埼玉県立常磐高等学校 インタビュー概要

1.実施日

平成23年2月28日(月曜日)

2.インタビュー対象者

 埼玉県立常盤高等学校 校長 金子光明 氏
 埼玉県立常盤高等学校 教頭 宮澤博之 氏
 埼玉県立常盤高等学校 教頭 島村圭一 氏
 埼玉県立常盤高等学校 教諭 大関京子 氏 (看護専攻科主任)
 埼玉県立常盤高等学校 教諭 川畑清美 氏 (看護科主任)

3.概要

(5年一貫看護師教育の現状と展望について)

(1)本校の生徒の状況

  •  生徒は、小・中学生の頃に、家族や本人の病気・入院体験を通して看護師との出会いがあり、その職業の素晴らしさを実感していたり、身近に看護師をしている人がおり、幼少期から看護師という職業に憧れと親しみを感じたりしている者が多い。
  •  したがって、モチベーションが高く、入学後も課題学習などに積極的に取り組む姿勢がみられるなど、将来、看護師として社会に貢献したいという明確な目的意識を持っているため学習意欲が高い。
  •  郷土を愛する気持ちが強く、実習病院をはじめ、ほぼ100%県内就職であり、地元の病院に就職する者が多く、地域医療を担う中心的存在となっている。さらに、看護師1年目の離職率は、全国平均の9.3%に対して3%程度と低く、生涯にわたり看護師として従事する者が多い。
  •  卒業生に対して、就職先からは、素直で目的意識をしっかり持っているため途中で辞める者が少なく、技術がしっかり身についているなどと、褒めていただいている。
  •  看護師は大卒という流れがある中、高校で看護教育を行うことの利点として、一般的に生徒が素直で実直な傾向があることから、患者本位の看護ができるということがある。精神科において、本校の卒業生がすぐに患者に受け入れられたという例などもある。ただし、数値化されない、人を思い遣るという気持ちの部分を評価することは難しいと思う。

(2)5年一貫校の利点

  •  高校では、生徒一人ひとりの理解力に応じたきめ細かな指導のもとで、生徒が普通教科と看護教科の基礎的・基本的内容を学び、専攻科では、既習の高校の学習内容の中でも、特に重要な科目について重点的に時間を配当したり、実習病院の医師や看護師などの外部講師による専門性の高い講義を実施したりするなど、生徒の年齢、発達段階に応じて、5年間の系統的なカリキュラムを組むことができる。
  •  高校1年次から継続して、学校行事や学級活動を通して、豊かな人間性を涵養するための取組をしており、5学年合同の文化祭、体育祭、球技大会などで異学年同士の交流を図ったり、専攻科生が高校生に健康教育を実施したりするなど、5年間のゆとりある教育の中で、豊かな人間性と質の高い看護のスペシャリストをじっくり育てることができる。

(今後の高校教育について)

  •  専攻科を含めて5年間学んでも、学歴としては高卒であり、誇りが持てなかったり、コンプレックスや劣等感を抱えたりしている生徒もいる。特に本校は、本来なら学力的には進学校に進む生徒が集まってきており、入学後も大学に進学したい意向を持ち続ける生徒もいるので、大学への編入が認められるとよい。早くから看護の道を目指した時点で、高等教育への道が奪われているのが実情である。
  •  普通科高校ばかりが増えているような傾向があるが、目的意識を持って進路を早く見つけた者に対応できるよう、本校のような多様な高校があることが望ましい。
  •  専門高校の生徒にとっても、専門教科の知識や技術ばかりでなく、そのベースとなる一般教養は必要である。生徒にとっては、患者とのコミュニケーションにつながる一般教養を学ぶ最後の機会となることも多く、必履修教科・科目の単位数は維持されるべきだと思う。
  •  5年一貫をさらに発展させた高専化などの取組は、なかなか難しいと考える。それよりも、充実した施設・設備の中で教育を行うために、財政面での支援を引き続きお願いしたい。
  •  看護師に限らず、専門的な技術を身に付けた者が、もっと高く評価されるような社会づくり、例えば職人さんの評価制度等が必要だと思う。それが、専門高校の活性化にも寄与するのではないか。

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年05月 --