(1 |
)多様な選抜方法の実施について
ア |
高等学校の入学者選抜は,各高等学校,学科等の特色に配慮しつつ,その教育を受けるに足る能力・適性等を判定して行うものとすること。
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イ |
高等学校入学者選抜の在り方は,各学校・学科・コースごとの特色に応じて多様であることが望ましいこと。
さらに,同一の学校・学科等の中でも入学定員を区分して複数の尺度に基づく異なる選抜方法を実施することにも配慮すること。
このため,例えば,各学校・学科等ごとに,あるいは定員の一部ごとに,学力検査の実施教科や教科ごとの配点を変えたり,調査書と学力検査の成績の比重の置き方を変えたり,調査書の中の重視する部分を変えたりすることなどが考えられること。 |
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(2 |
)多段階の入学者選抜の実施について
ア |
受験機会の複数化及び推薦入学の活用などにより,多段階にわたり入学者選抜が実施されるよう十分配慮すること。
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イ |
推薦入学については,専門学科のみでなく,普通科においても教育上の特色づくりと並行して一層活用されるよう配慮すること。
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ウ |
推薦入学の実施に当たっては,その意義にかんがみ,スポーツ活動,文化活動,社会活動,ボランティア活動などの諸活動の実績などの資料による選抜方法の工夫を行うこと。
この観点から,調査書の学習成績の記録以外の記録の部分を重視した選抜を行うことはもとより,さらに,例えば,一定の定員枠を設けて,中学校長の推薦に基づき,長期間にわたる又は質の高い文化活動やボランティア活動の活動歴等により選考を行い,調査書の学習成績の記録の評定の成績を求めないこととする選抜を行うことが考えられること。
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エ |
推薦入学の実施時期については,中学校教育に悪影響を及ぼさず,また,中学校における教育活動の成果を十分評価することができる時期とすること。このため,推薦入学があまり早い時期に行われないよう,地域の実情に即し,教育委員会,知事部局,公立・私立高等学校及び中学校関係者が十分協議し,一層の改善を図ること。 |
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(3 |
)入学者選抜の資料について
ア |
合否の判定の際の調査書と学力検査の成績の比重の置き方については,生徒の選択の幅の拡大等のため,各学校・学科等,あるいは定員の一部ごとに異なる方式で合否の判定を行うことについての工夫がなされるよう配慮すること。
さらに,生徒の個性に応じ選抜方法を多様化させるという観点から,各学校・学科等ごとに,あるいは定員の一部ごとに,学力検査を実施しない選抜,調査書の比重を大幅に軽減する選抜や調査書を用いない選抜などを行うことも考えられること。
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イ |
ただし,調査書を用いない選抜を実施する場合には,中学校教育に大きな影響を与えることから,例えばこの方式は例外的な方式であるとの位置付けのもとに定員の一部についてのみ適用する方法などが考えられること。また,学力検査の成績を主たる資料としつつ,面接や小論文・実技検査などを組み合わせて行うことも考えられること。 |
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(4 |
)学力検査の在り方について
ア |
学力検査の問題作成については,中学校の教育課程の趣旨に即し,知識の量や程度を問う出題に偏ることなく,例えば論述式の解答を求める出題や思考力・分析力を問う出題を増やすなど,中学校の新しい教育課程で重視されるべき能力が適切に反映されるよう一層の工夫改善を図ること。
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イ |
学力検査の実施教科については,生徒の個性に応じた学校選択や各学校・学科等の特色に応じた選抜を可能とし,さらに,中学校における選択履修の幅の拡大の趣旨を生かすため,各学校・学科等ごとに工夫を行うことが望ましいこと。
このため,例えば,各学校・学科等ごとに,あるいは定員の一部ごとに,実施教科数を増減したり,教科によって配点の比重を変えたり,学校ごとに学力検査問題を一部作成して付加したり,教育委員会が多くの問題を作成し各学校がそこから選択して出題したり,生徒が教科を選択したりすることなどが考えられること。
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(5 |
)調査書の在り方について
ア |
調査書については,高等学校入学者選抜の資料としての客観性・公平性を確保するよう留意しつつ,生徒の個性を多面的にとらえたり,生徒の優れている点や長所を積極的に評価し,これを活用していくこと。
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イ |
調査書の学習成績の記録の評定については,中学校学習指導要領及び中学校生徒指導要録の改訂の趣旨に即した改善の努力を進めること。
また,中学校の新しい教育課程における選択履修の幅の拡大の趣旨を生かすため,調査書の記載に当たり適切な工夫を行うとともに,選択教科の学習の成果の活用について工夫するよう配慮すること。
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ウ |
調査書の学習成績の記録の活用については,生徒の個性に応じた学校選択や各学校・学科等の特色に応じた選抜を可能とし,さらに,中学校における選択履修の幅の拡大の趣旨を生かすため,各学校・学科等ごとに工夫を行うことが望ましいこと。
このため,例えば,各学校・学科等ごとに,あるいは定員の一部ごとに,合否判定の資料として用いる教科を減らしたり,教科によって評定の比重を変えたり,選択教科を重視して用いたりすることなどが考えられること。
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エ |
生徒の個性を多面的にとらえたり,生徒の優れている点や長所などを積極的に評価するため,調査書の学習成績の記録以外の記録を充実し,活用するよう十分配慮すること。
その際,点数化が困難なスポーツ活動,文化活動,社会活動,ボランティア活動などについても適切に評価されるようにしていくことが望ましいこと。
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オ |
調査書の記載事項については,高等学校入学者選抜の資料として,真に必要な事項に精選すること。 |
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(6 |
)面接について
面接については,積極的に活用することが望ましいこと。
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(7 |
)通学区域について
通学区域については,各都道府県で地域の実情を踏まえながら各高等学校に特色を持たせ,生徒の特性に応じた学校選択が可能となるような方向で検討する必要があること。また,生徒の居住地によって高等学校受験の機会が大きく異なることのないよう配慮する必要があること。 |