今後の高校教育の在り方に関するヒアリング(第1回)眞砂和典氏(関西学院千里国際中等部・高等部校長)意見発表

【眞砂氏】

 関西学院千里国際中等部・高等部校長の眞砂と申します。よろしくお願いいたします。
 今までいろいろなお話があって、とても納得したところが多くあります。私は、2つの学校が、1つのキャンパスの中で一緒にやっているという実践から、こういう解決策はどうですかということを示していくことになると思います。多分、資料を見ていただくよりも、スライドがどんどん進みますので、画面で見ていただいたほうがいいかもしれません。
 もう1人のイギリス人の校長と一緒にプレゼンテーションするときは、こういう言葉から始めます。新しいものの組み合わせで何かすばらしいものができないかなということですね。
 まず、今までのお話とかなり重なるところはあると思うのですけれども、反対の部分もあるかもしれません。基本的に文部科学省が取り組まれてきたことは正しいと私は思っています。しかし、入試――高校入試、これはさっき本田さんのお話にも出てきましたけれども、高校入試は、もう偏差値55から58の学校とか、偏差値60から65の学校みたいに輪切りになっていますので、高校入試のために高校は本当に均一化されています。さらにその後、大学を目標にする上部の学校も、大学入試ということのために教育内容が非常に均一化されています。それはある意味、効率がいい、居心地がいいでしょうけれども、これでは学校は変わらないと思います。いろいろな政策をやっても、学校自体が均一化され過ぎている。ですから、私たちは多様性を学校の日常に入れたほうがいいのではないかという考え方で学校を運営しています。
 これも先ほど出てきた話ですけれども、まず大学のほうで留学する日本人が減っているそうです。韓国や中国の大学生はどんどん外に出ていますけれども、日本は逆に減っていると。とても心配な状況かなと思います。
 グローバル30という政策は、30万人の留学生を日本の大学に呼び込もうということで、これはすばらしいと思いますけれども、結構お金がかかるだろうなと思うことと、あと、近所の大阪大学では、どうやって留学生を呼ぼうかな、どうやって英語だけの授業をやろうかなと、話を聞くと結構大変そうだなと思っています。うちのインターからも1人生徒を今回とってくださいましたけれども、留学生集めに結構苦労されているなというのを感じます。
 そのような大学での取り組みも結構ですが、もっと中学・高校から取り組んではどうかと提案します。実際には、日本国内にもいろいろな人材があります。例えば帰国生ですね。帰国生が海外から帰ってきたときに、日本へ同化させるのではない取り組み、受入れを私たちの学校はしています。更に、インターナショナルスクールとか在日外国人学校との協力体制を取ると、日本の中での国際化が非常にうまく進むのではないかという考え方です。
 まず、帰国生の話です。帰国生が海外で学んだことはたくさんあります。彼らは多文化の中で、物差しをたくさん持っていますから、柔軟性もあるし、考える力、生きる力、私たちの目標が彼らの中にはかなり育ってきています。
 それから、語学ですね。英語とか現地の言葉だけではなくて、経験を通して、彼らはコミュニケーション能力を結構持っています。そういう力を是非日本の生徒たちにも伝えたい。帰国生というと、何か1つの型みたいに昔は思っていましたけれども、実際には非常にいろいろな生徒がいます。多様性というふうに言ったほうがいいかもしれません。これを日本に適応させるのはとてももったいないですね。私たちの学校は、帰国生が日本の教育を変えるような、そういうところから20年間やってきました。
 ここで私たちの学校の説明に入ります。2つの学校が1つのキャンパスにあって、上にあるのが大阪インターナショナルスクール――OISとこれから呼ばせていただきます。下にあるのが、私が校長をしているSIS――千里インターナショナルスクール。関西学院千里国際、「千里国際」と呼んだほうがいいかもしれません。2つの学校が一緒にやっているという学校です。
 実際には、インターのほうが人数は少ないので、大きさで言うと、これぐらいでしょうか。合わせてこの3分の1が帰国生です。私たちの学校は、半分ぐらいが帰国生なのです。30カ国くらいの、いろいろな国から帰ってきます。大阪インターの方にも、英語がネイティブの帰国生の子たちは入れます。
 それから、外国籍生徒。これはOIS(インター)のほうに非常に多いです。国数として三十数カ国の生徒がそこに入っています。私たちのパンフレットの中に、どんな国から帰国したかというのが書いてあります。
 それから、それだけではなくて、もちろん一般生ですね。日本の一般の子供たちがそういう生徒たちと混ざり合って、ぶつかり合う。そういう機会を是非つくりたい。そういう学校の仕組みを立ち上げました。
 それを、新国際学校と読んでいます。上の三者が一緒に学ぶ学校という意味です。これは、以前にライシャワー元駐日大使が提言していました。池田さんの先程の話に出てきた1987年というのがあって、ぎくっとしたのですけれども、実は私たちは、これによってできた学校なのですね。このときの臨教審の答申です。新国際学校の第1号は都立国際高校です。ちょっと外国人が少ないでしょうか。帰国生もいますが、都立国際高校はいい学校になり過ぎて、国内で人気が高まり過ぎて、国内生が増えているのではないかなという気がしています。私たちは、新しい学校をつくるために、4年間ほど委員会で研究して、新国際学校をつくるためにはインターと一緒にやろうと、そういう考え方の学校になりました。教員・カリキュラムを共有していますし、一緒に課外活動・学校行事をやっている。授業も相互乗り入れできるという学校です。
 もう少し紹介しますと、大阪インターナショナルスクールは、外国籍の生徒のための学校で、Kはキンダーガーデンの略ですね。幼稚園から12年生(高校3年生)です。それでIBカリキュラムです。インターナショナル・バカロレア。これは世界共通で、どこに行っても、そのカリキュラムが共通していて、海外のどこの大学に行くにも、ある一定の力をつけられるという、とてもすばらしい、ちょっとエリート的なカリキュラムです。それから、授業の言語は英語です。それが大阪インターナショナルスクールです。
 私たちのほう千里国際中・高は、帰国生と一般生、さらに一部外国人生徒、その中には在日の方たちも含み、この学校で学んでいます。学校教育法の1条校です。それで、授業は日本語と英語でやっています。
 千里国際の中学1年から高校3年までの、私たちは7年から12年と呼んでいますけれども、6学年の生徒と、大阪インターのほうは、幼稚園から高3まで。これがなるべく一緒にやろうと。同じ学年のところは、授業乗り入れもやっていこうということです。ただ、日本は4月始まり、インターは9月始まりなので、私たちのほうが、一緒にやるために学期完結制という制度を取り入れました。春学期、秋学期、冬学期。1学期、2学期、3学期ではないのですね。どの学期も独立して、そこである程度勉強が完結する、そういう学期完結型の授業をSISが取り入れたので、一緒にうまくいろいろなことができる。そういうシステムを10年ぐらい前に取り入れました。
 どんなふうなことをやっているかというと、まず左がSIS、右がOISと考えてもらったらいいのですけれども、学校での活動は、ほとんど一緒にやっています。それから、勉強のほうもなるべく一緒にやろうとして、ほぼ一緒にやれているのが、PE(体育)と音楽と美術です。
 私たちの学校のほうの中学生は、3分の1以上は英語による授業になっています。高校は非常に自由に選択できるので、選び方によって2割から8割ぐらいが英語で行われる授業ということになります。また、学校環境が、授業中だけではなくて、生活環境もバイリンガル環境ということになります。
 その3つの美術、体育、音楽ですけれども、よくイマージョン・プログラムというのがこのごろ言われますけれども、英語で授業をやるというだけではなくて、授業の内容自体がインターナショナルスクールで行われている授業にしたいのです。イマージョンよりもシェアードというのが私たちの考えている目標です。
 国際的な教育について。日本の高校生はよく勉強ができると思います。けれど、一生懸命やり過ぎて勉強が嫌いになっている生徒も多いですね。大学合格がゴールで、大学に入ったら、もう勉強なんかするかと思っているような生徒が結構いたりします。これは本当にもったいないですね。
 楽しく、身につくように勉強をするには、いろいろな目標を持ってやるべきだと思いますけれども、1つの教科ごとに勉強するのではなくて、何かやりたいことがあるから、この教科のあれと、あの教科のあれを使うのだというような、そういう教科間の連携が学校の中では絶対必要だと思います。
 それから、これはちょっと子供の場合ですけれども、例えば日本の子供に、「飛行機好き?」と聞くと、「うん」とか、「嫌い」とか言ってくれますけど、国際的な教育を受けた子供たちに聞くと、「Yes, because…」と言って説明してくれますね。なぜ飛行機が好きなのか。「No, because…」、なぜ嫌いなのか。落ちるかもしれないからとか、いろいろなことを言ってくれます。非常によくしゃべります。子供たちは、そういうふうに「because」をつけて話せるようになってほしいですね。
 高校生ぐらいになったら、今度はもう正解は1つではないという、当たり前だと思いますけれども、批判できる、そういう力を育ててほしいと思います。みんなでディスカッションをするのはそのためですよね。それで、私たちが目指しているのは、相手を説得したり、納得させたり、そういう表現力が教育によって身に付いている、それが国際的な教育だと思って、私たちは授業をやっています。
 授業の中にプレゼンテーションを多く取り入れています。各授業で推薦されたものを集めて1年に1回、プレゼンテーション大会みたいなものもやっています。これはそのときの写真です。私も今プレゼンをしていますけれども、私のプレゼンのレベルは生徒より低いです。生徒と一緒にこういう授業をやりながら、私も学んでいるということです。
 これは、学校の英語環境です。友達とクラブをするために英語が必要だったりするので、ふだんの生活で英語を使う機会が多いのです。ですから、英語の授業に対するモチベーションは非常に高いです。英語の授業を真剣に受けています。ネイティブの英語教員が、SIS(千里国際中・高)に6人、インターのほうに3人います。彼らの授業は、英語学校の先生の英語ではないのです。先ほどの齋藤さんの話にもあったように、インターナショナルスクールで行われている授業ができる、そういうネイティブの教員を海外から呼んでこないとだめだと思います。そういう授業を日本の学校でやるべきです。日本人教員は4人なのですけれども、文法であったり、バイリンガルであったり、いろいろなユニークな授業も持っています。
 当然、英語はレベル別にならないとどうしようもないです。日本の普通の小学校から来たうちの中学生は、ABCから始めます。sレベルです。でも、高校になる頃には、海外に数年住んでいたぐらいのiレベルになっています。それでh+というのは、もうネイティブのレベルなので、大阪インターと一緒に英語の授業を取っています。
 こういう授業をやるためには、やはり少人数クラスというのは絶対に必要ですね。いろいろな授業があります。シェイクスピアを読んだり、模擬国連の準備であったり。これは生徒が国連の代表としていろいろな高校から集まってきて、模擬の国連を開くための授業です。今度、模擬国連がありますけれども、学校の2、3人を集中的に、半年とか1年間、勉強させて模擬国連に代表するのではなくて、学校のだれでも行けるような、授業を取ったら行けるような、そういうレベルに引き上げたいと思っています。帰国生は、英語力を保持するのではなくて伸ばすべきだと思いますし、一般の日本の子たちは、第二言語として英語を使えるようになってほしいと思っています。
 国語に関してもそうです。大阪インターは、「あいうえお」から始まる5つのレベルの日本語の授業があり、千里国際中・高は、帰国生のために基礎国語と一般の国語があります。例えば帰国生が帰ってきたときに、どのレベルが一番ふさわしいかと選ぶことができます。こういうところもインターと一緒にやっている利点だと思います。
 これはもう、皆さん詳し過ぎると思いますけれども、全国学力・学習状況調査で、去年の4月まで3年間、うちの学校も参加しまして、全国平均と比べてみました。Aは知識を問う設問でしたよね。うちは、輪切りではないので、本当にいろいろな生徒がいます。帰国生はやはり国語が弱い子もいますけれども、平均よりちょっと高かったのです。私はB問題がとてもおもしろいと思いました。知識ではなくて、応用、活用ですよね。あれが多分私たちが目指しているものかなと思って、この点はどうなるだろうと注目したのですけれども、更に少し良かったので安心しました。
 残念なのは、英語のテストがなかったことです。英語があると、うちは多分Aで20点、Bで30点は全国平均よりもいいだろうと自信があります。今度つくってください。
 また、他の点では、生活環境とか学習環境の調査もありましたよね。この中に、前向きな姿勢、積極的な姿勢を示すような項目があって、例えば、(6)番の「難しいことでも、失敗をおそれないで挑戦している」です。これも今日の話で出てきた、失敗できる学校であるべきだという意見と合致します。生徒は失敗から学びます。今までの日本の学校は違ったけれども、今回こういう質問ができたということは、これはとてもすばらしいと思います。文部科学省もこういう方向を向いているのだろうなと期待しています。
 これは実は、IB(インターナショナル・バカロレア)教育の中に10個の目標があるのですけれども、そのうちのひとつが Risk-taker で、まさにこの(6)番ですね。それがIB教育では目標になっています。
 この点々が大阪府の平均で、周りに飛び出したのが私たちの結果です。いろいろな部分でバランスよく伸びているというのを、国際教育がうまくいっている証拠として持ってきました。
 クラブもシーズン制で、例えばソウルに遠征したり、上海に遠征したり、逆に向こうからこちらにお迎えして、ホームステイさせながら試合をやっています。単にスポーツだけの交流ではなくて、ホームステイの交流というのが非常に彼らにはいい経験になっていると思います。
 音楽の授業もそうですね。先ほど言ったように、シェアードで、英語で行います。左にいるのがアメリカ人の教員です。授業自体が演奏を目的として、コンサートを最後にやるための授業になっています。だから、バンドとかオーケストラ部は、クラブとしてはないのですけれども、授業自体がそういう役割を果たす学校です。
 帰国生受け入れ校として、先ほど出てきた学期完結制を10年ぐらい前に立ち上げました。どの学期に帰ってきても大丈夫なように、各学期を60授業日で区切っています。もう少しすると、秋学期が11月末ぐらいに終わります。ですから、冬休みの前に冬学期が始まっているということになります。帰国生の勉強がスムーズに繋がるように受け入れ可能ということです。どの学期から入ってきても内部の生徒と一緒に勉強を始められる、そういう学校です。
 その学期完結制の中で非常に自由に授業が選べるので、高校生になると、もう1人1人時間割が違うくらいです。友達と一緒にこれをとろうと、最初のころはそうですけれども、自分はこんなことをやりたいから、将来こんな道に進みたいから、この授業をとっていくのだという組み合わせを1人1人が毎学期考えることになります。それで、将来については、毎学期授業選択をしながら、先生と相談しながら進んでいく。これは非常に勉強自体のモチベーションを上げますね。授業中にいいかげんなことをやっていたら、「君、何でこの授業選んだの?」って、教員が聞きます。
 自主性については、勉強だけではなくて、学校行事でもそうです。これは生徒会のメンバーです。これは生徒会のメンバーがハロウィーンパーティーを企画した時の写真です。学園祭ですね。これは運動会ですけれども、右下にいる2人が生徒会長です。彼らが仕切ってやっています。左のほうとか上のほうに教員は立っているのですけれども、下働きです。お手伝いをしています。生徒が運動会を切り盛りしています。
 こういう学校のために、少人数制がどうしても必要で、これぐらいの人数でやっています。高校の授業クラスは授業選択なので、さらに少なくなります。
 ただ、何のための少人数教育かということが問題です。きめ細かく、手取り足取りやろうとは思っていません。生徒の自立を促すためにやろうとしているので、逆になります。「少人数教育だから、もっとお世話してください」という方とは意見がぶつかります。私たちは、生徒が探求して成長することをサポートします。そのための授業の形がこういった授業ですね。宿題の多い学校です。いろいろなことを生徒自身にやらせる学校です。コメントも非常に丁寧に、ABCとかの評価を付けるだけではなくて、言葉で説明する成績表です。
 これは何かというと、実は化学室です。手前が教卓です。その後ろの白いのがテーブル付の椅子です。更に後ろに実験台があります。最初に前に集めて、「こんな実験をやるよ」と説明して、「じゃあ、後ろに行って」と指示して実験します。実験の途中で、「ちょっと前に集まって」というようなことができる。そういう実験室がこういう学校には必要だと思います。
 私たちは、「本物に触れる教育」と言っているのですけれども、覚えるよりも実物に接して、考えるトレーニングを大切にしています。また、うちの学校にはほとんど規則がありません。規則で縛るのではなくて、行動の指針を生徒に示しています。こういったものを大切にして、自分で考えていこう、一緒に考えていこうという姿勢です。何か間違いがあったら、一緒に考えます。この前、インターの子が石を投げてガラスを割ってしまい、困ったなと思っていたら、自分で反省文を書いてきたのです。今回の自分の行為は、自分を大切にしない部分がこうこうこうであった、ほかの人を大切にしていない部分がこうこうこうであったというような反省文を、この5リスペクトを使って書いてきました。学校の思いが浸透していて、とてもすばらしいなと感心しました。授業もふだんの日常の生活も考えるトレーニングになっていると思います。
 室内プールですね。自主的な勉強をするためには、当然、図書館が非常に大切です。自分たちから学んでいく姿勢を身につける。主体的な学習習慣を確立させるのが学校だと思っています。
 これは図書館ですけれども、3万冊の日本語の本と3万冊の英語の本があります。子供たちの英語の本もあります。
 カウンセリングもこういう学校ではとても大切です。日本人2人とアメリカ人が1人います。アメリカ人の先生は、海外への進路の相談にも乗ってくれます。青年期の独特の悩みや進路のことなども、いろいろな形で協力して相談に乗ってくれます。温かいキャンパスです。
 これは運動会の写真ですね。音楽は、運動会でもいろいろなところに出てきます。授業の成果を発揮するためですね。
 進路については、有名大学に行こうとかいうのではなくて、自分の人生の中ではどういう意味を持っているかということを考えるのがふだんの生活です。何をしたいか、いつも彼らは考えています。自分たちで追求する。それをサポートするのが教員ですね。担任はもちろんですけれども、進路情報室がいろいろな情報を提供して、カウンセリングも、短期留学などにも対応します。在学中に1年留学する生徒が全体の1割近く出ます。それから、先ほど説明した授業選択で、「次にこんな授業をとりたいのですけど、どうでしょう」とか、「こういう勉強をしていると将来何に繋がりますか」とかいうようなことをいつも教科担当者と生徒が話しています。
 それで、非常に多彩な進路になっています。ちょっとここは、もう今は飛ばしますけれども、関西学院大学とこの4月に合併したのですけれども、いろいろな学校に行きますし、海外の大学に行く生徒も1割ぐらいいます。多くの指定校があって、いわゆる有名大学の指定校推薦があるのですけれども、生徒が使わないこともあります。そこではなくて違うところに行きたいからですね。そういういろいろな生徒が出てきます。私たちは、自立する生徒を育てたいと思っています。彼らの選ぶものをサポートする、そういう体制をとっています。
 生徒はどこに行っても、自立した姿勢を持っていますから、大学に行くと、非常に違和感があります。五月病になります。先ほど言ったように、日本の大学生の中には、もう勉強しないぞと思っている学生が結構いて、大教室の後ろで携帯をいじっていたり、話していたりしています。うちの卒業生たちは苦しんで、学校に戻ってきます。困った相談を受けるのですけれども、「いや、逆に考えれば、他の学生たちも学費を払ってくれるのだけれど、君たちが教室の前のほうで頑張って教授たちを独占しちゃえばいいじゃない」みたいな感じで、「もう直接研究室に行きなよ。授業ではあまり学ぶことはないかもしれないね」と、ちょっと皮肉で言います。彼らはいつの間にか立ち直って、ゼミなどで活躍しています。それで指定校推薦をまたもらうのです。とにかく彼らは大学に入るための勉強しているのではないのです。自分の人生のための勉強をしています。
 すみません、長くなりましたけれど、私が主張したいのは多様性です。多様な人が集まると、やはりとても居心地悪いです。非常にぶつかり合いが多いです。けれど、異質な他者との違いを認めてみる。自分が染まれと言っているのではないのです。前提として、1人1人が違うということを、うちの学校は大切にしています。認めて、相手を尊重して受け入れる。そうすれば違うがゆえに、非常に多くを学べます。私たちの基本理念は多様性ということです。こういう学校を是非日本にたくさん作ってほしいと思います。お金は少しかかりますけれども、効率よく、均一化されたままの高校教育では深い学びは難しいと思います。
 これは、ミュージカルの写真です。舞台で派手に活躍する人もいれば、下のピットで演奏している人もいる。舞台裏ではメイクや衣装を担当している生徒がいる。それから、これは全部英語でやりますから、日本語の字幕を書く子もいる。いろいろなところでいろいろな生徒が活躍できます。オールスクール・プロダクションと私たちは呼んでいます。
 最初の言葉がまた出てきました。次の写真が大阪インターナショナルスクールのイギリス人の校長です。それで、もうここから先は説明しませんけれども、彼が、おととい、学校説明会でしたスピーチです。とてもいい内容だったので、最後に付けました。日本語訳は私がしたので、あまり期待できませんが、なかなかおもしろいことを言っています。とても柔軟な発想を持った人々が集まった学校です。
 すみません。長くなりました。ありがとうございました。

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