平成23年2月8日(月曜日)
新潟県立村上中等教育学校長 平澤秀昭 氏
6年間を見通して系統立てて教育活動を進めていくことができるのが最大のメリットである。学校行事については、生徒の発達段階や、中だるみなどの学校生活における意識の変化等を考慮しながら、適切に配置できる。また、教科の内容については、各教科の教員が常に検討しながら進めている。検討した中身はシラバスに反映し、生徒が見通しをもって学習できるようにしている。
中等教育学校における取組の成果は、卒業生を出し、社会人になってその話を聞いてみないとわからないだろう。公立では全国で2番目の開校である本校がようやく10期生を受け入れるところであるから、中等教育学校の真価が問われるのはこれからになるだろう。
中高一貫教育校が増えてくると、一般の中学校と同様に生徒の学力に格差が生じてくる。入学したときには小さい差でも、6年間を過ごすとかなり大きな差となる。教科間で連携した課題の設定、二人担任制等により、きめ細かい指導を実現している。
高校入試を経験しない生徒が生まれることになる。また、教員にとっても、高校入試を経験していない生徒に接するのは初めての経験となる。あまり問題視されていないが、大学入試へのつながりを考えたとき、ここは大きな課題になるだろう。生徒にとっては初めての試練が大学入試となり、そのときの生徒たちの不安は大きい。また、教員の側も、生徒のその思いを斟酌しながら指導を進める必要があり、きめ細かい配慮が求められる。
中高一貫教育校に勤めると、校種の違いを超えて協議しながら指導を行う経験を通して、教員の資質能力は確実に高まる。そこで培った力は、中高一貫教育校を離れても、確実に生きる。
中学校籍の教員と高校籍の教員とでは、生徒に求めるレベルが違っている。ぶつかることもあるが、相互理解は進んでいる。その際、前期課程の指導を後期課程の教員が経験することにより、理解が進むように思われる。お互いに尊重し合うことがポイントとなる。
(以上)
初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室
-- 登録:平成23年05月 --