小学校,中学校,高等学校,盲学校,聾学校,養護学校 及び中等教育学校の学習指導要領等の移行措置並びに 移行期間中における学習指導について(通知)

文初小第375号
平成11年6月3日
附属学校を置く各国立大学長
各都道府県教育委員会
各都道府県知事
国立久里浜養護学校長
殿
  文部事務次官
    佐藤禎一



   現行の小学校,中学校,高等学校,盲学校,聾学校,養護学校及び中等教育学校の学習指導要領等から平成10年12月14日及び平成11年3月29日に公示した新しい学習指導要領等に移行するために必要な措置(以下「移行措置」という。)について,平成11年6月3日をもって,関係の文部省令及び文部省告示が別添のとおり公布・公示されました。
   ついては,小学校及び中学校にあっては平成12年4月1日から平成14年3月31日までの間,高等学校にあっては平成12年4月1日から新しい学習指導要領が適用されるまでの間,盲学校,聾学校及び養護学校にあっては平成12年4月1日から各学校段階ごとにそれぞれ新しい学習指導要領が適用されるまでの間,中等教育学校にあっては平成12年4月1日から新しい教育課程の基準の特例が適用されるまでの間(以下「移行期間」という。)における教育課程の編成,実施に当たっての留意事項は,下記のとおりですので,十分御了知いただくようお願いします。
   なお,各都道府県教育委員会におかれては,所管の学校及び域内の市町村教育委員会に対し,各都道府県知事におかれては,所轄の学校及び学校法人等に対し,このことを十分周知されるようお願いします。



第1   小学校の移行期間中の教育課程について

1   教育課程編成の一般方針等

   移行期間中の教育課程の編成・実施に当たっては, 小学校学習指導要領(平成10年文部省告示第175号)(以下「新小学校学習指導要領」という。) 第1章第1の教育課程編成の一般方針,第4の授業時数等の取扱い及び第5の指導計画の作成等に 当たって配慮すべき事項の規定を踏まえ,その趣旨の実現を図ること。
2   各教科等ごとの特例の概要等
(1)    道徳及び特別活動については,新小学校学習指導要領によることとしたこと。
(2)    国語,生活,音楽,図画工作,家庭及び体育については,全部又は一部について 新小学校学習指導要領によることができることとしているが, その実施に当たっては,できるだけ新小学校学習指導要領により指導するよう努めること。
(3)    社会,算数及び理科については,小学校学習指導要領(平成元年文部省告示第24号) (以下「現行小学校学習指導要領」という。)によるとともに, その事項の一部を省略等することとしているが,その実施に当たっては, 新小学校学習指導要領の趣旨を生かして指導するよう努めること。 道徳及び特別活動については,新小学校学習指導要領によることとしたこと。
(4)    総合的な学習の時間については,移行期間中から教育課程に加えることが できることとしており,この時間の趣旨を踏まえ,その実施に積極的に取り組むよう 努めること。
3   移行期間中の授業時数
   移行期間中の各学年における各教科等の授業時数及び総授業時数は, 現行の学校教育法施行規則別表第1及び学校教育法施行規則の一部を改正する省令 (平成10年文部省令第44号。以下「平成10年改正省令」という。) 附則第3項及び第4項の規定によるが,そのうち各学年における各教科の授業時数については, 現行の小学校学習指導要領の特例を定める件(平成11年文部省告示第128号) 及び下記の4の事項を考慮して,その弾力的な運用について配慮すること。
4   各教科等の学習指導上の留意事項
   各教科等の指導に当たっては,上記の1から3により 新小学校学習指導要領を踏まえた指導に十分配慮するとともに,特に次の事項に留意すること。
(1)    各教科等の指導に当たっては,児童の実態等に応じ,個別指導やグループ別指導,繰り返し指導など個に応じた指導の充実を図り,各学年及び卒業までにおいて,児童に読・書・算などの基礎的・基本的な内容が確実に習得されるようにすること。
(2)    各教科等の指導に当たっては,観察・実験,見学・調査など 体験的な学習や問題解決的な学習を積極的に取り入れるとともに,コンピュータや情報通信 ネットワークなどの情報手段を活用すること。
(3)    各学年の指導に当たり,合科的・関連的な指導を進めること。
(4)    新小学校学習指導要領において目標及び内容を2学年まとめて示した 教科については,特に平成13年度の指導に当たっては,翌年度を見通した適切な 指導計画を作成し指導すること。 各学年の指導に当たり,合科的・関連的な指導を進めること。
(5)    移行期間中の特別活動のクラブ活動及び総合的な学習の時間の 授業時数については,次の事項を考慮し,各学校において適切に定めること。
   クラブ活動に充てる授業時数については,年間,学期ごと,月ごとなどに 適切な授業時数を充てるが,現行の学校教育法施行規則別表第1に定める 特別活動の授業時数を充てることもできること。
   総合的な学習の時間を加えて教育課程を編成する場合には, 現行の学校教育法施行規則別表第1に定める第4学年から第6学年までの 特別活動の授業時数を総合的な学習の時間にも充てることができるとともに, 上記の3による各教科の授業時数の弾力的運用により各教科の授業時数を総合的な 学習の時間に充てることができること。
5   関連事項
   平成14年度以降に実施する中学校の入学者選抜における 学力検査については,新小学校学習指導要領に定める各教科の内容が出題範囲となるように すること。また,移行期間中に実施する中学校の入学者選抜における学力検査については, 各教科の移行措置の内容に配慮した出題範囲となるようにすること。

第2   中学校の移行期間中の教育課程について

1   教育課程編成の一般方針等
    移行期間中の教育課程の編成・実施に当たっては,中学校学習指導要領 (平成10年文部省告示第176号)(以下「新中学校学習指導要領」という。) 第1章第1の教育課程編成の一般方針,第5の授業時数等の取扱い及び第6の 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項の規定を踏まえ,その趣旨の実現を図ること。
2   各教科等ごとの特例の概要等
(1)    道徳及び特別活動については,新中学校学習指導要領によることとしたこと。
(2)    国語,音楽,美術,保健体育及び技術・家庭については,全部又は一部について新中学校学習指導要領に よることができることとしているが,その実施に当たっては,できるだけ新中学校学習指導要領に より指導するよう努めること。
(3)    社会,数学,理科及び外国語については,中学校学習指導要領(平成元年文部省告示第25号) (以下「現行中学校学習指導要領」という。)によるとともに, その事項の一部を省略等することとしているが,その実施に当たっては, 新中学校学習指導要領の趣旨を生かして指導するよう努めること。
(4)    選択教科については,新中学校学習指導要領における選択履修の幅の拡大の趣旨を踏まえ, 積極的な取組を進めるよう努めること。特に,平成14年度の第3学年において, 生徒が2教科以上(授業時数の合計は年間105単位時間以上)の選択教科を履修することを考慮し, 平成13年度の第2学年において,選択教科の開設を積極的に行い,生徒が選択教科を一定時数履修できるように努めること。
(5)    総合的な学習の時間については,移行期間中から教育課程に加えることができることとしており, この時間の趣旨を踏まえ,その実施に積極的に取り組むよう努めること。
3   移行期間中の授業時数
   移行期間中の各学年における各教科等の授業時数及び総授業時数は, 現行の学校教育法施行規則別表第2及び平成10年改正省令附則第3項及び 第5項の規定によるが,そのうち各学年における各教科の授業時数については, 現行の中学校学習指導要領の特例を定める件(平成11年文部省告示第129号) (以下「中学校特例告示」という。)及び下記の4の事項を考慮して, その弾力的な運用について配慮すること。
4   各教科等の学習指導上の留意事項
   各教科等の指導に当たっては,上記の1から3により新中学校学習指導要領を踏まえた 指導に十分配慮するとともに,特に次の事項に留意すること。
(1)    各教科等の指導に当たっては,生徒の実態等に応じ,個別指導やグループ別指導, 学習内容の習熟の程度に応じた指導など個に応じた指導の充実を図り, 義務教育の最終段階であることを踏まえて, 生徒に基礎的・基本的な内容が確実に習得されるようにすること。
(2)    各教科等の指導に当たっては,観察・実験,見学・調査,実習,課題学習など 体験的な学習や問題解決的な学習を積極的に取り入れるとともに,コンピュータや 情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用すること。
(3)    平成12年度の第1学年並びに平成13年度の第1学年及び 第2学年の指導に当たっては,特に次の事項を考慮して,3年間を見通した適切な指導計画を 作成し指導すること。
   中学校特例告示により削除した内容や学年間の移行をした内容について 十分留意し指導計画を作成すること。特に,下学年に移行した内容については, 新中学校学習指導要領の規定により,適切な指導が行われるようにすること。
   平成13年度の第1学年の社会の指導に当たっては, 現行中学校学習指導要領の規定によるが,新中学校学習指導要領の内容に 十分配慮して指導内容を適切に定め,卒業までに新中学校学習指導要領の 内容が身に付けられるよう,3年間を見通した全体的な指導計画を作成すること。
   平成12年度の第1学年並びに平成13年度の第1学年 及び第2学年の技術・家庭の指導に当たっては,3年間を見通した全体的な指導計画に基づき, 卒業までに新中学校学習指導要領に規定するすべての生徒に履修させる内容を 履修させるようにするとともに,「技術分野」及び「家庭分野」の授業時数については, いずれかに偏ることのないように配慮すること。
(4)    総合的な学習の時間を加えて教育課程を編成する場合には, この時間に充てる授業時数については次の事項を考慮し,各学校において適切に定めること。
   現行の学校教育法施行規則別表第2及び平成10年改正省令附則 第5項に定める特別活動の授業時数及び選択教科等に充てる授業時数を総合的な 学習の時間にも充てることができること。
   上記の3による各教科の授業時数の弾力的運用により各教科の授業時数を 総合的な学習の時間に充てることができること。
5   関連事項
   平成14年度以降に実施する高等学校の入学者選抜における 学力検査については,新中学校学習指導要領に定める必修教科の内容が出題範囲と なるようにすること。その際,中学校特例告示の内容にも十分配慮すること。 また,移行期間中に実施する高等学校の入学者選抜における学力検査については, 各教科の移行措置の内容に配慮した出題範囲となるようにすること。

第3   高等学校の移行期間中の教育課程について

1   平成12年4月1日からの移行措置の留意事項
   高等学校の移行期間中の教育課程については, 高等学校学習指導要領(平成元年文部省告示第26号)及び現行の高等学校学習指導要領の 特例を定める件(平成11年文部省告示第130号)(以下「高等学校特例告示」という。)に よることとしているが,その実施に当たっては,高等学校学習指導要領 (平成11年文部省告示第58号)(以下「新高等学校学習指導要領」という。)の趣旨を 生かし高等学校特例告示により指導することについて十分配慮するとともに, 特に次の事項に留意すること。
(1)    総則に関する留意事項
   移行期間中の教育課程の編成・実施に当たっては,新高等学校学習指導要領第1章第1款の 教育課程編成の一般方針及び第6款の教育課程の編成・実施に当たって 配慮すべき事項などの規定を踏まえ,その趣旨の実現を図ること。
   総合的な学習の時間については,移行期間中から教育課程に加えることができることと しているので,この時間の趣旨を踏まえ,その実施に積極的に取り組むよう努めること。
   総合学科において,総合的な学習の時間を加えて教育課程を編成し, その学習活動により,「課題研究」の履修と同様の成果が期待できる場合においては, 総合的な学習の時間における学習活動をもって「課題研究」の履修の一部又は全部に替えることができること。
   学校設定教科・科目については,その名称,目標,内容,単位数等を各学校で定めることとなるため,各設置者においては,これらの教科・科目の開設に関する取扱い等について,これまでの定めの変更等所要の措置が必要となること。
(2)    各教科・科目等の学習指導上の留意事項
   保健体育,芸術,体育,音楽及び美術の各教科に属する科目の指導に当たっては,その全部又は一部について新高等学校学習指導要領によることができることとしているが,生徒の実態等を考慮してできるだけそれにより指導するよう努めること。
   各教科・科目等の指導に当たっては,観察・実験,調査・研究,実習,課題学習,ボランティア活動や就業体験など体験的な学習や問題解決的な学習を積極的に取り入れるとともに,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用すること。
   農業,工業,商業,水産及び看護に関する学科の指導計画の作成に当たっては,平成12年度の1年次の入学生に係る教育課程から,原則履修科目の削減を図っているので,生徒の興味・関心,進路等に応じた多様な選択履修が可能となるよう配慮すること。
   特別活動については,新高等学校学習指導要領によることとしているので,その趣旨の実現を図ること。
2   平成14年4月1日からの移行措置の留意事項
   平成13年度以前の入学生についても,平成14年度から完全学校週5日制が実施され,修得総単位数を74単位以上とし,専門学科における専門教科・科目の必修単位数を25単位以上としていることなどを踏まえ,その入学の段階から3年間を見通した適切な教育課程を編成することに配慮すること。なお,修業年限が4年の定時制課程に現在既に在学中の生徒に係る教育課程の変更を行う場合には,残りの修業年限における教育課程を見通してできるだけ早く変更を行うことに配慮すること。
   総合学科において「産業社会と人間」及び専門教科・科目を合わせて25単位以上設けるものとしているが,新高等学校学習指導要領が適用されるまでの間においては,総合学科の原則履修科目を「産業社会と人間」,情報に関する基礎的科目及び「課題研究」の3科目とする取扱いは変わらないこと。ただし,「課題研究」については,上記1の(1)のウによることができること。

第4   盲学校,聾学校及び養護学校小学部・中学部の移行期間中の教育課程について

1   教育課程編成の一般方針等
   移行期間中の教育課程の編成・実施に当たっては,盲学校,聾学校及び養護学校小学部・中学部学習指導要領(平成11年文部省告示第61号)(以下「新小学部・中学部学習指導要領」という。)第1章第1節の教育目標,第2節第1の一般方針,第5の重複障害者等に関する特例,第6の授業時数等の取扱い及び第7の指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項の規定を踏まえ,その趣旨の実現を図ること。
2   各教科等ごとの特例の概要等
(1)    道徳及び特別活動については,新小学部・中学部学習指導要領によることとしたこと。
(2)    養護・訓練については,名称を「自立活動」とし,新小学部・中学部学習指導要領によることとしたこと。
(3)    盲学校,聾学校,肢体不自由養護学校及び病弱養護学校小学部の各教科
   国語,生活,音楽,図画工作,家庭及び体育については,全部又は一部について新小学校学習指導要領に準じて指導できることとしているが,その実施に当たっては,できるだけ新小学校学習指導要領に準じて指導するよう努めること。
   社会,算数及び理科については,現行小学校学習指導要領に準ずるとともに,その事項の一部を省略等することとしているが,その実施に当たっては,新小学校学習指導要領の趣旨を生かして指導するよう努めること。
(4)    盲学校,聾学校,肢体不自由養護学校及び病弱養護学校中学部の各教科
   国語,音楽,美術,保健体育及び技術・家庭については,全部又は一部について新中学校学習指導要領に準じて指導できることとしているが,その実施に当たっては,できるだけ新中学校学習指導要領に準じて指導するよう努めること。
   社会,数学,理科及び外国語については,現行中学校学習指導要領に準ずるとともに,その事項の一部を省略等することとしているが,その実施に当たっては,新中学校学習指導要領の趣旨を生かして指導するよう努めること。
   選択教科については,新小学部・中学部学習指導要領における選択履修の幅の拡大の趣旨を踏まえ,積極的な取組を進めるように努めること。特に,平成14年度の第3学年において,生徒が2教科以上の選択教科を履修することを考慮し,平成13年度の第2学年において,選択教科の開設を積極的に行い,生徒が選択教科を一定時数履修できるように努めること。
(5)    知的障害養護学校の各教科
   知的障害養護学校の各教科については,全部又は一部について新小学部・中学部学習指導要領によることができることとしているが,その実施に当たっては,できるだけ新小学部・中学部学習指導要領により指導するよう努めること。
   外国語については,学校や生徒の実態を考慮し,必要に応じて設けること。また,外国語を実施する場合には,生徒が外国語に親しむなど生徒の実態に応じた学習活動が展開されるよう配慮すること。
(5)    総合的な学習の時間については,移行期間中から教育課程に加えることができることとしており,この時間の趣旨を踏まえ,その実施に積極的に取り組むよう努めること。
3   移行期間中の授業時数
   移行期間中の各学年における総授業時数は,現行の小学校又は中学校の各学年に おける総授業時数に準ずるとともに,各学年における各教科等の授業時数については, 現行の盲学校,聾学校及び養護学校小学部・中学部学習指導要領の特例を定める件 (平成11年文部省告示第131号)及び下記の4の事項を考慮して, 適切に定めること。
4   各教科等の学習指導上の留意事項
   各教科等の指導に当たっては,上記の1から3により新小学部・中学部学習指導要領を踏まえた指導に十分配慮するとともに,特に次の事項に留意すること。
(1)    各教科等の指導に当たっては,児童生徒の障害の状態や特性等を十分考慮し,個に応じた指導の充実を図り,基礎的・基本的な内容が確実に習得されるように努めること。
(2)    各教科等の指導に当たっては,観察・実験,見学・調査,実習,課題学習など体験的な学習や問題解決的な学習を積極的に取り入れるとともに,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用すること。
(3)    小学部においては,各学年の指導に当たり,合科的・関連的な指導を進めるようにすること。
(4)    小学部の教科において目標及び内容を2学年まとめて示した教科については,特に平成13年度の指導に当たっては,翌年度を見通した適切な指導計画を作成し指導すること。
(5)    平成12年度の中学部の第1学年並びに平成13年度の中学部の第1学年及び第2学年の指導に当たっては,特に,上記の第2の4の(3)に示す事項を考慮して,3年間を見通した適切な指導計画を作成し指導すること。

第5   盲学校,聾学校及び養護学校高等部の移行期間中の教育課程について

1   平成12年4月1日からの移行措置の留意事項
   盲学校,聾学校及び養護学校高等部の移行期間中の教育課程については,盲学校,聾学校及び養護学校高等部学習指導要領(平成元年文部省告示第159号)及び現行の盲学校,聾学校及び養護学校高等部学習指導要領の特例を定める件(平成11年文部省告示第132号)(以下「現行高等部特例告示」という。)によることとしているが,その実施に当たっては,盲学校,聾学校及び養護学校高等部学習指導要領(平成11年文部省告示第62号)(以下「新高等部学習指導要領」という。)の趣旨を生かし現行高等部特例告示により指導することについて十分配慮するとともに,特に次の事項に留意すること。
(1)    総則に関する留意事項
   移行期間中の教育課程の編成・実施に当たっては,新高等部学習指導要領第1章第1節の教育目標,第2節第1款の一般方針,第4款の教育課程の編成・実施に当たって配慮すべき事項及び第6款の重複障害者等に関する特例などの規定を踏まえ,その趣旨の実現を図ること。
   総合的な学習の時間については,移行期間中から教育課程に加えることができることとしているので,この時間の趣旨を踏まえ,その実施に積極的に取り組むよう努めること。
   学校設定教科・科目(知的障害養護学校においては学校設定教科)については,その名称,目標,内容,単位数等を各学校で定めることとなるため,各設置者においては,これらの教科・科目の開設に関する取扱い等について,これまでの定めの変更等所要の措置が必要となること。
(2)    各教科・科目等の学習指導上の留意事項
   共通事項
(ア)    各教科・科目(知的障害養護学校においては各教科)等の指導に当たっては,観察・実験,調査・研究,実習,課題学習,ボランティア活動や就業体験など体験的な学習や問題解決的な学習を積極的に取り入れるとともに,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用すること。
(イ)    各教科等の指導に当たっては,生徒の障害の状態や特性,進路等を十分考慮し,学習活動が効果的に行われるようにすること。
(ウ)    特別活動については,新高等部学習指導要領によることとしているので,その趣旨の実現を図ること。
(エ)    養護・訓練については,名称を「自立活動」とし,新高等部学習指導要領によることとしているので,その趣旨の実現を図ること。
   盲学校,聾学校,肢体不自由養護学校及び病弱養護学校の各教科
(ア)    保健体育,芸術,体育,音楽,美術,調律,保健理療,理療,理学療法,印刷,理容・美容,クリーニング及び歯科技工の各教科に属する科目の指導に当たっては,その全部又は一部について新高等部学習指導要領によることができることとしているが,生徒の実態等を考慮してできるだけそれにより指導するよう努めること。
(イ)    農業,工業及び商業に関する学科の指導計画の作成に当たっては,平成12年度の1年次の入学生に係る教育課程から,原則履修科目の削減を図っているので,生徒の興味・関心,進路等に応じた多様な選択履修が可能となるよう配慮すること。
   知的障害養護学校の各教科等
(ア)    知的障害養護学校の各教科については,情報及び流通・サービスを除き,全部又は一部について新高等部学習指導要領によることができることとしているが,その実施に当たっては,できるだけ新高等部学習指導要領により指導するよう努めること。
(イ)    外国語については,学校や生徒の実態を考慮し,必要に応じて設けること。また,外国語を実施する場合には,生徒が外国語に親しむなど生徒の実態に応じた学習活動が展開されるよう配慮すること。
(ウ)    道徳については,新高等部学習指導要領によることとしているので,その趣旨の実現を図ること。
2   平成14年4月1日からの移行措置の留意事項
   平成13年度以前の入学生についても,平成14年度から完全学校週5日制が実施され,修得総単位数を74単位以上(知的障害養護学校においては,各学年の総授業時数の標準を1,050単位時間)とし,専門学科における専門教科・科目の必修単位数を25単位以上(知的障害養護学校においては,専門教科について,すべての生徒に履修させる授業時数を875単位時間以上)としていることなどを踏まえ,その入学の段階から3年間を見通した適切な教育課程を編成することに配慮すること。
3   訪問教育の実施について
   平成12年度から訪問教育に係る規定を施行することとしたことを踏まえ,その実施体制の整備に努めること。

第6   中等教育学校並びに併設型中学校及び併設型高等学校の移行期間中の教育課程について

1    中等教育学校の移行措置については,総合的な学習の時間を加えて教育課程を編成することができることをはじめ,中学校及び高等学校の移行措置に準じることとなるので,上記第2及び第3に示す事項に留意すること。
2    平成12年4月1日からの中等教育学校後期課程及び 併設型高等学校の教育課程の基準の特例については,現行の中等教育学校並びに 併設型中学校及び併設型高等学校の教育課程の基準の特例を定める件の特例を定める件 (平成11年文部省告示第133号)により,現行の「その他特に必要な教科」 「その他の科目」及び今回の高等学校の移行措置により設けられる学校設定教科・科目に ついて修得した単位数を,合わせて30単位を超えない範囲で中等教育学校又は 併設型高等学校が定めた全課程の修了を認めるに必要な単位数のうちに 加えることができるものとしたこと。

-- 登録:平成21年以前 --