少人数教育の実現

教育再生の実行に向けた教職員等指導体制の在り方等に関する検討会議(第2回)議事概要

1.日時

平成26年6月17日(火曜日)10時~12時

2.場所

旧庁舎2階 文化庁第2会議室

3.議題

(1)全国連合小学校長会、全日本中学校長会からヒアリング
(2)委員からの発表
 -藤原委員から発表
(3)自由討議
(4)その他

4.出席者

委員

貝ノ瀬座長、青木委員、小栁委員、貞広委員、末冨委員、髙橋委員、藤原委員

文部科学省

前川初等中等教育局長、徳久大臣官房総括審議官、義本大臣官房審議官、藤原大臣官房審議官、池田財務課長、安井初等中等教育局企画官、桐生財務課課長補佐、粟井財務課教職員配置計画専門官

5.議事要旨

(1)全国連合小学校長会及び全日本中学校長会からヒアリング後、質疑応答が行われた。
(2)藤原委員から発表後、自由討議が行われた。

【全国連合小学校長会からのヒアリング】
 検討課題に沿って説明する。課題解決型・双方向授業に向けた教職員等指導体制の在り方について、小学校は基本的にはこの方向でやっている。小学校の先生の研究授業も課題解決型の授業に取り組んでいるというのが現状であるが、これをやっていくためには教材に対する一定の理解や指導力が必要となる。
 最近若い先生が全国的に増えているが、指導力などが備わっていないうちから授業を教えていかないといけない。では、若い先生はどうしているかというと、ベテランの先生に教えてもらう、また指導教諭に教えてもらう、また学校でチームを組んで教えてもらう、ということをしながら学校全体で課題解決型の指導力を培っているというのが現状だ。
 ただ、課題解決型の授業は保護者から非常に見えにくいため、一体に何をやっているのかと言う声を聞く。保護者は授業というと教授型の授業、つまり、先生が前に立って、子供に質問すると「はい」と手を上げる、先生が指示したことをしっかりノートに取る、それが勉強しているというイメージを持っている。そのため、課題解決型の授業を授業参観日で行うと保護者から苦情が来る。つまり、保護者への理解・啓発というものが重要であると考えている。
 学制改革を踏まえた教職員等指導体制の在り方について、我々は小中一貫校をイメージしているが、免許状の問題が大きい。両方の免許上を持っていないとなかなか指導が難しいこともあるため、そのあたりの解決が必要。今の小学校5、6年生は先生の言うことを聞かず、授業の指導が難しい面がある。もし小中一貫で9年間になると、小学校の低学年しか授業を持てない教員にとっては、大変辛い状況が出てくるため、しっかりとした教員の育成が重要である。
 また、小中一貫のカリキュラムの編成や定期的な人事交流や人材配置をどうするかも重要で、早急に行うと現場が混乱するため、どのように行っていくかが課題である。学校の教職員構造の転換、チーム学校について、そもそも小学校は学級担任制のため、他の学級に口出しをしにくいという風土がある。しかし、最近はいじめの問題など一つの学級でなかなか解決できない問題も出てきている。そういう意味では、現在でも、例えばいじめサポートチームを作って、担任と学年主任、生活指導主事、養護教諭、スクールカウンセラーによっていじめが発生したときにチームで対応している。
 また、学級の荒れについても担任や学年主任、教務主任、スクールカウンセラーが入って、教科担任制や交換授業をして、チームとしてやっていこうという動きが出てきている。さらに若い先生増えてきている状況ではさらに、チームで対応していかないといけない。
 学校規模の適正化について、学校教育は集団の学びの場であって、ある程度の規模は必要だと考えている。ただし、学校は教育だけをする機関かというと必ずしもそうではなくて、地域の核としての面もある。そういったことから、子供の安全や安心、一定の教育水準を確保するということが必要であり、小さな学校でもそれに関わる教員の配置は必要である。また、特別支援を必要とする子供は小さな学校でも増えてきていることからそれに対応する教員が必要であると考える。
 個別の教育課題について、まず第一に、小学校の英語教科化の問題が出てくる。ALTの配置は、JETプログラムを使っていこうという動きもあるが、地方の教育委員会レベルではこれをうまく使っていくのは難しい。さらに、教員の英語力に関する資質能力の向上も問題。
 また、いじめ問題については、各学校で基本方針の作成や組織作りが現実問題として進んでいる。これを早期発見、対応するには担任だけでは難しく、学校がチームとして動くことが求められる、その中でスクールカウンセラーの役割は大きくなっている。現状では、東京都港区では週1回の配置だが、これだといじめの防止や発見はうまく機能しない。
 教科担任制については学級担任がうまく機能しなくなったときに教科担任制が効果を発揮することもある。そういった意味で教科担任制をとりたいという学校もあるが、基礎定数上、算定されていないので、やりたくてもできないという現状がある。時間割を編成する際、教員が一人増えれば編成が楽になるため、もう少し自由に授業が組める教員配置が必要である。専門性の高い授業は専科の必要性が高く、東京都で言えば音楽や図工で専科が多いのだが、全国的に見ればそうでない状況がある。専科の先生に教わるのとそうでないのとでは、子供の成長に大きな差があり、専門的に優秀な先生に教わると伸びる子供が多くなるということからも専科の問題を考えないと行けない。
 家庭環境や地域間格差について、同一の地域であれば、同じような課題があり、同一の対応で解決すると言うことはない。これらを解決するためには校長が強いリーダーシップを発揮する必要性があり、校長にある程度、学級編制に関する権限を委ねていく必要がある。例えば、専科教員で配置したものを学級担任にする、ある学級を40人学級にするがある学級を35人学級にするというようなことができると、家庭環境や地域、学年間格差も縮めることができると考える。
 教職員定数の算定方法について、基礎定数にまで踏み込んだ改正をお願いしたい。昔に作られた基礎定数の算定基準が適切なのかどうかは疑問に感じている。メリハリのある給与体系について、まさにこれは必要だと考えている。ただし、メリハリをどうつけていくかが問題であるが、例えば、教員評価という方法は使えるのではないかと考える。そのときには、評価する者の能力が問われることになる。また、教員は持ち帰り仕事が多いと言われるが、そこを評価するのは難しい。どう評価するにしても教員のモチベーションが下がらない方法をお願いしたい。

【全日本中学校長会からのヒアリング】
 まず、資料1の1.学校の現状について説明する。
 「平成27年度向け文教関係立法・予算措置等要望調査」の結果を集計したものが12ページとなり、これが学校の現状とも言える。
「1 多様な教育活動を推進するための教職員配置」について、「教諭の定数拡充」が今回の調査で初めて要望の1位となった。これは、各都道府県の意見・要望にもあるように、定数改善は加配という形ではなく、義務標準法の改正による措置としてほしい、という校長の強い要望があると考えられる。「35人以下学級の実施」は2年連続1位であったが、今回は2位であった。これはここ数年、各都道府県独自の施策で35人以下学級を実施している自治体が多くなったので、若干ポイントが下がったと考えられる。
 また、「基礎・基本の充実と学力向上のための工夫改善に伴う人的配置」が7位、「TT・少人数指導等の実施に伴う加配配置」が8位に入っていることから、生徒一人一人に対してのきめ細やかな対応の必要性を強く感じている校長が多く、引き続き強く要望していく必要がある。
 「2 管理職・教員のメリハリのある給与体系の構築及び待遇の改善」について、前回の調査で初めて『「管理職の退職手当の改善」が上位10項目に入った。さらに今回の調査で「管理職の期末・勤勉手当の改善」も上位10項目に初めて入った。4位となった「管理職手当の改善」と併せて、管理職の給与関係については、大きな改善を望む声が多いことがわかる。各都道府県の意見・要望(記述)にもあるように、多少の差異はあるものの厳しい状況にあることが推測される。今年度もこの項目については、強く要望していく必要がある。また、「勤務実態に見合った教員給与体系の構築及び待遇の改善」は、4年連続3位となっている。教員の勤務実態を目の当たりに見ている校長の思いが表れていることがわかる。
 「3 豊かな心と健やかな身体を育むための条件整備」について「スクールカウンセラーの全校配置及び勤務日数の拡充」は、ここ4年間、8位、7位、7位、5位と順位を上げている。調査項目に「いじめを含む」を加えたことも影響していると考えられる。「いじめを含む問題行動に対する指導の充実と研究体制の充実」「不登校生徒の指導にかかわる適応指導事業の推進」も12位、13位となっていることから、多様な生徒への対応に苦慮している実態が浮かび上がっている。各自治体で取組に違いがあると考えられるが、豊かな心を育むためのマンパワーの必要性を要望していくことが重要である。
 「4 特別支援教育の推進体制の整備」については昨年同様、要望が多かった「通常の学級に在籍する特別な支援を必要とする生徒のための人的措置」は、ここ4年間、5位、5位、4位、6位である。特別な支援を必要とする生徒たちが通常学級に在籍している現状を、全国の校長が大きな課題として捉えていることがわかる。
 以上、「平成27年度向け文教関係立法・予算措置等要望調査」を基に説明させていただいたが、全日中としてはこの調査を基に予算要望書をまとめているところ。
 次に1.教職員等指導体制の改善及びメリハリある給与体系の構築及び待遇の改善の必要性について説明する。
まず、「(1)義務標準法の一部改正による教職員定数の改善」について、全日本中学校長会が平成25年度に実施した調査研究報告書によると、40人を下回った学級編制の効果として、「きめ細やかな指導により学力が向上する」、「授業規律が徹底しやすくなる」、「特別な支援を必要とする生徒への対応が充実する」が多く、学力向上に効果があると言える。また、「保護者の理解や協力が得やすくなる」、「いじめの発生件数が減少する」、「校内における暴力行為が減少する」という効果もあった。
 教員の質的向上を図るためには、第7次教職員定数改善計画以降、9年もの間改善計画がないことから、第2期教育振興基本計画に基づき、新たな教職員定数改善計画を策定し、計画的に教育の質的向上を図ることが必要と考えている。さらに学習指導要領の円滑な実施、生徒指導面の課題等への対応、教職員が子どもと向き合う時間の拡充等の観点から、平成23年4月に公布・施行された「義務標準法の一部を改正する法律」も踏まえ、授業時間数や学習内容の増加に見合う条件整備及び教職員定数の改善を、早急かつ計画的に実施されることが必要と考えている。また、少人数教育、例えば、少人数学級、ティーム・ティーチング、習熟度別少人数指導を推進する上で、地方の事情や中学校の事情に柔軟に対応できるようにすることが必要である。
 「(2)きめ細やかで質の高い指導の充実のため等、様々な教育課題への対応」については、いじめ・道徳教育への対応、特別支援教育の充実、教育格差解消のための学習支援等について適切な加配措置を講じることが必要である。学校現場が抱える問題としては、資料にあるように特別支援学級や特別支援学校に在籍する生徒数、不登校生徒の割合、暴力行為の件数、日本語が必要な外国人生徒の増加、要保護・準要保護生徒の増加等があり、これらの解決を図るためには、このようにきめ細かで質の高い指導の充実のため等、様々な教育課題に対応するための加配措置が必要である。
 「(3)管理職・教員のメリハリある給与体系の構築及び待遇の改善」について、近年社会の急激な変化に伴い、学校に対する要望も多様化・複雑化しており、教員の勤務実態も以前にも増して残業や教員の持ち帰り仕事の増加など、教員の多忙化解消が大きな問題となっている。文部科学省が平成18年度に実施した教員勤務実態調査からも明らかになっているところである。そこで勤務実態に見合った教員給与体系の構築や待遇の改善について、一律4%支給されている教職調整額を教員勤務実態調査の結果を反映させた支給率とすることが求められる。また、管理職の負担が増している現状から、校長、教頭の管理職の手当、退職の手当の改善が必要。管理職に優秀な人材を確保するためにも、管理職手当の充実を検討する必要があるのではないかと考える。
 課題解決型・双方向授業の実現については、大学でも議論されているところだが、授業力を高めて行くという視点で考えなければいけないと同時に、人的措置をして複数で取り組んでいく必要がある。
 学校の教職員構造の転換、チーム学校について、学校の役割は多様化、複雑化しており、これを教員だけが対応しているという現状があるため、教員以外の専門スタッフを入れて対応していく必要がある。
 以上で、説明を終わる。

(質疑応答)
【委員】
 小学校段階で課題解決型授業を取り組むことでどのような力が付いてきているのか。

【全国連合小学校長会】
 課題解決型授業は教師の指導力に左右される。学校の人員構成をみると、中堅・ベテラン教員、つまり、育成を担う教員が手薄になってきている。それが教育の教えるという文化の伝承という側面で見たときに、学校が機能し切れていないと言うことが課題。課題解決型授業の成果としては、子供たちが論理的に説明する力が高学年を中心に付いてきている。しかし、これが確実に身に付いているかと言うと厳しい印象である。
 今後の課題としては、課題解決型授業を行う際に核になるのは総合的な学習であるため、それをどう活用していくか、また、教科横断型、教科関連型カリキュラムを作っていく中で、知識の習得とともに学びの習得を行うことも必要であると考える。

【委員】
 意見としてだが、課題解決型授業や双方向授業は、大学でもそうだが、定量化した評価が難しく、教職員定数に結びつけていくためには、中堅やベテランで授業力がある人たちが行えばこのような成果が出せると言った、成果モデルといったようなものは構築しておいた方がよいのでないかと考える。定量化しにくいものだからこそ、成果というか目指すべきものを明示化しておかないと若手教員の指導が手薄になってしまう、また、現状が変わらないままになってしまう危険性がある。

【委員】
 小学校について、課題解決型授業を進めるに若手教員の指導力をどのようにつけるのかが課題であるということだが、今後ますます若手の教員が増えていく中で、若手の教員を教員センター等で指導していくということがあるかと思うが、具体的にこういう風に若手を育てたい、だからこのあたりの教職員定数を変えてほしいといったものはあるか。

【全国連合小学校長会】
 今は若手を育てるのも厳しく、保護者も昔であれば見守ってやろうという雰囲気があったが、今はすぐに担任を変えろと言われる。東京都が行っている方策では、再任用の先生を定数外で付けて、その先生と担任とが2人で1つの学級をみるというのを行っているが、それは非常に効果が高いと感じている。学校では目に見えない学級経営の指導が山のようにあって、そういったところは本を読んでもわからないし、経験を積むしかない。そのため、実際に先輩の教員がそれを見せながら行っていくというのは、予想以上に効果でている。
 もし、こういった方法が不可能であれば、ある先生を半年間でも担任から外して、いろんな学級を見られるというか、研修できるような制度にさせてほしい。自分が担任を持っていたらそれ以外に何もできない状況で、今は自分を成長させようと思ってもできない。

【委員】
 初任者研修が始まったころは、東京都は新採が2人入ったら1人加配が付く、つまり1人フリーの先生が付いていたが、今はそれがなくなっている。その頃に比べ今の新採の指導力は落ちているのか。

【全国連合小学校長会】
 かなり落ちてきている。

【委員】
 課題解決型授業の成果が話題になったが、それ以前に、実際、課題解決型の授業はあまり行われていないのではないか。つまり、課題解決型の授業のやり方・方法がわからない先生が多いのではないか。中学校ではどのように感じられるか。

【全日本中学校長会】
 個々の教員の資質能力によるところが大きい。また、各教科で課題解決型授業を行おうとすると準備に相当時間がかかる。限られた時間の中で準備を行わないといけないため、その方が良いとわかっていてもできない。そのため、小学校でも話があったように本校では総合的な学習の時間で行っている。総合的な学習では、学年という一つの単位で、若手、ベテランということもなくみんなが準備をするという、OJTというか、ノウハウを引き継ぐことができる。

【全国連合小学校長会】
 小学校で課題解決型授業にアプローチしているが、十分な成果は上げきっていない。というのも、大学の教員養成課程の中では、課題解決型授業の演習的な機会が少なく、学校現場に来て初めて目にするという教員もいる。課題解決型授業を学校に根付かせるためには、大学の教員養成のカリキュラムの編成が必要。
 また、成果を出させるためには、一人の学級担任では無理。グループによる指導を行ったり、学校司書など、専門的な外部の方を授業に加えるというのも一つの方法ではないか。

【委員】
 若手と管理職をつなぐベテランがいない。学校へ配置された教員数の中で校長が自由に学級編制を組めるように任せてほしい。実践的な指導力を付けさせるかを考える際に、41人なったからといって2クラスにしないで、担任の他にベテラン教員を1人付け、2人体制でやっていくというのは学校で受け入れることができるのか。
 2点目だが、埼玉県では主幹教諭を導入しているが、指導教諭は十分配置されていない。学校では指導力を発揮するミドルリーダーが必要であると思うが、そういった方が学校を回っていって、実際に授業を見せる、指導するという教諭が求められているのではないか。
 3点目だが、今は小学校の教員は、16時に子供を学校から帰してそれから会議をして、そのあと授業の準備をする。つまり、研修の時間がない。これでは指導力は付いていかない。勤務時間のなかにそういった研修の時間を取り入れるのであれば、少人数指導では配置される教員のうち例えば22時間のうち半分は少人数での授業に当たり、残り半分は英語の専科にという、柔軟に行うことについてニーズはあるか。

【全日本中学校長会】
 1点目の41人学級は非常に悩ましいとこところである。例えば、東京都では、中1で加配定数を措置して学級数を増やしており、中1で3学級にしたとしても、中2では元に戻ってしまい、2学級になってしまう。これでは学習上効果があるかも知れないが、生徒指導上は悩ましい。そのため、多くの学校は加配で1名付いたとしても、学級数はそのままでティームティーチングなどしているところが多いと思う。
 2点目の研修について、指導教諭を配置するということだが、ワンショットの研修では難しい。ある程度継続的な研修でないと配置は困難と考える。

【委員】
 私の説明が不十分だったが、指導教諭は1校で研修のみをするということではなく、遊軍として複数の学校を回るというイメージだ。

【全国連合小学校長会】
 遊軍の話だが、私はすごくいいと考える。と言うのも、小学校は学級担任が休みに入ったら、交代で他の先生が指導に当たるが、それでもその学級が荒れてしまったら手の打ちようがない状況。なので、そういったフリーの教諭が学校にいるというのはとても賛成だ。

【委員】
 私が言っている指導教諭は、週5日のうち4日は他の学校を回って授業を見せたりして指導する、指導主事ではないが実践的な指導をする者をイメージしている。

【全国連合小学校長会】
 3点目の柔軟に配置された教員を活用することだが、まさに校長の裁量である。加配の目的以外に柔軟に学校の実態に応じて教員を活用できるというのは非常に魅力的。ただ、現状として、少人数加配が適切に活用されているかというチェックが厳しく、不適切な場合は吸い上げられたりする。目的外加配が認められるのであれば非常に魅力的。

【文部科学省】
 加配というのは、例外的な制度。もともと標準法の中で加配の目的は具体的に書いてあって、このために使いなさいとなっている。そのため、国は県に加配して、国は県の加配の使い方についてチェックしている。そもそも定数には基礎定数と加配定数があって、そのうち基礎定数は学級数等に応じて配置される。この基礎定数は、何に使っても良い。
 一方、加配定数は、この定数は少人数教育のために、いじめ対策のために、通級指導のためと目的が決まっている。だいたい、教員の1割弱が加配になっている。つまりは、基礎定数を増やしてこれなかったということだが、基礎定数を変えるためには、法律を変えないといけない。加配定数については本来目的が限られているが、近年弾力的に活用してもよいということになり、途中で目的を変えてもよいことになった。しかし、目的を複合的にしてはいけない。つまり、いじめの加配はいじめに、通級の加配は通級にというように運用しているが、これは国と県との関係よりも、県と市町村との関係で強いのではないか。
 こういった中で私が今考えているのは、基礎定数を増やすと言うこと。基礎定数は学校で自由に使い方を決めることができる、つまり、基礎定数の中で少人数教育をしていく、それが少人数学級でもいいし、習熟度別でもいいし、ティームティーチングでもいい、また、専科教員でもいい。今、基礎定数と加配定数の境を見直し、肥大化した加配定数を本来の例外的な位置づけにリセットし、基礎定数を増やすための改善計画を作りたいと考えている。

【委員】
 私は前川局長の話にあるように、加配定数をどのようにするかが一番の問題と考えている。今日、全連小、全日中さんの話は普遍的な、どの学校にも共通する困り感の話だったと思うが、学校規模や地域によって、困り感は異なるのではないか。であれば、学校規模や地域によって定数の算定方法を変えていくことも視野に入れることも考えていかないといけないのではないかと考えるので、学校規模や地域による困り感の違いを教えてほしい。

【全国連合小学校長会】
 端的に言えば、財政力が強いかどうか、都市圏か人口の少ない地域かの違いはあるように感じるが、調査をしたことがないのでわからない。

【全日本中学校長会】
 調査を行ってはいるが、母数が300校程度と少ないので、地域による違いまではわからない。

【委員】
 私が外側から学校を見ている中では、先生方はみんなちょっとずつ困っている人を助け合いながらチームとして成り立っているように見えるが、このチーム学校とメリハリある給与は両立するのか。学校文化に迎合的だろうか。給与の評価者がチームの学校の中にいるということはどうなのか。

【全日本中学校長会】
 メリハリある給与の評価者は管理職であり、チーム学校は同じ職層を考えているので、そこは分けて考えられるのではないか。また、管理職が給与を評価することによって、教員同士の人間関係が悪くなるというのは聞いたことがない。

【委員】
 メリハリある給与について、企業は個人ではなくチームに報酬を与えるということをするが、学校ではチーム、つまり、学年を評価するということはできるか。

【委員】
 個人個人の評価を期末勤勉に反映させると言うことはない。しかし、県は職員評価を行っており、学校を評価することもある。その評価が極めて高い場合は給与に反映される、つまりチームとしてその学校に所属している教員に反映されることもある。

【全国連合小学校長会】
 東京都では聞いたことがない。小学校で学年を評価しようとすると、どうしても学級担任の枠を脱しえない。例えばある学年のボーナスを上げるとすると、その学年を引っ張って、他の学級を支えたのはおれだ、おれはもっともらっていいだろうという話になりかねない。

【藤原委員から発表】
 私どもはCo-teachinngスタッフや外部人材を生かした学校組織開発と教職員組織の在り方に関する総合的研究を行ってきた。どんな研究かと言うと、モデルとしては教職員の数や待遇の在り方は、子供の数もひとつの要因ではあるけれども、それだけではないだろう。学校の内部環境が複雑になり、保護者の要求が多様化し、児童生徒数が増え、学校に求められる内容が増えれば、それに対応した組織能力が必要になるだろう。学校に求める外部の環境が変われば、学校内部の多様度、つまり引き出しを多くする必要があるだろう。そしてそれを解決する一つの方法が分業である。組織能力を高めるための方策は3つあって、1つは教員の資質能力を高めること、2つめは教員の数を増やすこと。しかしこれだけ学校に求められるものが多くなると、教員に全てをも求めるというのはしんどくなってきて、教員の中の分業化、あるいは教員以外の職種の配置が必要ではないのかと言うことが推測される。
 日本においても、90年代からティーム教育が中教審で言及されてきた。諸外国では、学力向上や移民の増加、貧困の拡大など求められるものに対して、どう対応しているのかを明らかにすることがこの研究の課題である。
 国によって教員の労働文化が異なるため、4象限に分けて研究している。教員の職務が幅広い、つまり柔軟な職務設定をしている社会と、その反対が契約社会である。契約社会は仕事を増やそうとするならば問題が顕在化しやすい社会で、例えばイギリスでは地域の核としての学校を広める際に校長会で「仕事を増やすのか」という反対意見が出る、それが契約社会で仕事を増やす場合には国も校長も教員も非常に繊細である。この4象限のうち外部環境が多様化していく中でほぼ全ての国で分業化が進行してきた。その中でイギリスと韓国について言及していきたい。
 イギリスは契約社会で労働社会がオープンのため、政府が優秀な教員を確保という観点を常に持たざるを得ない国である。イギリスは1997年の労働党政権発足以降、教員の勤務負担軽減のための労働環境と教育水準を図るための手段として、学校教員の拡充、つまり今我々が検討している教職員等指導体制に当たるが、これを推進してきた。2001年の教育技能省では、国民は学校や教員により多くのことを要求することができるが同時に彼らがその職責の在り方を考える必要がある、とも言われている。
 そういった中で、医療界、法曹界で行われてきた分業体制の再構築モデル、つまり、教員だけができること、教員の監督システムの下でできること、教員の専門的関与の必要ないものの3つ仕分けし、教育水準向上のために教員とサポートスタッフとの役割の再構築を行ってきた。イギリスが重視するものは、対教師比率ではなくて、PAR、子供に対して多くの大人が関わることが良い教育だという発想だ。
 2005年にはTTA、教員の養成を司る機関だが、これをTDA、Training and Development Agency for Schoolsに改組した。これは、どういう意味があるかというと、政府は教員だけに育成の対象を限定しない、全ての職種を育成の対象にするということである。
 では具体的にどうやってイギリスは教育水準向上のために教職員の配置の在り方を変えていったのかというと、2003年に政府は校長会と合意を締結した。その内容は、教員の業務負担の軽減を図ろうというものや雇用契約の変更である。イギリスでは雇用する際に必ず雇用契約を締結することになっているが、その基本項目5つを政府で定めた。
 どういった項目かというと、一つ目は日常に求められない事務の明確化である。これは日本の教員が一生懸命にやっている集金や、発注業務、コピーをやらない。
 2つ目は、ワークライフバランス、これは校長については理事会が、教職員については校長がワークライフバランスを考慮することを義務とするという項目だ。
 3つ目は、これは日本でも大変問題となっている補欠授業の負担の軽減だ。先生が出張や研修などで学校を空けると他の教員が非常に負担となる。そういった場合に他の教員がカバーしなくてもよい、他のサポートスタッフがカバーするという項目である。
 4つ目は、勤務時間のメリハリという観点から授業準備の時間を時間割の中で組み込んでいる。
 5つ目は、学校運営のための時間の確保だ。イギリスでは管理職に権限を下ろしていくと、その分、管理職の教育指導にかける時間がなくなってきている、校長としてのアイデンティティがなくなってきている。そこで校長の事務負担の軽減という観点から出てきたのが事務長である。
 これらのことから考えていかないといけないのは、21世紀型の能力を身につける授業を指導するのは校内で誰かということである。そう考えるとOECDの国々では管理職は教育的リーダーシップをとること、これが仕事だと考えられている。であれば、課題解決型の授業を指導するだけの能力と時間を教頭職に与えるためには、教頭職が担っている仕事を再配分しないといけない。そうしないと、教頭が指導に専念できない、教頭を希望する者がいないという状況になっている。そういう意味でも、教頭、管理職と事務長との仕事の配分が重要になってくる。
 イギリスの教職員の数を見てみると、増加傾向にある。教員以外のサポートスタッフも増加しておりより管理的な職に立つ事務長の配置が増えている。文科省の委託事業でも教頭は教員以上に授業をこうしたいと思っている。イギリスでは教頭の事務を事務長に移行しながら、事務長が配置されてきた。
 日本においても共同実施の成果もあり、佐賀県のように事務長が教頭と並ぶように校務分掌に位置づけられるところもある。
 イギリスは、教育水準の向上に向けて、教職員の体制の在り方を変えながら、そして全てのスタッフを育てていくチームプレイができるように体制を組んでいった。教員養成の中に教員免許の基準があるが、これにチームプレイの項目を位置づけている。様々なスタッフと共同的なプレイができるように大学は訓練することを義務づけられている。
 これに対して韓国はどうかというと、日本と似ており、スタッフを増やすというよりも、少子化が進んでおり、教諭の分業化が進んでいる。韓国では2001年に知識情報化社会に応じた教育環境改善推進計画による定数改善で、4年間で1兆3400億円投入している。
 知識情報化社会に応じた授業ができるという、子供が減少する中で新しい学校増を実現するために定数増を行っている。例えば、栄養教諭や主席教諭、これは日本で言えば指導教諭にあたり、またキャリア教育を担う進路・進学相談教諭、心理学の学位を持ちながら教員養成課程を経た専門相談教諭を定数増によって配置してきた。
 韓国では1997年に英語教育を導入しているが、より実践的に行うために英会話専門講師を促進してきた。韓国は正規の教員は国が管理しているが臨時の教員は地方が管理しておいるため、それに補助金を支給しているということである。また、放課後学校と言って、放課後に学習活動を提供するといった機能を拡張しているが、これを教員が務める場合は、給与とは別に報酬を支給している。また、少子化の中でも教員数は増加している。
 これらの研究から言えることは、学校に対して求めるものが多様化し、様々な生徒や保護者に対応している中で新しい教育再生、新しい学習指導要領の実施に向けた教職員指導体制の変革が必要ではないか。
 また、この変革の際には既存の文化を見直す必要があるのではないか。一つ具体を上げるなら教頭職をどう位置づけるかということである。
 最後に、この変革を行うには、教職員の資質能力の向上を図ることについて、国レベルでの責任体制の確立が必要である。

【委員】
 藤原先生の発表、全連小、全日中の説明を踏まえ、次回の会議では来年度の概算要求に向けた提言を議論していきたいため、それを見据えた自由討議を行いたい。

【委員】
 韓国では児童生徒数が減少しているのに、小・中学校が増えているのはなぜか。

【藤原委員】
 都市部において大規模の学校を教育環境の充実の観点から分割してきた。地方では学校数は変わらないが、都市部で学校数が増えたため、このようになっている。

【委員】
 先ほど基礎定数の拡大の話があったが、私も加配定数よりも基礎定数がよいと思う。教員と事務職員の間の職を定数化していただき、その中にキャリアアドバイサー、スクールカウンセラー、ICTの人的措置をしていただかないと校務が回っていかない。教員、事務職員以外のスタッフをぜひ定数化してほしい。

【委員】
 イギリスでは分業、韓国は教員を多様化という全く異なる政策だが、どちらを採るかというのは教職員定数を考える上で基礎的な判断になる。日本と韓国は際立って教員数が多い国であるが、分業に向かう方がよいのか、教員の役割分担をする方がよいのか、藤原先生はどちらがよいと考えるか。

【藤原委員】
 学校の中に多様性が増えた方がよいので、教員以外のスタッフも増えた方がよいと考える。ただし、イギリスのように一気にいろいろな職種がいればよいかというとそうではなく、日本の文化は現在教員中心に回っていることは事実であるため、その良さを維持しながら、一方で教員にないよさを教員以外のスタッフで補っていけばよいと考える。

【委員】
 今日は話に出なかった、小学校高学年以上の専科の話であるが、どういった教科を専科にすれば効果があるのかという観点から教職員定数を考えないといけないと考える。
 もうひとつ気になっているのが、特別支援教育がきついと言われているが、この間、特別支援教育補助員や支援員の基準がなかったというのは疑問。別件で調べたのだが、内閣府の障害者の権利の報告書があってスウェーデンでは基準を持っているがその他の国では持っていなかった。特別支援教育補助員や支援員の設置のしばりを厳しくしていかないと学校のきつさは見えてこないのではないか。
 現状でかなり役割を期待されているスクールカウンセラーはフルタイム化しないと機能を発揮できないとい臨床心理士会が提唱しており、これは利害関係者だからなんとも言えないが、スクールソーシャルワーカーの配置を何校拠点校にして、何校必要なのかということを算定していって、将来の定数化を見据えた補助の拡大をする必要があると考えている。
 基礎定数化の話ではICTや専科教員のようなある分野の優れた指導力を持つ教員の配置をもう少し算定方法の中に位置づける必要があるかなと考える。
 困り感に対応したものとして学校の現状の見せ方が非常に大事だと考えている。これまでの加配は、学力向上のようの前向きなロジックを積み重ねてきているが、全日本中学校長会が出されている、2枚目から3枚目の資料で学校の現状がこれだけ変わってきていますよというのが示されているが、10年以上も前からこれだけ現状が変わっているにもかかわらず、日本では著しい教職員配置の改善ができていないということをきちんと示すことはできるのでないか。
 なぜ基礎定数に踏み込まないといけないかというと、基礎定数の改善なくてはそもそも学力向上や教育水準の向上の前提が揺らぐという危機感があり、全日本中学校長会のアンケートを見ても、初めて基礎定数の拡充が1位になったのではないか。基礎定数をロジックに組み入れることが大事だと考える。

【委員】
 藤原さんが提示された、多様な職種モデルと教員の多様化モデルだが、私はこれまでの日本の経緯からすると、教員の多様化が合理的ではないかと考える。基礎定数の話だと、今では1学級1担任制が当たり前だが、義務標準法制定時はそれを法に書き込まなければ学校成り立たないとう判断があったのではないか。であれば、教職員定数に踏む込むのであれば、こういう現状があるから学校が維持できないというものが示せればいいのでないか。
 具体的には、1学校3遊撃手であったり、1学校2事務職員であったりがいいのではないか。前回のヒアリングで感じたことは、各地域のニーズに応じて各地域の一般財源でされているが、中長期的に言えば、まず個々のニーズは市町村に任せ、国が制度化すべきものは最大公約数としてこれが必要だというものであり、例えば1学校3遊撃手のように担任ではない教員が3人くらいいれば学校が回るという相場観のようなものがあれば良いのではないかなと思う。
 歴史的に見て、教員の業務時間が何で増えているかというと、指導に関する業務が増えている一方で、事務に関する業務はそんなに増えていない。なぜかというと事務職員の存在が大きく、昭和20年代の学校では事務職員が配置されている学校は教員が指導に集中できているというのが文部省の調査ででている。指導事項が増えやすい学校の文化があるため、それをサポートするような定数化が必要であると考える。
 では、どう増やすかというと地域に途中退職されたような方がいると思うので、OB・OGを含めた教員の戸籍版のようなものを作成し、支えるような仕組みがあればいいのではないか。

【委員】
 教員中心の文化が今批判されているおり、何か学校は隠しているのではないかという悪い風評もあり学校を地域に開いていこうと言うことからコミュニティスクールという流れにある。一方、学校にいる教員からするとどれだけ資質能力を高めれば良いのかというほど多方面で資質が求められている。一方で昔ながらの教員養成課程で教わって、それが現場で役立っていない。
 スクールカウンセラーの待遇についてだが、教科指導を中心に教員免許状を取得した教諭と臨床心理士の資格を取ったスクールカウンセラーが同じ教諭だからと言って同じ報酬というのは違うと思う。やることが違う、職種が違うのであるから違う給与体系だと言わないと、立ちゆかないのではないか。教諭を多様化すると言っても韓国のように何でも教員としてしまうのは違うのでないか。
 教員以外の定数としてスクールカウンセラーや特別支援の関係の人、これは平成19年に特別支援のコーディネーターを文科省で配置していただいたのは非常にありがたいが、これをフォローするシステムが全くないので、制度化してしっかりと位置づけてもらいたい。

【委員】
 分業型か多様化だが、私は折衷案だと思う。どこの地域でも教員以外の専門スタッフを確保できるかというとそうではない。北海道教員委員会にヒアリングを行った際、お金は付けるけれどもなり手がいない。教員がやっていかないと立ちゆかないのが北海道の現状だった。教員にも進路指導員であったり教育相談であったりという強みを持ってもらう必要があるのではないか。
 10年研前後の教員の調査をしたことがあったが、日常的な教科指導以外に何か強みというか専門性を持っていて、それをグレードアップさせていこうという教員はその後伸びて行っている。上のステージに上がろうと研修をどんどん受けていって、教科指導も伸びていく。教員の中での分業化が役立つのではない

【藤原委員】
 北海道の話だが定数化すれば解決すると思う。最初から職種を区切って採用するのか、キャリアの中で分化させていくのか両面あると思う。私は管理職チームの分業化が大事であると考える。学校の核である教頭職がここまで魅力的だということを合理的に説明できないといけない。
 今日は校長会から、校長の立場として教頭をどう位置づけたいのかと言うことを説明してもらったが、教頭は遠慮して自ら校長に言い出しにくい、忙しくて仕事を振りたいけれども、それは教頭がすべきだという文化で校長が育ってきているのでなかなか言い出しにくい。
 学習指導要領の改訂を見ていくとかなり新しい授業像を示す管理職が必要になってくると思われるが、管理職が新しい授業を指導できる時間を確保する観点からの教職員配置も重要になってくる。

【委員】
 小学校と中学校は学校文化が異なる。俗っぽい言い方をすると小学校の校長は一人親方で教員はみんな言うこと聞く。中学校は校長が商店街連合会の会長のようなもので、教員はみんな言うことを聞かない。
 どういうことかというと、小学校は学級に任せられており、担任は人間関係調整機能の学級経営をやっていきたい、学習や生活の準拠集団としての学級経営をやっていきたいので、国語や算数のように175時間ある授業の教科担任はやりたくない。よって、基礎定数の増は非常にありがたい。
総合的な学習は国が打ち出してもらって非常に良いなと感じているが、教員によって差がある。
 外部との交渉をやっていかないといけないが、得意不得意があるし、協力してくるスタッフがいるかいないかがある。小学校の英語教育の理念はすばらしいが、専科教員がいないとうまくいかない。中学校は教科担任制で子供との関係性が薄いので、スクールカウンセラーのような人材が必要。

【委員】
 教頭職が非常に重要と言うことであったが、教頭を2人にした方がいいのか。

【藤原委員】
 教師との断絶を指摘する、事務屋になったと指摘する教頭が多い。私の考えで言うと教頭は職員指導、授業改善にウエイトを置いた方が良く、文書処理のようなものは事務職員に移行していった方が良い。

【委員】
 今日の参加者は教頭をしたことがないのでわからないところがある。今までの話を整理すると、教員にしても教員以外の専門スタッフにしてもたくさんいたほうが良いというのは共通している。標準法改正は正攻法で、また、藤原委員の言われる専門職の配置という方法もある。概算要求に向けとりあえずのものを打ち出すのか、根本的なものを出すのか。

【委員】
 現実問題として、来年度からの標準法の改正は難しいと考える。ICT支援員は交付税措置をしていると言うが、交付税措置は人件費についてこれだけという示され方がされていない。これからICTが必要不可欠になるという前提で、人件費についてはこれだけ交付税で措置していますと示してもらえれば、説明しやすい。
 スクールカウンセラーで言うと臨床心理士会とも話をしているが、公務化はいやだと言う声もある。私も今年2人ほど常勤化を考えていたが、断られてしまった。
 ひとまず、非常勤で良いので上積みして人件費の確保をお願いしたい。

【委員】
 定数の改善というと学力向上につながるという前向きな論拠で話が出るが、困り感に直目してもよいのではないか。というのも40人から35人学級にしたからと言って学力が向上したという客観的なデータがない。

【文部科学省】
 去年の学力調査では逆に出た。少人数学級のための定数措置をした学校は平均正答率が下がった。逆にティームティーチングのための定数措置をした小学校や習熟度別少人数指導のための定数措置をした中学校は上がった。少人数学級を進めていくという方針は難しい。
 チーム学校というもので教員以外の職を増やして分業化していくのか、教員の中の得意分野というか専門を分業化していくのか、方法が両方あり、両方やっていけばよい。
 定数改善は今年度はマイナス10人だった。私は、加配で増やすという方法は限度があり、基礎定数を増やさないといけないと考える。基礎定数を増やすためには法律を改正しないといけない。基礎定数の改善は法律を改正しないと絶対にできない。加配は単年度のため加配を積み重ねて定数改善計画を作るのは不可能だ。6次改正、7次改正はたしかに加配が中心ではあったが、基礎定数の改善があったから定数改善計画ができた。法律を改正しないで定数改善計画は絶対作れないので、来年は標準法の改正をしたい。

 

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-- 登録:平成27年03月 --