鹿児島市立鹿児島女子高等学校 インタビュー概要
1.実施日
平成23年5月10日(火曜日)
2.インタビュー対象者
鹿児島市立鹿児島女子高等学校 校長 有馬 秀人 氏
鹿児島市立鹿児島女子高等学校 教頭 坂口 新一 氏
鹿児島市立鹿児島女子高等学校 教頭 大久保幸男 氏
鹿児島市立鹿児島女子高等学校 事務長 折田 久 氏
鹿児島市立鹿児島女子高等学校 教諭 井上裕美子 氏
鹿児島市立鹿児島女子高等学校 教諭 上野 佳世 氏
鹿児島市立鹿児島女子高等学校 教諭 西薗 明子 氏
3.概要
(入試・入学の状況について)
- 生徒募集において専門高校は全体的に苦戦している状況がある。定員割れの学校も多い。本校は平成23年度一般入試で、商業科1.32倍(志願登録1.54倍)、情報会計科1.09倍(志願登録1.11倍)、生活科学科1.13倍(志願登録1.45倍)と定員割れはなかった。例年の傾向としては、鹿児島市内の公立高校においては家政系学科が本校にしか設置されていないこともあって、生活科学科の希望者が多い。
- 高等学校授業料無償化が私立高校にも有利に働き、私立高校を希望する生徒が増えているという意見もある。本校としても、教職員が一丸となり生徒獲得に奔走しているが、状況は厳しい。中学生へのアピールなど様々な手だてを講じて生徒募集に力を尽くしている。歴史と伝統の上に安閑としてはいられない。
(本校への志望動機について)
- 本校では、しつけ教育をはじめとして、徹底した生き方教育を真摯に行っている。それに対する保護者からの支持は高く、学校評価においても、94%の保護者から、本校に入学させてよかったという評価をいただいている。卒業生からも、本校で学ぶことができてよかったという声が多い。保護者や卒業生の薦めも、受験者が多い理由のひとつであると考える。
- 学力だけでなく、人間性の向上にも力を入れているため、就職に強い。就職率は毎年100%で、保護者からの信頼も厚い。
(中退や不登校について)
- 中退者は他校と比較すると少ないが、自由な学校生活を求めて通信制への転学を希望する生徒もいる。学校としては、手だてを尽くして卒業させる努力をしているが、本人や保護者の希望が強ければ転学を認めている。家庭内の事情や人間関係の悩みから不登校に陥る生徒の数は漸増傾向にあるが、家庭との連絡を密にし、カウンセラーを活用するなどして、解決に努めている。
(厳しいしつけ教育についての地域からの反応について)
- 男女共同参画社会の中で、女子だけの学校というのは如何なものかという否定的な意見もあろうかと思う。しかし、男子に甘え、頼ることなく、女子だけで全てを完結させるという、鹿児島女子高校ならではの生活の中で、「雪に耐へて梅花麗し」の建学精神のもと、すばらしい成長が見られるという意見を聞くことの方が多い。
(生徒の進路について)
- 2:1の割合で進学希望者が多い。そのため、進学のための特設教科指導を行い、進路希望実現を図っている。
- 短大では、高校時の資格取得に対する評価が高い。推薦入学にも有利に働くため、資格取得にも力を注いでいる。
- 専門高校の強みを生かして、就職には確固たる実績を収めており、前段でも述べたように、就職率は毎年100%である。また、親の意向もあってか、地元就職志向が非常に強い。
(今後の高校教育の在り方について)
- 少子化に伴い、私立大学や専門学校等の生徒囲い込み競争が激しくなっている。そのために、必ずしも高等教育を受けるにふさわしい学力を身につけているわけではない生徒も進学できる状況がある。そのような中で高校生の勉学へのモチベーションが上がらない実態もあると思う。いかにして生徒たちの学習意欲を引き出すか。教員の指導力向上が喫緊の課題である。
- 知識を身につけ、知識を活用できる思考力を獲得させる教育が必要。
- 実学を、さらに重視すべきである。作品制作や、検定合格を通して得られる喜びや達成感が、次の高い目標へつながる。
- 企業は社員教育にかける時間と経費を抑え、即戦力となる人材を求めている。したがって、高校においては、施設設備の積極的な更新によって、日々技術的進歩のなされる社会の即戦力となる人材を育てることが必要である。
(以上)