26文科初第597号
平成26年9月3日
各都道府県教育委員会
各指定都市教育委員会 殿
文部科学省初等中等教育局長
小松 親次郎
義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行令の一部を改正する政令及び義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行規則の一部を改正する省令の公布について(通知)
このたび,義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成26年政令第293号)及び義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成26年文部科学省令第27号)が平成26年9月3日付けで公布されました(別添1,2)。
これらの法令改正の趣旨,概要及び留意事項は下記のとおりですので,十分に御了知の上,その運用に当たって遺漏のないようにお取り計らいください。
また,各都道府県教育委員会におかれては,域内の市町村教育委員会に対し,今回の法令改正の趣旨等について周知をお願いします。
記
第186回国会において成立した義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第20号。以下「改正法」という。)により,新たに共同採択について採択地区協議会を設けなければならないこととされ,また,この採択地区協議会の組織及び運営については政令で定めることとされた(「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律の一部を改正する法律及び義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行規則の一部を改正する省令の公布,施行について」(平成26年4月16日付け26文科初第140号文部科学省初等中等教育局長通知。以下「改正法施行通知」という。)参照)。今回の政令改正は,この政令の定めとして,採択地区協議会の組織及び運営について定めるものである。
また,義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(昭和38年法律第182号)第15条においては,市町村教育委員会等が教科書を採択したときは,採択結果,理由その他文部科学省令で定める事項を公表するよう努めるものとしている。この文部科学省令の定めとして,義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行規則(昭和39年文部省令第2号。以下「省令」という。)第7条において,教科書を採択したときに公表すべき事項を定めている(改正法施行通知参照)。
この公表すべき事項の一つとして,教育委員会の会議の議事録について定めている。ここで,教育委員会の会議の議事録については,第186回国会において成立した地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第76号。以下「地教行法改正法」という。)により,新たに作成・公表の努力義務が課されることとなった(「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律について」(平成26年7月17日付け26文科初第490号文部科学省初等中等教育局長通知。以下「地教行法改正法施行通知」という。)参照)。これに伴い,現行の省令における教育委員会の会議の議事録に係る規定は意味を失うことから,削除する。
また,改正法により,新たに共同採択について採択地区協議会を設けなければならないとされたことに伴い,教科書を採択したときに公表すべき事項として,新たに採択地区協議会の会議の議事録について定める。
1)採択地区協議会は,関係市町村の教育委員会が採択地区協議会の規約の定めるところにより指名する委員をもって組織するものとしたこと。(第11条第1項関係)
2)採択地区協議会に会長を置き,採択地区協議会の規約の定めるところにより,委員のうちから定めるものとしたこと。(第11条第2項関係)
3)会長は,会務を総理するものとしたこと。(第11条第3項関係)
4)会長に事故があるときは,会長があらかじめ指名する委員が,その職務を代理するものとしたこと。(第11条第4項関係)
5)1)から4)までに定めるもののほか,採択地区協議会の組織及び運営に関し必要な事項は,採択地区協議会の規約で定めるものとしたこと。(第11条第5項関係)
採択地区協議会の規約には,以下の事項を定めなければならないものとしたこと。(第12条関係)
1)採択地区協議会の名称
2)採択地区協議会を設ける市町村の教育委員会
3)採択地区協議会の組織
4)教科用図書の選定の方法
5)採択地区協議会の経費の支弁の方法
採択地区協議会を設けた市町村の教育委員会は,採択地区協議会の規約を変更しようとするときは,協議によりこれを行わなければならないものとしたこと。(第13条関係)
この政令は,平成27年4月1日から施行すること。(附則関係)
教科書を採択したときに公表すべき事項として定められていた
を削除し,新たに
を規定したこと。(第7条第2号関係)
この省令は,平成27年4月1日から施行すること。(附則第1項関係)
地教行法改正法附則第2条第1項の旧教育長に関する経過措置の適用を受ける場合においては,改正前の第7条第2号の規定は,なおその効力を有すること。(附則第2項関係)
1)共同採択地区内の市町村教育委員会は採択地区協議会の協議の結果に基づき教科書を採択しなければならないものであるから,採択地区協議会の委員は,教育委員会の代表者となる教育長を含めることとするなど,それぞれの市町村教育委員会の権限と責任が十分に反映されるよう,選任する必要があること。
2)静ひつな採択環境を確保する観点から,守秘義務を課されていない者を採択地区協議会の委員に含める場合においては,あらかじめ採択地区協議会における協議の内容に関する守秘義務を明確にしておくことが望ましいこと。
1)教科用図書の選定の方法については,共同採択地区内の市町村教育委員会は採択地区協議会の協議の結果に基づき種目ごとに同一の教科書を採択しなければならないことを踏まえ,種目ごとに一種類の教科書を選定するための具体的な手続を定めておく必要があること。
2)採択地区協議会の規約の作成に当たっては,添付の採択地区協議会の規約の例(別添3)を参考にされたいこと。なお,この例は,文部科学省においてあくまで一例として作成したものであり,各地域の実情に応じ,様々な採択地区協議会の規約の工夫が考えられること。
3)各都道府県教育委員会にあっては,域内の共同採択地区において適切な採択地区協議会の規約が定められるよう,各市町村教育委員会に対する適切な指導・助言・援助に当たっていただきたいこと。
1)今回の省令改正による教育委員会の会議の議事録に係る規定の削除は,地教行法改正法の施行に伴う条文の整理であり,今後は,地教行法改正法による改正後の地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第14条第9項に基づき,教育委員会の会議の議事録の作成・公表の努力義務が課せられること(地教行法改正法施行通知参照)。
2)開かれた採択を推進する観点から,採択地区協議会の会議の議事録を作成しておくことが望ましいこと。
3)採択地区協議会の会議の議事録の公表について,個々の委員の賛否を明らかにするかどうかなどの具体的な方法については,静ひつな採択環境を確保する観点も踏まえ,地域の実情に応じ,適切に判断すべきこと。
(別添1,2) (略)
初等中等教育局教科書課
-- 登録:平成27年02月 --