学校法人理事 インタビュー概要

1.実施日

平成22年11月15日(月曜日)

2.インタビュー対象者

学校法人理事

3.概要

(定時制・通信制教育)

  • 定時制教育に40年間、うち13年間は校長として関わってきた経験を振り返ると、今から20年前くらいに「定時制教育の曲がり角」といわれた時期があった。それ以前は勤労青少年の教育の場であったのが、不登校経験者や学力的に課題がある生徒が定時制教育を志向するようになってきた。現在では、小・中学校時代に不登校を経験した者、および他の全日制高校からの転・編入学生の教育の場という様相が強くなってきている。
  • 以前は「全・定・通」という言い方自体が、あたかも高校としての序列付けのように受け取られていた時期もあったように思うし、定時制や通信制が「全日制の補完」と受け取られていた時期もあり、定通に学ぶ生徒にコンプレックスを植え付ける要因となっていた。現在はそういう状況は全く変わっている。生徒自身が、定時制や通信制の教育に魅力を感じて入学してくるし、保護者や中学校の教員の意識も変わり、そうした生徒の選択を尊重している。特に定時制は全日制と変わらなくなってきている。
  • こうした時代では、全日制、定時制、通信制が、それぞれ生徒の成長を促す特色ある教育活動を展開することが求められている。
  • その一方で、我が国の経済状況が厳しくなる中で家庭の経済状況も厳しくなってきたり、あるいは離婚率の上昇に伴い、両親の離婚によるひとり親家庭の生徒が増えてきたりして、結果家計状況により、定時制への教育を選ばざるを得ない生徒もいるという現実もある。そうした生徒に対する修学機会の保障が必要であり、1.私立定時制高等学校に対する経常費助成の増額、2.私立定時制高等学校生徒に対する学費支援、3.定時制課程修学奨励費の増額と貸与条件の緩和、4.私立高等学校等授業料軽減補助金の支給条件の緩和、を当協会として実現すべく活動を行っているところ。
  • 看護師や社会福祉士等の資格を取得するための養成施設の基準が、定時制で満たすには困難である。定時制教育の振興の観点から、見直してはどうか。

(不登校)

  • 不登校経験者は、結果として学力不足となり、高校や大学進学の際にはまだまだ門前払いになってしまうのが現実であると思うが、不登校経験者は潜在的な学力は高く、繊細であるがゆえにつまずいてしまうというケースも多い。再チャレンジできる場がないと立ち直るのは難しい。そういう意味で、定時制通信制のみならず、全日制でも本人の希望を尊重し、入学や転編入を認めることが望ましい。本校では、全日制、定時制、通信制の3課程を併設しており、通信制課程の生徒でも、希望により全日制課程への転籍を認めている。各課程の相互乗り入れがより弾力的にできるようになるとよいのではないか。

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年05月 --