長野県長野西高等学校中条校 インタビュー概要

1.実施日

平成23年8月1日(月曜日)

2.インタビュー対象者

長野県長野西高等学校校長 櫻井達雄 氏
長野県長野西高等学校中条校副校長 大田一昭 氏
長野県長野西高等学校中条校教諭 清水和久 氏
長野県長野西高等学校中条校教諭 竹内宏枝 氏

3.概要

(学校の概要)

 明治42年に西部農学校として創立し、中条農業学校、中条高等学校と名称を変更してきたが、地域的課題である過疎化に加え、近年の少子化等の影響から生徒数が減少。平成21年4月に中条高等学校としての募集を中止し、新たに長野西高等学校中条校として、長野西高等学校の地域キャンパス校(分校)としてスタートし、本年度より全て分校の生徒となった。
 現在は、地域の高校教育を担うとともに、県内では多部制・単位制の高校が少ないことから、不登校経験のある生徒や発達障害のある生徒なども含めた学び直しの場として期待されている。
 平成19年以降、新入生は20名前後であったが、周辺の中学校へ学校の特色を積極的に知らせていくなど生徒確保に努め、本年度は37名の新入生を受け入れている。

(教育の重点目標について)

 中条校では、(1)生徒の自立と学力の定着、「伸びる力を伸ばす」学校作り、(2)「授業は命」を合い言葉に、授業の質の向上を図る、(3)多様な生徒に対して、尚一層きめ細やかな指導に努める、を三つの柱に取り組んでいる。具体的には、生徒の理解度に応じ、少人数学級において、生徒一人一人に指導が行き渡る授業や指導を行うことで、生徒の顔つきに顕著な変化が現れている。また、生徒の問題行動も少なくなり、退学者も減少している。なお、特別支援専門の教諭を配置するのは難しい現状の中、教員が研修で習得した知識で頑張っている。

(特色ある取り組みについて)

 生徒が、同窓生や地域住民と協働で学有林を活かした森林整備等体験活動を実施。また、「チャレンジ」を学校設定科目として授業に取り組んでおり、その中の園芸・畑作りのコースでは、地域住民から技術や知恵を教わりながら、地域特産の西山大豆の栽培や豆腐作りを行い、在学生と近隣の小中学生も交流を行っている。

(近隣校との連携)

 地域的に生徒数が減っていることから、教員の確保が難しいが、中条中学校との間で、家庭科・美術と音楽の教員を相互に派遣している。

(今後の高校教育の在り方について)

 昔から存続しており、地域の方々に期待のある学校であるが、中山間地といった厳しい状況の中においても、ニーズに応じてその高校教育の役割を担っていくことも大切である。
 小規模校のメリットだが、教師と生徒の距離が近く、生徒のまじめさが伝わってくる。これは、大規模校などの40人学級にはないものであり、欧米での少人数学級が身をもって検証され、教育にかける予算・内容が重要であると考える。一方、小規模校においては、クラブ活動はどうしても個人種目となりがちであり、大きな集団で活動できないことがデメリットではあるが、地域や長野西高等学校本校と連携するなど、工夫して対応していきたい。
 日本全体の傾向であるが、ゆとりと言ったり、また最近では学力向上を唱えたりするなど対応が極端すぎはしないか。そのために、現場においての主軸がぶれてしまい、方向性を見失いがちである。
 教育現場において、若くて優秀な人材を確保することが重要であり、教員全体の人数を増やす方向を望む。

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年08月 --