茨城県立つくば工科高等学校長 橋本清明氏 インタビュー概要

1.実施日

平成23年8月9日(火曜日)

2.インタビュー対象者

茨城県立つくば工科高等学校長 橋本清明 氏

3.概要

(本校の概要)

 平成9年4月1日に、全国で初めて「工科」という名称を持つ高校名へ改称し、文部科学省から、平成11年度に「総合的な学習の時間」、平成17年度には「目指せスペシャリスト」の研究開発学校の指定を受け、同じく平成17年度に県教育委員会から「科学技術教育重点推進校」の指定を受けた。
 設置学科は電子機械科、情報技術科、建築デザイン科の3学科があり、日本の産業を支える「ものづくりのスペシャリスト」を育てるために、充実した実習施設・設備を備え、国家資格の取得や検定試験合格に積極的に挑戦している。また、普通科志向が強い現在、就職に強い工業高校の良さを情報発信するとともに、一人一人の進路希望実現のため、多様な学習活動を展開し支援している。

(現在の課題)

  •  普通科志向が強い中、現実問題として、不本意入学者がいることも否めない。中学生が、「入りたい高校」で選択するのではなく、学力検査の点数により専門高校へ振り分けられる現実がある。不本意入学を少しでも減らすために、工業高校として、資格取得や就職に強いといった特色を、中学校あるいは中学校の進路指導担当へ説明する機会を設け、具体的な生徒の作品や成果を示しながら、学力検査の点数には表れない工業高校の「良さ」を粘り強く説明している。
  •  進学を希望したり、実際に進学する生徒も少なくないが、「高校を卒業すること」や「大学に入ること」自体が目的化されている。大学を卒業したからといって就職に強いわけではなく、工業高校卒でも近隣の大手企業や優良企業に就職している現実があるが、そういう工業教育の良いイメージが浸透しない。

(今後の在り方について)

  •  デュアルシステムをもっと活用し、学校と企業が連携するべきである。企業のことを分かって就職する生徒は離職率も低く、企業も求める人材を探しやすい。デュアルシステムを積極的に活用すべきとは思うが、教員の意識の問題や財政面の問題もあり、なかなか浸透していない。
  •  人材バンクの活用や、職業訓練校と連携するなど、教員の実技研修にも力を入れるべきである。実技については、必ずしも教員が大学で学習しているとは限らない。教員の実技指導のレベルアップや、そのための研修体制、教員自身の意識改革が必要である。
  •  全国産業教育フェアは、専門高校の良さを全国に発信する場として、極めて重要と考える。財政状況は厳しいだろうが、是非、今後とも継続してもらいたい。また、都道府県で独自に開催する産業教育フェアも継続してもらいたい。
  •  施設・設備の充実は、どこも頭を抱える問題ではあるが、「導入して終了」というものではなく、財政状況が厳しい今だからこそ、産業界の状況を将来にわたって見据えた計画的で弾力的な導入・更新をお願いしたい。場合によってはリース契約や保守契約など、多様な在り方を検討してもらいたい。

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年10月 --