人権教育

「同和問題の早期解決に向けた今後の方策について」(『人権教育の指導方法等の在り方について[第三次とりまとめ]』から抜粋)

「同和問題の早期解決に向けた今後の方策について」

 (平成8年7月26日閣議決定)

 地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(昭和62年法律第22号)は平成9年3月31日限り、その効力を失うこととされており、同和問題の早期解決に向けた今後の方策の基本的な在り方については、地域改善対策協議会において調査審議が行われ、平成8年5月17日に意見具申がなされたところである。

 政府は、この地域改善対策協議会の意見具申を踏まえ、同和問題の早期解決に向けた今後の方策について別紙のとおり定める。

別紙 同和問題の早期解決に向けた今後の方策について

第1 地域改善対策特定事業の一般対策への円滑な移行に関する法的措置等について

 地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(昭和62年法律第22号)に基づく地域改善対策特定事業の平成9年度以降の在り方については、地域改善対策協議会の意見具申(平成8年5月17日)を踏まえ、今日なお残されている事業課題、地方公共団体の財政状況、これまでの施策の成果に支障を来さないこと等を考慮して、以下の措置を講ずる。

1 物的事業

(1)既に着手済みであるが平成8年度末までに事業を完了できない継続事業であり、かつ、当該継続事業を実施している地方公共団体の財政状況等からみて特別の財政措置を直ちに終了した場合に当該継続事業の完了に支障を生じるおそれの大きい次の事業について、既に着手済みであるが平成8年度末までに完了できない事業実施箇所に限定して、経過的措置として5年間に限り財政上の特別措置を行うこととし、所要の法的措置を講ずる。

ア 住宅地区改良事業
イ 小集落地区等改良事業
ウ 道路事業
エ 街路事業
オ 公共下水道整備事業

(2)上記(1)により経過的措置を講ずる住宅地区改良事業及び小集落地区等改良事業の事業実施箇所において、当該住宅地区改良事業及び小集落地区等改良事業の一環として実施する住宅新築資金等貸付事業について、経過的措置として5年間に限り財政上の特別措置を行うこととし、所要の法的措置を講ずる。

(3)今後の地方公共団体の需要に対応していくに当たり、一般対策への移行に際して補助採択要件等の面で改善を必要とする次の事業については、一般対策に工夫(既存の一般対策の改善又は新規の一般対策の創設)を加えて対応することとし、所要の行財政的措置を講ずる。その際、平成9年度以降の5年間に限り、補助制度において特段の配慮を行う。

ア 小集落地区等改良事業(新規着手箇所)
イ 地区道路・橋梁整備事業
ウ 共同作業場整備事業
エ し尿以外の生活排水及び雨水の排水路整備事業
オ 墓地移転事業
カ 隣保館整備事業
キ 地域改善対策農業基盤整備事業
ク 農林業地域改善対策事業(農業生産基盤整備事業)
ケ 農林漁業共同利用施設整備事業

(4) 上記(1)、(2)及び(3)以外の事業については、既存の一般対策により適切に対応する。

2 非物的事業

(1)個人給付的事業のうち、特に利用度が高く、激変緩和的な措置を講ずる必要がある次の事業については、5年間の経過的措置を講じて終了することとし、所要の法的措置を講ずる。

 なお、高等学校等進学奨励費補助事業については、5年経過時に現に貸付を受けて在学している者について、当該者が当該学校を卒業又は中退するまでの間、引き続き所要の法的措置を講ずる。また、経済的理由による返還免除制度及び貸付金額について他の奨学資金制度との整合性を考慮し、適正化を図ることとする。

ア 農山漁村経営改善資金貸付事業
イ 地域改善対策高度化事業
ウ 職業講習事業
エ 受講給付金支給事業
オ 高等学校等進学奨励費補助事業

(2)相談員、指導員等を設置している次の事業については、平成9年度以降5年間で計画的な削減を完了することとし、経過的に所要の法的措置を講ずる。

ア 営農等相談事業(営農等相談員)
イ 経営改善普及事業
ウ 職業指導、職業紹介及び職業相談事業(職業相談員)
エ 生活相談員設置事業

(3)今後の地方公共団体の需要に対応していくに当たり、一般対策への移行に際して補助採択要件等の面で改善を必要とする次の事業については、一般対策に工夫(既存の一般対策の改善又は新規の一般対策の創設)を加えて対応することとし、所要の行財政的措置を講ずる。

ア 巡回相談・研修事業
イ 職業訓練受講資金等補助事業
ウ 職業指導、職業紹介及び職業相談事業(職業相談員を除く。)
エ 隣保館運営事業
オ 保育所運営事業

(4)同和問題に関する差別意識の解消に向けた教育及び啓発に関する次の事業については、「人権教育のための国連10年」との関連において、人権教育・人権啓発の事業に再構成して推進することとし、所要の行財政的措置を講ずる。
 特に、教育に関する事業については、学校、家庭及び地域社会が一体となって進学意欲と学力の向上を促進する内容をも含むものに再構成する。

ア 営農等相談事業(地域改善対策農林漁業振興推進会議)
イ 中小企業振興対策事業(地域改善対策対象地域産業振興懇談会)
ウ 雇用主に対する指導・啓発事業
エ 教育推進地域事業
オ 研究指定校事業
カ 指導研修推進事業
キ 社会教育に関する諸集会の開催及び社会教育関係の団体の育成事業
ク 集会所指導事業
ケ 地域改善対策啓発活動事業
コ 人権思想の普及高揚事業

(5) 上記(1)、(2)、(3)及び(4)以外の事業については、既存の一般対策により適切に対応する。

3 上記1(1)、1(2)、2(1)及び2(2)についての所要の法律案は、次期通常国会に提出する。

第2 差別意識の解消に向けた教育及び啓発の推進、人権侵害による被害の救済等の対応の充実強化について

1 「人権教育のための国連10年」については、策定中の国内行動計画を踏まえ、必要な施策を積極的に推進するための所要の行財政的措置を講ずる。

2 財団法人地域改善啓発センターについては、人権教育及び人権啓発を推進し、支援する財団法人として発展的にその在り方を見直すよう要請し、関係各省庁はこれを促進する。

3 人権相談業務の窓口の整備を積極的に進めるとともに、相談に応じる職員や人権擁護委員の対応能力の向上を図る。また、人権相談業務の内容及び相談体制について積極的に周知を図る。

第3 今後の施策の適正な推進

1 行政の主体性の確立、同和関係者の自立向上、えせ同和行為の排除及び同和問題についての自由な意見交換のできる環境づくりに引き続き取り組むものとする。

2 具体的な問題点について引き続き厳しく是正するため、行政職員の研修の体系的な実施に努めるとともに、個人給付的事業における返還金の償還率の向上等の適正化、著しく均衡を失した低家賃の是正、民間運動団体に対する地方公共団体の補助金等の支出の適正化、公的施設の管理運営の適正化及び教育の中立性の確保について、引き続き関係機関を指導する。国税の課税については、国家行政の根幹にかかわる問題であり、その公正を疑われることのないよう、より一層の主体性をもって引き続き適正・公平な課税の確保に努力する。地方税の減免措置についても、その一層の適正化に今後とも取り組むよう、地方公共団体に対し助言・指導を行う。行政の監察・監査等については、必要に応じてこれらの機能の一層の活用を図る。

第4 その他

1 国の施策の今後の方向及びその趣旨を踏まえ、地方単独事業について更に見直しを行うとともに、同和問題の解決と人権の尊重に向けた今後の行政の取組について、その体制も含めて改めて検討するよう、地方公共団体に要請する。

2 総務庁は、経過的措置を講ずる事業に関する施策及び事務の総合調整等を引き続き担当する。

 

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初等中等教育局児童生徒課

-- 登録:平成24年06月 --