広島県立西条農業高等学校 インタビュー概要

1.実施日

平成23年1月25日(火曜日)

2.インタビュー対象者

広島県立西条農業高等学校主幹教諭 青木靖樹 氏
広島県立西条農業高等学校農場長・生物工学科教諭 三山泰治 氏

3.概要

(専門高校の抱える課題について)

  • 専門高校において、専門教科・科目を学習するに当たり、義務教育段階での学習内容は、専門的な知識・技術を習得する上で基本となる大切なものであり、確実な定着が求められる。新しい学習指導要領では、「学習の遅れがちな生徒については、各教科・科目等の選択、その内容の取扱いなどについて必要な配慮を行い、生徒の実態に応じ、例えば義務教育段階の学習内容の確実な定着を図るための指導を適宜取り入れるなど、指導内容や指導方法を工夫すること。」と規定されており、本校でも義務教育の学習内容の振り返りも含め、カリキュラムの工夫・改善を図っていくことが必要であると思う。
  • 本校の場合、卒業後、就農する生徒は若干名であり、農業の担い手育成につながる教育内容づくりをしていくことが必要である。そのためにも、プロの農家等とのつながりがもっとできればと考えている。
  • 本校の生徒は、入学時から進学希望者が多く、進学に必要な普通教科・科目の学力も求められるため、これらの科目の比率を高めた類型を設け、多様な進路選択に応えている。また、大学入学後も、本校で補講を行っている。なお、進学希望者でなくても、専門教科のみならず、普通教科もきちんと学習することにより、自分の将来像が見えてくるはずである。
  • 本校では、実習の中でビスケット等を商品として生産しており、食品衛生法に基づく保健所の許可を取得している。また、エタノール製造の実験に関しては、酒税法による国税局(税務署)の試験製造免許の取得及びアルコール事業法による経済産業局長の承認申請(試験研究製造)を行い、授業を実施している。これらの手続きについては、かなりの時間と労力を要した。教科の学習内容として実施する場合については、簡単な手続きで済むよう、関係法令の規制緩和がされればよいと思う。

(今後の高校教育について)

  • 「国や地域のために、いかに社会貢献していくか」という「志を抱く教育」を子どもたちにもっとすべきではないか。知識や技術の習得だけでなく、「卒業してから、どう世の中に貢献していくか」という気持ちの部分を育てていく必要があると思う。卒業生が十年後、二十年後にどのように育ったのか、検証することも必要ではないか。
  • 本校では、学習面以外にも、社会人としての規範意識を高めるために、「時間厳守」・「整理整頓」・「挨拶励行」が重要であるととらえており、本校の全ての教員がこれらのことを徹底する指導を行っている。
  • 本校では、自然や生き物を相手に知・徳・体のバランスのとれた教育を行っており、三年生の文集で、畜産科の生徒の多くが「命の尊さがよく分かった」と記述している。このように専門高校には、いろいろな側面で、普通科にはない魅力があることを周知していく必要がある。
  • そのためにも、専門高校の教育内容をもっと情報発信すべきである。農業高校は農産物を作るだけではないことを知ってもらうことが必要である。例えば、本校では、「西農開発商品のブランド化プロジェクト」を進めるとともに、産学官の連携による環境にやさしい燃料の開発や里山の保全、水質浄化活動など環境面での取組を行っていること、「食と環境の学習」を通して、地球に優しい豊かな人間生活を目指した教育活動を行っていることなどもPRしていければと思う。

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年03月 --