長崎県立佐世保北高等学校副校長 西川晃二氏 インタビュー概要

1.実施日

平成23年2月17日(木曜日) 

2.インタビュー対象者

長崎県立佐世保北高等学校副校長 西川晃二 氏

3.概要

(高等学校の抱える課題について)

・カリキュラムについて

 新学習指導要領は、いわゆる「ゆとり教育」からの転換とも言われているが、軸足の移動が大きく、現場の教員、生徒にとって、即時的な対応を取ることは難しい場面が多々ある。たとえば、入試科目における地歴公民2科目、理科3科目等の大学側の要求は、学校現場におけるカリキュラム編成に要する時間等があまり考慮されておらず、正直対応を苦慮させられている。本校ではカリキュラム上、入試に対応した教科・科目さらにコースを設定したり、早朝や放課後等、勤務時間外の指導で乗り切っているが、内容・単位時間数的に窮屈にならざるを得ない現状である。内容が増えるに従い当然のごとく時間数の補償が必要であり、週5日制の壁にどうしても突き当たることとなる。

・教育予算・定数について

 経済状況が厳しく、人・予算の少ない中で、今後更に教育予算が削られ、地域から学校が消えていってしまうのではないかと懸念している。地域の学校の統廃合は少子化による面もあり避け得ぬ現実ではあるが、教育施設・人員は地方財政にとっては大きな経済的資産となっている。教育予算をつけることにより地域経済の活性化につながるような方策が取れればよいと思う。更に、定年前の教員は年金への不安により再任用・定年延長への流れがあり、さらに教員になろうとする大学生の採用減もあって、今後、教員の年齢構成が歪なものとなっていかないかと懸念している。

・生徒指導について

 現在の高校生は以前に比べて心がか細い生徒が増えており、それが不登校問題にもつながっているのではないかと感じる。心の弱さは、生活体験の乏しさや生活習慣、親の教育的関心の濃淡(過保護、過干渉、また放任)によるが、高校としては、そうした生徒にどのような対応をとるべきか常に個に即しながら指導にあたっているところである。

 対策としては、例えば、食育と不登校の関係等、親にも問題意識を持ってもらうための取組や、教員側に対してはスキルアップのための研修の機会を増やしていくことが必要である。

・保護者への対応について

 いわゆるモンスターペアレンツについて、全国に目を向けると、教員の中には大変な苦労をしている者もいる。教員にとって励みになるような研修を今後とも文科省、都道府県教委には企画して欲しいし、学校単位でも企画していかねばと思う。

・教員の資質・能力向上について

 教員の人間力・指導力向上、魅力づくりが必要。ある学校の教員集団のなかで、例えば、チューター制度のような形で若手をしっかりとサポートできるベテラン教員を配置するなど、教員の人間力・指導力を養うための取組が必要である。特別支援学校、義務教育諸学校などの異校種体験をさせるといった研修を義務化することや、同一校においての教員同士のコミュニケーション機会の設定などにより、真の意味での教育力を育てていく方策が必要である。

(以上)

 

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初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年05月 --