愛知県教育委員会 教育委員長 加古 博 氏
(1) 問題の所在
国際化、情報化の進展など、我々を取り巻く社会が大きく変化するとともに、全国の高校進学率が98%を超える状況の中で、生徒の多様化が一層進んでおり、基礎学力の保証、キャリア教育や教育相談の充実等、高校教育に求められる役割はますます多岐にわたるようになっている。
こうした現状を踏まえ、個に応じた教育をより推進し、個々の子どもたちの力を伸ばしていくことが求められている。とりわけ、特定分野における優れた能力をもつ子どもたちを一層伸ばす教育の推進、並びに退学者や不登校経験者の学び直しの場として大きな役割を担っている定時制課程の充実及び高等学校における特別支援教育の推進は、これからの日本の社会を維持・活性化するうえで大切な視点であると考える。
(2) 提言
(1) 問題の所在
現時点での最も新しい研究成果である文部科学省委託事業「高等学校段階の学力を客観的に把握・活用できる新たな仕組みに関する調査研究報告書」(平成22年9月末公表)を見る限り、このテストを導入する目的は、高校教育における基礎・基本の習得の促進にあると思われる。
大学が高校において基礎学力を十分に身に付けた生徒の入学を求めていることは理解できるが、この「高大接続テスト」の導入にかかる議論を高校における学習改善の観点や大学入試制度の改善の観点だけにとどめてしまえば、大学教育全体を見直す機会を逸することとなり、ひいては高校教育の質の向上につなげる機会を失うと考える。
(2) 提言
「高大接続テスト(仮称)」の導入については、大学の単位認定の在り方を含め、大学生の学力の多様化に対応した指導の改善等、大学教育全体の改革を並行して行うことを前提とし、高校側と大学側が慎重に協議したうえで行うべきである。
初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室
-- 登録:平成23年05月 --