大分県立大分舞鶴高等学校教頭 姫野秀樹氏インタビュー概要

1.実施日

平成23年1月24日(月曜日)

2.インタビュー対象者

大分県立大分舞鶴高等学校教頭 姫野秀樹 氏

3.概要

(大分舞鶴高校の取組について)

 本校は創立60周年を迎え、卒業生は2万6千人を超えており、各界で活躍する卒業生も多い。創立以来SI(School Identity)として、舞鶴魂(「しまれ、がんばれ、ねばれ、おしきれ」)の体得・育成に努める教育活動を行ってきた。県下有数の進学校ながら部活動も活発で、ラグビー部、カヌー部、テニス部、バスケット部などが全国大会常連で、「文武両道」により生徒達の「生きる力」の育成を図っている。
 また「1 学校の組織的教育力のもと、学力の向上を図り、進路目標を達成する力をつける」、「2 部活動をはじめ、特別活動に関する諸条件を整備し、生徒の技能向上を図る」、「3 SSH事業において、多様な評価による成果を積極的に還元し、理数科の特色化と発展を目指す」の3点を中期目標に掲げ、組織的な教育活動を実施している。

(SSHについて)

 平成17年度から大分県内で唯一、文部科学省のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定を受けており、「創造性、国際性を兼ね備えた高い志を持つ科学系人材を育成」するため、学校設定科目「SSH探究」「SSH国際情報」を中心としたカリキュラム開発等の取組を行っている。この取組は、本校におけるキャリア教育の中枢を担っており、学力プラスαの部分を身につけさせるのに非常に効果的な活動となっている。
 また本年度から、コアSSHの指定を受け「大分県からノーベル賞科学者を!」を合い言葉に、理数教育の地域中核拠点校として、県内の理数教育を充実・発展させ、高い志を持った生徒・教員を育成するため、県内の学校と連携して、企業・大学訪問や課題研究等の各種プロジェクトに取り組んでいる。

(魅力ある学校・特色ある学校作りのために)

 生徒の個性や特徴、学校が置かれた状況をきめ細やかに把握することに努め、子ども達をどのように育てていくかという理念を持つことが大事。学校としての明確な理念があれば、生徒達の個性や長所を伸ばし、課題克服することへと結びついていくのではないか。学校を目立たせたい、PRしたいという気持ちばかりが前に出過ぎても、魅力ある学校作りは継続していかない。
 平成17年当時、本校の生徒は自ら学んで行く力(探究力)に課題があると感じていたが、こうした課題をいかに克服するかを考える中で、SSHの活用を決めた。課題を認識し、次に解決のための方策を模索する、この一連の流れを職員全員でしっかり共有することが、組織の力となり、学校が変わる推進力となっていくのではないか。

(進学校に求められるもの)

 昔は大学に入学できたら、その後の就職まで見えてくる時代であった。そういった面では、保護者から進学校に求められるのは「大学進学」と断言できたかもしれない。進学校はとかく進学実績をあげるべしという方向に向きがちであった。しかし今は、大学に入ってもその後の就職が約束される時代ではなくなった。そういった不安を保護者も強く感じているように思う。保護者のニーズは非常に細かく多様化してきている。大学へ進学するための学力はもちろんのこと、思考力や判断力等の能力や豊かな心、健やかな体などプラスαの部分を3年間でいかに身につけさせるかが、今後の進学校に求められる大きな課題ではないか。

(キャリア教育について)

 キャリア教育は、非常に重要であると認識している。本校は生徒のほぼ全てが大学進学を目指す学校であるので、こうした状況を踏まえ、学びの楽しさや魅力を感じることから始め、将来、進みたい学部(学科)やなりたい職業などを考えさせるよう配慮している。
 SSHの指定を受けてから、学校設定科目「SSH探究」を設け、文系・理系のいずれにも対応した複数の講座を開設している。「SSH探究」では論理的な思考力の育成を目指し、教員が担当教科を超え学問の楽しさを喚起させるような教材を開発したり、生徒が興味のある講座を選択受講できるような仕組みにしたり、大学研究者からの講義を実施する等の工夫をしながら、キャリア観の醸成を図っている。
 また各界で活躍するOBを招いて語る会を実施したり、理数科においては大学の研究室や、企業の研究所訪問を実施したりするなど、将来のキャリアを考える機会を積極的に取り入れている。

(今後の高校教育について)

 学問を学ぶ楽しさからスタートするような指導、教育活動を重視すべき。学校教育において知・徳・体を充実させることの重要性は言うまでもないが、知の充実のためには知識に基づく学力だけでなく、学ぶことの楽しさや学ぶことへのあこがれを持たせること、さらに、自ら学ぶ力を身につけさせることも重要。そのためには教員の意識の向上が欠かせないし、学校をあげて指導力の向上に努めていく必要がある。

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年03月 --