宮城県中新田高等学校教頭 小松敦氏 インタビュー概要

1.実施日

平成22年10月28日(金曜日)

2.インタビュー対象者

宮城県中新田高等学校教頭 小松敦 氏

3.概要

(高等学校の抱える課題について)

・生徒の価値観の多様化、モラルの低下
情報化社会でいろいろな情報が入ってくるなか、生徒の価値観が多様化し、生徒指導や進路指導等で対応が難しくなっている。学校が理想としている高校生像や、高校生とはこうあるべきだという考え方が通用しなくなってきている。設置されている地域や校種にかかわらず、これまでは人間として当然、道徳として当たり前としてきたことまで指導しなければならなくなっており、生徒指導や進路指導を学校として同じ方向、同じ基準ではできない。進路指導では、いろいろな進路が考えられるなか、生徒自身目標としているものが見えなくなってしまい、現実的な選択を見出せないような状況にある。
人間関係が希薄になっていることが影響しているとも考えられるが、生徒にモラルの低下が見られる。自分さえよければという個人主義的な傾向があるように感じる。

・家庭の教育力の低下
問題行動を起こした生徒の保護者と話していて、事実を説明しても通用しないような例が増えてきている。なかにはクレーマーのような保護者もおり、誠心誠意対応をしていてもクレームをつけられることがある。

(課題への対応策について)

教科指導も含め、道徳教育を各高校でもやっているが、中学校段階までで個性はかなり固まるのが実態であり、なかなか高校段階で生徒の多様な価値観やモラル向上に向けた指導するのは難しい。ゆとり教育のあたりから価値観の多様化、個性の伸長といった方向ができたと思うが、その結果、道徳のようなひとつの価値観があるようなものにさえ、価値観が多様化してきている。生徒は、自己主張や発表は上手になったと思うが、周りに配慮・協調して主張しているものではない。コミュニケーション能力は非常に大切であり、人間関係がないところでは相手に通じない。コミュニケーション能力を高めることと同時に、人間関係を高めるような指導が必要ではないか。

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成22年12月 --