株式会社三菱総合研究所報告書概要

1.定時制高等学校の実態及び課題

  •  勤労生徒の割合は低い一方で、日本語教育について支援を必要とする外国籍の生徒が在籍している学校が23.6%特別な支援を必要とする生徒が在籍している学校が82.3%不登校経験を有する生徒が在籍している学校が95.9%と割合が高くなっており、多様な生徒が在籍している。
     
  •  多様な生徒への対応として各学校が実施していることは、特別支援教育に関すること(64.3%)、生徒へのカウンセリングに関すること(52.4%)、生徒指導に関すること(47.3%)の割合が高い。
     
  •  多様な生徒への対応のための活動として各学校が重視していることは、生徒の状況の把握・学習意欲の維持(60.3%)、キャリア教育(50.3%)、授業における少人数指導(49.9%)であった。この背景には、多様な生徒への対応として、一人一人の状況に応じた教育の実現、学習の動機付け、就職支援等が教育上の課題として認識されていることが考えられる。

2.通信制高等学校の実態及び課題

  •  勤労生徒の割合は低い一方で、特別な支援を必要とする生徒が在籍している学校が81.4%不登校経験を有する生徒が在籍している学校が91.4%と割合が高い。
     
  •  多様な生徒への対応として各学校が実施していることは、生徒へのカウンセリングに関すること(50.3%)、各教科の指導に関すること(面接指導)(36.6%)、特別支援教育に関すること(46.2%)の実施割合が高い。
     
  •  多様な生徒への対応のための活動として各学校が重視していることは、生徒の状況の把握・学習意欲の維持(64.1%)、レポート課題などの添削指導(57.9%)、キャリア教育(40.7%)であった。定時制課程と同様に、多様な生徒への対応として、一人一人の状況に応じた教育の実現、学習の動機付け、就職支援等が教育上の課題として認識されていることが考えられる。
     
  •  面接指導については、週2回以上のコースが35.9%を占めるなど、通学頻度の高いコースもあり、通信教育を基本とする従来の通信制の形態とは異なる教育を行っている学校が一定数ある
     
  •  メディアの活用を行っている学校が66.2%であり、その具体的な媒体としてはNHK高校講座の放送視聴(テレビ、ラジオ、ウェブサイト)の割合が高く、双方向での活用を行う学校は少数にとどまる

3.認可権者に対する調査結果

(1)認可権者としての課題

 教育特区により設置された通信制高等学校及び広域通信制高等学校の認可権者として課題となっていることは、都道府県では「面接指導及び試験を行う施設等の把握、指導等」66.7%、次いで、「許認可後の学校への指導等」及び「面接指導及び試験を行う施設等に在籍する生徒の把握」14.7%、「許認可に関する審査基準の設置」33.3%となっている。また、認定地方公共団体では「認可後の運営状況の評価に関する基準等の設定」66.7%、「許認可後の学校への指導等」66.7%、「許認可に関する審査基準の設定」27.8%となっている。

(2)広域通信制高校の課題

  •  他の都道府県に所在する面接指導施設等の実態把握が困難であり、所轄庁である都道府県だけでは適切な指導ができない
     
  •  一方、他の都道府県が認可権者となっている県内に所在する面接指導施設等を確認し、指導監督する権限がなく、県民からの苦情等に対応できない。
     
  •  広域通信制高校に係る審査基準が各都道府県によって異なること及び広域化の傾向が顕著になり、面接指導施設等に係る所轄庁の指導監督が行き届かない面もあることから、国において統一的な認可・指導監督の基準を設けることが望ましい。
     
  •  これらの課題を踏まえ、広域通信制高校の認可を国が行うか、実際に教育活動が行われている都道府県の知事に実効性のある権限を付与すべき。

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初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成24年05月 --