【調査研究課題名】
外部機関と連携した通信制の支援体制の構築とアセスメント方法の開発
~外部機関と連携した支援体制を設計し、それをアセスメントによってより効果的な取り組みに改善する試み~
【調査研究成果】
平成28年度の調査研究では、外部機関と連携した通信制の支援体制を設計し、それをアセスメントによってより効果的な取組に改善する試みを行った。外部機関と連携して取り組んだ学習プログラムは、「野外環境コミュニティー・ワークショップ」「キャリア・プラニングセミナー」「施設訪問」「With Kidsボランティア」「炊き出しボランティア」などである。これらの取組に対し、5月と11月に「数値的自己評価」を行い、その変化を分析、11月の「記述式自己評価」や12月の「生徒と教師による協同アセスメン」も踏まえて学習プログラムの教育効果を明らかにした。また2月には外部助言者を招いて「アセスメント検討会議」を行い、1年間の取り組みを総括し、課題を明らかにして次年度への改善案につなげることができた。これらのアセスメンの結果、外部機関と連携した学習プログラムを通し、多くの生徒が視野を広め、社会性やコミュニケーション能力を向上させたことが分かった。学習プログラムのほとんどが、地域の人々と関わる社会体験である。その体験が社会への関心を高め進路意識を刺激し、それが学習意欲を向上させて大学、専門学校等の進路達成につながったと言える。「通信制」は、全日制とは異なり、体験活動の時間を十分に生み出すことができる。この通信制の特性を活かして、より教育効果を上げることができる通信制の支援体制を構築していきたい。
[調査研究校:仙台白百合学園高等学校]
【調査研究課題名】
中山間地域の小規模校におけるICT活用推進事業
【調査研究成果】
平成28年度は、中山間地域の小規模校の現状と課題を整理するとともに、遠隔通信システムを活用した取組及び期待できる効果について検討を行った。その結果、分校となる学校(小規模校)と本校(大規模校)が様々な場面で連携すること、及び将来的に必要となる遠隔授業を試行実施することを目的に研究を進める方向性が明確となったことから、目的に合致した機器の選定、調査研究校4校へのテレビ会議システムの設置、接続テストを実施した。また、先進校における遠隔授業を参観したこと等により、導入機器や周辺機器の整備状況のほか、具体的な活用方法について有用な情報を得ることができ、実践イメージを掴むことができた。学校全体で組織的に授業のICT化を促進するためには、ICT支援員の配置が必須であるなど、次年度に取り組むべき事項を整理し、様々な場面を想定した実施計画を策定した。平成29年度は、それら一つひとつを検証しながら進めていく。
[調査研究校:土肥高等学校、伊豆総合高等学校、佐久間高等学校、浜松湖北高等学校]
【調査研究課題名】
スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーと協働し、個々の生徒のニーズに応じた支援を可能にする校内体制作り
~すべての生徒に確かな学力を保障するために~
【調査研究成果】
スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)と協働して、様々な「困り」を抱えた生徒に対する支援方法の確立および校内体制の構築をすることにより、適切な時期の,適切な支援を実現することを目標とした。
成果は以下の通りである。
1.システム化されたケース会議の実施による支援方法確立を目指し、ケース会議の開催に至る過程や参加者の人数・対象についての事例を蓄積した。ただし、システム化までは至らなかった。
2.本校が抱える課題に沿ったアセスメントシート開発が目標のひとつであったが、既存のフォーマットを用いることが前提で,新規の開発には制約があることが分かった。中学時の欠席状況記入欄の追加により高校版として使用できるよう改良を行った。なお、アセスメントシートが年度当初に全員分完成することを目的に情報収集のフォーマットや作成方法等を整備した。
3.学校全体での効果的な支援を行うためには、必ずしもケース会議への全員参加にこだわることなく、いかにして情報共有の校内体制を構築するかが重要であるとの結論を得た。また、教職員とSC・SSWの連携を図り、SC・SSWを有効に機能させる「支援コーディネーター」が支援の中心に位置づけられるような校内体制を構築した。
4.「入学予定生徒の情報収集・集約の手順」「生徒情報の管理に関するルール」についてマニュアルを作成した。
[調査研究校:京都市立西京高等学校 定時制]
【調査研究課題名】
通信制高校生徒の不登校状態を防ぐ支援体制の構築をめざして
【調査研究成果】
独自の支援体制を構築し、生徒が社会で自立できることをめざした実践により、主に以下の成果が得られた。
【調査研究課題名】
高等学校における遠隔教育の普及促進に関する調査研究
~Web会議システムを用いた遠隔授業による教育効果について~
【調査研究成果】
離島の同じ島内にある高等学校において、Web会議システムを用いて教科「芸術(音楽)」と教科「家庭」の遠隔授業を実施し、効果的な指導及びその成果や課題等について検証するため実践研究を行った。実技を伴わない講義型の授業では、授業に対して肯定的な回答が多かった一方で、実習を伴う調理実習や被服実習、ギター指導などの授業では、送信画像の不明瞭さや音声の途切れなどにより、十分な適時指導・個別指導ができず、多くの課題を残す結果となった。今後、工夫・改善が必要である。また、本土部の高等学校において、同システムを用いて生徒の論理的思考力を高めることを主目的とした遠隔授業を実施した。授業理解度、画像及び音声とも昨年以上に肯定的な回答であった。昨年度の課題であった2教室同時配信については、機器の準備も含め音声環境の改善が進み、授業の目処が立った。今後も、実技を伴う授業に対する工夫をはじめ、一層効果的な指導法、より安定した通信環境の整備、適時指導や個別指導の在り方など、さらなる研究と検証を進めていきたい。
[調査研究校:長崎県立対馬高校、豊玉高校、上対馬高校、島原高校]
【調査研究課題名】
広域通信制高等学校における支援・相談体制の全国展開及び本校専攻科を活用した大学編入等を可能にする進路実現への取り組み
【調査研究成果】
本事業を通し、さまざまなニーズ、課題を抱える生徒へ多様な支援を展開、平成28年度の取り組みにより、以下の成果を得ることができた。
【調査研究課題名】
益田ソーシャルポート(都市と地方の教育ニーズをつなぐバイターン)事業
【調査研究成果】
県内生徒を対象に実施したアンケートでは、88%の生徒が「益田ソーシャルポートの支援により、学校生活を意欲的に送ることができるようになった。」と回答していることから、本事業により一定の効果があったと考えている。専門員による学習支援は確実な単位修得と高校卒業の実現、中退や長期離脱(休学)の防止につながったほか、体験活動や日々のコミュニケーションによる心身の支援は、利用生徒に前向きな変化をもたらした。
(例)以前より表情が明るくなり、積極的に教員や職員とコミュニケーションをとれるようになった。医療機関を受診し、必要な治療を受けた。アルバイトを始めたり、免許を取得したりした。海外留学の準備を始めた。 など
第一次産業の活用に関しては特に県外生徒を中心に、都市部での生活では感じにくい達成感や体をつかって働く楽しさ、命の尊さなどを通じて自己成長を促すことができたほか、益田市での滞在を通じて自立への意識を高めることができたと考えている。
[調査研究校:学校法人益田永島学園明誠高等学校]
初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室