日本人若手英語教員米国派遣事業 研修成果活用事例5(中学校)

1 CLT(Communicative Language Teaching)の理論に基づいた授業展開 ― 「聞くこと」「話すこと」における指導の変化 ―

4技能のバランスをより意識し、今まで不足しがちであった、「聞く」「話す」の言語活動が充実し、バランスよく4技能を向上させることができるようになった。特に変化した点は、説明を通じて英語の理解を深めるのではなく、生徒が実際に英語を使うことを通じて、理解を深める点である。

  授業時間の半分は、文字を一切書くことなく、「聞く」「話す」に重点を置いている。英語室では、会話活動を重視した指導を展開できるように、机を使用しない椅子だけのスペースを設け、「聞く」「話す」の活動に、生徒が焦点をあてることができるように工夫している。生徒が英語を使う機会を増やし、使うことで、理解を深めるという言語活動の展開ができるようになった。

78%の生徒が、英語を話す機会が増えたと答えている。

85%の生徒が、英語を使おうと思える雰囲気になったと答えている。

67%の生徒が、(教師中心の)リピートではなく、自分で考えて英語を使う機会が増えたと答えている。

  今後の課題は、英語を運用する際の正確さの向上である。生徒の意見の中には、文法指導について細かく説明してほしいという意見もある。CLT理論では、相手に伝われることを第一としていることもあり、正確さについて課題が残る傾向がある。評価基準を明確にし、達成度が明確になるような評価システムの構築が今後必要になる。

2 CLL(Cooperative Language Learning)理論によるCLTの充実 ―  ペア活動、グループ活動による言語活動の変化  ―

  CLT理論をよりよく実践するために、CLL理論を一つの手段として授業展開をしてきた。常にグループの単位で授業を展開するようにした。CLL理論を用いることで、他者と関わる機会を増やし、1対1の対話だけでなく、集団の中でコミュニケーション能力を高めることができるようになった。集団の中で、一人一人が役割を担うことで、会話に積極的に参加する生徒が増えた。

  99%の生徒が、ペア活動やグループ活動が多くなったと答えている。

   81%の生徒が、ペア活動やグループ活動の方が授業に興味が持てると答えている。

  76%の生徒が、ペア活動やグループ活動の方が英語の授業が理解しやすいと答えている。

  今後の課題は、同じく評価システムの構築である。ペア・グループ活動の中で学んだことを、どのように評価するのか、より明確に生徒に示す必要があると感じている。授業の中で、何を学んだのか、何ができるようになったのかを、生徒に実感できる評価方法を目指していく。

3 Technology-based Language Teaching(テクノロジーを使った効果的な言語教授法)― タブレット端末を活用した効果的な指導 ― 

  動画を活用することで、生徒の創造力を効果的に引き出すことができるようになった。海外のコマーシャルなどを見せることで、何が起こっているのか、次に何が起こるのかといったように、生徒の創造力を生かし、正解が固定されない、生徒中心の授業が展開できるようになった。また、映像のスピードに合わせて、英語を発話することで、すばやい反応を意識するようになった。

   93%の生徒が、タブレット端末を活用することで授業に対する興味・関心がもてるようになったと答えている。
  91%の生徒が、映像を見ながら、英語ですばやく反応しようとする意識が上がったと答えている。

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-- 登録:平成26年04月 --