構造改革特別区域法第19条第1項の規定に基づき内閣総理大臣の認定を受けた市区町村教育委員会が特別免許状を授与することを可能とする規制の特例措置の運用について(通知)(平成24年9月21日)

24文科初第557号
平成24年9月21日

構造改革特別区域法第19条第1項の
認定を受けた各市区町村の教育委員会教育長
構造改革特別区域法第19条第1項
の認定を受けた各市区町村の長            殿

文部科学省初等中等教育局長
布村 幸彦

特例特別免許状制度の運用について(通知)

 構造改革特別区域基本方針(平成15年1月24日閣議決定)では、「特区において実施される規制の特例措置は、(中略)あらかじめ定めた評価時期に、その実施状況に基づき評価を行うこと」とされているところです。
 平成23年度には、構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第19条の規定に基づき市区町村教育委員会が特別免許状を授与することを可能とする規制の特例措置(以下「特例特別免許状」という。)についても評価がなされたところ、広域通信制の課程を置く高等学校の面接指導の際の体験学習や講演等を担当するのみで本来なら免許状の保有を必要としない者や、教科の専門的知識・技能を有するか疑問である者に特例特別免許状が授与されている事例等が確認されました。
 特別免許状は、地域や学校の実情に応じて、学校教育の多様化に対応するため、既に相当の社会的経験を有する者を教員として活用することを目的とする免許状であり、その授与については、各都道府県教育委員会が実施する教育職員検定によることとされています。その際、特別免許状は、特別非常勤講師等と異なり、教諭の免許状であり、従事する教育活動は、免許状の教科の全ての領域を担任することが可能な普通免許状を有する者と変わるところがないため、その授与に当たっては、特別免許状の質を維持する観点から、適正な手続きを経ることが求められています。
 特例特別免許状についても、特別免許状と授与権者が異なるのみで、その目的・性質は変わるところではないことから、教育職員免許法(以下「免許法」という。)の趣旨にのっとり適切に運用される必要があります。
 ついては、貴職においては、下記の点に留意しつつ、免許法の趣旨を踏まえた適切な特例特別免許状制度の運用を図るようお願いします。

1.特別免許状の授与手続きについて
(1)特例特別免許状を授与する対象者について
 構造改革特別区域法第19条第1項の規定に基づき内閣総理大臣の認定を受けた市区町村(以下「認定地方公共団体」という。)の教育委員会の中には、広域通信制の課程を置く高等学校の面接指導において、年に数回、非常勤として、体験学習や講演のみを担任する者に対しても、特例特別免許状を授与している例が見られるが、授与権者たる認定地方公共団体の教育委員会においては、特例特別免許状が教諭の免許状であり、かつ免許教科の全ての領域を担任することが可能となること、及び教科の領域の一部を単独で担任することが可能な特別非常勤講師制度(免許法第3条の2)が別に設けられていること、並びにティームティーチングといった授業形態も考えられること等を勘案した上で、特例特別免許状の授与の必要性を適切に判断する必要があること。

(2)特例特別免許状授与対象者の担当教科に関する専門的知識経験又は技能等の確認について
  特例特別免許状に係る教育職員検定において、授与権者は受検者の人物、学力、実務及び身体について検定を行うこととされているが、特別免許状の授与要件である「担当する教科に関する専門的な知識経験又は技能」及び「社会的信望があり、かつ、教員の職務を行うのに必要な熱意と識見を持っていること」(免許法第5条第4項)を十分に担保する観点から、これらの検定に加え、学校教育に関し学識経験を有する者等の意見を聴くこととされている(免許法第5条第5項)。
 一部の認定地方公共団体の教育委員会では、担当する教科に関する専門的な知識経験又は技能を有するか疑問である者に対しても特例特別免許状を授与している例が見られるが、特別免許状が、普通免許状を有する者と同様、免許教科の全ての領域を担任することが可能な免許状であることに鑑み、特例特別免許状授与対象者の担当教科に関する専門的知識経験又は技能等を担保する観点から、例えば、教育職員検定に当たっての基準の策定、当該教科の教育課程及び学習指導等に関して専門的な知識及び技能を有する者による面接の実施若しくは公立学校の場合にあっては当該教科について一定程度の専門的知識・技能を有していることを確認するための採用選考試験と連動させた検定の実施又はこれらの取組を組み合わせて実施することなどの工夫が求められること。

2.構造改革特別区域における教育上の特別の事情等について
 認定地方公共団体の教育委員会が授与した特例特別免許状を有する者の中には、構造改革特別区域法第12条第1項の規定に基づく学校設置会社による広域通信制の課程を置く高等学校に勤務することとなっていながら、実際には、特区区域外の民間教育施設で勤務する事例も確認されているところである。
 特例特別免許状制度は、認定地方公共団体が設定した構造改革特別区域における教育上の特別の事情等に対応するためのものであることから、広域通信制の課程を置く高等学校を設置する学校設置会社を所管する認定地方公共団体の教育委員会においては、当該構造改革特別区域内にある広域通信制の課程を置く高等学校に勤務する教員に対してのみ特例特別免許状を授与するよう、適切な判断が必要であること(学校設置会社による通信制高校に係る留意点については、「構造改革特別区域法第12条第1項の規定に基づく学校設置会社による学校設置事業等について(通知)」(24文科初第580号)を参照のこと)。

参照条文

1.関連

・教育職員免許法(昭和24年法律第147号)

(授与)
第五条 (略)
3 特別免許状は、教育職員検定に合格した者に授与する。ただし、第一項各号のいずれかに該当する者には、授与しない。
4 前項の教育職員検定は、次の各号のいずれにも該当する者について、教育職員に任命し、又は雇用しようとする者が、学校教育の効果的な実施に特に必要があると認める場合において行う推薦に基づいて行うものとする。
一 担当する教科に関する専門的な知識経験又は技能を有する者
二 社会的信望があり、かつ、教員の職務を行うのに必要な熱意と識見を持つている者
5 第七項で定める授与権者は、第三項の教育職員検定において合格の決定をしようとするときは、あらかじめ、学校教育に関し学識経験を有する者その他の文部科学省令で定める者の意見を聴かなければならない。

・教育職員免許法施行規則(昭和29年文部省令第26号)

第六十五条の四 免許法第五条第五項に規定する文部科学省令で定める者は、認定課程を有する大学の学長又は認定課程を有する学部の学部長、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校又は特別支援学校の校長及びその他学校教育に関し学識経験を有する者とする。

第六十五条の六 免許法第五条第四項 に規定する教育職員検定の申請は、特別免許状の授与を受けようとする者が、当該者を教育職員に任命し、又は雇用しようとする者の推薦書を添えて行うものとする。

2.関連

・構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)

(学校教育法の特例)
第十二条 地方公共団体が、その設定する構造改革特別区域において、地域の特性を生かした教育の実施の必要性、地域産業を担う人材の育成の必要性その他の特別の事情に対応するための教育又は研究を株式会社の設置する学校(略)が行うことが適切かつ効果的であると認めて内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、当該認定の日以後は、同法第二条第一項 中「及び私立学校法第三条 に規定する学校法人(以下学校法人と称する。)」とあるのは「、私立学校法第三条 に規定する学校法人(以下学校法人と称する。)及び構造改革特別区域法(平成十四年法律第百八十九号)第十二条第二項に規定する特別の事情に対応するための教育又は研究を行い、かつ、同項各号に掲げる要件のすべてに適合している株式会社(次項、第四条第一項第三号、第九十五条及び附則第六条において学校設置会社という。)」と、同条第二項中「学校法人」とあるのは「学校法人又は学校設置会社」と、同法第四条第一項第三号中「都道府県知事」とあるのは「都道府県知事(学校設置会社の設置するものにあつては、構造改革特別区域法第十二条第一項の認定を受けた地方公共団体の長。第十条、第十四条、第四十四条(第二十八条、第四十九条、第六十二条、第七十条第一項及び第八十二条において準用する場合を含む。)及び第五十四条第三項(第七十条第一項において準用する場合を含む。)において同じ。)」と、同法第九十五条(同法第百二十三条において準用する場合を含む。)中「諮問しなければならない」とあるのは「諮問しなければならない。学校設置会社の設置する大学について第四条第一項の規定による認可を行う場合(設置の認可を行う場合を除く。)及び学校設置会社の設置する大学に対し第十三条第一項の規定による命令を行う場合も、同様とする」と、同法附則第六条中「学校法人」とあるのは「学校法人又は学校設置会社」とする。
2~13 (略)

第十三条  地方公共団体が、その設定する構造改革特別区域において、学校生活への適応が困難であるため相当の期間学校(略)を欠席していると認められる児童、生徒若しくは幼児又は発達の障害により学習上若しくは行動上著しい困難を伴うため教育上特別の指導が必要であると認められる児童、生徒若しくは幼児(略)を対象として、当該構造改革特別区域に所在する学校の設置者による教育によっては満たされない特別の需要に応ずるための教育を特定非営利活動法人(略)の設置する学校が行うことにより、当該構造改革特別区域における学校教育の目的の達成に資するものと認めて内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、当該認定の日以後は、学校教育法第二条第一項 中「設置することができる」とあるのは「設置することができる。ただし、構造改革特別区域法(平成十四年法律第百八十九号)第十三条第二項に規定する特別の需要に応ずるための教育を行い、かつ、同項各号に掲げる要件のすべてに適合している特定非営利活動促進法 (平成十年法律第七号)第二条第二項 の特定非営利活動法人(次項、第四条第一項第三号及び附則第六条において学校設置非営利法人という。)は、大学及び高等専門学校以外の学校を設置することができる」と、同条第二項中「学校法人」とあるのは「学校法人又は学校設置非営利法人」と、同法第四条第一項第三号 中「都道府県知事」とあるのは「都道府県知事(学校設置非営利法人の設置するものにあつては、構造改革特別区域法第十三条第一項の認定を受けた地方公共団体の長。第十条、第十四条、第四十四条(第二十八条、第四十九条、第六十二条、第七十条第一項及び第八十二条において準用する場合を含む。)及び第五十四条第三項(第七十条第一項において準用する場合を含む。)において同じ。)」と、同法附則第六条中「学校法人」とあるのは「学校法人又は学校設置非営利法人」とする。
2~5 (略)

(教育職員免許法の特例)

第十九条 市町村の教育委員会が、第十二条第一項に規定する特別の事情、第十三条第一項に規定する特別の需要その他当該市町村が設定する構造改革特別区域における教育上の特別の事情に対応するため、次に掲げる者に特別免許状(略)を授与する必要があると認める場合において、当該市町村が内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、当該認定の日以後は、同法第二条第二項 中「免許状」とあるのは「免許状(構造改革特別区域法(平成十四年法律第百八十九号)第十九条第一項の規定による認定を受けた市町村の教育委員会が同項各号に掲げる者に授与する特別免許状(以下「特例特別免許状」という。)を除く。)」と、「教育委員会をいう」とあるのは「教育委員会をいい、当該免許状が特例特別免許状である場合にあつてはその免許状を授与した市町村の教育委員会をいう」と、同法第五条第七項中「教育委員会(」とあるのは「教育委員会(特例特別免許状にあつては、構造改革特別区域法第十九条第一項の規定による認定を受けた市町村の教育委員会。」と、同法第九条第二項中「有する」とあるのは「有する。ただし、特例特別免許状は、その免許状を授与した授与権者の置かれる市町村においてのみ効力を有する」と、同条第五項中「特別免許状」とあるのは「特別免許状(特例特別免許状を除く。)」と、「までとする」とあるのは「までとし、特例特別免許状(同一の授与権者により授与されたものに限る。)を二以上有する者の当該二以上の免許状の有効期間は、第二項並びに次条第四項及び第五項の規定にかかわらず、それぞれの免許状に係るこれらの規定による有効期間の満了の日のうち最も遅い日までとする」と、同法第二十条中「教育委員会規則」とあるのは「教育委員会規則(特例特別免許状にあつては、その免許状を授与した市町村の教育委員会規則)」と、同法別表第三中「特別免許状」とあるのは「特別免許状(特例特別免許状を除く。)」とする。
一 第十二条第一項の規定により内閣総理大臣の認定を受けている市町村の長が学校教育法第四条第一項 の規定による設置の認可を行った学校を設置する学校設置会社が、当該学校の教育職員(教育職員免許法第二条第一項 に規定する教育職員をいう。以下この項において同じ。)に雇用しようとする者
二 第十三条第一項の規定により内閣総理大臣の認定を受けている市町村の長が学校教育法第四条第一項の規定による設置の認可を行った学校を設置する学校設置非営利法人が、当該学校の教育職員に雇用しようとする者
三 その設定する構造改革特別区域における教育上の特別の事情により、市町村がその給料その他の給与(市町村立学校職員給与負担法 (昭和二十三年法律第百三十五号)第一条に規定する給料その他の給与をいう。)又は報酬等(同法第一条 に規定する報酬等をいう。)を負担して、当該市町村の教育委員会が教育職員に任命しようとする者

2 前項において読み替えて適用する教育職員免許法第五条第七項 の規定により、市町村の教育委員会が特別免許状を授与したときは、当該市町村の教育委員会は、遅滞なく、授与を受けた者の氏名及び職種並びに授与の目的、当該特別免許状に係る学校の種類及び教科その他文部科学省令で定める事項を当該市町村を包括する都道府県の教育委員会に通知しなければならない。

3 第九条第一項の規定により第一項の認定が取り消された場合であ同項において読み替えて適用する教育職員免許法第五条第七項 の規定により市町村の教育委員会が授与した特別免許状に係る授与権者(同項 に規定する授与権者をいう。)及び免許管理者(同法第二条第二項 に規定する免許管理者をいう。)は、当該市町村の教育委員会とする。

お問合せ先

総合教育政策局教育人材政策課教員免許企画室

(総合教育政策局教育人材政策課教員免許企画室)