岩手県立北上翔南高等学校 インタビュー概要

1.実施日

平成23年7月21日(木曜日)

2.インタビュー対象者

岩手県立北上翔南高等学校 校長  久慈行治 氏
岩手県立北上翔南高等学校 副校長 髙橋一男 氏

3.概要

(学校概況について)

  •  本校は、平成16年に普通科の女子校を改編して設置された、進学型の総合学科である。人文・自然・情報・環境の4つの系列を設けて選択幅の拡大を図ることに加え、問題解決能力や主体的な学習姿勢を培う指導を行っている。進路指導部と年次担当との指導がマッチングしており、どの系列からも大学進学者を出し、進学者数も着実に増加している。部活動も活発で、志願倍率は定員の1.3倍を維持し、総合学科に改編して一定の成果が得られていると捉えている。

(総合学科の特色及びその周知について)

  •  総合学科発足当初は、学校の色を出すというのは憚れるという印象があったが、現在は特色ある学校作りが進んでおり、この部分では進化している。本校は進学型の総合学科として創立当初の理念を踏まえ、人文系列や自然系列には大学入試で科される科目を多く設定するとともに、課外授業や模擬試験等も行い、生徒・保護者のニーズに応えている。
  •  総合学科の内容については、中学校生徒・保護者・教員、地域社会はもちろんのこと、高校教育関係者の間でも未だ十分に理解されていない。浸透力が弱いので、特性を上手くPRすることが必要である。そこで、本校では中学校の教員に対する理解を促しているが、中学校の場合は進路指導主任が毎年交代するので、学校全体に広がらない傾向が見られる。行政サイドでも、アピールが求められている。一方、入学後、生徒や保護者は、本校に対して積極的な評価を行っている。いかに生徒たちの「伸びしろ」を引き出すか、それが教員の力量だと考えている。

(教員や施設の確保について)

  •  総合学科では、普通教育及び専門教育に関する、多様な教科・科目の中から自ら選択し学習することができるが、実際には教員数や教室等の問題から時間割編成上の制約を受け、必ずしも自由に科目を選択することはできない。受講者最低10名以上で講座開設することを原則としているが、生徒の多様化や進路希望に応じて、受講者が1、2名でも開設し、きめ細やかな対応を図っている。施設が普通科と同じものであるので少人数授業や同一科目の複数開設は難しい。また、課題研究を円滑に進めていくためには、情報機器の絶対数が必要である。加えて、各教員の持ち時間数も多い。よりよい教育環境を整えていくためには、教員の確保と施設設備の充実が求められている。

(系列や科目選択について)

  •  系列については、生徒の希望を尊重して決定しており、系列を活かした進路先に進んでいる者が多い。また、課題研究の際に、本校には開設されていない看護等の内容を希望する者がいるが、こうした場合にも対応している。一方で、一つの学級の中に複数の系列を配置せざるを得ないなど、学級担任の立場を考えると学級経営等で対応が難しい面も生じている。また、岩手県の場合は、各生徒の次年度の科目選択等については、夏休み前に決めている。教科書の発注等を考えると致し方ないが、秋頃に選択できるようになると、自分自身を深く見つめ、より目的に適った判断がなされ得るものと考える。

(「産業社会と人間」について)

  •   「産業社会と人間」については、1年次に履修させることとしており、基本的に大ホールでの一斉指導、もしくは学級担任によるホームルームでの指導を実施している。教科書がないという特質ゆえ、担当教員は不安と負担感を抱えていることから、検定教科書があればよいと考える。

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年10月 --