山口県立山口高等学校定時制課程教頭 辻岡博之氏インタビュー概要

1.実施日 

平成22年12月3日(金曜日)

2.インタビュー対象者 

山口県立山口高等学校定時制課程教頭 辻岡博之 氏

3.概要

(定時制高等学校の現状と課題について)

○定時制の現状について

 定時制がつくられた当時から比べると、社会情勢の変化もあり、定時制で学ぶ生徒の実態は大きく変わってきた。全国的に見ても、勤労者の割合が減る一方、不登校経験者や特別な支援が必要な生徒の割合が増えている。また、様々な人生経験を積んだ生徒が入学しており、全日制高校の中途退学者の「学び直しの場」、また中高齢者の「生涯学習の場」としての期待も大きい。
 定時制の教室に入って気が付くことは、年齢層や服装の違いであろう。背広にネクタイ姿の中高年齢者、職場の作業着姿の生徒や、派手な髪型や服装をした若い生徒が一つの教室の中で勉強している。
 学力や目的意識の差も大きい。小学校レベルの漢字でつまずき、教科書の内容が十分に理解できない生徒がいる一方で、大学受験を目指す生徒もいる。また学校に対する意識も、高卒の資格だけが目的で登校する生徒、不登校や引きこもりからやっと抜け出して日々の学校生活を満喫している生徒、仕事と学業の両立のために歯を食いしばって頑張る生徒など様々である。こうした現状に加えて、家庭的・経済的な課題を抱えた生徒などもいる。

○課題への対応策について

 このような多様な生徒に対して適切な対応をするには、教職員だけではなく、児童相談所などの関係機関やスクールソーシャルワーカーなどの専門家との連携が必要である。また、奨学金をはじめとする経済的な支援の一層の拡充も必要である。挫折を経験してきた生徒や厳しい生活環境にさらされている生徒には心のケアも重要であり、スクールカウンセラーなどの存在も欠かせない。
 さらに、教育の本来の目的である社会の形成者として必要な資質をしっかりと身に付ける必要がある。実際、就職や進学試験を突破するためには、一定の学力や社会性を身に付けなければならない。そのためには、きめ細かな学習指導や生活指導が不可欠であり、学級編成基準の見直しや教員定数の改善は、喫緊の課題である。

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年03月 --