高等学校等の専攻科の課程を修了した者の大学への編入学制度の創設に係る関係省令・告示の施行について(通知)(平成28年文科初第35号)

28文科初第35号
平成28年4月1日

各都道府県教育委員会
各都道府県知事
各構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長
各国公私立大学長
各国公私立高等専門学校長
大学を設置する各地方公共団体の長
各公立大学法人の理事長
大学・高等専門学校を設置する各学校法人の理事長
大学を設置する各学校設置会社の代表取締役
独立行政法人国立高等専門学校機構理事長
独立行政法人大学改革支援・学位授与機構機構長 殿

文部科学省初等中等教育局長
小松  親次郎

文部科学省高等教育局長
常盤 豊

(印影印刷)


高等学校等の専攻科の課程を修了した者の大学への編入学制度の創設に係る関係省令・告示の施行について(通知)


学校教育法等の一部を改正する法律(平成27年法律第46号。以下「改正法」という。)が平成28年4月1日に施行されたことに併せて、学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号。以下「施行規則」という。)等の関係省令・告示を整備し、同日から施行しました。【別添参照】
関係省令・告示においては、改正法において文部科学大臣が定めることとされた、高等学校、中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部(以下「高等学校等」という。)の専攻科のうち、その課程を修了した者が大学に編入学することができる高等学校等の専攻科(以下「大学に編入学することができる専攻科」という。)の課程の基準を定めるとともに、一定の要件を満たす高等学校等の専攻科の課程における学修を大学、短期大学及び高等専門学校において単位認定することができる学修に加えました。
あわせて、短期大学及び高等専門学校の専攻科の入学資格に、大学に編入学することができる専攻科の課程を修了した者を加えるとともに、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が学士の学位を与えることができる対象として大学に編入学することができる専攻科の課程を修了した者を加えました。
関係省令・告示の概要及び留意事項は下記のとおりですので、事務処理上遺漏ないよう願います。なお、改正法関係省令・告示のうち義務教育学校制度の創設に係る事項については、27文科初第1593号により別途関係者に周知済みです。
あわせて、各都道府県教育委員会におかれては所管の学校及び域内の市町村教育委員会に、各都道府県知事又は構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては所管の学校又は所轄の学校法人に、本通知の内容を十分周知されるようお願いします。



第1 高等学校等の専攻科の課程を修了した者の大学への編入学について

1.大学に編入学することができる専攻科の課程の基準について

(1)高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。以下同じ。)の専攻科の場合における、大学に編入学することができる専攻科の課程の基準の概要

  1. 修業年限が2年以上であること。(施行規則第100条の2第1項関係)
  2. 授業科目を履修した生徒に対しては、審査、試験その他の高等学校の専攻科の教育の特性を踏まえた適切な方法で、学修の成果を評価した上で単位を与えること。(平成28年文部科学省告示第63号(以下「告示第63号」という。)第2条関係)
  3. 1単位の授業科目を45時間の学修を必要とする内容をもって構成することを標準とし、授業の方法に応じ、当該授業による教育効果、授業時間外に必要な学修等を考慮して、以下の基準により単位数を計算すること。(告示第63号第3条第2項関係)
    1)講義及び演習:15~30時間までの範囲で高等学校が定める時間の授業をもって1単位とすること。
    2)実験,実習及び実技:30~45時間までの範囲で高等学校が定める時間の授業を1単位とすること。ただし、個人指導による実技の授業については、高等学校が定める時間の授業をもって1単位とすることができることとすること。
    3) 1)及び2)の方法の併用により行う場合については、その組合せに応じ、1)、2)の基準を考慮して高等学校が定める時間の授業をもって1単位とすること。
  4. 修了研究、修了制作等の授業科目については、これらの学修の成果を評価して単位を授与することが適切と認められる場合には、これらに必要な学修等を考慮して、高等学校が単位数を定めることができること。(告示第63号関係第3条第3項関係)
  5. 同時双方向型の遠隔教育の方法により教室等以外の場所で授業を履修させることができること。この方法により修得する単位数は、専攻科の全課程の修了に必要な総単位数のうち3/4を超えないものとすること。(告示第63号第4条関係)
  6. 通信制の課程について、通信教育用学習図書等による授業又は放送等による授業の授業科目について単位数を定めるに当たっては、3、4に関わらず、45時間の学修を必要とする通信教育用学習図書等又は放送等による学修をもって1単位とすること。(告示第63号第6条関係)
  7. 通信制の課程について、通信教育用学習図書等による授業又は放送等による授業と面接指導による授業又は第4条第1項の方法による授業との併用により行う場合においては、3、4及び6の基準を考慮して当該授業科目の単位数を定めること。(告示第63号第7条関係)
  8. 全日制の課程又は定時制の課程の場合、全課程の修了要件は、当該課程に修業年限の年数以上在学し、62単位以上を修得するものであること。通信制の課程の場合、当該課程に修業年限の年数以上在学し、62単位以上を修得することと、120単位時間(1単位時間の標準は50分)に修業年限の年数に相当する数を乗じて得た授業時数以上の面接指導による授業を履修することのいずれにも該当することを要件とすること。(告示第63号第5条及び第8条関係)
  9. 専攻科の教員の数は、全日制の課程又は定時制の課程にあっては別表第1に定める数以上、通信制の課程にあっては別表第2に定める数以上とし、その半数以上は専任の教員でなければならないこと(別表に定める数の半数が3人を下回る場合にあっては3人以上)。(告示第63号第9条及び第10条関係)
  10. 専攻科の教員の資格は、次のいずれかに該当する者で、その担当する教育に関し、専門的な知識、技術、技能等を有するものでなければならないこと。(告示第63号第11条関係)
    1)大学に編入学することができる専攻科の課程を修了した後、学校等においてその担当する教育に関する教育、研究又は技術に関する業務に従事した者で、当該専攻科の課程の修業年限と当該業務に従事した期間とを通算して6年以上となるもの
    2)専修学校設置基準(昭和51年文部省令第2号)第41条第1号から第5号までに該当する者
    3)その他1)、2)に掲げる者と同等以上の能力があると認められる者
  11. 専攻科の専用教室の面積は、全日制の課程又は定時制の課程にあっては1の学科のみを置く場合は別表第3イの表により算定した面積以上であること。2以上の学科を置く場合は、これらの学科のうち別表第3イの表第3欄の収容定員40人までの面積が最大となるいずれか1の学科について同表により算定した面積と、当該1の学科以外の学科について、それぞれ別表第3ロの表により算定した面積を合計した面積を、合計した面積以上とすること。(例えば、160人の看護に関する学科と、40人の工業に関する学科及び農業に関する学科を置く場合は、看護に関する学科を別表第3イの表で計算し、工業に関する学科と農業に関する学科をそれぞれ別表第3ロの表で計算した後、それら3つを合計した面積となること。)(告示第63号第13条関係)
    通信制の課程にあっては、1の学科のみを置く場合は別表第4イの表により算定した面積以上であること。 2以上の学科を置く場合は、これらの学科のうち別表第4イの表第3欄の収容定員80人までの面積が最大となるいずれか1の学科について同表により算定した面積と、当該1の学科以外の学科について、それぞれ別表第4ロの表により算定した面積を合計した面積を、合計した面積以上とすること。(告示第63号第14条関係)【別表については,告示第63号の別表を参照】

(2) 特別支援学校の高等部の場合における、大学に編入学することができる専攻科の課程の基準の概要(平成28年文部科学省告示第64号)
1. 上記(1)の1から5まで、8の前段及び10に定める基準を満たすこと。
2. 専攻科の教員数は、別表に定める数以上とし、その半数以上は専任の教員でなければならないこと(別表に定める数の半数が3人を下回る場合にあっては3人以上)。【別表については、告示第64号の別表を参照】

(3)留意事項

  1. ここでいう「大学」には短期大学を含むこと。
  2. 上記(1)及び(2)に示す基準(以下「基準」という。)を満たす高等学校等の専攻科の課程の修了者であれば、改正法の施行以前に修了した者についても編入学の対象となること。
  3. 各大学においては、編入学を希望する者が修了した高等学校等の専攻科の課程が基準を満たしていることについて、確認をした上で編入学の許可をすること。その確認に当たっては以下のような方法が考えられること。
    ア 各高等学校等が発行する修業年限2年以上その他の文部科学大臣が定める基準を満たす高等学校等の専攻科の課程を修了したことを証明する証明書を、編入学を希望する者から提出させること。
    イ 上記により難い場合には、編入学を希望する者が修了した各高等学校等、当該高等学校等を設置する都道府県教育委員会又は所轄の都道府県等の協力を得つつ、当該課程が本件に係る基準を満たしていることを確認すること。
    その際、他の学校種の卒業者又は修了者の編入学の場合と異なり、大学が確認すべき事項が多岐にわたることから、専攻科を置く高等学校等や管理機関等において、共通性に配慮しつつ、大学が確認すべき事項に関する一覧性の高い証明書を発行することも考えられること。
    なお、専攻科を置く高等学校等において関係書類が滅失した等の理由により各高等学校等による証明が困難な場合は、管理機関等において、大学の確認に必要な事項の提供に努められたいこと。
  4. 各大学は、編入学を希望する者が修了した高等学校等の専攻科の課程が基準を満たしていることを確認した上で、編入学の許可に当たっては、編入学を希望する者が修了した高等学校等の専攻科の課程の分野や履修内容について考慮することが必要であること。
  5.  ここでいう専任の教員とは、主として高等学校等の専攻科の教育に従事するために配置されている教員を言い、高等学校等のいわゆる本科の教育を行うことができないものとする趣旨ではないこと。同様に、専用の教室も、主として高等学校等の専攻科の教育のために確保される教室を言い、当該教室を高等学校等の本科の生徒が利用してはならない趣旨ではないこと。
  6. 高等学校の専攻科の広域の通信制の課程等であって、主たる校地から遠く隔たった場所に面接指導等による授業を行うための施設を設ける場合、当該施設、主たる校地に設置する校舎ともに、教育に支障がない体制、施設とすること。
    また、科目履修生等正規の課程の外の生徒を受け入れる場合も、教育に支障がないような体制、施設とすること。
  7. 特別支援学校の高等部の専攻科については、在籍する児童生徒等の障害の状態に応じ、必要となる施設や設備が様々であること等から、各学校の状況に応じた柔軟な対応が可能となるよう、特別支援学校について設置に当たっての統一的な基準を設けていない趣旨に鑑み、このたび、高等学校に関する上記(1)11のような施設の面積に係る基準は設けていないものの、対象とする障害種に応じた十分な教育環境を確保する必要があること。
  8. なお、上記(1)及び(2)の基準は、大学に編入学することができる高等学校等の専攻科の課程に関する基準を定めるものであり、新たに設置基準等の高等学校等の専攻科に係る通則を設けるものではないこと。このため、修了者について大学等への編入学を予定しない高等学校等の専攻科においては、従前どおり,高等学校設置基準等の規定の下に、多様な教育を行うことが可能であること。

2.編入学した大学の修業年限から控除する期間について

(1)概要
1.の基準を満たす高等学校等の専攻科の課程を修了した者は、大学の定めるところにより、当該大学の修業年限から、修了した高等学校等の専攻科における修業年限に相当する年数以下の期間を控除した期間を在学すべき期間として、当該大学に編入学することができること。ただし、在学すべき期間は、一年を下ってはならないこと。(施行規則第100条の2第2項関係)

(2)留意事項
編入学した大学における修業年限から控除する期間を定める場合には、編入学者が十分な学修成果を得られるよう、高等学校等の専攻科における授業科目の履修状況などを考慮しながら、当該大学における教育を組織的・体系的に受けられるよう相当な期間を確保することが必要であること。


3.高等学校等の専攻科に係る評価について

(1)概要
1.の基準を満たす専攻科を置く高等学校等は、当該専攻科について、施行規則第104条第1項において準用する第66条第1項の規定による評価の結果を踏まえた高等教育の段階における教育活動等に関し識見を有する者その他適当と認める者による評価を行い、その結果を公表するものとしたこと。(施行規則第100条の3関係)
(2)留意事項

  1. この評価は、施行規則第104条により準用する第66条による自己評価の結果を踏まえて実施するものであり、自己評価の項目の見直し等も適切に判断するべきこと。
  2. 各高等学校等においては、評価結果とともに、年間の授業計画や指導内容等を外部者に分かりやすい形で公表することが望ましいこと。
  3. 評価と結果の公表に関しては、以下のように取り扱われたいこと。
    1)趣旨
    高等学校等の専攻科に係る評価は、「子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築について」(平成26年12月中央教育審議会答申)に基づく編入学制度の創設に伴い設けるものであり、学校教育法(昭和22年法律第26号。以下「法」という。)第62条で準用する法第42条の規定の趣旨を踏まえつつ、学校運営活動その他の状況を本科と分けて点検し、当該専攻科の質の改善につなげていくことが必要であること。
     2)評価者
    評価者には、相当数の大学関係者や高等教育の評価を担う業務に従事する者等を入れることが必要であり、具体的には、各高等学校等の専攻科の課程に関する大学等の学科の教員等が考えられること。
    また、これらに加えて、各高等学校等の専攻科の設置の趣旨を踏まえた多面的な評価を行う観点から、専門職業人を加える等の体制によって実施することが考えられること。その際、施行規則第104条で準用する第67条による評価(以下「学校関係者評価」という。)と合同で実施することで、評価を多面的なものとすることも考えられること。
     3)評価項目
    評価項目については、各高等学校等において適切に定めるべきものであるが、この評価制度が編入学制度の創設に伴い設けられることを踏まえ、少なくとも、施行規則第100条の2第1項に規定する基準に掲げる項目について、指導体制等を点検し、高等教育段階の教育を行うにふさわしいものであるかどうか等を点検する内容を含むべきものであること。
     一方で、各高等学校等の専攻科の設置の趣旨を踏まえた、専門職業人の養成の観点等を含めた多面的な評価を行うことが適当であることから、学校関係者評価との役割分担を各高等学校等において適切に判断しつつ、多面的な評価を行える項目立てとすること。
    4)制度の開始及び頻度
    この評価は、体制や評価項目等を十分に検討した上でできる限り速やかに実施されるべきものであること。なお、この評価を実施することは、大学に編入学することができる専攻科の課程の基準には含まれないこと。
    評価の頻度については各高等学校等において適切に判断されるべきものであるものの、少なくとも運営体制の変化や教育課程の方針の変更等したような場合には実施するべきであり、毎年度の教育課程等の見直しに資するものとする観点からは、おおむね毎年度実施されることが適当であると考えられること。
    5)結果の公表
    評価結果の公表方法については、各高等学校等に表簿を備え付け供覧できる状態とするだけでなく、修了者が編入学しようとする大学等における確認等に資するよう、インターネットの利用その他広く周知を図ることができる方法によって行うこと。
    また、当該高等学校等の専攻科に進学しようとする志願者や専攻科の生徒の家庭、その他地域や関係教育機関等に対して教育情報を公表する観点から、方法、形式等を検討すること。
    公表の内容については、特に大学に編入学することができる専攻科の課程の基準等を満たすことが簡易に確認できるようにし、その内容が1.(3)3の証明書等としても利用できるよう配慮することが望ましいこと。

第2 大学,短期大学及び高等専門学校における、高等学校等の専攻科の課程における学修の単位認定について

(1)概要
大学に編入学することができる専攻科の課程における学修で、大学、短期大学又は高等専門学校においてそれぞれの学校の教育に相当する水準を有すると認めたものについて、当該大学、短期大学又は高等専門学校が単位を与えることができることとしたこと。(平成28年文部科学省告示第62号関係)

第3 短期大学及び高等専門学校の専攻科の入学資格について

(1)概要
大学に編入学することができる専攻科の課程の修了者は,短期大学又は高等専門学校の専攻科に入学することができることとしたこと。(施行規則第155条第2項,第177条関係)

(2)留意事項

  1. 大学に編入学することができる専攻科の課程の修了者であれば,改正法の施行以前に修了した者についてもそれぞれの専攻科の入学資格を有すること。
  2. 入学資格を確認する手続等については,第1に述べた大学への編入学に関する手続を参照すること。
  3. 修業年限を3年とする短期大学の専攻科への入学資格は,修業年限3年以上の高等学校等の専攻科の修了者に限って認められるものであること。

第4 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構において学士の学位を与えることができる者の追加

(1)概要
 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構(平成28年4月1日より、「大学評価・学位授与機構」から「大学改革支援・学位授与機構」に名称が変更されている。)が学士の学位を与えることができる対象として、大学に編入学することができる専攻科の課程の修了者を加えたこと。(学位規則(昭和28年文部省令第9号)第6条関係)

(2)留意事項
大学に編入学することができる専攻科の課程の修了者であれば、改正法の施行以前に修了した者についても学士の学位授与の基礎資格を有すること。


本件担当(高等学校の専攻科に関すること)
文部科学省初等中等教育局
高校教育改革プロジェクトチーム
高校教育改革係
電話:03-5253-4111(内線2022)

(特別支援学校の高等部の専攻科に関すること)
文部科学省初等中等教育局
特別支援教育課企画係
電話:03-5253-4111(内線3193)

お問合せ先

文部科学省初等中等教育局高校教育改革プロジェクトチーム

(文部科学省初等中等教育局高校教育改革プロジェクトチーム)

-- 登録:平成28年05月 --