群馬県教育委員会からの御意見

所属・現職等

群馬県教育委員会 教育委員(群馬大学大学院教育学研究科(教職大学院)教授) 清水 和夫 氏

御意見

1.高校の学級編制及び教職員定数の改善について

  このことに関しては、平成22年4月の教育関係団体等のヒアリングを経て、平成22年7月の中央教育審議会の初等中等教育分科会において議論されているところですが、次の2点について、今後、一層の検討をお願いいたしたく意見を申し上げます。

(1)学級編制の標準の引き下げ 

 高等学校の学級編制の標準については「高等学校においては一律の学級編制の標準の引き下げより、キャリア教育などの各学校の実情に応じて必要とされる教職員定数を確保することが重要である。」としていますが、特色ある高校教育を推進し、質の高い教育の実現のためには、目的的な定数加配とともに学級編制の標準の引き下げについても段階的な改善をしていただきたい。
 高校教育の現実を見ると、不登校の問題、生徒の学力保証と学習習慣の確立、規律規範の醸成などの指導が必要となってきています。また、一方で少子化に伴う生徒の減少による統廃合等の再編整備も各都道府県の喫緊の課題となっています。こうしたことに効果的に対応していくためにも学級編制の標準の引き下げを引き続き検討していただきたい。

(2)研修用定数の改善

 これからの知識基盤社会を背負う人材の育成のためには、生徒の個性を生かし、かつ質の高い高大連携等を含めた教育の推進が極めて大切であります。このためには高校教員の資質向上のための様々な研修が必要であります。現状を見ると多忙化等を理由として高校教員の研修意欲は必ずしも高いとは言えません。今後は、校内に止まることなく、高い専門性、技術を獲得するための研修やグローバルな視点から教育を見定めるための海外や企業における研修、経営的なものの見方や組織マネジメントを身につけるための教職大学院等への研修派遣などが必要であります。国においてはこうした学びや研修がし易い条件整備として研修用定数の増加を是非、実現していただきたい。

2.免許更新制度及び教員養成制度の改善等の明示

 平成22年6月に「教職生活の全体を通じた教員の資質向上の総合的な向上方策について」文部科学大臣からの諮問を受け、現在、中央教育審議会の教員の資質向上特別委員会等で鋭意、研究協議を進めているところでありますが、教育現場では免許更新制度や教育実習の質的・拡大を伴う養成制度の改善、教員免許の種類の制度設定など教員生活に関わる論議への不透明感と不安感があります。教育制度設定は予算を伴うものであり、慎重にかつ長期的な見通しを必要とすることは理解できますが、教育現場の教員が安心して見通しと意欲を持って教育活動に取り組めるよう早急に施策等を明示していただきたい。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年05月 --