盛岡中央高等学校長 富澤正一氏 インタビュー概要

1.実施日

平成23年7月21日(木曜日)

2.インタビュー対象者

盛岡中央高等学校長 富澤正一 氏

3.概要

(学校概況について)

  •  昭和38年に男子校として設置され、平成4年に現在の校名に変更した。普通科、自動車工学科、情報処理科を設置しており、普通科は、さらに特進SPコース、特進コース、進学コース、進学・留学コース、総合コースの5つのコースに分け、生徒個々の個性や能力、そして目標に応じた教育活動を展開している。卒業後の進路は、四年制大学進学約60%、専門学校進学約25%、就職約15%で、近年は東京大学等の難関大学の合格者が増加している。部活動も盛んで、男女共に県内随一の柔道部ほか、野球部・サッカー部・アイスホッケー部・スキー部が活躍している。また、通信制課程も設置している。

(国際人育成教育について)

  •  本校では、グローバルな視点で国際社会に貢献できる人材を育成するために、修学旅行もしくは短期・長期の留学研修を通じて、在学中に必ず海外を経験させている。また、15ヶ国から海外の高校生を招待して交流を図る国際教育フォーラムや海外の姉妹校16校との交流のほか、スポーツ交流会等を行っている。こうした事業により、語学力の向上はもちろんのこと、ものの見方・考え方が変わって進路選択の幅が広がることに加え、ホームステイなどを通して家族の絆や感謝の気持ちが培われ、教育活動全般にわたって大きな効果を上げている。そこで、更なる交流の拡大が望まれる。平成20年にはユネスコ・スクールに加盟している。

(学力向上策について)

  •  個々のレベルに応じた到達度を設け、状況に応じて基礎・基本を教え込むことが大切であり、座学が要らないということはない。学習指導要領に基づく教育課程をおさえないと、判断力・思考力を身に付けることはできない。
  •  本校では、教員の資質向上を図るため、例年、その年に実施されたセンター試験問題について一題ずつ分析させ、どの参考書から類題が出されているのか、どの参考書のレベルであるのかについてもまとめさせている。また、国立大学の推薦入試や個別学力試験で課される口答試問を整理し、類題を作成させている。学力向上を図っていく最初の段階では、学習量を求めることと、テストを用いることで効果が得られるが、それだけでは不十分なので、学習の密度が絡まなければならない。教員は、教材の使い方、教育内容の精選、生徒の潜在的な実力を見い出す透視の眼を養うことが大切である。
  •  関東や関西といった大都市圏の学校を意識している。そういった地域の学校に負けない教育活動を展開する必要があると考えている。

(自動車工学科の現状について)

  •  高等学校では3級整備士の受験資格が得られるが、社会は2級整備士を求めている。卒業段階で社会のニーズに適った資格を取得できるようにすることが望まれる。

(通信制課程の取組について)

  •  本校では、ほとんどの生徒が転入学及び編入学を伴って在籍するに至っているが、個々に応じた学習スタイルを尊重し、9割は卒業している。岩手県では、例年、中学では800名、高校では500~600名程度の不登校生徒が出ているが、こうした生徒に対して門戸を開くシステム作りが不可欠であり、規範意識を備えさせ、社会に出て自立できるよう育成していくことが求められている。教育関係の白書では通信制課程に関する掲載が少ないようにも感じるが、社会全体で問題意識を共有することが肝要である。本校では、社会のために貢献できる人材の育成に努めているが、きめ細かな指導に当たっては手数を伴うことから、通信制課程に係る補助事業も手厚くしていただきたい。

(国際標準規格の取得について)

  •  本校では、平成15年にISO9001を取得して顧客が満足する品質を提供できるような管理システムを導入し、平成20年にISO14001を取得して地球環境にやさしい教育の推進を図っている。これらは、内部審査に加え、外部審査を要し、対応マニュアルの作成が求められることから、文書化システムを推進し、学校経営目標を具体的に設定することにつながっている。

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年10月 --