学力向上実践研究推進事業実施要項

平成20年3月28日
初等中等教育局長決定

1 趣旨

 都道府県教育委員会との連携・協力の下,地域の実情や課題を踏まえ,基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくむとともに,主体的に学習に取り組む態度を養うための実践研究を推進し,その成果の普及を図ることにより学力の向上に資する。 
 本事業は,学習指導要領の趣旨を実現するため,学力向上支援事業実施要綱(平成20年3月28日初等中等教育局長決定)に基づき実施する。  

2 委嘱期間

 委嘱期間は,平成20年度から平成22年度までの3年間とする。
 なお,国の予算の事情により,委嘱期間途中での事業の見直しや打ち切りもあり得る。

3 事業の委嘱

(1) 本事業の実施を希望する都道府県教育委員会は,「実施計画書」及び「所要経費の積算内訳」を作成し,所定の期日までに文部科学省初等中等教育局教育課程課長あて提出するものとする。

(2) 文部科学省は,提出された「実施計画書」を審査し,事業の実施を都道府県教育委員会に委嘱する。

(3) 文部科学省は,本事業の実施を委嘱する都道府県教育委員会を「学力向上実践研究推進地域」(以下,「推進地域」という。)として指定する。

(4) 都道府県教育委員会(推進地域)は,下記のとおり「学力向上実践研究推進地区」及び「学力向上実践研究推進校」を指定することとする。

    ア 「学力向上実践研究推進地区」(以下,「推進地区」という。)として,推進地域内の市町村教育委員会(指定都市教育委員会を含む)等を1箇所又は複数箇所指定する。

    イ 「推進地区」内の小学校及び中学校の中から「学力向上実践研究推進校」(以下,「推進校」という。)を1推進地域当たり,原則として小・中学校合わせて3校程度指定する。ただし,次のa及びbの推進地域については,5校程度指定することとする。

      a:東京都教育委員会
      b:指定都市教育委員会を推進地区に含めて指定した道府県教育委員会

    ウ 各推進地域においては,小学校及び中学校を必ず1校以上を「推進校」として指定すること。

4 事業の実施

(1) 本事業においては,「1 趣旨」に基づき,学校及び教育委員会において,学力向上を図るための方策について実践研究を行うとともに,新学習指導要領の円滑な実施を図るための取組を行うものとする。
 このため,次の1~3の3つの型の研究主題にそれぞれ重点を置いて取り組む学校を推進校として指定する。

    1型:基礎的,基本的な知識・技能の一層の定着を図り,教科の知識・技能を活用する学習の充実
    2型:総合的な学習の時間において,教科等を横断した課題解決的な学習や探究的な学習
    3型:新学習指導要領における新しい教育内容に関する指導方法や教材の開発


(2) 都道府県教育委員会は,推進校を指定するに当たり,上記1~3型のそれぞれについて,必ず1校以上が取り組むこととなるよう推進地区内の学校を選定するものとする。

(3) 推進校においては,4の(1)を踏まえ,推進地域及び推進地区における推進計画等に基づき,具体的な研究課題を設定し,学力向上のための実践研究を実施するものとする。
 なお,研究課題例と4の(1)の1~3の3つの型との関係は,例えば以下のとおりである。
 また,全国学力・学習状況調査や各都道府県における学力調査,国立教育政策研究所で実施の「教育課程実施状況調査」の結果及び国際的な学力調査の結果等において課題とされた内容等を踏まえて行うよう努めるものとする。

    ◎研究課題例(【 】は4の(1)に示す1~3の型)
    ○基礎的,基本的な知識・技能の一層の定着を図るための指導方法,教材の工夫【1型】
    ○思考力・判断力・表現力等の育成のための単元開発や指導方法,教材等の工夫【1型】
    ○総合的な学習の時間において効果的な探究活動を行うための単元の開発や指導方法,教材の工夫【2型】
    ○新学習指導要領において新しい教育内容に関する単元開発や指導方法の開発,教材収集及び教材研究【3型】
    ○学習習慣の定着や学習意欲の向上のための指導方法,教材等の工夫【1,2,3型】
    ○個に応じた指導のための単元開発や指導方法,教材等の工夫(少人数指導,習熟度別指導,補充的な学習,発展的な学習など)【1型,3型】
    ○各教科等における言語活動に関する単元開発や指導方法,教材の工夫【1,3型】
    ○国語科における,論理的に思考し表現する能力,言葉で伝え合う能力の育成や,感性や情緒をはぐくむための単元開発や指導方法,教材の工夫【1型,3型】
    ○小学校における教員の得意分野を生かした教科担任制の実施【1型,3型】
    ○学校外の様々な分野の人材や施設・団体等(大学や大学の研究者,教員志望の学生,NPOなど)との効果的な連携・協力による指導の充実【1,2,3型】
    ○教育課程に関する自己点検・自己評価,カリキュラム・マネジメント【1,2,3型】  等

(4) 都道府県教育委員会は,以下のことを行うものとする。

    ア 地域の実情や課題を踏まえ,学力向上のための推進計画等を策定し,推進地区及び推進校に対して,本事業の円滑な実施のために必要な指導・助言を行う。

    イ 成果発表会や研修会等の開催,実践事例集の作成,インターネットによる情報提供などの取組を必要に応じて実施することにより,推進地区や推進校の取組を支援し,教員の指導力の向上,研究情報の共有化及び研究の成果等の普及を図る。

    ウ 本事業による実践研究の成果と課題,推進計画等の検証を行う。


(5) 市町村教育委員会(指定都市教育委員会を含む。)においては,都道府県教育委員会が策定した推進計画等に基づき,以下のことを行うものとする。

    ア 推進校に対し,本事業の円滑な実施のために必要な指導・助言を行う。

    イ 成果発表会や研修会等の開催,実践事例集の作成,インターネットによる情報提供などの取組を必要に応じて実施することにより,推進校の取組を支援し,教員の指導力の向上,研究情報の共有化及び研究の成果の普及を図る。

    ウ 本事業による実践研究の成果と課題等の検証を行う。

(6) 文部科学省は,推進地域,推進地区及び推進校に対し,本事業の実施に必要な指導・助言を行うとともに,本事業の成果等の普及を図り,学力向上の取組の充実に資するため,以下のことを行うものとする。

    ア 最終年度(第3年次)に,推進地域,推進校など本事業関係者が参加する研究協議会を開催する。

    イ 実績報告書をとりまとめた集録を編集し,書籍,インターネットその他の媒体等を適宜活用して情報提供を行う。5 文部科学省の他の事業との連携

5 文部科学省の他の事業との連携

 都道府県教育委員会は,地域の実情や課題を踏まえ,「全国学力・学習状況調査等を活用した学校改善の推進に係る実践研究委託事業」等の学力向上に関する事業と連携し,これらの事業の円滑な実施のために必要な指導・助言,支援及び必要な情報収集を行い,実践研究を検証し,その成果の普及を図る。



6 実績報告書等

(1) 都道府県教育委員会においては,推進地区及び推進校の作成する書類をとりまとめ,第1年次及び第2年次の終わりに中間報告書,第2年次及び第3年次の初めに実施計画書,事業の終了時に実績報告書,各年度の終了時に経費に関する報告書を提出するものとする。

(2) 実績報告書等の様式その他必要な事項については,文部科学省から別途連絡する。

(3) 実績報告書については,文部科学省においてその集録を編集し,書籍及びインターネットその他の媒体により公表することができるものとする。


7 経費

(1) 文部科学省は,各年度ごとに予算の範囲内で,この事業の実施に必要な経費を支出する。

(2) 都道府県が行う国の会計事務として支出する経費とする。

8 その他

(1) 文部科学省は,必要に応じ,本事業の実施状況及び経理処理状況について実態調査(推進校訪問など)を行う。

(2) 文部科学省は,推進地域における本事業の適切な運営に資するため,必要に応じ,関係者の参加を得て連絡協議会を開催する。

(3) 「実施計画書」を提出後に,研究の進捗状況からみて特筆すべき事項が生じたときは,速やかに文部科学省教育課程課にその内容のわかる書類を提出すること。

(4) 実践研究の成果と課題の検証に当たっては,例えば,児童生徒の変容(意識や学力など),教師や保護者の意識の変容などの把握のための調査(アンケート調査)を行うなど,経年比較が可能な定量的なデータを示せるよう努めること。また,成果と課題の検証を踏まえ,翌年度の推進計画や事業の実施計画の見直しを図ること。

(5) この要項に定めのない事項で事業の実施に必要な事項は,必要に応じ,文部科学省が別に指示する。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程総括係

(初等中等教育局教育課程課教育課程総括係)

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