富山県立富山中部高等学校長 加藤一郎氏 インタビュー概要

1.実施日

平成23年8月22日(月曜日)

2.インタビュー対象者

富山県立富山中部高等学校長 加藤一郎 氏 

3.概要

(学校の概要)

 創立91年。「学力の充実」「品性の陶冶」「心身の鍛錬」を教育目標として、「鍛錬・自治・信愛」の伝統的精神を継承し、健全な心身、優れた知性、豊かな情操を培い、民主的で自主性・創造性に満ちた人間の育成に努めている。平成23年4月からは理数科(昭和44年開設)の募集を停止し、理数科学科・人文社会科学科(総称:探究科学科)を開設している。現在、1学年:普通科5クラス・理数科学科・人文社会科学科2学科2クラス、2・3学年:普通科12クラス・理数科2クラス。

(探究科学科開設の理念と特色)

  •  理数科を発展させた理数科学科に加えて新たに人文社会科学科を設け、「変化の激しい困難な時代に求められる旺盛な探究力、高度な調査能力、総合的な思考力、的確な表現力、対人関係力、課題解決力等の育成」、ひいては、「将来、世界、日本、地域等のいずれの活動領域においてもリーダーとして活躍できる総合的な人間力を備えた人物の育成」を目指している。
  •  総合的な学習の時間及び情報の時間を活用して、探究的な学習に取り組んでいる(1年次:総合的な学習の時間(基幹探究)2単位・情報B(探究技術)1単位、2年次:総合的な学習の時間(発展探究)1単位・情報B(探究技術)1単位)。1学期は、総合的な学習の時間(基幹探究)において、課題研究の基礎学習として、80名をテーマごとに16人の5班に分け、各班に教員2名を配置してティームティーチングを行い、知の本質を意識したゼミ形式の授業を行った。生徒の反応は、予想以上に活発で、教員にとっても新鮮な体験であった。
  •  課題研究におけるテーマ設定・研究活動については、理数科学系は従来の理数科の実績があるが、人文社会科学系においては、経験・実績がほとんどなく、テーマ設定、研究活動の進め方等課題も多いが、高大連携を一層推進するとともに、各教員の意欲的な研究実践活動を進めていきたい。
  •  その他、体験学習(立山実習等)、進路学習、国際交流学習の活用や、日常の学習活動との一体化、教科研究の深化等により、本校における「学び」そのものの進化・発展を目指している。

(普通科も含めた本校における特色ある教育活動)

  •  55分6限の授業:50分7限と比較すると、授業内容の充実と、放課後活動時間の確保が図られ、教員にも生徒にも評価が高い。
  •  新入生合宿:入学間もなく、1年生全員、2泊3日で行う学習合宿。高校における授業の進め方については、中学校とギャップがあるため、予習の仕方や、ノートの取り方などを丁寧に指導している。
  •  このほか、1年次の「進路を考える懇談会」「生き方を考える講演会」、2年時の「大学探訪」「進路講演会」では、各界で活躍するOBの方々のお話を聴くことができ、将来の生き方や具体的な進路選択、受験対策に役立てている。

(高等学校教育の課題について)

  •  高校生の意識は、大学進学をめざして、英数国を中心に、理科、地歴・公民の科目を絞り込んでいく傾向がある。
  •  このことで「知」の偏りやアンバランスが生じ、大学の学問研究や実社会での活動における基礎知識や常識、教養の不足という事態をもたらすことを懸念している。
  •  特に、理科や地歴・公民の科目を幅広く、課題意識をもって学ばせることで、高等学校教育における「知」の在り方、その量と質について、再検討する必要があるのではないかと考えている。
  •  本校における探究科学科開設の理念においては、「課題研究」を中心とし、旺盛な知的好奇心を持ち、常に課題意識をもって探究するという姿勢を重視している。

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年10月 --