地域との協働による高等学校改革の推進について(通知)

30文科初第483号 
平成30年8月20日


各都道府県教育委員会
各指定都市教育委員会
各都道府県知事                    殿
附属高等学校又は中等教育学校を置く各国立大学長
高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長


文部科学省初等中等教育局長
髙橋 道和
文部科学省生涯学習政策局長
常盤 豊


地域との協働による高等学校改革の推進について(通知)


1.高等学校改革に関する最近の動向について
(1)新高等学校学習指導要領の公示
 高等学校改革については,平成28年12月21日の中央教育審議会答申「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」を踏まえ平成30年3月30日に公示された「学校教育法施行規則の一部を改正する省令(平成30年文部科学省令第13号)」及び「高等学校学習指導要領の全部を改正する告示(平成30年文部科学省告示第68号)」(以下「新高等学校学習指導要領」という。)において,基本的な考え方として,子供たちに求められる資質・能力とは何かを社会と共有し,連携する「社会に開かれた教育課程」を重視するとともに,主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善,各学校におけるカリキュラム・マネジメントの確立等に取り組むべきことが示されたところです。
(2)地域学校協働活動の法制化等
 また,平成29年3月に地方教育行政の組織及び運営に関する法律及び社会教育法が改正され,地域と学校の連携・協働の推進に向け,学校運営協議会の設置を努力義務化するとともに,地域全体で子供たちの成長を支え,地域を創生する地域学校協働活動の推進について規定されました。社会教育関係者をはじめ地域の多様な主体と学校が連携・協働し,高校生が地域課題を解決する取組を地域の住民や団体等と共に企画・実施することは,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に大きな意義を持つものであり,地域への愛着や地域の将来を担う当事者としての意識の向上など,地域の持続的な発展にも資することが期待されるものです。
(3)「Society 5.0に向けた人材育成~社会が変わる、学びが変わる~」における提言
 さらに,文部科学大臣のもとで取りまとめられた「Society 5.0に向けた人材育成~社会が変わる、学びが変わる~」(平成30年6月5日。以下「報告書」という。)(別添資料1)において,地域には,それぞれ生きた課題が多く存在するため,生徒の地域への興味や関心を深め,地域の課題を探究する重要な機会を提供できることから,生徒にとって最も身近である地域と学校とが手を携えながら,体験と実践を伴った探究的な学びを進めていくこと等が高等学校において必要であるとされております。
(4)高等学校改革に関する閣議決定
 高等学校は,国家及び社会の形成者として必要な資質等を養うこと等を目標としているとともに,卒業後に進学・就職等で地元を離れる場合には,地元における最後の教育機関となることから,新高等学校学習指導要領や報告書を踏まえ,生徒の学びの質の向上のために高等学校と地域が協働し,高校生が地域の産業や文化への理解を深めるための機会を提供することは,地方創生の観点からも重要です。このため,「経済財政運営と改革の基本方針2018」(平成30年6月15日閣議決定)(別添資料2)においては,「地域振興の核としての高等学校の機能強化を進める」こと等が重要課題への取組として位置づけられるとともに,「まち・ひと・しごと創生基本方針2018」(平成30年6月15日閣議決定)(別添資料3)においては,高等学校が,地元市町村・企業等と連携しながら高校生に地域課題の解決等を通じた探究的な学びを提供する取組を推進すること等が明記されたところです。
(5)教育再生実行会議における議論
 平成30年8月3日に開催された政府の「教育再生実行会議」において,今後の議論のテーマとして「新時代に対応した高等学校改革」が掲げられたところであり,今後地域及び産業界との連携の在り方等についても有識者による議論が行われる予定となっています。

2.各地方公共団体における積極的な取組の推進について
 こうした政府における各種の決定・報告等も踏まえ,文部科学省としては,地域との協働による高等学校改革について具体的な推進方策の検討を進めており,現時点における取組のイメージや先進事例等をホームページに掲載しております。各位におかれては,これらも参考としつつ,高等学校と市町村・産業界・高等教育機関・社会教育施設(公民館等)等とが協働し,地域課題の解決等を通じた探究的な学びを実現する取組を推進していただきますようお願いいたします。その際,各都道府県等においては,効果的な取組を推進するため,学校教育担当部局と社会教育担当部局等,さらには高等学校の所在する地元地方公共団体等との連携に御留意いただくようお願いします。
都道府県教育委員会におかれては,所管の高等学校及び域内の高等学校を設置する市(指定都市を除く。)区町村教育委員会に対して,各指定都市教育委員会におかれては,所管の高等学校に対して,各都道府県知事及び高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては,所轄の高等学校及び学校法人又は学校設置会社に対して,それぞれ本通知を周知していただくようお願いします。
 また,これらの取組の推進にあたっては,上記のとおり地域学校協働活動として実施することも想定されるほか,高等学校を活用した地方創生や離島振興の取組等に関して,地方創生推進交付金や離島活性化交付金を活用している事例もあります。これらの関係施策等についてもホームページに掲載しておりますので,活用にあたり疑問点等があれば,御相談ください。


地域との協働による高等学校教育改革の推進(文部科学省ホームページ)


【別添資料一覧】
別添資料1 Society 5.0に向けた人材育成~社会が変わる、学びが変わる~(平成30年6月5日)関係部分抜粋
別添資料2 経済財政運営と改革の基本方針2018(平成30年6月15日閣議決定)関係部分抜粋
別添資料3 まち・ひと・しごと創生基本方針2018(平成30年6月15日閣議決定)関係部分抜粋


本件担当
初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室
TEL:03-5253-4111(内線2022)
生涯学習政策局社会教育課
TEL:03-5253-4111(内線3284)

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

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(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)