高等学校における次世代の学習ニーズを踏まえた指導の充実事業（令和元年度）（1）

【調査研究課題名】
遠隔教育の質の確保・向上に向けた実証研究～遠隔授業における配信校の組織体制の在り方について～

【調査研究成果概要】
［調査研究校：北海道有朋高等学校、北海道札幌東高等学校、北海道札幌西高等学校］
令和元年度は、配信側の調査研究校を都市部の３校に増やし、郡部や離島の受信校に遠隔教育による主体的・対話的で深い学びの実践的研究を行った。
研究の成果として、選抜性の高い大学への進学実績のある高等学校を調査研究校に加えたことで、配信校の授業のノウハウが受信校の対面授業に波及したことはもとより、学習指導のポイントの整理や合同授業等の在り方の確立も図られるなど、授業自体の質的向上が見られた。
また、配信校が配信センター的機能をもつことにより、複数の高校に対して効果的な遠隔授業を展開することができた。
道教委では、それらの成果をまとめ、「遠隔授業ガイドブック（追補版）」として、ウェブページへの掲載等により全道の高等学校及び全国に向け発信した。

• 北海道成果物  （PDF:3MB） 

【調査研究課題名】
中山間地域の小規模校における遠隔教育推進事業

【調査研究成果概要】
 ［調査研究校：静岡県立伊豆総合高等学校、静岡県立伊豆総合高等学校土肥分校、静岡県立浜松湖北高等学校、静岡県立浜松湖北高等学校佐久間分校、静岡県立川根高等学校］

令和元年度は、平成30年度の課題を踏まえ、以下の３点に焦点化した実践を行った。
ア 教員の負担を軽減すること
イ 免許外の教員を受信側に置いて授業を行うこと
ウ 授業支援アプリケーションを活用して学習状況把握の課題を克服すること
ルーブリック(学習到達度を評価する基準表)の活用や、機器のレイアウトの変更や使用方法の工夫等がなされたが、本年度は特に授業支援アプリケーションの活用による課題の改善が大きな成果である。授業中の生徒の手元の記述をはじめとする学習状況の把握は劇的に向上し、板書代わりとしての機能やクラウドを利用した授業ノートの保管等、教具としても文具としても活用できる授業支援アプリケーションと併用することで、遠隔授業の質は向上した。
一方で、依然として教員への負担は解消されたとは言えず、適切な学習集団の人数や対面授業の時数等、運用上の課題は今後も検討する必要がある。

【調査研究課題名】
小規模校での多様な学習を可能にする遠隔授業の調査研究

【調査研究成果概要】
 ［調査研究校：徳島県立海部高等学校］
本県では，過疎・少子化の進行により小規模化が進む高校における生徒の学習ニーズに応じた遠隔授業実施体制の構築を目的として，「教科・科目充実型」遠隔授業を通年で実施し，通信環境及び指導・評価に関する実証研究を実施している。
令和元年度は従来の総合教育センターからの配信に加え，その成果を応用した学校間配信による遠隔授業の試行に取り組み，配信校の施設に応じた機器の選択及び設定により，安定した通信環境の確保が可能であることを実証するとともに，トラブル発生時の支援体制など新たな課題を整理することができた。指導面においては，授業支援アプリケーションの導入により，個に応じた指導やグループワークなど多様な授業展開を実施することが可能となり，生徒アンケートにおいても授業内容への理解や授業の進行・内容の満足度について肯定的な回答が得られた。
今後は，通年の学校間配信の実証を行い，センター配信との比較研究を進める。

• 徳島県成果物  （PDF:4MB） 

【調査研究課題名】
ＩＣＴ活用（遠隔教育）による中山間小規模校での学力保障

【調査研究成果概要】
 ［調査研究校：高知県立檮原高等学校 ］
高知県では、平成27年度から文部科学省の研究指定を受けて、中山間地域の高等学校など７校において遠隔教育の研究を行ってきた。本研究においては調査研究協力校である６校で引き続き年間を通した遠隔授業を実施し、単独授業における単位認定を行うことができた。
これらの遠隔教育の取組により、遠隔授業は、中山間地域の生徒に多様かつ高度な教育を受けられる機会を保障でき、対面授業と同じような教育効果を得られることが分かった。
中山間地域の高等学校における教育環境の更なる充実を図るため、令和元年度は、教育センターの他、中山間地域の全ての小規模高等学校10校に遠隔教育システムを整備し、檮原高等学校をはじめ希望のあった学校に対して、AO 入試対策や大学入試センター試験など最大３校への同時配信も含め、教育センターを配信拠点とした遠隔補習（英語・数学・物理）を計85回実施した。
さらに令和２年度からは、教育センター内に「遠隔授業配信センター」を設置し、教員を配置して各校の要望に応じた数学・生物・物理・英語の科目計40単位の遠隔授業を年間を通して配信する他、進学対策補習・公務員試験対策補習・県外講師による講演を実施する。さらに各校の生徒会交流・ディベートの練習試合なども実施し、今後も引き続き研究とさらなる推進を継続していく。

【調査研究課題名】
遠隔教育システムを用いた国内外の大学等との連携による教育効果について

【調査研究成果概要】
 ［調査研究校：長崎県立壱岐高等学校、長崎県立対馬高等学校］
本県は、安価で汎用性の高い遠隔システムを用いた教育の効果を検証するため、これまで「遠隔授業による教育活動充実事業（H25-27、県独自事業）」や「多様な学習を支援する高等学校の推進事業（H27-29、文部科学省委託事業）」等の実践研究に継続して取り組んできた。
これらの研究実績を踏まえて、国外の大学や高校との接続による遠隔授業や遠隔交流を実現しようとしている点、東アジアの言語や文化、歴史、異文化理解等といった内容面において、これまでの取組を発展、充実させようとしている点、さらに国内外の大学や研究機関との複数回にわたる接続により学習内容を高度化、多様化させようとしている点等を、本事業における実践研究の主要テーマとした。
昨年度の「遠隔教育サミットin長崎」では、県立壱岐高校と国外大学及び国内大学をそれぞれ遠隔システムで接続して遠隔授業を実施し、その様子を別の遠隔システムで接続して本土部にある長崎県庁で視聴するという取組を行った。今後も安価で汎用性の高い遠隔システムを用いた教育の可能性について、実践研究を積み上げていきたいと考えている。

• 長崎県成果物  （PDF:5MB） 

【調査研究課題名】
農業系高校における遠隔教育の導入に関する実証研究

【調査研究成果概要】
 ［調査研究校：大分県立三重総合高校、大分県立久住高原農業高校、大分県立大分東高校］
学校規模の縮小化が進んでいる農業系高校において、遠隔システムを活用し、「農業の専門的で質の高い授業」や「他校の生徒と協同で学ぶ授業」を行い、それぞれの農業系高校を繋いだ授業実践を行う。
研究２年目にあたる今年度は、昨年から検証している大学講師における遠隔合同授業に加え、スタジオ型授業、農業の協同学習（作物栽培の協同学習、ジグソー法による協同学習）、その他の遠隔授業に係わる実証研究を行った。授業を受けた生徒のアンケート結果から、専門的な農業の学習を希望する者が増加した。遠隔授業による大学講師の授業や農業系高校を繋いだ協同学習に対して、肯定的な意見や感想を持つ生徒が多かった。
研究報告書では、授業準備で活用する「ICT機器のチェックリスト」や、座席配置や板書方法等に工夫した効果的な環境面の方法を検証した。また、効果的な農業の遠隔授業として、それぞれ取り組んだ授業の成果や課題をまとめている。

• 大分県成果物1 （PDF:6MB） 
• 大分県成果物2  （PDF:8MB） 

• 三菱UFJリサーチ＆コンサルティング成果物1 （PDF:7MB） 
• 三菱UFJリサーチ＆コンサルティング成果物2  （PDF:3MB）
• 三菱UFJリサーチ＆コンサルティング成果物3  （PDF:7MB）
• 三菱UFJリサーチ＆コンサルティング成果物4  （PDF:9MB）
• 三菱UFJリサーチ＆コンサルティング成果物5  （PDF:4MB）
• 三菱UFJリサーチ＆コンサルティング成果物6  （PDF:8MB） 

【調査研究課題名】
生徒の学校満足度を向上させるための教職員研修とアンビシャス学習プログラムの構築

【調査研究成果概要】
 ［調査研究校：クラーク記念国際高等学校］
本校は、「挑戦と創造の教育」を教育理念として掲げて1992年に開校した広域通信制高等学校で、約11,000名の生徒が、全日型、通信型（フレックス学習コース、Web学習コース）から、一人ひとりのニーズに合った通学スタイルを選択して学んでいる。
本年度は、「新たなキャリア教育プログラムの開発と実践」「教職員の育成を目指した研修体制の構築」などに取り組み、eポートフォリオに蓄積された生徒の学びの履歴などから、自己の在り方生き方を内省的に捉えたり深く省察したりすることを通して、自分の人生や将来について考え、自己のキャリア形成に生かそうとする生徒の姿を見いだすことができた。
また、育成指標を策定したことで、これまでの研修を整理し、育成指標を踏まえた研修として体系化するとともに、全ての教員が、育成指標を踏まえて教職生活全体を俯瞰し、得意分野に磨きをかけつつ、主体的に教育実践やキャリアアップに取り組んでいくことが可能になった。

• 学校法人創志学園成果物  （PDF:4MB）