回の取組に関する地方負担については、地方財政計画の歳出に全額を計上するとともに、地方の安定財源を確保した上で、一般財源総額を増額確保したいと考えている。
・その上で、個別団体の地方交付税の算定に当たり、地方負担の全額を基準財政需要額に算入する。
・具体的には、いわゆる高校無償化については、各団体における公立高校の生徒数と私立高校の生徒数のそれぞれに生徒一人当たりの支援単価を乗じて算出した額、学校給食費の抜本的な負担軽減については、各団体における児童数に児童一人当たりの支援単価を乗じて算出した額を基準財政需要額に算入し、地方団体に見える形で普通交付税を算定することとして、地方の財政負担に対し的確に措置を講じることとしてまいる。
・公立高校や専門高校等への支援の拡充について、地方の皆様からは、今般のいわゆる高校無償化により公立離れが進むのではないかとの懸念があることから、各自治体の創意工夫に基づく特色化や魅力化等を含めた教育環境の整備を計画的に進めるため、公立高校等への支援を手厚くしていただきたいとの御要望もいただいている。
・公立高校は、地域における高校教育の普及や機会均等を図る重要な存在であることは当然であり、その設置者である地方団体において施設整備をはじめとする多くの経費を御負担いただいている。人口減少が進み、様々な分野で人材不足が懸念される中においては、各地方団体が地域の実情に応じ公立高校等における今後の社会・経済の発展を支える人材育成に向けた取組を進めていただくことは、ますます重要となっている。
・こうした観点から、このたび、皆様からの御意見を踏まえ、公立高校の施設設備の整備に活用することのできる交付税措置のある地方債を創設したいと考えている。
・詳細については現在検討中であるが、年末の地方財政対策においてしっかりとお示しできるようにしたいと考えている。
〇舞立財務副大臣
・いわゆる教育無償化に係る安定財源については、国の歳出改革や租税特別措置の見直しなどによって捻出することを想定している。
・地方分についても、租税特別措置の見直しなどによる増収分を充てるほか、令和9年度予算編成・税制改正に向けて責任を持って財源確保を図ることとし、財源確保が完成するまでの間、まずは令和8年度については地方財政措置を通じて適切に対応してまいる。
・以上が、高市総理大臣の発言を元にした現時点における最大限の記述になるが、具体的にどの租特の見直しが当たっているかという対応関係については、本日夕刻に決定する税制改正大綱や、来週閣議決定する政府予算案の中でしっかりと明示する予定である。
・そうした資料ができたら、事務局を通じて各都道府県、市町村の皆様にもしっかり共有させていただきたいと考えている。
○全国知事会(平井知事)
・今回最大の問題は進め方であった。議論を表に出せないと言われ、首長にも話が十分にできない状況だった。
・地方財政の原則からは、事務を実施する者が事務経費を支弁する。他の自治体に対して負担を押し付けてはいけない。市町村立の学校で給食が出ていることから、市町村に対して国が支援するというのが今回の取組だと思っていたが、都道府県が負担するようにと言われ、筋が違うという議論が当然出た。今後は早い時期から十分調整するようにし、今回のことを前例としないようにお願いしたい。
・地方交付税の関係では、基準財政需要額の算定の問題だけではなくて、別枠であることを分かりやすい形で示していただきたい。地域によっては、新たな地方譲与税が必要で、その検討ができないかという声もあった。
・高校の地方債事業について弾力的に使えるように制度化を考えていただきたい。
・各都道府県で公立高校支援の基金事業について検討が進んでいる。説明会もあったが、使途が限られていて使いにくいという話が現場から出ている。公立高校の支援策について実効性を高めるようにしていただきたい。
・次に、合理性のない授業料値上げを抑止するとされているが、この意味あいがよく分からない。鳥取県の例では、生徒一人当たりの私学補助は全国で一番大きく、それを何のためにやっているかというと、授業料水準を下げさせまして、590 万円で今はだいたい無償化になっている。今度、39.6 万円を上げていただくことになるが、その際、人件費などをスライドして上げていきたいと私学の方たちは言われている。そのことを、実は今まで県独自の補助で下げていたので、それが認められないとなると大混乱である。この合理性のない授業料の値上げというのは何なのか、現場としては答えを待っているところがあり、ぜひいい塩梅の話を考えていただきたい。
・私立で学びの多様化学校を作ろうという話などもあり、そうしたところも当然対象にしていただきたい。中学校は施設整備の支援があるが高校にはなく、そうした需要があることは理解してほしい。
・予算案が閣議決定された後、詳細に関する説明会を文部科学省が開催すると思うが、現場の意見を聞いていただき本当に機能する制度になるよう、時間的余裕を持って協議いただきたい。
・子供たちがすくすく成長していけるように教育費負担を軽減しようというのが今回の内容であり、全国知事会も基本的に賛同している。使いやすいように、また安心して執行できるように、細部にわたった配慮をお願いしたい。
〇全国知事会(熊谷知事)
・全国知事会から提出した意見書をはじめ、地方の声を盛り込む形でまとめていただいたことに感謝を申し上げたい。
・その上で、高校就学支援金制度の中で、外国籍生徒の取扱いとして在留資格を要件とする制度を導入するとしているが、具体的にどのような形で確認するのか示されていない。また、在校生は在学する限りは現行制度による支援を継続するとされ、新入生についても従前の制度で対象となっていたものは同等の水準の支援を行うことになっているが、具体的にどのような形になるか示されていない。外国籍であるかを確認するには、現在のシステムでは対応できず、改修が必要になる。また、在留資格を要件とする場合の確認手法も明示いただく必要がある。国においては学校現場の状況を丁寧に把握し、事務手続きの増大を招かないよう十分に配慮いただいた上で、早期に都道府県に示していただきたい。また、システム改修等に必要な経費は、国において財源を措置するようお願いする。
・公立高校等への支援について新たな財政支援が盛り込まれたが、引き続き十分な予算の確保と柔軟に活用できる制度設計をお願いする。
・学校給食費に関して、質の向上確保に努める市町村の取組や物価上昇に伴う食材費の増加等を適宜適切に反映する仕組みとするとともに、学校給食の現場を担う市町村の実情に沿った支援をお願いする。
・中学校給食費の負担軽減についても、早期の実現に向けて検討を進めていただきたい。
・事業開始後の検証についても盛り込んでいただいた。時期や手法について、地方団体を交えて早急に協議いただきたい。
〇全国知事会(大村知事)
・今回の公立小学校の給食費支援は子育て支援に資するものなので、地方負担について、国による安定的で十分な財源の確保を前提とするが、受け入れなければならないと考えている。国の施策として行うものであるので、本来であれば全額国費で行う必要があり、恒久的に安定した財源をしっかりと確保していただくことは地方の負担を受け入れるための大前提である。
・その上で意見を申し上げると、まず支援の基準額について近年の物価高の動向を考慮いただいたが、今後も調査などにより適切な基準額を設定するとしており、給食の質を担保するためにも重要なので、実情に応じた適切な基準額を設定いただきたい。
・無償化という文言は全ての保護者の負担がゼロになるという期待を抱かせるものであるため、市町村が負担を保護者にお願いする際に現場で混乱を与えないよう、国の責任で正確な趣旨の周知に取り組んでいただきたい。
・今回、都道府県にとって新たな事務負担が生じることになるので、事務の簡素化、事務負担の軽減に最大限の配慮をお願いする。
・最重要なのは財源の確保である。今週 12 月 16 日に行われた国と地方の協議の場では、高市総理より「来年度は地方財政措置を通じて適切に対応する。2027 年度以降は租税特別措置の見直しなどにより安定財源をしっかり確保する」との発言があった。国でしっかりと財源を確保し、このいわゆる教育無償化にかかる所要額の全額を地方財政計画 の歳出に計上していただくように強く申し上げておく。
〇全国知事会(阿部知事)
・高校授業料について法改正を進める話があったが、給食についても今後、食材費の上昇等がありうる中で、制度的な担保を法律上行っていただくことについて検討いただき、具体化いただきたいと考えている。
〇全国市長会(都竹市長)
・今回のプロセスについては、関係市長の会議でも非常に批判の声が強かった。途中の段階で議論することができないこともあり、また、文部科学省あるいは政府に対して意見を述べる場がなく、どこを相手にすれば良いのかもわからない異例なプロセスだったと思っている。こういうことが二度と繰り返されることがないように、地方にとって重要なテーマについて関係する地方団体と十分な時間的な余裕をもって協議していただくようにお願いしたい。
・他方で、今回の政府の対応案については、全国市長会が申し上げてきた事項はほぼ受け入れられたと考えており、この点について感謝を申し上げたい。
・「学校給食費の抜本的な負担軽減」ということが明記された。これは、学校給食法に基づいて保護者から徴収ができる従来の仕組みは変わらない、変えるものではないということなので、国の責任において明確に周知徹底していただきたい。
・支援趣旨は給食に関する食材費に係ることであり、保護者への補助ではないことを明確に周知いただきたい。一部の保護者は給付を受けられると誤解していると認識している。
・基準額が 5,200 円に設定され、令和5年の調査における平均額に物価上昇率をかけていると承知しているが、物価上昇率の根拠としてどのデータに基づいて、どのように算出されたのかがわからないと各自治体が納得し難いと思われる。今後同様の根拠に基づいて引き上げられていくという想定に繋がるので、その根拠について明らかにしていただきたい。同時に、調査を毎年行っていただいて、これだけ物価の変動が激しい中であるので、実態との乖離がないようにお願いしたい。
・また、基準額は年間食材費総額を 11 ヶ月で除した平均月額と理解しているが、その旨についても明らかにしていただきたい。
・今回の財政措置は都道府県に対するものになるが、都市自治体の立場から考えたときに、交付税総額、あるいは都道府県の財政に影響が及ぶことになると、都市自治体の交付税財源、そして地域に密着した都道府県事業に影響が出かねず、都道府県財政の問題は我々も自分事として捉えている。
・地方財政計画への全額計上、一般財源総額の増額確保、そしてまた地方交付税の算定における全額の基準財政需要額への算入、地方譲与税の創設などについては、目に見える形でしていただきたいことを我々の立場からもお願いしたい。
・公会計化を条件としないことについて明記いただいたことに感謝している。一方で公会計化が必要なことは十分理解しており、導入に向けて取り組む自治体については、引き続きの支援をお願いしたい。
・具体的な制度設計がこれから行われる際に、基礎自治体の実情を踏まえたものになるように十分に意見を反映していただきたい。すでに来年度の予算編成が本格化しており、実際に市長からは、いろんな疑問の声が寄せられている。例えば、完全給食でない自治体はどうなるのか、国立大学附属小学校はどうなるのか、といった声があり、様々不安が出ている。きめ細かな制度設計を行っていただきたいが、事務作業について速やかに詳細な通知を出していただき、その上で詳しい説明をお願いしたい。全ての市区町村を対象にした自治体説明会を行っていただき、そこでの質問を丁寧に拾い上げて答えていただきたい。予算編成に不安がないように大至急お願いをしたい。
・今回、小学校の給食が対象だが、中学校はどうするのかという声が既に出ている。今後の考え方については自治体の意見を十分に聞いていただきたい。
〇全国市長会(松村市長)
・今後、事業内容が具体になって、手続きとしてどうしていくのか議論が深められると思っているが、決まった状態で市町村の説明会をされても受け入れられないこともある。不登校が増えている状況もあり、また学校で対応できないアレルギーの児童をどうするのかなど詳細なところで市町村は疑問に思うところがたくさんあると思っているので、きめ細かな制度設計を行っていくためにも、事前に全ての市町村に対して説明会を開いていただくことをお願いする。
〇全国町村会(棚野町長)
・今回の拙速な進め方については遺憾である。今後はこのような手法を取ることはないように強く要望をさせていただきたい。
・全国町村会としては、これまで自治体の財政力等によって子ども子育て支援施策に地域間格差が生じることがないよう、国の資金と財源において必要な措置を講ずることを求めてきた。今般、全国一律の措置を示したことは、我々の要望を受け止めたものと理解している。一方で、食育やふるさと教育といった観点から、基準額を超えて給食を支給している町村も多くあり、我々が求めていた全額国費による無償化とは必ずしも一致しないわけではあるが、基準額までは町村と保護者の負担が軽減されているので、その点は一定の評価をしている次第である。
・基準額を超過する部分について、保護者からその部分を徴収する町村も出てくると思われるが、保護者の納得が得られる環境づくりを国が責任を持って行うようお願いしたい。
・保護者の負担軽減を通じた子育て支援策としての整合性を図るために、本来は小学校と中学校での同時実施により公平性が保たれるべきだが、中学校についてもできるだけ早期に実施いただきたい。
〇全国町村会(美浦町長)
・学校給食法の改正は行わず、自治体に対する予算補助として実施することとなっているが、国の責任において実施するに当たっては制度が安定したものであるべきであり、安定性を担保するための規定を法律に設けるべきである。
・国から交付金が交付されるとしても、基準額が下回ることにより町村に財政負担が生じることがないよう、基準額を超過する分についても交付金の対象とするようお願いしたい。
・支援の基準額は、急激な食材価格の高騰にも追随できる機動的な基準設定の仕組みを検討いただきたい。国において責任を持って自治体現場を支える万全の措置を講じていただくよう改めてお願いする。
〇松本文部科学大臣
・今回たいへん短い時間の中で協議いただき、いろいろとお願いした。我々としても、こうした進め方は異例だと承知している。今回、文部科学省、総務省、財務省で政府文書を作り、これに沿って、今後、具体的な制度設計を進めていく。今回の進め方を前例としないようにとの指摘を真摯に受け止め、政府文書の中に明確に記述したところである。今後は、皆様方と意見交換しながら、共に作り上げていくような形で進めてまいりたい。
・制度の詳細については、現場を担っている基礎自治体の皆さんが、しっかりとついてきていただく、実施いただくことができる制度設計にしていかなければ、結局、絵に描いた餅になってしまう。
・文部科学省でも職員にしっかりと指示を出して各基礎自治体の皆さんとしっかり意見交換し、疑問を解消するとともに、来年4月から混乱なく実施するためにはお伺いしないと分からないこともあるので、説明会をはじめ皆様方としっかりと連携を取って、我々として考えていかなければならないことをいろいろと教えていただきながら対応してまいりたい。
〇塩見総合教育政策局長
・給食について、安定的な制度とする観点から制度的な面についても考える必要があるのではないかという点に関して、今回の学校給食費の負担軽減については、まずは小学校での実施であるという点、地方の実情等を踏まえて柔軟な対応を可能としたいという観点から、今回については自治体に対する予算補助という形で進めたいと考えている。地方の負担についてしっかりと担保していくということを今回の政府文書で明確に示したところ。その上で、事業の開始後、一定期間経った後に、今後の事業の進め方の課題等について、地方団体の皆様を交えてしっかりと検証していくことを考えている。
・今回の基準額を 5,200 円とした物価上昇率の根拠については、直近で捕捉できる食品関係の物価上昇が5%程度だったということを基にして算定した数字である。今後については物価の上昇率など様々な状況を組み合わせて考えて、また対応する予定であるが、当然、地方の皆様方の意見も聞きながら検討することになってくると思っている。
・公会計化については今回要件としないということを明記しているが、令和7年度の補正予算において、公会計化に関するシステム導入等の補助で 40 億円以上を計上しているので積極的に活用いただきたい。
・今後の具体的な制度設計に当たっては、事前に地方の皆様の意見をよく伺った上で、細かいところを含めて検討していきたいと考えている。そのための説明会、意見交換は可能な限り積極的に設けてまいりたい。
・中学校については、文書の中でも示しているが、今回小学校で実施した後の検証で、小中学校の給食実施状況の違いなども踏まえながら検討していくことを考えている。
〇望月初等中等教育局長
・合理性のない授業料の値上げの抑制について、保護者の負担が軽減されていないような場合などを想定している。現在都道府県で授業料高騰の抑止の制度を導入している自治体もあり、これらの状況を細かく見て、仕組みをまた相談したいと考えている。
・外国籍生徒の扱いについては、今回受給資格を見直す中で在留資格を要件とする制度を導入することを考えている。具体的にどのような資料で確認をするかという点は、在留カードの写しを提出いただくことを想定している。どういった在留資格を持っている方は定着が見込まれないとするのか、今検討中なので改めて提示したい。高等教育の修学支援新制度における在留資格の確認の仕組みを参考にしながら、具体的な仕組みの構築を考えていきたい。これについては、都道府県の方に在留資格を確認いただく事務が新たに生じることになる。
・外国人学校の在校生については、法律上、経過措置として、2年生、3年生、つまり在校関係が続くといったところにおいては、現行制度の支援を同様に行うことを考えており、申請者の収入状況の確認が引き続き必要であると考えている。新入生については、引き続き、現行水準と同等の水準、つまり 45.7 万円まで支給額を上げるのではなくて、39.6 万円という形での支援を補助事業として行うことを考えている。
・申請書について、オンライン申請ができるよう準備中である。都道府県の事務処理に必要な経費については確実に確保できるように考えていまいりたい。我々もシステムの改修について徐々に進めていきたいと考えている。
〇高橋総務副大臣
・各団体の皆様から、今回の物事の運び方については大変遺憾であるとお叱りを賜った。 これについては何ら反論することはできない。しっかりと受け止めて、今後、総務省としてもしっかりと取り組んでいきたい。財政措置については、現在地財折衝の大詰めを迎えているので、本日いただいた意見を真摯に受け止めて、この度の地方財政計画により、しっかりと対応させていただきたい。
・かねてから全国知事会から強く要望いただいている子ども・子育て支援に関するナショナルスタンダードについて、関係省庁と連携しながらより議論を深めていきたいと今日の議論を聞いてさらに深く思った。
〇出口自治財政局長
・財政措置について税制改正を通じた安定財源を確保することを一連の合意に基づいて行った上で、地方負担分については、地方財政計画に全額計上して一般財源を充当することが大事と考えており、その方針で対応してまいりたい。また、地方交付税の算定についても、各団体の実態に応じて、外形的にも分かる形でしっかりと算定を行ってまいりたい。
・地方債については、国も詳細な検討をしているが、各地方公共団体のニーズにしっかりと応えられるものにならないといけないと思っている。最終的な制度の運用については、都道府県の意見を踏まえながらしっかりと検討する。
〇舞立財務副大臣
・貴重な意見を賜り感謝している。非常に時間がない中で協議いただいたことには、深くお詫びを申し上げたい。
・多くの方々から恒久財源、安定財源の確保をしっかりやるようにという話があった。その中で、地方譲与税の検討もできないかといったようなお話もあった。
・安定財源の確保については、財務省としても責任を持って対応させていただきたい。今日はゴールではなくスタートである。これからいろいろと皆様の御意見を聞きながら、いろいろと修正すべき部分も出てくると思うし、ブラッシュアップしていくことが使命という話もした。今後の過程の中で意見交換させていただきたいと思っている。
〇全国知事会(阿部知事)
・松本大臣はじめ、両副大臣、そして関係省庁の皆様方には、我々地方の声に真摯に向き合っていただき、我々の意見に対して具体的かつ前向きな対応案を示していただいたことに感謝申し上げたい。
・我々が要求した事項が確実に実行されることや、制度の具体化に当たって引き続き地方に対して十分に説明、協議いただいて、現場で実行可能な制度となるように、そして我々の疑問が残るような形にならないように進めていただくことを前提にしていただきたい。
・外国人関係などもう少し聞きたい内容もあり、今後いろいろ教えていただきながら協議していただきたい。そうしたことを前提としながら制度設計を進めていただくようにお願い申し上げる。
〇松本文部科学大臣
・改めてこの度はこうした異例の形で検討いただいたことに心からお詫びを申し上げたい。
・本日の対応案を基本として、今後、高校教育等の振興方策、学校給食費の抜本的な負担軽減方策にかかる制度・事業の設計および実施を進めてまいりたい。
・本日、地方団体の皆様方に御理解をいただいて、今日示した資料1に関して、今後この「案」をとった形で正式な政府文書の位置づけで、これに基づき制度設計を進めさせていただきたいが、それでよろしいか。【異議等なし】
・それでは進めさせていただきたいと思うので、よろしくお願い申し上げたい。今後については、地方団体の皆様方との十分な協議、意見交換、取組の検証、そして皆様方からいただいた意見を極力反映することができるように全力を尽くすことを、まずお約束を申し上げたい。
・令和8年度からの実施ということで残された日数はわずかであるが、これからこれまで以上に密接な連携、協力をしつつ国としても準備を進めたいので、協力いただくようお願いを申し上げる。
以上