栃木県立宇都宮東高等学校 インタビュー概要

1.実施日

平成23年7月26日(火曜日)

2.インタビュー対象者

栃木県立宇都宮東高等学校 校長 小林邦夫 氏
栃木県立宇都宮東高等学校 教頭 桜井実 氏
栃木県立宇都宮東高等学校 附属中教頭 手塚隆 氏
栃木県立宇都宮東高等学校 事務長 小島栄作 氏
栃木県立宇都宮東高等学校 教諭 外舘孝 氏
栃木県立宇都宮東高等学校 附属中教諭 関栄二 氏

3.概要

(学校の概要について)

  •  本校は県内トップクラスの進学校を作るということで、県立の男子高としては最後の昭和38年に設置された。
  •  卒業後の進路は100%が大学に進学。平成23年度入試では、卒業生166名中118名が国公立大学に進学した。
  •  中学校各学年35人学級の3クラス、高校各学年40人学級の4クラスで、高校から55名が入学する。
  •  高校では附属中学校からの入学生と高校からの入学生を合わせて混合クラスを編成している。中学3年間である程度人間関係ができているが、高校からの入学生もスムーズに溶け込むことができている。

(中高一貫校化と課題について)

  •  平成19年度に栃木県立高校では最初に附属中を設置し、男女共学の中高一貫校化を図った。現在は高校2年生まで共学で、高校3年生は男子のみとなっている。
  •  これまでの男子高校生のみに比べて、中高とも男女共学となり、施設の狭隘化が深刻。部活動をとっても、野球やテニスは中学と高校とでそれぞれにあるため、場所が手狭になっている。また、リスニングなどの試験時間や授業時間など学校運営面にも制約が生じている。
  •  中高一貫教育化で大学進学成績の向上をはじめとした周囲の期待を集めているが、高校教育の成果は進路結果だけでは測れない部分がある。評価は難しい。
  •  中高一貫教育化で、附属中学校から内部進学する場合は高校入試がない。附属中学校から優秀な生徒が入学しており、上位層と下位層でこれまでにない学力差が生じている。学力差を小さくすることが指導上の課題となっている。
  •  学力差の縮小については学力が上位の生徒はさらに伸ばし、下位の生徒は補充授業や課外授業でフォローすることによって縮小化を図っている。中間層の生徒をどう伸ばしていくかが今後の課題となっている。
  •  中高一貫校化で中高一緒に学校行事を実施している。中学校と高校の連携という面から高校の先生も中学で授業を行っている。

(地震の被害について)

  •  耐震工事は大切。3月11日の東日本大震災では、耐震補強工事を行った施設は被害がなく、耐震補強工事を行っていない施設では施設・設備に被害が生じた。
  •  耐震工事は工事によっては騒音の発生や、教室が使用できなくなるなど学校への影響が大きいわりに、耐震工事の効果を実感できるようなことがなかったが、このたびの東日本大震災では耐震工事の効果がよく分かった。

(教員の質向上について)

  •  教員免許更新制度より学校現場が研修の場である。本校では、中学校の先生が高校、高校の先生が中学校で教えることがあり、勉強になるといっている。教員免許更新については、既に更新した先生からすると10年は続けて欲しいといっているが、実施した先生のみにアンケート調査を行っても良い結果しか得られないのではないか。
  •  教員養成の修士化(6年制)は逆に教員の質を低下させるのではないか。現在の6年制の養成課程では、医師、薬剤師、獣医師などであり、それらと教員を比べられると現状では敬遠されてしまうのではないか。もっと教員の待遇、地位を手厚くする必要がある。6年制課程にするのであれば意味のある課程にしなければならない。教員には採用試験があり、医師や薬剤師等と比較し、採用が厳しいため、6年制課程にすれば敬遠されるのではないか。

(附属中の入試制度について)

  •  附属中学校入学にあたり適性検査を実施する。文部科学省の通知により公立は学力検査ができず適性検査となっているが、できれば国立の附属中と同様に小学校の教育内容で学力検査を課したい。適性検査のために塾に通っている児童もいる。
  •  抽選による入学者の決定も課題がある。適性検査に合格した者が定員以上の場合、抽選を行うこととなるが、本人の意欲や適性とは関係がない抽選による入学者の決定は多くの受験生を悲しませている。

(授業料無償化の影響について)

  •  平成22年度から公立高校の授業料が無償化されたため、学校現場においては、負担の大きかった授業料未納者への督促を行う必要がなくなった。
  •  授業料無償化により授業料が無償となったが、学校徴収金の徴収は引き続き行っている。これまでは、授業料の減免対象者を対象に学校徴収金の減免を行っていたが、授業料が原則無償とされ、授業料減免手続きが行われなくなったため、県の授業料の減免基準に準じて、校長会で学校徴収金の減免基準を作成し、学校単位で学校徴収金の減免手続きを行っている。

(文部科学省に対して)

  •  霞が関は国会ばかりに注意が向いているようにも感じる。現場を十分に見て欲しい。施策の立案には現場をみることが大切。ぜひこれからも現場に足を運んで欲しい。

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年10月 --