原潤之輔氏(兵庫県立加古川北高等学校長)意見発表

 【原氏】  

 25分ですので20分間有効に使わせていただきます。兵庫県から参りました加古川北高等学校で校長をしております原と申します。よろしくお願いいたします。
 実は「今後の高校教育の在り方に関するヒアリング」ということを本県の教育委員会の係の者から、先生、参加をすることになっていますのでということでお電話をいただき、大きな題ですねという話の中でなぜ私がここに行くことになっているのかをちょっと済まないけれども、調べてもらえないだろうかと申しましたところ、先生、よくわからないんですということでしたので、じゃあ何を出せばいいのかなと考えまして、この4月に加古川北高等学校に着任してから学校の新聞を地域に向けて発信をしております。ということで20号までできているものをこちらの係の方に御提出をさせていただきました。
 今日も始まる前にちょっと様子をお伺いしましたら、私が以前神崎高等学校、これは学校の体をなさない学校でした。今日お隣におられます鈴木先生のおられる学校に私が教頭として着任する前に、本校の教師が足立新田に学校訪問をさせていただいたと思います。神崎高等学校です。当時、神崎高等学校といいますのは、年間延べ20名ぐらいの先生が生徒にどつかれるといったような学校。授業中は生徒が廊下をうろうろしている。寝ている生徒は机に伏しているわけではなく、床の上で寝ている。教師が外を歩いておりますと、ロッカーを落としたりとか、要するにこれはいつ殺されても不思議じゃないぞといったようなところで、どんどん人気はなくなり、先生もやる気がなくなり、そういう悪循環を繰り返しておりました。そのときに私が赴任する前に当時の校長先生が足立新田に行かせていただいて、足立新田高校さんの様々なやり方も参考にさせてもらいながら神崎高校は見事に立ち直りました。現在でもそのように頑張っておる学校です。4年間私は教頭として勤めさせていただきましたが、先生方がいかに頑張らなければ学校は立ち直らないかということを本当につくづく考えました。本当に一生懸命身を粉にして働いてくれた先生を私は本当に尊敬もしましたし、現在でもそういうお付き合いをさせていただいております。
 その次に行かせていただいたのは、夢前高等学校という学校でした。これも大変な学校でございました。そのときに、化粧はしているんですけれども、とんでもない化粧なんですね。でも3カ月ほどでその化粧もなくなり、ピアスもなくなり、授業にもちゃんと入り、授業をしっかり受けてくれるようになりましたが、そのときにいろいろな仕掛けをしたんですけれども、そのときに子供たちは目標があまりないんだなというところで、福井県の御出身の幕末の志士でありました橋本左内という方が『啓発録』という本といいますか、自分の思いを書いたものに目をつけました。それを子供たちに話をしました。その後、福井県に行きまして取材もさせてもらったんですけれども、福井県は本当に教育のレベルの高い県だなと思っておりました。向こうでは橋本左内先生と皆さん言っておられました。中学校のときに立志式というのをやりまして、そういう志を持って、そして高校へ進んでいくという伝統があるようでございます。そういったことを夢前高等学校でも取り入れることができないかなということを考えて2年間校長をさせていただきました。本当にいい学校に変わりました。子供たちは誇りを持って制服を着て、本当に高校生としてのこれから自分がどう生きていったらいいかを考えられるような子たちが育っていっているように思います。
 平成22年4月に現在の加古川北高等学校にかわってきたわけなんですが、そのときに先ほどからもお話も出ておりますけれども、先生のやる気というものによって学校というのは変わってくると。こうおっしゃった。誠にそのとおりであると思います。私はOJTですね。on the job trainingをこの4月からずっとやってきたんですけれども、先生方は非常にお忙しいので、あいている先生を校長室に呼んで、そして研修をしていくというようなことをずっとしてきました。つまり教師は教師なんですけれども、本当にプロの教師を育てていこうという気持ちでずっとやってまいりました。それともうひとつ、先ほど申し上げましたように徳育の充実。徳育を充実させていくということ。先ほど申し上げました橋本左内先生のことでもそうですし、いろいろなそういう日本を代表するような方々のお話、あるいは外国の方々のお話ですとか、そういったものを子供たちに聞かせていくということ。これが私は必要なのではないかなと思います。それともうひとつはキャリア教育ですね。ともすればどこそこ大学に何人入ったとか、君は偏差値が今これだけだから、低いからこの大学には入れないよとかのところでとまってしまうことがございます。そうではなくて、君は将来どういう仕事に就きたいんだと。だったらどういう勉強をしていったらいいんだというような自学自習できるようなモチベーションの高い子供たちをつくっていきたいということで、キャリア教育の推進ということをしております。それともうひとつは最後になりますが、地域に学校の情報発信をすることが大変大切であると思って、この新聞を作った次第です。学校の様子がわからず入ってきて、そして不本意入学であるということで学校を去っていくということのないようにということで、こういった新聞を作りました。非常に好評でございます。
 それでは簡単でございますが、あと10分ほどでございます。簡単に説明をさせていただきたいと思います。1号からずっと作っておるんですけれども、まず1年次オリエンテーション合宿を行い、高校生活を円滑に送って欲しいということで、1泊2日でこのようなオリエンテーション合宿を行っておりますけれども、来年度からは4月から2週間ほど学校の中でオリエンテーションをしたいと考えております。そのときに人生いかに生きるか。在り方、生き方をしっかりと教えていきたい。そういう初期の指導をしっかりとしていこうと考えております。
 第2号ですけれども、加古川北は非常に部活動が盛んでございます。文武両道をものすごく言うんです。ところが先生方の中には大変な勘違いをされておられる方もおられました。文と武はフィフティ・フィフティであると考えておられたようです。それは違うんだと。部活動を一生懸命私は応援するよと。しかし文があって、勉強があって、そして武があるんだと。そこを履き違えないように指導者はしてくださいという話をしました。
 そして第3号ですけれども、これは日印交流授業ですね。これは人権教育。あるいは国際理解教育を念頭に置いてこのような会を持ちました。
 それから次の4号ですけれども、これは運動部。運動部所属している生徒が多いということで、緊急に昼休みに全員を集めました。私からメッセージを送りました。そのときの様子です。ここに今集っておるのは全部運動部員です。実は、夏休みに補習をやるんですが、補習に出てこないんですね。運動部の子たちは。それは部活動の顧問の先生に気がねをして出てこない。これを先生方に言いました。夏季補習は全員補習にするということで、昼までは勉強だと。午後からは部活動を一生懸命やれと。計画を立てていた先生もおられましたけれども、あなたはバスケットを一生懸命教えて、子供たちの進路を保証してやれるのかという話をしました。バレーもそうです。陸上もそうです。野球もそうです。そういうことで皆さん納得されました。
 第5号ですね。文化祭です。このときに下の方に書いております特別支援学級の児童を招待しております。子供たちが特別支援学級の子たちの世話をすることによって自己有用感を持つことができるのではなかろうかと思ってこのようなものをしました。
 次、第6号ですけれども、これは文化祭の続きですけれども、ちょうどこのときに、私自身があまり小学校、中学校、高等学校と先生に褒められた経験がございませんで、教師になるときにこのように思いました。1人でも褒めてやろうと。何かあったら褒めてやろうと。こう思いました。そして管理職になってからはそうやって褒めてくれる先生を1人でもたくさん育てていこうと思って現在に至っております。それを具現化しましたのが下のところに書いてございます校長賞です。先生方、どんなことでもいいから言ってきなさい、。推薦してあげなさい。どんなことでも表彰するからと。そうしますと、先生方が変わるんですね。注意して見なかったら褒められないんですよ。ですから先生方は必死になって子どものいいところを探してくれます。今まで50名ぐらい表彰いたしました。生徒たちは本当に喜んでおります。お母さん、お父さん方も非常に喜んで電話をたくさんちょうだいいたします。そんなようなことをしております。
 7号ですね。いよいよ夏の甲子園に向けて戦いが始まりました。夏はいま一歩のところでだめだったんですけれども、そういうことをしながらも人権の講演会ですとか、理科の特別講義ですとか、これは兵庫県にあります甲南大学の先生に来ていただいてこのようなことをやりました。
 そして次の8号ですけれども、これは野球のことばかりになっているんですけれども、しかしそんな中でもメダカのDNAの抽出をやってきなさいと、生徒に好きな子がおりまして、一生懸命に行ってきたんですけれども、ところがいいように書いてあるんですけれども、この子は大変な間違いを犯しておりまして、何かといいますとメダカだと思って持っていたのがブラックバスの子どもだったんですね。他の学校の生徒からもらったみたいですけれども。どういうことかというと、勉強はするんですけれども、本当の体験がないんですね。私たちは小さいころは田んぼですとか、小川で虫をとったり、魚とりをしておったんですけれども、なかなかそういうことはできないということを思いました。
 9号ですね。4回戦進出。こればっかりなんですけれども、下にもこんなことが書いてありますけれども。
 次の10号ですね。またこれも野球なんですね。加古北ベスト16みたいなことが書いてあります。
 11号ですね。オープンスクールをやりました。下のところ、中庭リニューアルと書いてありますけれども、こんなこともちょっとさせていただきました。後は部活動のことですね。文化部も一生懸命頑張っております。
 13号もそうですね。体育大会のことですね。こうやって全部中学校の方に回っております。いろいろ特集ということで出しておるんですけれども、これはケーブルテレビを使いまして、私が交渉に行きまして、うちの生徒を使って英語のレッスンをテレビで流させてくれということで、向こうが折れまして、それだけ言うんだったらやってくださいということで、今やっております。これも非常に人気が高いです。子どもたちが企画してやっております。
 あと、15、16号。これは全部野球なんです。全部野球なんです。いろいろなことを書いてありますけれども、すべて野球なんです。ひょっとしたら選抜に行けるのかなとちょっと心待ちにしておるんですけれども、どうなるかわかりません。向こうが選ぶことですのでわからないです。ということで、私の簡単ですけれども、説明を終わらせていただきます。以上でございます。

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-- 登録:平成23年06月 --