東京都公立高等学校PTA連合会副会長、東京都立大泉中学校・高等学校PTA会長 青木真佐枝氏 インタビュー概要

1.実施日

平成22年11月5日(金曜日)

2.インタビュー対象者

東京都公立高等学校PTA連合会副会長、東京都立大泉中学校・高等学校PTA会長 青木真佐枝 氏

3.概要

(中高一貫教育について)

・  ここ数年、様々なタイプの学校が設置されている。しかし、保護者も、どの学校に我が子を通わせたらいいかわからない状況がある。保護者もいろいろリサーチするが、できたばかりの学校は特色も分かりにくく、選ぶ基準がよくわからない。
・  都立大泉高校(併設型中高一貫)は伝統校であり、中高一貫校への移行に際し、伝統を尊重することとされたので、当初は懸念もあったが、今はうまくいっている。
・  しかし、学年が進行することで既存の高校の生徒がだんだん少なくなることから、生徒も保護者も肩身の狭い思いをするかも知れない。既存校の教育を充実させることが大切である。
・  中高一貫に入ってくる生徒やその保護者は意識が高く、学校側も受け入れやすいのではないか。内進生と外進生が、高校の3年間でうまく融合できればいいと思う。
・  大泉高校はとてもいい中堅校であったが、中高一貫校になったことにより志願者数が増えて門が狭くなり、その結果入れなくなった子どもは、より偏差値の低い学校に行くことになる。これが積み重なって、最終的に本来であれば入れた学校に入れなくなる生徒が生じることを懸念している。目標を下げた生徒、保護者が進学先の学校で活躍できるか疑問である。一部の生徒だけがよい教育を受けられるような教育システムでは困る。大泉では、小学校の保護者に家庭において身につけさせたい8つの習慣を広報している。希望の学校に入れなかった子供に対するバックアップも中高一貫校の責務である。

(キャリア教育について)

・  少子化で高校はほぼ全入の状況だが、それでも中退者が後を絶たない。中学校段階からのキャリア教育が必要ではないか。附属中学では、進路指導部に変えてキャリア教育部として10年後の進路を考えてキャリア教育に取組んでいる。
一貫校だけだはなく、幼小中高それぞれの連携を強化して、子供と保護者両方へのキャリア教育が大切である。

(教職員について)

・  学校は校長の力量にかなり左右されるのではないかという印象がある。校長先生がしっかりしていれば、教職員の保護者をはじめ外部の人間に対する応対もしっかりしたものになり、好印象を与えることになる。その結果、保護者も積極的に学校に関わるようになる。逆に、校長がしっかりしていないと、教職員も外部の人間に対してきちんと対応できず、保護者も学校に協力しようという気持ちにならないのではないか。
・  「名物先生」のような存在は貴重。例えば、部活動は学校の特色にもつながるので、顧問の先生はなるべく異動しないような仕組みがあればよいと思う。顧問の人事異動によるそれまで活発だった部が廃部になることがある。
・  スクールカウンセラーの配置は重要だが、現状では週に一日程度しか学校にいないので不十分である。更に、カウンセラーは資格より、経験値や能力が大変重要な点である。巡回ではなく、配属された学校に専属で、生徒や保護者、教職員と密に対応できるカウンセラーの配置が望まれる。

(定時制高校について)

・  定時制の高校が減りすぎているのではないかとの保護者の意見を聞くことがある。
現状の定時制は不登校の生徒の受け入れ場所ともなっている。3部制などの昼間定時制が整備され、より生徒の通いやすいタイプの定時制が増えてはいるが、まだ周知が足りなく、選びきれずに行き場のない生徒が出てくるのではないかと懸念している。

(大学について)

・  大学全入といいつつ、一部の大学に入学志願者が集中している。一方で大学生の就職の問題もある。大学の在り方について、社会全体で考えるべき。

(保護者について)

・  幼保一体化の議論がなされているが、親にもっと子育ての基本を教えるべき。以前は、生後数ヶ月は母親が家にこもって子育てをしていたが、最近は育児雑誌などもそうしないでいいような雰囲気を助長するむきもある。親が自分の行きたいところ(遊園地や居酒屋など)に幼児を連れて外出している光景もよく見られる。社会全体で「子育て・親になること」を考えなおす必要がある。
・  義務教育課程でも、本来、家庭教育でなされる基本的な「しつけ」の部分も学校に任せっぱなしで、教育活動やPTAに非協力的な保護者が多い。

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成22年12月 --