令和5年11月9日
【安井財務課長】
失礼いたします。定刻となりましたので、ただいまから今後の教職員定数の在り方等に関する国と地方の協議の場を開催いたします。
本日は、皆様、お忙しい中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。本日の進行を務めさせていただきます文部科学省初等中等教育局財務課長の安井と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
なお、大変恐縮ながら急遽国会の日程が入りまして、盛山大臣、青山副大臣、安江大臣政務官、馬場総務副大臣におかれましては、今、議場から向かっていただいておりますが、10分程度遅れての参加となる見込みでございます。冒頭に予定してございました大臣、大村知事からの御挨拶、また提言書の御手交につきましては大臣出席後に行わせていただくことといたしまして、その前に事務局からの御説明などを行うこととさせていただきたいと存じます。申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。
それでは、御出席を賜りました皆様の御紹介をさせていただきます。
まず、地方団体の方々でございます。全国知事会文教・スポーツ常任委員会委員長でいらっしゃいます大村愛知県知事でございます。
【大村愛知県知事】
おはようございます。よろしくどうぞお願いします。
【安井財務課長】
本日、オンラインで参加いただいてございます全国市長会社会文教委員長でいらっしゃる吉田本庄市長でございます。
【吉田本庄市長】
吉田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【安井財務課長】
全国町村会行政委員会委員、田島白石町長でございます。
【田島白石町長】
田島でございます。よろしくお願いいたします。
【安井財務課長】
続きまして、総務省から御出席いただいてございます、大沢自治財政局長でございます。
【大沢総務省自治財政局長】
自治財政局長の大沢です。よろしくお願いいたします。
【安井財務課長】
梶自治財政局調整課長でございます。
【梶総務省自治財政局調整課長】
調整課長の梶でございます。よろしくお願いします。
【安井財務課長】
続きまして、文部科学省でございます。盛山大臣、青山副大臣、安江文部科学大臣政務官は、国会から到着次第、御出席させていただきます。また、馬場総務副大臣にも御臨席を賜る御予定でございます。
それから、文部科学省、藤江文部科学審議官でございます。
【藤江文部科学審議官】
藤江でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【安井財務課長】
笠原大臣官房文教施設企画・防災部長でございます。
【笠原文教施設企画・防災部長】
笠原です。よろしくお願いいたします。
【安井財務課長】
望月総合教育政策局長でございます。
【望月総合教育政策局長】
望月でございます。よろしくお願いいたします。
【安井財務課長】
矢野初等中等教育局長でございます。
【矢野初等中等教育局長】
矢野です。どうぞよろしくお願いいたします。
【安井財務課長】
どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日の会議につきましては、対面の御参加とウェブ会議システムを併用した開催とさせていただいております。オンラインで御出席を賜ってございます吉田市長におかれましては、恐れ入りますが、御発言のとき以外はマイクをオフにしていただければと存じます。
それでは、まず、配付資料の御確認をさせていただきます。本日の配付資料でございますが、お手元の議事次第の4.配付資料にございますとおり、資料1、資料2、地方団体提出資料を頂いてございます。また、参考資料1、2となってございます。また、本会議の委員名簿、運営要領については資料1で記載させていただいております。御確認いただければと存じます。もし資料の過不足等がございましたらお申出いただければと思います。
それでは、議題(1)文部科学省説明に移らせていただきます。矢野局長より、教師を取り巻く環境整備に関する最近の動向、また令和6年度の概算要求の内容について御説明させていただきます。
【矢野初等中等教育局長】
それでは、資料2の1ページ目を御覧いただきたいと思います。学校における働き方改革に関するこれまでの経緯をまとめております。
御存じの方もいらっしゃると思いますが、ちょっと経緯がございますので御説明申し上げますと、平成29年に前回の教員勤務実態調査の速報値を公表いたしまして、教師の厳しい勤務実態が明らかになったということを踏まえまして、中央教育審議会におきまして学校における働き方改革についての御議論を頂戴しました。
その後、平成31年1月にいただいた答申を踏まえ、令和元年12月に給特法を改正いたしまして、教師の勤務実態の上限に関する指針を策定するとともに、国、教育委員会、学校がそれぞれの立場で働き方改革を進めてまいりました。
そして、令和元年の給特法改正の際、3年後に教員勤務実態調査を行うべきである旨の国会による附帯決議がなされたということを受け、令和4年度、昨年度に勤務実態調査を実施し、今年の4月にその速報値を公表したところでございます。この速報値を踏まえ、本年5月、文部科学大臣から中央教育審議会に対して諮問が行われた後に、質の高い教師の確保特別部会が中教審に設置され、現在、御議論を頂戴しているところでございます。
資料2の2ページ目を御覧いただきたいと思います。こちらは教員勤務実態調査の速報値の中身でございます。教師の在校等時間は、前回調査と比較して平日、土日とも全ての職種で減少したものの、依然として長時間勤務の教師が多い状況となっております。教師1人当たりの在校等時間を下段にまとめておりますけれども、平日の教諭については小・中学校ともに約30分の減となっております。土日の教諭については、特に中学校で約1時間の減となっており、部活動ガイドラインにより、適切な休養日が設定されたことなどが影響しているのではないかと考えております。
一方、依然としていわゆる過労死ラインと言われる月80時間以上の時間外在校等時間の者は中学校で約37%に上っているということでございまして、1か月の時間外在校等時間の上限として定められている月45時間を超えている者は小学校で約65%、中学校で約77%と、改善が急務となっております。
3ページ目をお開きいただきたいと思います。これが中教審に対して諮問した概要となります。中段の囲みを御覧いただければと思いますが、全国的に教師不足が指摘されている中、質の高い教師を確保し、抜本的に教職の魅力を向上させることが喫緊の課題となってございまして、学校の働き方改革、処遇の改善、指導・運営体制の充実を一体的・総合的に推進することが不可欠となっております。
具体的な検討事項といたしまして、学校や教師が担う業務や教師の勤務時間の上限指針等の在り方などさらなる学校の働き方改革について、教職調整額及び超勤4項目や教師の職務の特殊性等の在り方など教師の処遇改善について、そして中学校を含めた望ましい教育環境や指導体制の構築や支援スタッフの配置等の在り方など学校指導・運営体制の充実について御審議いただくこととしております。
4ページ目を御覧いただきたいと思います。これは6月に閣議決定されたいわゆる骨太の方針でございますが、こちらにおきましても働き方改革のさらなる加速化、処遇改善、指導・運営体制の充実、育成支援を一体的に進めるとの方向が示されたところでございます。
このうち処遇改善につきましては、教職調整額の水準や新たな手当の創設を含めた各種手当の見直しなど、給特法等の法制的な枠組みを含め具体的な制度設計の検討を進め、教師の処遇を抜本的に見直すこととされております。
また、2024年度から3年間を集中改革期間といたしまして、2024年度から小学校高学年教科担任制の強化や、教員業務支援員の小・中学校への配置拡大を速やかに進めるとともに、2024年度中の給特法改正案の国会提出を検討すると、ここは非常に重要なところでございますが、これらについて盛り込まれたところでございます。
資料2の5ページ目を御覧いただきたいと思います。こちらがこの8月に中教審特別部会から出された提言でございまして、できることを直ちに行うという考え方の下、緊急的に取り組むべき施策が取りまとめられたものでございます。
とりわけこの協議の場の主な議題に関連するものといたしましては、右下の持続可能な勤務環境整備等の支援の充実では、小学校高学年の教科担任制の強化など教職員定数の改善、教員業務支援員の全小・中学校への配置など支援スタッフの配置充実、給特法等の具体的な制度設計は、今後、議論を深めていくことを前提として、先行して主任手当、管理職手当を速やかに改善することなどが緊急的に取り組むべき具体策として挙げられております。
ちょっと中断させていただきます。
【安井財務課長】
それでは、大臣に御到着いただきましたので、資料の説明を中断させていただきます。恐縮でございますが、報道の入室をさせていただきます。
それでは、まず、盛山文部科学大臣より御挨拶をいただきます。
よろしくお願いいたします。
【盛山文部科学大臣】
本日はお忙しい中、今後の教職員定数の在り方等に関する国と地方の協議の場に御出席いただきましてありがとうございます。開催に当たりまして、私から御挨拶を申し上げます。
さて、この国と地方の協議の場は、小学校35人学級の計画的な整備や、今後の指導体制のさらなる充実を図っていく上での課題を国と地方が共有し、連携して課題解消に向けた方策を検討していくため、令和3年5月に設置されたものです。
これまで開催された協議の場においては、地方団体の皆様方より、中学校35人学級の実現や小学校高学年の教科担任制の推進など、教職員定数の改善とともに質の高い教師を確保するための対策やICT教育環境の整備など、幅広い観点から大変貴重な御意見をいただきました。
第3回となる今回は、引き続き教職員定数など学校の指導・運営体制の在り方についてさらに議論を深めていただくとともに、喫緊の課題となっている教師を取り巻く環境を整備するため、学校における働き方改革や教師の処遇改善の在り方についても、皆様方からの貴重な御意見を賜りたいと考えております。
後ほど事務方から御説明申し上げますが、本年4月に公表した教員勤務実態調査の速報値を踏まえ、現在、中央教育審議会の特別部会において教師を取り巻く環境整備について集中的に御審議いただいており、8月末には緊急的に取り組むべき施策に関する御提言をいただきました。文部科学省においては、この御提言も踏まえまして、令和6年度概算要求において小学校高学年の教科担任制の強化や、教員業務支援員の全小・中学校への配置をはじめとした支援スタッフの配置充実などを盛り込んでおります。なお、教員業務支援員の配置に当たっては、首長部局における予算面での御協力が必要かと思いますので、ぜひ積極的な活用に御尽力いただきますようお願いいたします。
本日は、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をいただければ幸いです。有意義な意見交換の場となることを御期待申し上げて、私からの御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
【安井財務課長】
ありがとうございました。
続きまして、地方三団体を代表いただきまして、大村知事より御挨拶をいただきます。
よろしくお願いいたします。
【大村愛知県知事】
皆さん、おはようございます。愛知県知事の大村秀章です。本日は、地方三団体を代表いたしまして御挨拶を申し上げます。
まずは、盛山文部科学大臣、また馬場総務副大臣、青山文部科学副大臣、そして安江大臣政務官はじめ、皆様にこのような場を設けていただきまして誠にありがとうございます。また、常日頃、私ども地方三団体に対して御支援、御協力いただきまして感謝申し上げます。
さて、現在の教育現場は、先日、文部科学省さんから公表されましたとおり、小・中学校におけるいじめの認知件数、不登校児童生徒数などが過去最多となっております。また、特別支援教育の対象となる児童生徒や外国人児童生徒の増加などに対して、個々の状況に応じた適切な支援が求められるなど、様々な課題が複雑化かつ困難化している状況であります。
このような教育現場を熱意と努力により支えていただいている教員の在校等時間の状況は、若干の改善は見られるものの、依然として1日10時間を超える長時間勤務の教師が多く、学校における働き方改革のさらなる推進は待ったなしの状況だというふうに考えます。
また、2021年5月時点でありますが、全国の小・中学校で1,350校、1,701人の教員未配置が生じております。さらに、精神疾患を理由に離職した全国の公立小・中高の教員は2021年度時点で953人と、2012年度の641人と比べまして1.5倍に増加しておりまして、教育職員の休職者数は5,897人と過去最多であり、また1年以内に辞めた新任教諭の数も増加傾向にありまして、これらの解決を図ることが急務だと考えております。
このように教師を取り巻く環境は厳しさを増しておりまして、この状況を改善するためには、国と地方が一体となって働き方改革や質の高い教師の確保に向けた施策を推進しなければなりません。
本日は、私ども地方三団体から学校教育を取り巻く環境整備等に向けた提言書をお渡しさせていただきますので、幅広く御検討いただいて、必要なものから順次実行していただきますようにお願いいたします。
ということで、本日は何とぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【安井財務課長】
ありがとうございました。
続きまして、地方団体より提言書を頂いてございます。大村知事より大臣にお渡しを願います。
【大村愛知県知事】
よろしくお願いします。
(提言手交)
【安井財務課長】
ありがとうございました。
盛山大臣は公務がございますので、ここで退席させていただきます。
それでは、報道の方もこちらで御退出をお願いいたします。ありがとうございました。
それでは、資料説明の続きをお願い申し上げます。
【矢野初等中等教育局長】
資料2の6ページ目をお開きいただきたいと思います。こちらは教職員定数等に関する令和6年度の概算要求の概要でございます。左上に書かれていますとおり、小学校高学年における教科担任制については、4年程度かけて進める予定を1年前倒しで実施することにより取組の強化を図ることとしております。
このほか、右上のとおり、小学校の35人学級や通級による指導等の基礎定数化については計画どおり改善を図り、左下のとおり、不登校など様々な教育課題への対応のための加配定数の改善や、公務員の定年引上げに伴う特例的な定数増も計上しております。
なお、右下のとおり、処遇については中教審における審議等を踏まえ、具体的な制度設計を進める予定ですが、令和6年度については先行して主任手当や管理職手当の改善を計上しているところでございます。
7ページ目を御覧いただきたいと思います。こちらが支援スタッフの充実等に関する令和6年度の概算要求の概要でございます。上段の教員業務支援員、これは現場からも大変好評でございますが、全小・中学校に配置できるよう増額要求となっております。これは8ページ、9ページにもございますとおり、教員業務支援員の活用によって教師の在校等時間を着実に縮減できるというエビデンスが明らかになっているということを受け、教師が教師でなければできない業務に集中してもらう、そういう環境を整備し、働き方改革を推進したいということでございます。
また、7ページの中段の学習指導員についても校内教育支援センターへの配置など、不登校児童生徒への支援等を図るための要求となっております。
このほか、副校長、教頭の厳しい勤務実態を踏まえ、新たに副校長・教頭マネジメント支援員、副校長や教頭先生を補佐していただく支援員の配置のための事業を創設するということとしております。
10ページ目を御覧いただきたいと思います。これは先般策定された経済対策のうち、GIGAスクール構想の推進等に関する記述を抜粋しております。これは地方三団体におかれましても御支援を頂戴しました。改めて御礼を申し上げたいと思います。
GIGAスクール構想の第2期を見据えた地方公共団体への徹底的な伴走支援、予備機を含めた1人1台端末の計画的な更新と各都道府県への基金の設置、5年間同等条件での支援の継続といった内容が、11月2日に閣議決定されておりますが、盛り込まれたところでございます。
経済対策を踏まえた補正予算が取りまとめられましたら、その内容を踏まえ、関係各位には丁寧に御説明させていただきたい、そういう場を設けさせていただきたいと考えておりますので、引き続きの御支援をよろしくお願いします。
私からは以上でございます。
【安井財務課長】
ありがとうございます。
続きまして、望月総合教育政策局長より、教師人材の確保強化に関する御説明を申し上げます。
【望月総合教育政策局長】
先ほど初等中等教育局長から御説明させていただきましたけれども、教職員定数の35人学級の改善、あるいは処遇の改善、それから教員業務支援員の拡充といった学校の教師を取り巻く環境というものをよくしていくということを、地方と国と一体となって進めていく必要があると考えてございます。先ほど大村委員長からもございましたけれども、年度途中で残念ながら休職となる方も、あるいは産休・育休に入られる方、特別支援学級の増加等、年度の初めにはなかなか想定できない要因により、教師不足が全国的な課題となってございます。
教師不足に対応するためには、先ほど初中局長から申し上げました、教職員定数の改善や処遇の改善、働き方改革、あるいは教員業務支援員の拡充といったことを抜本的に進めていく必要がありますが、総合教育政策局においても、今般2つの概算要求の事業を計上しておりますので、それを簡単に御説明させていただきます。
11ページでございます。これは、今免許を持っているけれども学校現場に入っていない民間の方々、あるいは一度御家庭に入って、もう一度教職に就きたいという方々に、現下の教師不足の中、臨時講師となっていただいたり、あるいは正規教員になっていただいたりということを、どの都道府県においても自治体、教育委員会、民間企業、あるいはPTAとも連携しながら教師人材の確保強化策として行っていただきたいということで概算要求しているものでございます。
真ん中の事業内のパターン(1)からパターン(3)にありますように、免許を持っているけれどもまだ家庭に入られている方、もう一度教職に就きたいという方のために新しく事前研修を行う、あるいは、まずは非常勤職員として入っていただき、そういった方が正規職員になっていく、そういったことをそれぞれの自治体の状況に応じて御説明あるいは広報活動、それから入職に当たっての研修などを行ってもらうための事業となっております。
もう一点、12ページでございますが、こちらはもう少し中長期的な観点でございます。もう一部の自治体では行っていただいていますけれども、教師を志望する優れた人材に対して、高校段階から、あるいは中学校段階から、セミナーや説明会を行ったり、大学の教員養成学部などと教育委員会が連携して特別なカリキュラムをつくったり等、採用から就職まで一気通貫した形で人材育成を自治体のほうで行っていく、そういう仕組みを自治体と大学が連携して行っていただくことが大変大事だと思っておりまして、これは1年、2年の取組というよりも少しスパンの長い取組かと思いますが、これを各自治体のほうで行っていただく事業となっております。
教師不足への対応として、優秀な人材を確保していくということが必要だと思っております。引き続きの御理解と御協力をいただければ幸いでございます。ありがとうございました。
【安井財務課長】
ありがとうございました。
それでは、続きまして、議題(2)でございます。地方団体からの御意見を頂戴できればと思います。
順番に御発言いただきたいと存じますが、まず初めに、全国知事会の大村知事、お願いいたします。
【大村愛知県知事】
それでは、先ほど盛山大臣に地方三団体の提言をお渡しさせていただきました。その「学校教育を取り巻く環境整備等に向けた提言」を御覧いただければと思っております。
7項目を提言しておりますが、全国知事会が特にお願いしたいことを申し上げます。まず、提言の1でございますが、教師を取り巻く環境整備全体としての取組でありまして、学校教育の中核であり、その成否を左右する教師に質の高い人材を確保することは喫緊の課題であります。教師が魅力ある仕事として再認識されるように学校における働き方改革の推進による教師の負担軽減、給特法の法制的な枠組みを含めた教師の処遇改善、少人数学級の拡充などによる学校の指導・運営体制の充実や、教師の育成支援について一体的に進めていただきたいと思っております。それが1つ。
2つ目、提言の2でありますが、学校における働き方改革を加速させるため教職員定数のさらなる改善が必要であり、標準法における教職員定数を算定するための学級数に「乗ずる数」を見直す必要があります。特に養護教諭は小学校で児童が851人以上、そして中学校の生徒が801人以上の学校に対して2名の複数配置を行うこととされておりますが、基準を満たさない多くの学校では1校に1人しかおりません。不登校児童生徒数が増加し、教室に入りづらい児童生徒を一時的に保健室で受け入れている状況もあり、愛知県内でも市町によっては独自に養護教諭や補助員の配置をしているところがございます。今年度、35市町で233人を市町村独自でやっているということがあります。複数配置の要望は本県だけではなく、他の都道府県からもその充実を求める声があり全国の課題でありますので、ぜひとも基準を改善していただきたいと思います。また、教師や副校長、教頭の負担軽減のためにサポートが必要だとも聞いておりますので、支援スタッフの拡充をお願いいたします。
続いて、提言の4でありまして、国においては、2021年の義務標準法改正による小学校の少人数学級を、2025年度までに小学校6年生まで計画的に進めることとしております。計画どおり着実に進めていただきたいと思います。一人一人に応じたきめ細かな指導は小・中それぞれ必要でありますので、小学校での少人数学級導入の後は、中学校においても早期に少人数学級の拡充を十分な財政措置の下でお願いいたします。
また、小学校高学年における教科担任制につきましては、外国語、理科、算数、体育を対象として進めていただいておりまして、教員の持ちコマ数の軽減により、子供と向き合う時間が増えているということでありまして、大変助かっております。一方で、市町村からは、対象教科が限定的でありますので、これまで専科教員で確保していた音楽や図画工作などの教科に影響が生じているので、その拡大を求める要望が届いております。ぜひとも2025年度以降も引き続き定数改善を進めるとともに、改善する際は加配定数の付け替えなどによらず、十分な財政措置を講じていただきたいと思います。
続いて、提言の6です。小・中学校におけるいじめの認知件数や不登校児童生徒数は過去最多でありまして、これまで以上にきめ細かな心のケアを行うため、様々な悩みや不安を抱えた子供たちの新たな受入体制の整備が必要だと認識しております。愛知県では、2026年4月に授業時間数、始業時間などを柔軟に設定できる学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校の制度を活用して、中学から高校卒業までゆとりを持って学んでいける中高一貫校、不登校の子供のための中高一貫校を26年4月に開設いたします。公立では全国初めてであります。これは県立日進高校というところで導入することを決め、準備を進めておりますが、こうした現場の状況なども十分に踏まえまして、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置拡充をお願いいたします。特に知事会の立場としては、公立高校のスクールカウンセラーの配置に対して、目安として一定の割合で制限をかけられていることから、その拡充をお願いいたします。
最後に、提言7、GIGAスクール構想です。先ほど局長からもお話がありましたが、国策で導入された1人1台端末は、個別最適な学びと協働的な学びに不可欠な公教育の必須ツールだと考えます。こうした中で端末の更新時期を迎えつつあるところ、先日発表された総合経済対策において、基金の設置で5年間の継続支援をいただけるという見込みだということでございます。事業スキームや事務処理方法、具体的なスケジュールを速やかに示していただいた上で、都道府県が適切に事務処理を行えるように丁寧に説明していただきたいと思います。
また、高校段階における端末の整備更新や学習基盤となるプラットフォームなどの整備についても、都道府県や市町村が見通しを持てる安定的なスキームを、これも全額国費により構築していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
ということで、以上、駆け足で申し上げましたが、何とぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【安井財務課長】
ありがとうございました。
続きまして、全国市長会、吉田市長からお願いを申し上げます。
【吉田本庄市長】
全国市長会社会文教委員長を務めております埼玉県本庄市の吉田でございます。本日は、このような場において発言の機会をいただきましたことを感謝申し上げます。
では、教職員定数の在り方等に関しまして、都市自治体の立場、そして学校現場を預かる市長の立場としての所感も含めまして発言させていただきます。
それでは、初めに、先般国が公表した教員の勤務実態に関する調査において、教師の時間外勤務状況は一定程度改善されているものの、依然として長時間勤務であることが明らかにされました。また、いわゆる教師不足が全国的に指摘され、必要とする教師の数が確保できないという憂慮すべき状況にあります。
このように教師を取り巻く環境が厳しくなる中で、子供たちの資質・能力を確実に育み、我が国の未来を切り開く人材を育成していくことは大変重要な課題であります。そのため、学校教育を担う教師の確保は極めて重要な課題であり、その解決のためには教師の働き方改革や給与体系のさらなる改善、教師の処遇改善、学校の運営体制の充実を図ることが必要であり、その実現に向けては、保護者や地域住民など社会全体で学校教育に対する理解の醸成も不可欠であります。
また、現在の学校を取り巻く環境は、不登校やいじめの問題をはじめ発達障害などの障害のある児童生徒への指導、日本語指導の必要な児童生徒への対応など複雑化・多様化している状況にございます。
こういった中で子供たちに個別最適な教育を実施できるよう、教師が授業や学習指導などに専念できる環境を整えるために、学校の指導体制等についても充実を図ることが必要であります。そのため、少人数によるきめ細やかな指導体制の整備に向けて小学校において実施されている35人学級について、今後、中学校を含めて展開していくことや、教師の質の向上とともに教師の負担軽減にもつながる小学校における専科指導教員の計画的な配置充実など、様々な施策を今後も推進することが重要であります。
また、教師が児童生徒への学習指導等に注力できるよう、事務職員などを含む教職員定数のさらなる改善や、教科以外の用務をサポートする教員業務支援員など外部スタッフの配置についても充実させることが必要です。
次に、いじめ、不登校への対策についてでございますが、先月、公表された国の調査において令和4年度の小・中学校における不登校児童生徒数が過去最多であることが明らかになり、いじめや不登校の対策をさらに促進することが求められております。
本市の状況でございますが、不登校児童については本市においても年々増加しておりまして、学習保障として1人1台端末を活用したオンライン授業の実施や家庭訪問の実施、また教育支援センターとの連携、スクールカウンセラー等による相談体制の充実など様々な対応をしているところではございますが、課題として児童生徒が活動するための居場所や、対応する質の高い職員や、人件費の確保が困難な状況にあります。
こういったことから、子供たちの学びの保障を実現するためにもスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなど支援スタッフの配置の充実や、教育支援センターなど多様な学びの場の確保のためにも、施設整備及び運営に係る経費に対する財政支援をぜひ充実させていただきたいと考えます。
最後に、我々が強く要望してまいりましたGIGAスクール構想における1人1台端末の更新について、先日、総合経済対策が決定されましたが、都道府県に基金を設けて、今後5年をかけて国費を投じて更新を進めていくこととされ、当面、都市自治体としては計画的な整備を図ることができるということで、まずは一安心したところであります。国においては、今後恒久的かつ安定的な予算の確保ができるよう、ぜひお願いしたいところでございます。
これも本市の状況をちょっと御説明させていただきますと、令和2年度に国の補助金を活用し、児童生徒、教職員に端末6,543台を整備したところでございます。現在ではどの学校でも毎日使用し、ノートや鉛筆と同様、授業になくてはならないツールとなっております。このたび、令和7年度には契約満了期間を迎え機器の更新を行うことになるため、再契約などをして少しでも財政負担を抑えようとしているところでございます。繰り返しになりますが、ICT教育の学びを止めることがないよう、国における恒久的かつ安定的な補助をぜひお願いいたしたいと思います。
私からは以上でございます。
【安井財務課長】
吉田市長、ありがとうございました。
続きまして、全国町村会の田島町長からお願い申し上げます。
【田島白石町長】
全国町村会副会長を務めております佐賀県白石町長の田島でございます。青山文部科学副大臣をはじめ先生方におかれましては、町村現場における教育活動に御支援いただいておりますことに、この場をお借りいたしまして感謝申し上げます。
私が町長を務める白石町は有明海に面し、背後に杵島山がそびえる約100平方キロメートルほどの町でございます。平成17年に3町が合併して、現在の白石町になってございます。児童数の減少により、現在、小学校は8校から3校に、中学校は3校から1校に再編する計画を、住民の声を丁寧に聞きながら進めているところでございます。
私が町長に就任してから特に力を入れているのがコミュニティスクールの導入でございます。町内小学校では5STARかがやきプロジェクトという組織を立ち上げ、地域貢献や学習支援、安全確保など5つの課題に、地域住民と学校が連携して取り組んでいます。地域の方々が自転車通学の安全指導や学校行事への支援を行ったり、子供たちが様々な体験等を通じて地域のよさを学ぶなど、地域と共にある学校づくりの取組が評価されまして、昨年度は文部科学大臣表彰を受賞させていただき、大変光栄に思っているところでございます。
それでは、本日の課題につきまして、お手元の資料を基に意見を述べさせていただきます。この資料は、全国町村会の文教施策等を所管する委員会の町村長の意見を取りまとめたものでございます。児童生徒を取り巻く環境が大きく変化する中で、学校や教員に求められる内容も複雑化・多様化しております。例えば1人1台端末の活用や外国語授業のほか、不登校対策など対応すべき案件が山積しており、長時間労働の要因にもなっております。
3ページに取り上げましたが、働き方改革には処遇の抜本的な見直しも必要ですが、先生が本来対応すべき業務を整理した上で見直しを図り、子供と向き合う時間を確保することが最優先であると考えます。そのことが、やりがいのある職場環境の実現と優れた人材の確保にもつながるのではないでしょうか。
4ページは、少人数学級と小学校高学年の教科担任制についてでございます。町村では、従来から35人を下回る少人数学級を実践している学校が多く、その効果を実感していますので、引き続き計画的な実施と中学校への拡大を要望いたします。なお、その際は加配定数の付け替え等によらず、必要な教員の配置と財政措置をお願いいたします。
また、教科担任制は児童にとって質の高い教育を受けられることや、先生にとって働き方改革につながるというメリットがあるため積極的に推進していただく必要がありますが、小規模校では自校の教員だけで対応することが難しいといった課題もありますので、教職員定数の改善を図っていただくようにお願いいたします。
5ページは、教育現場に必要な支援スタッフの配置の拡充と財政支援についてであります。特に町村部ではこのような支援スタッフが全般的に不足しているという現状を御理解いただき、十分な支援をお願いいたします。
6ページはICTを活用した業務の効率化でございますが、校務支援システムの様式の統一化や導入に係る財政支援を求める意見が多数ございました。
最後の中学校の部活動につきましては、指導者の確保と受皿となる施設整備に対する支援等をお願いいたします。
私からは以上でございます。
【安井財務課長】
大変ありがとうございました。
それでは、今いただきました地方団体の皆様からの御意見、あるいは先ほど文部科学省から御説明させていただきました内容等々を含めまして、意見交換のお時間を取らせていただければと思います。
オンラインで御参加の吉田市長におかれましては、御発言を御希望の際、挙手ボタンを押していただければと思います。
どなた様からでも、いかがでございましょう。
御意見に先立ちまして、地方団体のお三方から御意見を頂戴いたしましたので、文部科学省の関係から何か補足の御説明等はございますでしょうか。
失礼しました。すみません。吉田市長、お願いいたします。
【吉田本庄市長】
申し訳ございません。今の司会の方の進行でよろしかったのですが、少し補足ということで現場の声というか、不登校対策は本当に喫緊だなというふうに感じているところでございます。傾向といたしましては、1学期のときには少ないんですね。2学期、3学期と2学期あたりから少し増えてくる、それで先生方が努力して、また1学期は減るという傾向が本市ではございます。このように増えてくると、それに対応する先生方をどうするのかということになってくるんです。なかなか途中から先生を対応させるというのも人材を確保していかなければなりませんし、いろいろな面で現場は苦労しております。1年を通じてというだけではなくて、不登校というのは、どうも1学期のときよりも2学期、3学期になるにつれてだんだん増えてくる傾向があって、そして適応指導教室の話ですけども、先生方の配置等でもなかなか現場は苦労しているということもお伝えさせていただきます。
以上でございます。
【安井財務課長】
ありがとうございました。
ほかの御意見はいかがでございましょう。
ありがとうございます。それでは、これまで頂戴いたしました御意見等々も踏まえまして、馬場副大臣、青山副大臣、安江大臣政務官からも御意見、御発言を頂戴できればと存じます。
まず、馬場副大臣、お願いいたします。
【馬場総務副大臣】
では、私のほうから。
本日は、今後の教職員定数の在り方等について幅広い観点から現場のお声を聞かせていただき、大変有意義な意見交換の場となりました。学校における働き方改革や教師の処遇改善、少人数学級の計画的な整備に係る教職員定数の効果的な配置といった課題は、国と地方が協力して解決していく必要があります。文部科学省におかれましては、引き続き現場の声や実態を十分把握していただきながら、これらの施策を進めていただくものと考えております。地方の財政や定員管理を所管する総務省といたしましても、引き続き文部科学省と連携してまいります。本日は誠にありがとうございました。
【安井財務課長】
ありがとうございました。
青山副大臣、お願いいたします。
【青山文部科学副大臣】
本日は、大村知事、また吉田市長、そして田島町長より、それぞれのお立場から極めて重要な視点で御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。
本日も御指摘があったとおり、教師を取り巻く状況が厳しさを増す中で、子供たちの資質・能力を確実に育み、一人一人の豊かで幸せな人生を実現するとともに、我が国の未来を切り開く人材を育成するためには、我が国の学校教育の中核であり、その成否を左右する教師に質の高い人材を確保することが必須であり、抜本的に教師の魅力を向上させることが喫緊の課題となっております。
こうした状況を踏まえ、文部科学省では、来年の春頃に一定の方向性を示すことを目途として中教審の特別部会における議論をさらに深めていくこととしており、学校の働き方改革、処遇の改善、学校の指導・運営体制の充実を一体的に進めてまいりたいと考えております。この改革の目的は、働き方の改善により教師が学ぶ時間を確保し、自らの授業を磨くこと等を通じて子供たちによりよい教育を存分に行うことができるようにすることです。2024年度からの3年間を集中改革期間とし、質の高い公教育の再生に向けてしっかりと取り組んでまいります。
本日いただきました御意見を踏まえながら、学校における指導体制の強化、充実に向けてしっかりと取り組んでいくことはもちろんのこと、現場の声を踏まえて財政当局との折衝に当たってまいります。引き続き教育に係る予算の確保への御理解と御支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
本日は大変御多忙のところ、本当にありがとうございました。
【安井財務課長】
ありがとうございました。
続きまして、安江大臣政務官、お願い申し上げます。
【安江文部科学大臣政務官】
文部科学大臣政務官の安江伸夫です。私からも、本日は大村知事、また吉田市長、また田島町長におかれましては、御多忙の中、御出席を賜り、また現場の実態に即した貴重な御提言、御意見をいただきましたことに重ねて感謝を申し上げたいというふうに思っております。
吉田市長のほうからは、不登校対策、これも喫緊の課題という御指摘もいただきまして、本当にそのとおりだというふうに受け止めさせていただいております。ありがとうございます。
また、社会が激動し、学校を取り巻く環境が大きく変化する中で、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図り、教育の質を向上させることが求められております。このような令和の日本型学校教育の実相を直接担うこととなる教師の皆さんについては、依然として長時間勤務が多いという実態が明らかとなっておりまして、文部科学省としても危機感を持って受け止めております。
このため、学校の働き方改革を一層実効性のあるものとして取組を加速化するほか、少人数学級の計画的整備をはじめとした学校の指導・運営体制や、教師の処遇改善を一体的・総合的に進めることが不可欠であるというふうに考えております。その際、国、都道府県、市町村、各学校など、それぞれの主体がその権限と責任に応じて役割を果たしていくことが重要であることは言うまでもないかと思います。本日、この協議の場をはじめ今後あらゆる場面を通じまして国と地方がしっかりと連携して、課題の解消に向けた取組を着実に進めていかなければいけないというふうに考えております。
今後とも御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。
【安井財務課長】
ありがとうございました。
本日は貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。
よろしければ、以上をもちまして本日の議事を終了させていただきたいと存じますが、よろしゅうございますでしょうか。
お忙しい中、御参加を賜りまして大変ありがとうございました。
以上をもちまして、第3回の協議の場を終了させていただきます。ありがとうございます。
── 了 ──
初等中等教育局財務課