令和3年3月30日 参議院文教科学委員会 附帯決議

政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

一 全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現するとともに、全ての子供たちの教育的ニーズに応じたきめ細かな指導体制と安全・安心な教育環境を整備するため、政府は、少人数学級の効果検証結果等を踏まえ、中学校三十五人学級などさらなる改善を含め検討し、学校の望ましい指導体制の構築に努めること。また、高等学校の学級編制の標準の在り方についても検討すること。

二 小学校六年生までの段階的な三十五人学級編制は、必要な加配定数を削減することなく、安定的な財源によって措置すること。特に、地方公共団体がそれぞれ行っている三十五人を下回る少人数学級やチーム・ティーチング等の少人数指導、いじめ・不登校等に係る指導、専科配置などの加配定数は、教育環境の改善に必要不可欠なものであることを踏まえ、必要な教職員定数を引き続き確保すること。

三 三十五人学級を担う教員の人材確保のため、文部科学省が進める教員免許更新制や研修の包括的な検証において、教員免許更新制の大幅な縮小や廃止を含め、教員の資質能力の確保、負担の軽減、必要な教員の確保の観点から検証・検討を行い、その結果に基づき必要な措置を講ずること。

四 意欲と情熱をもって教育に取り組む優れた教員を確保するため、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法の趣旨を踏まえた処遇の充実を図るとともに、義務教育費国庫負担金及び地方交付税の財源確保を確実に行うこと。また、学校における働き方改革を推進するとともに、教育職員の勤務実態調査を行い、これを踏まえ、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法その他の関係法令の規定について抜本的な見直しに向けた検討を加え、その結果に基づき所要の措置を講ずること。

五 学級編制の標準の引下げが教育活動に与える影響に関する実証的な研究については、学力の育成のみならず、指導方法・学習環境の改善や不登校児童生徒、発達障害児童生徒など特別なニーズを持つ子供への対応などを含め総合的に行うこと。

六 学校における働き方改革に資するため、小学校高学年の教科担任制は、教員の定数増を含め検討し、小学校教員の持ち授業時数の軽減を図ること。また、中学校教員が小学校で指導する場合には、十分な負担軽減策を講ずること。

七 質の高い教員の確保に向けて幅広く人材を活用するために、多様な知識又は経験を有する社会人が働きながら教員免許状を取得することや教員免許状保有者が学び直しを経て学校現場で働くこと等を支援するなど、教育職員免許法の抜本的な見直しを含む検討を行い、その結果に基づき必要な措置を講ずること。

八 本法により計画的な教員定数の改善が図られることによって、地方公共団体においては必要な教員を採用・配置しやすくなる。国は、非正規教員が増加することのないよう、地方公共団体に対し、正規教員を計画的・安定的に採用・配置するよう促すこと。
 

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