沖縄県立沖縄水産高等学校 インタビュー概要

1.実施日

平成23年3月4日(金曜日)

2.インタビュー対象者

沖縄県立沖縄水産高等学校 校長 川満雅夫 氏
沖縄県立沖縄水産高等学校 教頭 大城栄三 氏

3.概要

(沖縄水産高校の現状と課題について)

  •  本校は、海洋技術科と9系列の総合学科からなる本科と専攻科からなっており、前向きな教員が多く、積極的に学校運営に関わっている。
  •  専門高校が苦戦していると言われる中、資格取得状況や県内でも屈指の就職内定率を誇ることで高い入試倍率になっている(今年度の入試倍率は1.65倍)。
  •  原級留置や復学した際に、異学年のクラスに馴染めずにいる生徒が多かったが、そのような生徒を対象としたクラスを設けることにより、退学者が減るなど大幅に状況が改善した。今後も、このノウハウを生かし状況に応じた柔軟な対応をしていきたい。
  •  生徒指導については、基準を決め、徹底させるためにきめ細かい指導を行っている。そのために生徒指導の件数が一時的に増えたとしても、そこが頑張りどころであり、学校の雰囲気は変わってきている。
  •  就職については、保護者の意向により就職者の県内志向が強くなっている。正社員の受け皿が少ないので、アルバイトの道に進む者もいる。ただし、経済的に許されない状況が多いためニートは少ない。
〈海洋技術科〉
  •  海洋技術科は、船舶の航海士などを養成する船長コース、船舶の機関士などを養成する機関長コース、沿岸漁業者やマリンレジャースタッフ、インストラクターを養成するコーストマリンコースからなる。
  •  この3月の卒業生の中には、2級海技士筆記試験で4科目中2科目に合格した生徒がいる。資格取得や卒業生の就職状況が良いことから、志願者が増えている。
〈総合学科〉  
  •  総合学科は、平成6年に全国で初めて設置された7校のうちの1校である。当初は4クラス4系列であったが、試行錯誤の中で平成15年に現在の5クラス9系列の形になった。近隣の県立高校家政科の閉科にともない、服飾・調理系列を導入するなど定員も増加させてきたが、系列が多いという意見もあり見直しも検討している。
  •  入学時に系列の希望をとり、1年次では2科目4単位分、系列に関する科目を履修する。1年次の学校設定科目「産業社会と人間」などにおいて時間をかけて系列の説明を行い、9月にアンケートを行いその後の変更も含めて12月には2年次以降の系列を確定する。2年次以降の系列の変更は認めていない。
  •  生徒のニーズに応えられるように系列を設けているが、系列の希望に偏りがあり調整で苦労している。安全管理や施設・設備の関係で、系列の人数に枠を設けなくてはならない。総合学科の理念である「生徒のニーズにあわせて」ということで始まったが、必ずしもそうはいかないことが分かった。
〈専攻科〉
  •  漁業科、機関科の修了生は本年度まで船舶関連企業などへ6年連続就職率100%を達成している。無線通信科も、大手通信企業からの求人もあり100%の就職率である。このため、本校以外からの入学希望者もいる。

(今後の高校教育をめぐる課題について)

  •  学校の課題は地域や生徒の状況によってそれぞれであり、一般解や特効薬はない。
  •  入学希望者を増やすには、高校の出口となる進路保障が第一である。中学生や地域の人々は、生徒がどのようなところに就職、進学しているかを見ている。部活動の活性化では短期的には効果があるが、根本的な学校再建は難しい。
  •  実績をあげて、地域から評価されるまでには5年はかかる。日頃の地道な教育活動により、学校の評価は変えられる。
  •  総合学科について一般的に言えることだが、総合学科が当初掲げた「生徒のニーズに合わせて」という理念を生かそうとすると、開設科目数の問題のみならず、生徒の系列選択の指導などに教員が深く関わらなければならないことなどから、より一層の教員配当が望まれる。
  •  また、総合学科の系列の選択の確定までのスケジュールを、次年度の教科書需要表の提出時期を基準に決めなければならないということも課題である。
  •  他校から専攻科への入学希望者もいることなどから、専攻科で学ぶことへのニーズも多様化してきている。専攻科で学ぶ生徒の進路の在り方についても検討する必要があるのではないか。

(以上)

 

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年05月 --