栃木県教育委員会からの御意見

所属・現職等

栃木県教育委員会  教育委員長 岡田 豊子 氏 (株式会社岡田建築設計事務所専務取締役)
栃木県教育委員会  教育委員  廣瀬 隆人 氏 (宇都宮大学生涯学習教育研究センター教授)
栃木県教育委員会  教育委員  河野  遵  氏 (惣誉酒造株式会社代表取締役社長)
栃木県教育委員会  教育委員  栗原 義一 氏 (マニー株式会社取締役)
栃木県教育委員会  教育委員  伏木 由佳子 氏 (主婦)
栃木県教育委員会  教育長   須藤   稔  氏

御意見

○ 今日の高校教育が抱える問題点

 高校教育においては、義務教育を踏まえた学びの基礎を身につけさせた上で、自ら課題を見つけ考える力、知識や技能を活用して課題を解決する力、豊かな人間性を含む総合的な「知」としての教養をしっかりと身につけさせる必要がある。しかし、近年、多様な子どもたちの学びを支えなければならないことから、高校そのものが多様化し、教養を共通に身につけさせることの意義が曖昧になっている。
 また、高校教育は、経済界、産業界から、性急に社会の変化に沿った教育を求められるあまり、本来身につけさせるべき教養、人間としての基礎力を育成することに十分な時間が取れず、社会の発展に寄与できる、真に必要とされる人材を送り出すことができないという状況も生じている。
 今日、高校への進学率が約98%に達する中で、子どもたちの一部には、高校で学ぶ意義についての意識が薄らぎ、単に義務教育の延長上にあるという認識を生んでいる。少子化の影響やこれまでの大学政策などから、大学全入時代と言われるようになり、大学を目指す子どもにとっても、進学が、高校において懸命に学ぶ直接の目的とはならなくなってきた面もある。こうした中で、高校が子どもたちの興味・関心、学ぶ意欲を高めていくための方策をどう導き出し、どのような学びに結びつけていくかということが重要な課題である。

○ その解決策

 教育の在り方について、「学ぶということは、どういうことか。日本が求める学びの本質は何か。」ということを改めて問い直し、人としての土台となるものを着実に育むことが重要である。
 高校教育においては、これまで、新しいタイプの高校の設置、高校の特色づくり、個に応じた学習の充実、教育課程の弾力化の推進、学校外の学修などによる学習機会の拡大等に取り組んできた。今後は、こういった取組に適切に対応することに加え、人間としての基盤となる教養を身につけさせる教育を充実させることが重要である。
 現在、キャリア教育、国際理解教育、情報教育、環境教育など、今日的課題に焦点をあてた教育が推進されている。こうした課題に意識を向けさせることは大切なことであるが、教養がしっかりと身についていれば、自ら解決できる課題でもある。今日的な課題を高校教育に断片的に入れ込むのではなく、総括的に指導していくべきである。
 また、高校における教育を社会人・職業人として将来生きていくために必要な手段と捉える考え方を積極的に取り入れることも、子どもたちの興味・関心を喚起し、意欲を向上させるためには必要であろう。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年05月 --