今後の教職員定数の在り方等に関する国と地方の協議の場(第1回)議事録

令和3年5月17日

【森友財務課長】
  定刻となりましたので、ただいまから、今後の教職員定数の在り方等に関する国と地方の協議の場を開催させて頂きます。
  本日は皆様お忙しい中御出席を頂きまして誠にありがとうございます。本日の司会進行を務めさせて頂く、文部科学省初等中等教育局財務課長の森友と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
  本日の会議につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、ウェブ会議システムを併用した開催とさせて頂きます。ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言の時以外はマイクをオフにして頂くようお願いいたします。
  それではまず配付資料を御確認頂ければと思います。本日の配付資料ですが、お手元の議事次第の「4.配付資料」にあります通り、資料1から9そして参考資料集となっております。また、全国知事会からの意見項目、全国市長会からの検討すべき課題等についての資料も頂いております。
  不足等ないようでしたら、早速、設置紙についてお諮りしたいと存じます。本会議の趣旨等につきましては資料1のとおりでございます。また、今後の会議運営につきましては資料1に基づいて行いたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  ありがとうございます。では、第1回の開催に当たりまして、萩生田文部科学大臣より御挨拶頂きます。よろしくお願いいたします。
【萩生田文部科学大臣】
 皆様おはようございます。本日は、大変お忙しい中、「今後の教職員定数の在り方等に関する国と地方の協議の場」に御出席頂きまして、誠にありがとうございます。第1回の開催に当たりまして、私から御挨拶を申し上げます。
  本年3月31日、義務標準法の一部を改正する法律が、参議院本会議で全会一致により可決され、成立をし、公立小学校の学級編制の標準が約40年ぶりに引き下げられました。今年度の小学校2年生から5か年計画で段階的に35人学級を進めていくことになります。
  私としては、小・中学校ともに30人学級を目指してきたところではありますが、今回の小学校35人学級の実現という教育改革の一歩を踏み出すことができたのは、全国知事会、全国市長会、全国町村会をはじめ、教育委員会、学校、保護者など日本全国の多くの教育関係者の皆様方から大きな後押しがあったからこそと重く受け止めております。力強い御支援に改めて感謝を申し上げます。今回の法改正を通じて、GIGAスクール構想によるICTの活用と、その効果を最大化する少人数学級を車の両輪として、誰一人取り残すことなく、全ての子供たちの可能性を引き出す「令和の日本型学校教育」の構築に取り組んでまいります。
  さて、今回の義務標準法一部改正法案の国会審議では、与野党ともに少人数学級の推進の方向性には御賛同頂きながらも、計画的な定数改善を円滑に進めていく上での課題について、様々な角度から御議論を頂きました。この国と地方の協議の場は、今後5年間の計画的な定数改善を着実に進め、今後の学校の指導体制の更なる充実を図っていくためにも、国と地方がその課題を共有し、連携して課題の解消に向けた改善策を検討していくために設置するものです。私としましては、この協議の場での御意見をしっかりと踏まえ、政策に反映していきたいと考えております。
  この協議の場は今後定期的に開催し、議論を進めていくこととなりますが、私からは、当面、この協議の場で取り上げて頂きたい課題につきまして、5点申し上げさせて頂きます。
  まず1点目は、教職員定数の適切な配置についてです。今回の小学校35人学級の計画的な定数改善を図ることに応じて、学校現場に支障が生じない範囲で加配定数の一部を財源として活用することとしていますが、法案審議でも、必要な加配定数は財源とするべきではないとの御意見を大変多く頂いたところであり、個々の教育課題に応じた加配定数は、引き続き確保していく必要があります。必要な加配定数を確保していくためにも、適切とは言い難い配置実態など見直すべきところは見直した上で、加配定数のより一層効果的な活用を検証し、その取組を促進していく必要があります。なお、これらと併せて、私としては、学校における働き方改革や、専門性を持った教師の指導による授業の質の向上を図る観点から、小学校高学年の教科担任制についても推進していきたいと考えております。
  2点目は、質の高い教師を確保するための取組についてです。各教育委員会では、今後5年間の定数改善に加えて、退職者数の見通しや、児童生徒数の減少に伴う自然減等を踏まえ、見通しを立てて計画的に教員採用を行っていくこととなります。他方で、近年の教員採用倍率の低下や、年度当初に学級担任が不足をし、教頭が対応するなど教師不足に関して厳しい状況も生じています。今後、中央教育審議会において、質の高い教職員集団の構築に向けた具体的な方策や教職課程・教員免許の在り方などについて議論が進められますが、この協議の場においても、国と地方がそれぞれの役割分担でどのように質の高い教師を確保していくか、その方策について意見交換をお願いいたします。また、特に法案審議でも多くの質疑があった正規教員の確保についても御議論頂きたいと考えております。将来的な児童生徒数の減少等も考慮すれば、臨時的任用教員を全て正規教員とすることは難しいとしても、自治体間で正規教員と非正規教員の割合に大きな差が生じており、病休者や育児休業者の代替教員が不足する要因にもなっていると考えられることから、例えば、非正規教員は定数の何割程度までが望ましい、といったスタンダードを共有したいと考えております。教師の確保に尽力されている地方公共団体の実情を踏まえながら、正規教員の配置状況の計画的な改善方策の検討を進めていきたいと考えております。
  3点目は、外部人材の活用です。複雑化・多様化する学校現場の課題への対応や働き方改革の推進のためには、教師は教師でなければできないことに注力できるような環境を整備していくことが重要です。また、令和の日本型学校教育として、個別最適な学びと協働的な学びの実現を目指すとしておりますが、その実現には、これまで以上に教師と外部人材が役割分担しながら、子供一人一人のニーズに応じたきめ細かな指導が必要となります。少人数学級の推進とともに、外部人材の更なる活用が求められるところであり、その効果的な活用の在り方について意見交換をお願いします。
  4点目は、少人数学級の効果についてです。今回の義務標準法一部改正法の附則第3条に検討規定が置かれており、学級規模の縮小が学力を含めた教育活動に与える影響や外部人材の活用の効果について実証的な研究を行い、それらの結果に基づいて法制上の措置等を講ずることとされています。実証研究は、先行研究の蓄積も参照にしつつ、専門家の御知見や地方公共団体等の御意見も伺いながら、具体の設計を進めてまいりたいと考えておりますが、どのような指標で検証するかなど効果検証の方法等について御意見を頂き、実証研究に反映していきたいと考えております。テストの点数のみに偏ることなく、いわゆる非認知能力や教師の負担軽減など様々な観点から検証し、中学校の35人学級はもちろんのこと、小・中学校の30人学級の実現につなげていきたいと考えております。
  最後の5点目です。教室の環境整備についてです。今年度においては、各地方公共団体の御尽力により、教室不足による支障が生じることなく小学校2年生の35人学級を実施することができました。来年度以降の学級編制の標準の引下げに伴う学級数の増により、教室が不足し、校舎の増築等が必要な地方公共団体には、密接に連携しながら国庫補助等により支援を行ってまいりますが、一方で、やむを得ず教室不足を補うための適切な施設を確保することが困難である場合、過去の例を参考に、特別な事情として40人編制を可能とする経過措置を設けております。この「特別の事情」は、あくまでも経過措置として、やむを得ない場合に例外的に認めるもので、こうした物理的な理由で計画通りに35人学級が実施できないといった状況は避けるべきと考えております。教室不足への対応を含めた環境整備についても、この協議の場で課題を共有していきたいと考えております。
  最後に1点付け加えさせて頂きたいのですが、様々な場面でデジタル化が進む中で校務支援システムの整備が全ての学校に必要と考えております。現在、全国で約三分の一の自治体が、いまだこの校務支援システム導入をされていない状況にあります。地財措置はされておりますが、この点も是非この場を活用して対応を考えて頂きたいと思います。
  冒頭申し上げたとおり、今回の法改正は、一人一台端末と少人数学級を車の両輪として学校の教育環境を大きく変え、個別最適な学びと協働的な学びを実現することが目的です。この新たな学びの実現に向けて、小学校の35人学級を今後5年間で円滑に導入していくことが極めて重要であり、ただ今申し上げた課題を国と地方が協力して解決していく必要があります。それぞれのお立場から忌憚のない御意見を頂きますようによろしくお願いいたします。
  有意義な意見交換となることを期待申し上げまして、長くなりましたけれども私からの冒頭の御挨拶とさせて頂きます。どうぞよろしくお願いいたします。
【森友財務課長】
  ありがとうございました。続きまして、地方三団体を代表しまして、全国知事会会長の飯泉知事より御挨拶頂きます。よろしくお願いいたします。
【飯泉全国知事会長】
  まず、萩生田文部科学大臣におかれましては、この度40年ぶりとなる教職員定数の改善を成し遂げて頂きましたこと、心から敬意を表するとともに、その具現化を図ります義務標準法の改正ができあがり、そして直ちにこの国・地方の協議の場を開催頂きましたことを併せて感謝を申し上げたいと思います。
  さて、この少人数学級の実現が大臣からお話がありましたように、子供さんたち一人一人に寄り添った教育を展開するためにはまさに不可欠なもの。またこのコロナ時代におきましての様々な教室の整備、これも大変重要なことということで、昨年の12月、国・地方の協議の場、この時に菅総理に対しまして少人数学級の必要性について、私のほうから地方六団体を代表して、菅総理に直接申し述べさせて頂きました。
  特に、小学校における少人数学級、大臣にも今リーダーシップをとって行って頂いている一人一台端末、GIGAスクール構想、この中でも個別最適な学び、これを実現していくためには不可欠なものとなるところであります。
  さらには特別支援学校、こちらにつきましても今、通常学級においても、特別な配慮の行う必要のある生徒さんたちがたくさん増えてきている。これは逆にかつては、隠そうとしていた親御さんたちがまさにそうではなくそれぞれの個性なんだと、こうした思いが出てき、そして、特別支援学校につきましても、こうしたものを背景として文部科学省におかれましては、設置基準について策定を検討される。新たな分野がいま開かれようとしているところであります。
  また、いま働き方改革のお話もありました。外部人材をどう活用していくのか、特に、DX、デジタルトランスフォーメーションとなりますと、この外部人材の登用といった点、これは教育界においても不可欠となるところであります。こうした意味では、これまでの教職員の皆様方の負担軽減にも大きく資するものとこのように考えるところであります。
  また、義務標準法の基礎定数化によりまして、例えば徳島をはじめとする地方の事例でありますが、なかなか定数が難しいということで、先ずは若い先生方を臨時で雇うことになります。そして4、5年経って、さあそろそろどうですか、正規になりませんかと言ったところ、いや大阪からもう声が掛かっていて、大阪で正規の職員をやります。結局、地方の方から大都市部へ人材が流れて行ってしまう。しかし、こうした点が、今後、基礎定数化をされることによって、大きく様変わりをする。計画的に優秀な人材を地方で教員として雇うことができる。地方創生第2幕にも大いにこれは資するものとなるところであります。
  また、今後の教職員定数の在り方につきましては、大臣が1月22日の閣議後の会見でこれからの展望を言われたところであります。国・地方の協議の場。こうしたものを通す中で、これから第2ステージこの先を見据えていきたい。我々としては中学校における35人以下学級こうしたものを大臣が強力にリーダーシップを発揮されるもの、大いに期待を寄せているところでありますので、是非この点につきましては、その具現化に向けよろしくお願い申し上げたいと存じます。
  その意味でも我々として、地方におけるまずは小学校における少人数学級、良い事例をどんどん文科省の方にもあげさせて頂き、あるいは地方三団体、六団体で共有をし、横展開をし、見事にやはり標準法を変えたことが良かった。それが今度は中学校の35人以下学級につながっていく、こうした良い循環を作り上げていければ、このように考えておりますので、引き続き大臣には御指導賜りますようよろしくお願いを申し上げます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
【森友財務課長】
  ありがとうございました。続きまして、委員の皆様を御紹介させて頂きます。
  まず地方団体でございます。
  ただ今御挨拶頂きました全国知事会会長、飯泉徳島県知事でございます。
  全国市長会社会文教委員長、吉田本庄市長でございます。
【吉田全国市長会社会文教委員長】
  はい、どうぞよろしくお願いいたします。
【森友財務課長】
  秋田県町村会会長、佐々木東成瀬村長でございます。
【佐々木秋田県町村会会長】
  佐々木でございます。よろしくお願いいたします。
【森友財務課長】
  続きまして、総務省でございます。
  熊田総務副大臣でございます。
【熊田総務副大臣】
  どうぞよろしくお願いします。
【森友財務課長】
  内藤自治財政局長でございます。
【内藤自治財政局長】
  よろしくお願いいたします。
【森友財務課長】
  続きまして文部科学省でございます。
  丹羽文部科学副大臣でございます。
【丹羽文部科学副大臣】
  はい、おはようございます。よろしくお願いします。
【森友財務課長】
  鰐淵文部科学大臣政務官でございます。
【鰐淵文部科学大臣政務官】
  よろしくお願いいたします。
【森友財務課長】
  山﨑大臣官房文教施設企画・防災部長でございます。
【山﨑大臣官房文教施設企画・防災部長】
  よろしくお願いします。
【森友財務課長】
  義本総合教育政策局長でございます。
【義本総合教育政策局長】
  よろしくお願いします。
【森友財務課長】
  瀧本初等中等教育局長でございます。
【瀧本初等中等教育局長】
  どうぞよろしくお願いいたします。
【森友財務課長】
  続きまして、オブザーバーを御紹介させて頂きます。
  全国知事会古尾谷事務総長でございます。
【古尾谷事務総長】
  よろしくお願いいたします。
【森友財務課長】
  全国市長会、笹島社会文教部長でございます。
  全国町村会、小出行政部長でございます。
  皆様どうぞよろしくお願いいたします。
  ここで、萩生田大臣は公務がございますので、ここで退席をさせて頂きます。
【萩生田文部科学大臣】
  どうぞよろしくお願いします。

【森友財務課長】
  それでは、ここでプレスは御退室をお願いします。
  議題(1)文部科学省説明に移らせて頂きます。
  まず、瀧本初等中等教育局長より、義務標準法一部改正法概要及び国会における審議の状況等について御説明申し上げます。
【瀧本初等中等教育局長】
  はい、それでは失礼します。文部科学省の初等中等教育局の瀧本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私からはお手元の資料の2から4に沿って義務教育法の改正関係につきまして御説明をさせて頂きたいと思います。
  まずは、資料2をお願いいたします。改正法の概要ですが、この資料2の右側の「2.概要」のところにございます通り、(1)義務標準法に規定されている小学校の学級編制の標準を40人から35人に引き下げます。また、実施に当たりましては(2)の通り経過措置規定を設けておりまして、学級数の増に伴う教員や教室の確保を考慮し、2年生から学年進行で計画的に完成を目指します。
  万一、教室不足が生じ適切な施設の確保が困難である特別の事情がある場合は、経過措置期間中に限り40人編制を可能としております。また、(3)の通り、学級編制の標準の引下げによる教育活動への影響や外部人材の活用効果などについて、実証的研究を行うとともに、教員免許制度等の在り方の検証も行いまして、必要な法制上の措置等を講ずる検討規定を設けております。
  次に、資料の3をご覧願います。国会における法案審議のポイントをまとめさせて頂きました。
  まず、1ページ目からでございますが、事項ごとに主なものを整理しております。
  1としては「教職員定数の適切な配置」ということで、資料3の1にございますけれども、教員の採用倍率の低下等含めて計画的な採用についての見解如何という国会での御質問がありました。それに対して答弁としては、今回の計画的な定数改善により教師の安定的・計画的な採用が行いやすくなることも踏まえ、各教育委員会に対し中長期的な視野に立って計画的に採用を行うよう一層の取組を促していく旨答弁をさせて頂いております。
  また、その次でございますが、先ほど大臣からもございましたが、個別教育課題に対応する加配教員が削減されることがないようにしていくべきではないかという問いに対しては、現在、地方の独自の少人数学級を実施するために措置しているものなど加配定数の一部を含む合理化減等を活用することとしておりますが、学校現場に支障が生じないよう個々の教育課題に応じた加配定数を含め必要な教職員定数は引き続き確保していく旨答弁をさせて頂いております。
  大きな二つ目ですが、質の高い教師を確保するための取組についての問いに対して、現在中教審に諮問を行ったところでございまして、質の高い教師を確保できるよう既存の在り方にとらわれることなく基本的なところまで遡って検討を行い、成案を得られたものから順次取り組んでいく旨答弁をしてございますが、このことにつきましては、後程、義本総合政策教育局長のほうからも御説明を頂きます。
  また、教員の非正規雇用の解消についての問いに対しまして、今回の計画的な改善により加配定数の措置と比べて正規教員の計画的な採用を行いやすくなる。各教育委員会において正規教員の採用や人事配置を適切に行うよう促してまいりたい。先ほど、飯泉会長からもありましたけれども、そうした方向での取組が各自治体で進んでいくことを期待しております。
  一枚めくって頂きまして、1ページ目でございます。外部人材の活用についての問いにつきましてですが、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境づくりが必要。多様な人材との連携を進め、チームとしての学校を実現することも重要ということで、外部人材の活用含めて教員が児童生徒と向き合う時間をしっかり確保できるように努めてまいりたい。
  4つ目、少人数学級の効果等の検証方法ついての御質問を頂きました。これにつきましては、2行目の学習面のみならず、生徒指導や保護者対応等においてもきめ細やかな対応がしやすくなり、学校教育活動の充実に繋がるものであり、このため、今回の学級編制の標準の引下げが教育活動に与える影響については、多面的な観点から実証研究を進めていきたい。
  また、外部人材活用の効果検証については、個々の外部人材の配置目的に応じた観点から検証し、教師と外部人材が役割分担しながら、質の高い教育を行う学校指導・運営体制の構築に向けた検討を行っていく旨答弁をさせて頂いております。
  その際、専門家の御知見、あるいは地方自治体等の御意見を伺いながら具体の設計を進めますとともに、地方自治体と連携したこの協議の場等を通じて検討を進め、その結果を踏まえ、今後の学校の望ましい指導体制の在り方を検討してまいりたいと答弁をさせて頂いております。
  5点目が教室の環境整備についてでございます。教室不足が生じた場合の整備を行う場合の支援についての御質問に対しましては、各学校設置者におきます教室の充足状況等を継続的に把握するとともに教室不足が発生する際には、その不足を解消するための施設整備に対する国庫補助を行い、各学校設置者と連携をして、35人学級を円滑に実施できるようしっかりと支援してく旨答弁をさせて頂きました。
  3ページからは、国会におきます審議の経過、それから今御紹介申し上げた主な点についての具体・詳細な記録でございます。
  また、最後の2ページ、7ページ目、8ページ目には衆議院の文科委員会、また参議院の文科委員会で頂いたこの法律案に対する附帯決議も付けさせて頂いたところでございます。御参考としてご覧頂けたら幸いでございます。
  続きまして、資料の4をお願いいたします。資料の4の資料の右半分の赤枠の中をご覧頂ければと思います。
  初年度の今年度、令和3年度は、2年生の学級編制の標準を35人に引き下げますが、中ほどの表で一番右端の部分3年度改善数という欄があります。御承知の通り小学校2年生についての学級担任分は加配教員としてすでに措置をしてきたところでございますので、今回は担任外の教員あるいは、教頭の複数配置等の744人の増を計上させて頂いたところです。
  来年度、令和4年度以降につきましては、一番下の表、年次計画の表でございますが、学級担任分も含めまして毎年度3000人程度を計上し令和7年度までの5年間で現時点での推計ですが13,574人の定数改善を図ることとしております。法改正に関します説明は以上でございます。
【森友財務課長】
  続きまして、義本総合教育政策局長より、質の高い教師の確保について御説明いたします。
【義本総合教育政策局長】
  総合教育政策局の義本でございます。資料5に関しまして、質の高い教師の確保についての提言等について御説明をさせて頂きたいと存じます。
  1ページをご覧頂きたいと存じます。先程もお話ございましたように、教師の養成・採用・研修を巡りましては、3月12日に文部科学大臣より、教師の養成・採用・研修等の在り方に関する包括的な諮問を中央教育審議会にさせて頂きまして、4月27日に第1回の特別部会の開催をしたところでございます。
  現在、教師を取り巻く環境につきましては、教師の長時間勤務、教員採用の採用倍率の低下など厳しい状況でございまして、魅力的な職業としての社会的認識が十分浸透しているという状況ではないということでございます。
  このような現状に対応しつつ、ICTの活用と少人数学級を車の両輪として、「令和の日本型学校教育」を実現し、それを担う質の高い教師を確保するために、基本的なところまで遡って検討を行いまして、必要な改革を進めていきたいと思っております。
  具体的には、この資料にございます(1)から(5)に関する事項について逐次、検討したいと思います。(2)にございますような、優れた人材確保のための教師の採用の在り方の問題、あるいは(3)にございますような教員免許、さらには(4)にございますような教員養成、その教職課程の在り方についても遡って検討を進めていきたいと思っているところでございます。
  なお、(3)にございますように教員免許更新制につきましては、できるだけ早急に抜本的な見直しの方向について先行して検討頂くようお願いしておりまして、集中的に御審議頂くために、教員免許更新制小委員会を設置いたしまして、4月30日に第1回の検討を開始したところでございます。
  2ページ、3ページをご覧頂きたいと存じます。これは、2月2日に当面の取組として教師の人材確保・質向上のプランとしまして、既存の制度の枠組み等を活用しながら取組む内容、あるいは運用改善等について、まとめたものでございます。この2ページの資料にございますようなかたちでの、「35人学級を担う教師の確保」のための小学校の免許を取りやすくするとか、あるいは、復職の環境構築していく、さらには、多様な社会人等の人材の活用についての方策をとりまとめたところでございます。スピード感をもってその実現に取り組んでいく予定でございます。
  4ページから6ページにつきましては、教員採用試験の採用倍率の動向ですとか、今後の退職者数の見通しについてまとめたものでございます。
  特に6ページにつきましては、今後の退職者数としましては、平成30年度末をピークにしまして今後低減していく傾向もございます。
  さらには、7ページをご覧頂きたいと存じますが、本年2月に各教育委員会の採用者数の見通しを調査したところ、青色の線で示しているように、小学校の採用者数につきましては、令和4年度頃までは現在と同程度の水準で推移いたしまして、その後減少していく見込みになっているところでございます。
  8ページをご覧頂きたいと存じます。こちらは、各教育委員会で実施しております採用面での取組の一部をまとめたところでございます。社会人等多様な人材の活用あるいは、教職経験者の復職の促進、あるいは教育実習の評価など大学と連携した取組など意欲的な取組が各教育委員会で進んでいるところでございます。
  9ページをご覧頂きたいと存じます。こちらは、今回の義務標準法の改正によりまして、安定的・計画的な採用・配置が行いやすくなるということを踏まえまして、正規教員の採用・人事配置をより一層計画的に行うとともに、教師として多様な人材の活用等を図ることによりまして、質の高い指導体制を確保できるように通知を行いまして、その促進をしているところでございます。
  10ページから11ページは、先ほど2ページで御説明しました「プラン」を具体的に対応したものでございます。10ページにつきましては、教員免許状を持っていない優れた知識経験等を有する社会人等を教師として迎え入れるために、「特別免許状」につきまして、より小中学校ですとか公立での一層の活用が進むように指針の改訂を行ったところでございます。
  11ページにつきましては、教師の人材確保に関する当面の対応策として、免許状更新講習を修了していない退職者等につきまして「臨時免許状」の授与を行います要件を弾力化する旨を改めて周知させて頂いたところでございます。
  最後に、12ページをご覧頂きたいと思います。今後、中教審におきましては、エビデンスに基づいた検討をしっかり進めていくために(
2)にございますような教師不足に関する実態調査、さらには、学生の教職への志望動向に関する調査など、今後5つの調査を実施する予定でございます。これらの調査結果を踏まえながら中教審においてさらに議論を進めまして、成案を得られたものから逐次取り組んでいきたいと思います。説明は以上でございます。
【森友財務課長】
  続きまして、初等中等教育局長より、教職員定数の標準に占める正規教員の割合等について御説明いたします。
【瀧本初等中等教育局長】
  はい、失礼いたします。資料の6をお願い申し上げます。
  冒頭の大臣の挨拶にもありましたが、いわゆる非正規教員についてですけれども、資料6ご覧頂いた通りですね、自治体間でかなり割合が大きく異なっております。例えば、このピンク色の臨時的任用教員の割合はご覧頂くと、1、2パーセント程度の自治体から2割近くまでを占める自治体まで非常にばらつきがあるという実態がございます。将来的な過員が生じないよう一定程度の非正規教員を配置せざるを得ない状況もあるとは理解をしておりますけれども、正規教員の率を可能な限り高めていけないかと考えているところでございます。
  続きまして資料の7をご覧頂ければと思います。少人数学級の効果についてのこれまでのデータ等でございますが、1ページ目のところでございます。これは比較的不利な家庭環境に置かれた児童生徒が数多く存在するような学校では、学級規模が小さいほど正答率が高くなる傾向が学力調査の結果からも見られてございます。
  また、一枚めくって頂いて2ページ目でございますが、学級規模が小さいほど学力以外ですけれども、学習規律や授業態度が良いこと、あるいは、授業の内容の理解が高いこと、あるいは、学習意欲が高まるといった点で効果が見られているところでございます。
  3ページ目をご覧ください。これは内閣官房の教育再生実行会議で少人数学級について議論頂いた際に有識者から少人数学級の効果あるいは、大規模学級のデメリット等について、ご覧頂いているような意見を頂きました。今後、改正法も踏まえまして、学級規模の縮小が教育活動に与える影響について多面的な観点で実証研究を進めることとしておりまして、この協議の場での自治体の御意見も伺いながら具体の設計の検討をしてまいりたいと考えております。
  続きまして、資料の8をお願いいたします。学校に置かれる専門スタッフの例を並べさせて頂いたものです。学校におきます働き改革が極めて重要な課題でございまして、これを進める上で、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境を整備することが重要と考えております。そのための一つの方策がこの外部人材である専門スタッフの充実にあると考えておりまして、教師の業務負担の軽減を図ることができますよう関連予算の確保に取り組んでまいりたいと考えております。これらの外部人材の活用効果についても、実証研究をこの協議の場での御意見を伺いながら、具体の検討を進めてまいりたいと考えております。
【義本総合教育政策局長】
  この学校の働き方改革の観点から外部人材の活用と併せまして、コミュニティ・スクール、学校運営協議会の推進も重要と考えております。
  この資料にございますようにコミュニティ・スクールにつきましては、地域の方々に参画頂いて学校運営を議論していくという仕組みを導入した学校でございまして、現在約1万校で導入されているということでございます。
  この地域と学校の連携と協働の仕組みによりまして、特に地域のITスキルに長けた人材など、外部人材の活用や連携が円滑に進み、その結果として教員の働き方改革にも資することになるのではないかということとともに、この資料の右下にございますように、平時からの地域と学校の連携が、有事の際に例えば防災での円滑な避難所の運営につながるなど、地域防災にも効果を発揮しているというふうな事例が見られているところでございます。
  導入率につきましては、全国で令和2年度時点で27.2%となり、着実に増加しておりますけれども、まだまだ地域によって導入状況にばらつきがあるところでございます。是非、各自治体において導入を進めて頂くよう、御検討をよろしくお願いしたいと存じます。以上でございます。
【森友財務課長】
  資料説明長くなりましてすみません。最後に山﨑部長より35人学級実施に伴います使用教室の状況について御説明申し上げます。
【山﨑大臣官房文教施設企画・防災部長】
  文教施設企画・防災部長の山﨑でございます。資料9をご覧ください。
  35人学級の実施に伴う施設面における影響を把握するため、本年2月に各学校の設置者に御協力頂きまして確認を行いました。その結果につきまして、資料9、1枚目の左側に令和3年度の見込み、右側に令和4年度の見込みを記載しております。
  令和3年度につきましては、すでに小学校2年生について35人以下学級がおおむね実現していたことから、新たに対応が必要な室数、資料には要対応室数というふうに書いてございますけれども、全体から見ればごく少数であり、それらにつきましてもほとんどの場合には、以前から計画されていた新増築や余裕教室等の転用等により対応できるということでした。
  また、右側の令和4年度につきましても、令和3年度よりは対応が必要な室数が増えるものの、多くの場合におきましては、以前から計画されていた新増築や余裕教室等の転用等により対応可能との結果が出ました。
  なお、2月の調査時点で対応が困難であると回答があったのは、一番下に書いてございますけれども、令和3年度が10教室で、令和4年度が17教室でしたが、先月改めて状況を確認したところ、転用等により対応が可能になったりしたことによりまして、それぞれ0室、11室となっております。各学校設置者におきましては、着実に取組を進めて頂いているものというふうに認識しております。
  ポンチ絵の2枚目、3枚目をご覧頂きますと、それぞれ令和3年度と4年度における詳細なデータをまとめております。それぞれの一番下には、地方公共団体の類型ごとに対応が必要な割合をまとめておりますが、特に令和4年度につきましては政令市や特別区において割合が高い傾向が見られます。
  以上のような35人学級の実施に伴う教室の充足状況につきましては、文部科学省として今後も定期的に把握していくことを考えております。
  新たに教室の確保が必要になる場合の対応としましては、義務標準法の一部改正法の施行通知において言及しておりますけれども、まずは、教育上支障が生じない範囲内において、余裕教室や必要数以上の特別教室など既存の施設の活用を御検討頂きたいと考えております。それらによりまして、必要な教室数が確保できず、増築等を行う場合には、国庫補助等により支援をしてまいりたいと考えています。
  義務標準法一部改正法における経過措置が終了する令和6年度末までに円滑かつ計画的に必要な教室の確保を行うことができるよう引き続き各学校設置者と課題を共有しながら連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。以上です。

【森友財務課長】
  それでは、議題(2)地方団体意見発表に移らせて頂きます。地方団体の方々から順番に御発言頂きたいと思います。
  まずは、全国知事会会長の飯泉知事よろしくお願いいたします。
【飯泉全国知事会長】
  それでは、全国知事会のほうから出させて頂いております意見項目が大きく二つありますので、こちらをご覧頂きながらお聞き頂ければと思います。
  まず一つ目は「教職員定数の改善が必要な事項」ということで、まず、全国的に見た場合に、中学校において先ほど大臣からもお話があったように、35人学級を実現することが求められることとなります。と言いますのも、小学校でなり、中学校でいきなり40人学級というわけにはいかないわけでございまして、その準備を始める必要があります。
  また、さらにその先を見据え、今度は、中学校は3年しかありませんので、次は高等学校における少人数学級の在り方、こうした点で次々と接続をスムーズにしていく必要があるのではないか、その意味では、まず小学校における少人数学級の好事例を集めて、どんどん世間の方に訴えかけていく、世論に訴えかけることが必要かと思っております。
  徳島県におきましては、国の加配を活用させて頂きまして、平成27年度から、中学校3年まですでに35人以下学級を具現化しております。その結果どんな効果があったのかというと、先ほども様々な発表があったところですが、やはりなんと言っても一人一人に寄り添った教育をできるということで、学力の向上、さらには不登校等や問題行動などが大いに改善をされることが挙げられます。さらに、これに加えて各先生方の勤務時間、こうした点が削減される働き方改革、こうしたものにも大いにつながっているところでもあります。
  また次に、大臣からお話がありました、小学校高学年における教科担任制を効果的に導入していくんだとお話があったところですが、やはり全国的な視点で考えてみますと、授業の質の向上に加え、いわゆる学級担任の皆様方の働き方改革に大いにつながってくることとなります。また、働き方改革をさらに高めていくためには、より専門性を持った教員の皆様方の配置が必要となるところであり、いわゆる基礎定数の算定方法につきましても、いわば中学校並みで考えていく必要があるのではないかと考えております。
  今年度、徳島県においては、特に小学校を対象として研究指定校において、教科担任制を実施しているところですので、こうした点の効果をより広げていければと考えております。
  例えば、先ほど徳島県の事例にあったように、加配の部分が浮いてきてしまう、これをさらに活用する、こうしたものが次の大きな課題になってくる、このように考えております。
  そこで、2番目は「小学校の35人学級を計画的に進める上での課題等について」です。いま申し上げたように、35人以下学級が、まさに定数に入ってくるということになりますと、徳島県のように加配を活用していた場合、その加配の数がこうしたものが浮いてくることとなります。「ではその数はいらない」と言って財務担当に切られてしまう大きなピンチが訪れるとも言えるところですが、現在、教育現場においては、35人以下学級などを優先する結果、様々な課題に対して対応できていないものがあるところです。そうした意味では、このピンチを大いなるチャンスに活かす絶好の機会が来たのではないかと考えています。
  徳島県としての考えとして、例えばですが、GIGAスクールがようやくハード面は整備されたところですが、これをどう活用していくのか、今年度はソフト面に重点が移ってくることとなります。平時において、あるいは災害時などにおいての学びの保障、さらには5Gも含め、これを活用することによって動画を導入していくことを考えた時、そのために、カリキュラムあるいはコンテンツをいかに作り上げていくために加配を有効に活用していくことが考えられます。
  また、冒頭の御挨拶でも申し上げたように、特別支援学校の設置基準が策定されてまいります。通常学級においても特別な配慮を必要とする生徒さんたちが多くなりますが、加配によってきめ細かな対応ができると考えております。
  さらには、NHKなどで全国にもPR頂きましたが、今年の4月に徳島県では全国初となる県立の夜間中学校をスタートし、これまでの学び直しを希望する皆様方、さらには日本ではいま外国人材をどんどん導入しているところです。日本語を学んできたワーカーの人たちや、学校で日本語に慣れる機会がある子供たちはよいですが、配偶者の方たちが日本語に馴染めず、御近所づきあいができずに悩まれる、そうした場合によってはそのことによって母国に帰られることがあります。そうしたことがないように外国籍の皆様方も受け入れさせて頂いており、非常に好評を博しているところでありまして、菅総理からは全国で夜間中学校を展開していこうと仰って頂いております。こうしたところでもより多くの専門人材が必要となってきますので、是非こうした点、そしてGIGAスクールのその先をしっかりと考えた加配の活用の仕方を考えて頂きたいと思います。
  また、先ほど大臣のお話や経過措置の御説明にもありましたが、教員、教室の確保でも課題が出てくるところです。特に大きい部分は、やはり優秀な人材を教職員として採用していくことであり、そのためには教職の魅力向上がなければならないと考えております。幸いにして徳島県の場合には、教職員の試験の倍率については全国平均を上回っているところではありますが、徳島県として見た時にはやはり減少傾向にあり、教職の魅力をより高めることが不可欠となります。
  さらに、中学校、高等学校の一部の教科におきましては、病欠により欠員が生じた時になかなかそのフォローが利かないということもありますので、先ほども申し上げましたが、専門人材をいかに雇っていくのかということが重要となります。実はこのコロナ禍におきまして、東京をはじめとする大都市部から地方へ転職したい若者がたくさんおり、いま65.7%の皆様方が地方に転職したいと思っているとのことです。この新次元の分散型国土の形成に資する若い皆様方の希望の受け皿として、是非教職を魅力あるものとして、コロナ禍においても受け入れることができる、そうした方向性を見据えてよろしくお願い申し上げたいと思います。私のほうからは以上です。
【森友財務課長】
  ありがとうございました。
  続きまして、全国市長会社会文教委員長の吉田市長、お願いいたします。
【吉田全国市長会社会文教委員長】
  私のほうからは全国市長会におきまして社会文教委員会の市区長を対象に調査を実施しております。寄せられた意見等を集約しましたので、こちらのほうをまず紹介させて頂きたいと思います。
  まず、公立小学校の施設の整備について、「35人学級の実施に伴い、既存の教室では不足する学校があり、増改築が必要」、「既存校舎で余裕教室がない学校については、仮設校舎の増築、校舎の整備が必要」、また、「教員数増加による職員室等管理諸室の改修や増築が必要」との声が寄せられました。地域によっても実情は千差万別でございますが、やはり必要な財源措置をしっかりと講じて頂きたいということでございます。
  ICT機器や管理備品等の整備について、これについても35人学級の実現による教室数の増加に伴って、消耗品や備品の早急な整備が必要でございます。増学級分の備品についても、「GIGAスクールの実施に伴い、大型モニターなどの情報機器、放送設備、エアコン、黒板等、各教室に必要な設備の整備が必要である」という声が寄せられているところでございます。
  教職員の確保、質の向上について、大変たくさんの意見を頂きました。私の私見も含めて次の意見交換の時にお話しさせて頂きますが、ここでは寄せられた意見をかいつまんでお話しさせて頂きます。いずれとしましても、大学における教育学部の定員増など、教職員の質の維持・向上、必要数確保への対応が課題であります。そしてまた、先ほどからお話が出ているとおり、全国的に教員志望者が低下するなか、魅力的な仕事であるということをより多くの若者に伝えていくことが必要でございます。そして教職員の専門性を高めるとともに、少人数学級編制を可能とする教職員の確保、また、教職員定数の増員、支援員等の教職員の加配等、マンパワーを増やす施策の充実が必要でございます。
  少人数学級が、きめ細かい指導体制を行う上での後退につながってしまったということでは本末転倒でございます。「加配定数を基礎定数に振り替えるため、加配措置が後退し、きめ細かな指導体制の構築が困難になるおそれがあるのではないか」という懸念や、「加配定数を後退させることなく、教職員定数を拡充することが必要である」という声が寄せられております。
  学年によって教員の在りよう、求められる教員像も色々であると思います。低学年の場合は学級担任に全人格的な姿が求められますし、高学年の場合、子供たちを取り巻く問題もいろいろ複雑化してまいります。子供たちの心のケアも必要ですし、教科担任制により、教科によって専門の先生がしっかりと教えて頂く体制も必要でございます。子供たちの発達段階に応じてしっかりとした体制を作っていくためには、教職員によるきめ細かい指導体制の構築をしっかりと進めていかなくてはならないと考えております。
  教職員の負担軽減については、「教職員を支援する専門スタッフを少なくとも週に1日程度は配置することによる負担軽減が必要ではないか」という意見もございました。スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、ICT支援員、スクール・サポート・スタッフ、ALT、部活動指導員などでございます。このようなたくさんの意見を頂きましたが、私のほうでまとめさせて頂きました。
  もう一点、教員の免許について、「今後、退職者を再任用という形でなく、定年引上げという形で教員数を確保したい」などの意見も寄せられております。「38年間の実績を担保に60歳以降の免許の更新は免除して、継続勤務のハードルを下げたらどうか」という意見です。あるいはまた、「更新制度について、勤務良好な方については簡易化していったらよいのではないか」という意見もございました。いずれにしましても、待遇改善も併せて教員の皆様方に寄り添った形で質の高い教員が長く勤務できるような体制づくりをしていくことが必要であろうと考えているところでございます。私のほうからは以上です。
【森友財務課長】
  ありがとうございました。続きまして、秋田県町村会会長の佐々木村長、お願いいたします。
【佐々木秋田県町村会会長】
  全国町村会行政委員会の委員を務めております。秋田県東成瀬村長の佐々木でございます。萩生田大臣はじめ、関係者の皆様の御尽力によりまして、義務教育標準法が改正され、本会も要望しておりました少人数学級の道が開けたことに対し改めて感謝申し上げます。さて、少人数学級が推進されることにより、児童生徒一人一人に目が届きやすくなることは大きなメリットではありますが、このメリットを大きく生かすためには、教員の確保が鍵になります。
  今回、協議の場への参画に当たって、本会の所管する委員会の町村長に意見照会を行いましたが、町村においては、地域に密着し、生き生きとした授業を担っている加配教員がこの法改正を機に基礎定数に振り替えられ、これまでと同様に確保されなくなるのではないかといった強い不安の声が多数ありました。
  つまり、標準法で少人数学級を実施しても町村にとってのメリットは、少なくなるのではないか。むしろ、これまでよりも加配教員の配置が期待できなくなることが懸念されるというわけであります。
  そうなれば、町村の独自性を生かした特色ある教育が推進できなくなる可能性が高くなるという危機感があるわけであります。特に町村ではすでに35人を下回る少人数学級を実施しているところが多く、それ以外にも、いじめや不登校等に係る指導、英語等の追加指導等を加配教員が担っています。
  加配教員の多くが町村の学校現場において、質の高い教育や環境の改善に必要不可欠であり、「加配」という言葉で言い尽くせないほど無くてはならないほどの存在となっています。町村にとって加配教員の配置ができなくなるのは極めて大きな痛手でありますので、今後5年間で段階的に実施される35人学級の編制に当たっては、令和3年3月の衆議院、参議院の文部科学委員会附帯決議のとおり、必要な定数を削減することなく安定的な財源によって措置することを是非ともお願いします。
  子供たちの学びの環境をさらに向上させるためには、現状の教員数の維持が大前提であり、後に述べる貴重な人材を増やすことはあっても、縮小されることがあってはなりません。
  併せて教員数の確保の観点から都市部に教員の多くを配置されることで、町村部にしわ寄せがこないよう十分な配慮をお願いいたします。
  また、少人数学級が実施されている町村においても、特別支援学級等に教室が使用される等、今後、教室の不足が懸念されますので、不足する教室の増設に係る施設設備に係る財政支援をお願いいたします。
  次に、教員の質の確保についてであります。昨今、教員志望の学生が減少傾向の中、質の高い教員を確保できるかが大きな課題でありますので、貴重な人材が教育の現場で活躍できるよう養成や採用に注力して頂くことをお願いいたします。
  また、中山間地や過疎地域の学校では、児童数の減少等、地域の実情に応じて、小中連携や小中一貫教育に取り組んでおります。
  教員の小学校と中学校の教員免許状の併有率が低い状況にあるため、指導範囲の限定等、学校現場に不都合が生じております。
  このため、教員養成課程や現職教員において、小学校、中学校両教員免許を取得しやすくするよう要件の緩和をはじめ、環境整備を行って頂くようお願いいたします。
  最後になりますが、未来を担う子供たちに質の高い教育を実践するには、教員が一人一人の児童生徒と向き合い、寄り添いながら各自の特性を理解し、個性を伸ばすような学びを支えていくことが必要であります。
  以上、申し上げましたことは、日々住民に接している私たち町村長が実感することであります。
  少人数学級推進のために、これら現場の声をしっかりと受け止めて頂き、次代を担う子供たちに寄り添った教育施策を進めて頂きたいと思いまます。私からは以上でございます。

【森友財務課長】
  ありがとうございました。最初の地方との会議でございます。意見交換の時間をお取りしたいと思います。先ほどの文部科学省からの説明ですとか、地方団体の皆様からの御意見を踏まえまして、御発言頂きたく存じます。御発言の際は、挙手ボタンを押すか、実際に挙手をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  それでは、本庄市長よろしくお願いいたします。
【吉田全国市長会社会文教委員長】
  先ほどの話の中で少し言い足りなかった部分を申し上げさせて頂きます。教員の質の向上、そしてまた、教員の確保については大変多くの自治体の長として関心を持っている方々大勢いらっしゃるわけでございます。
  私自身も現場等も見る中で、先ほどもちょっと申し上げたんですけれども、特に低学年のお子さんの場合は、学級担任の先生の力というのは非常に大事でございまして、全人格的な姿勢が求められるのは、特に感じておるところでございます。
  もちろん、この全人格的な姿勢というのはですね、これは高学年でも、あるいは中学生でも多感な時期のお子さんにとっては、非常に大事でございますが、高学年になるにつれて今度は、人格の面と同時に今度はいわゆる教科の面での専門性というのが必要になってくる。
  ですから、人が必要なんですね。そこは本当に是非、少人数学級だからということで加配定数等のことに踏み込むというのでは、本末転倒になるであろう、先ほどから村長さんのお話にもありましたけれども私もまさに同感でございます。
  そのうえで、どうしたら質の高い教員を確保できるのかという根源的な課題になってくるのでございますけれども、やはり私は、大学における教職課程であるとか、また、いわゆる中途の採用であるとか、そういったことを進めるべき。また、教職課程においても色々な改革が必要であろうと思いますが、大事なのはですね、まさに先ほど、萩生田大臣がおっしゃった言葉の中に一つ非常に大事なキーワードがございまして、それは、非認知能力という言葉がキーワードかなというふうに思っているところでございます。
  非認知能力というものが、数字ではなかなか測れない、お子さんに対する人格的な感覚というものを先生方がどれだけ持っているかということが非常に大事でございますので、この非認知能力みたいなところにですね、非常に焦点を当てるなかでのこの教職課程の改革であるとか、あるいは、中途採用の先生方の採用であるとかそういったところに是非力点をおいて頂く、もちろん教科の専門性というのは大事でございます。しっかりと教えるだけの能力がなければ駄目なわけでございますけど、とにかく今の子供たちを取り巻く環境というのは非常に難しい面もたくさんございますので、教員にもこの非認知能力というもの求められる時代になってきているということを感じるところでございます。この点、是非、教員採用という点においてですね、どういう人を選んでいったらいいのかそこをしっかり考える際に大事なキーワードかなということを指摘させて頂きます。
  最後になりますけども、やはり私は、教員というのは社会貢献の最たる存在だなというふうに思っております。
  つまり職業に貴賎ございません、いろんな職業みんな大事でございますけど、教員というのは、やはり次世代の子供たちを育てるわけですから、社会貢献の最たる存在、その誇りをですね、若い人たちにもって頑張りたい、そういう有為な方々がしっかりと教師の道に進めるような体制づくり、多くの方にですね、教員というのは社会貢献の最たる存在なんだということを、もう一度国民的にみんなで認識していく、こういう動きが必要ではないかと常々感じているところでございます。私からは、以上でございます。
【森友財務課長】
  吉田市長ありがとうございます。他の皆様御意見いかがでしょうか。


【森友財務課長】
  それでは最後に熊田副大臣、丹羽副大臣、鰐淵政務官より御発言頂きます。まず、熊田副大臣よろしくお願いいたします。
【熊田総務副大臣】
  総務副大臣の熊田裕通です。本日はありがとうございます。
  全国の小学校における学級編制標準の引下げという、40年ぶりの大改革が菅内閣の下で実現をいたしました。今後、少人数学級の計画的な整備等を国と地方がしっかりと連携して、取り組んでいくために、本日このような形で、「国と地方の協議の場」が設けられました。
  本日は、教員の確保や施設整備における課題など、幅広い観点からの現場の声をお聞かせ頂き、大変有意義な意見交換の場となりました。
  冒頭に萩生田大臣からもお話頂いた通り、教職員定数の適切な配置や教室の環境整備といった課題は国と地方が協力して解決していく必要があります。また、国・地方を通じた厳しい財政状況の中、公立小中学校等の教職員の方々の給与などの経費の多くを地方が財政負担をすることによって、学校の教育環境を整え、子供たちの学びが実現をしております。
  そのため、地方の財政や定員管理を所管する総務省といたしましては、国・地方が一体となって、今回の改革を、国の宝である子供を誰一人取り残すことなく、全ての子供たちの可能性を引き出す教育の構築に向けた、真に意味ある改革とすべきと考えております。
  文部科学省におかれましては、今後も地方の意見や実情を丁寧に把握し、現場に寄り添いながら少人数学級の整備を進めて頂きたいと考えております。
  総務省といたしましても、文部科学省としっかり連携して支援してまいりたいと考えております。
  本日は、誠にありがとうございました。
【森友財務課長】
  ありがとうございました。丹羽副大臣お願いいたします。
【丹羽文部科学副大臣】
  本日は全国の知事会、また市長会、町村会のそれぞれのお立場から、極めて重要な視点で御意見を頂き、本当にありがとうございました。また、総務省から熊田副大臣をはじめ御出席頂きまして、心より感謝申し上げます。
  この協議の場は小学校の35人学級を今後5年間で円滑に導入するため、様々な課題について、国と地方が力を合わせて、その解決策を検討していく、重要な役割を担うものであります。
  本日の協議の場で、加配定数の確保や、正規教員の配置促進、少人数学級の効果検証、ICT環境の整備のほか、学校の働き方改革の観点から、外部人材の更なる活用や、コミュニティ・スクールの推進など、学校を取り巻く様々な課題について、大変有意義な意見交換を行うことができました。
  本日頂いた御意見を踏まえて、この協議の場の下に設置する実務ワーキンググループで課題を整理させて頂きながら、次回の協議の場で、より踏み込んだ議論をさせて頂きたいと考えております。
  是非、皆様方におかれましては、引き続き忌憚のない御意見をお聞かせ頂ければ大変幸いでございます。本日はありがとうございました。
【森友財務課長】
  ありがとうございました。最後に鰐淵政務官お願いいたします。
【鰐淵文部科学大臣政務官】
  飯泉知事、吉田市長、佐々木村長におかれましては、御多忙の中、御参加頂きまして、また、大変貴重な御意見を頂きました。心より、感謝申し上げます。大変ありがとうございました。
  与党公明党としましても、多様な子供たち一人一人に応じた、きめ細やかな教育を推進するために、少人数学級の実現に向けて全力でこれまでも取り組んでまいりました。
  そしてようやくスタートラインに立つことができまして、これからの取組が重要になってくると思います。また、昨年からのコロナの感染拡大によりまして、子供たちの置かれている環境も大きく変化しております。また一人一人の悩みや、課題も大きく変化をしている中で、ますますこの少人数学級の実現、着実に進めていくことが重要になっているかと思います。その中で本日も貴重な御意見様々頂きました。御指摘も頂いております。そういった中で現場の声をしっかりと受け止めてもらいたい、そうした声も頂きました。いずれも重要な御意見だったと思っております。
  それをしっかりと受け止めまして、今後国と地方しっかりと連携をさせて頂く中で、質の高い教師の確保、またそういったことも検討させて頂き、少人数学級の多面的な検証もしっかりと進めていきたいと思っています。その上で更なる学校の指導体制の充実に皆様とともに実現をしていきたいと思っておりますので、どうぞ今後ともよろしくお願いを申し上げます。本日は大変ありがとうございました。
【森友財務課長】
  ありがとうございました。それでは、以上をもちまして、第1回の協議の場を終了いたします。今後の日程につきましては、地方三団体の皆様方に相談させて頂きながら、検討してまいりたいと思います。
  本日はありがとうございました。

 

―― 了 ――

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   初等中等教育局財務課