さいたま市教育委員会では,平成20年3月に今後10年間で通じて目指すべき学校教育の基本理念や方向性を明確に示した「さいたま市学校教育ビジョン」を策定した。そこでは,「確かな学力の向上と個性を生かす教育の推進」を「学校教育の指針」の一つに位置付けた。特に,総合的な振興策として「学びの向上さいたまプラン」を展開し,学校教育の質の向上に努めている。
全国学力・学習状況調査結果の検証を行うことは,市独自で実施しているさいたま市学習状況調査と合わせて,さらなる施策の充実につながるものと考える。
平成20年度においては,学校改善の推進に係る実践研究として,平成19年度末に「さいたま市検証改善委員会」から提言された「さいたま市学校改善支援プラン」(リーフレットにまとめ市内の全小・中学校の全教員に配付)を受け,授業改善の具体的な取組と検証を行い,成果の普及を図った。
○調査活用協力校連絡会を組織し,実践研究について協議した。
○指導主事が,調査活用協力校を訪問し,本研究の趣旨説明及び校内研修等において指導・助言を行った。
○各学校に研究計画書,実践資料,研究報告書の作成を依頼し,集約した。
○調査活用協力校において,先進校の視察や大学教授等を講師として招聘した研修会を実施した。
○教科研究委員会を組織し,公開授業研究会等を行い,市内全小・中学校の取組等に対して積極的に働きかけ,指導・助言を行った。
○調査活用協力校の実践研究を踏まえ,全国学力・学習状況調査等の結果を活用した学校改善に向けた改善策についてまとめた「研究報告書」を刊行するとともに実践発表会を開催した。
○平成20年度全国学力・学習状況調査のさいたま市の結果について,各教科,設問ごとの正答率等を公表し,調査対象となった学年の全家庭に結果の概要を示したリーフレットを配付した。
平成19年度末に市内全ての小・中学校の中から,小学校3校,中学校3校を本研究の委嘱校として指定した。
調査活用協力校は,全国学力・学習状況調査結果から分析した自校の課題,研究テーマ,研究計画,研究内容等について「研究計画書」を作成し,それに従って研修を進めていった。
平成20年3月に「さいたま市検証改善委員会」から提言された「さいたま市学校改善支援プラン」の具現化を目指し,市内小・中学校教員の中から,研究委員を委嘱した。そして,指導方法の工夫改善について検証を重ね,Lesson
Study研修会(公開授業研究会)を開催した。
また,Lesson Study研修会の学習指導案,研究協議の記録,指導事例等をさいたま市立教育研究所Webページ上で公開するとともに研究成果を各学校に周知した。
○調査活用協力校への訪問指導,校内研修会等への参加など,教育委員会が積極的に関わる中,調査結果から課題を把握し,課題解決のための具体的な手立てについて,指導・助言することができた。
○調査活用協力校の実践研究の成果をまとめた冊子の配付,実践報告会の開催等を通して,市内全ての小・中学校に対して指導方法の工夫改善策を周知することができた。
○調査活用協力校における学校改善の推進に係る実践研究が,全国学力・学習状況調査等の結果を活用する先進的な取組として紹介することができ,市内全ての小・中学校の学校改善を推進する上で効果的であった。
○「教科研究委員会」を組織して,平成19・20年度の全国学力・学習状況調査の結果分析を行い,課題解決に向けた指導方法等について協議した。また,授業研究会を実施し,指導方法の工夫改善策を提言した。
○平成20年度さいたま市の全国学力・学習状況調査結果をまとめた報告書を作成し,調査結果の分析と考察,具体的な指導のポイントや実践事例等を提言した。
○「全国学力・学習状況調査結果を活用した指導方法改善研修会(指定)」を開催し,市内全小・中学校の教員が指導方法の具体的な改善策について研修し,学習指導の改善や指導力の向上を図った。
○指導主事が市内の小・中学校の研修会等で指導する際に,「全国学力・学習状況調査結果の活用」という視点からも指導・助言を行った。
来年度も,これまでの取組に工夫・改善を重ね,引き続き,全国学力・学習状況調査等を活用した学校改善や授業改善の推進を図るため,次のような施策や指導方法の普及を図っていく。
本校の学区は,緑が多く,自然に恵まれた環境にある。生徒は,素直で明るく,授業に対しての態度もまじめな者が多い。しかし,基礎的・基本的な内容の習得やそれらを活用する思考力・判断力・表現力等の活用が不十分な生徒がいることが課題であり,各教科や校内研修会において,授業改善のための話し合いや取組が行われている。
そのような中,今年3月に告示され,平成24年度完全実施となる「新学習指導要領」の改訂の基本的な考え方の一つに「知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視」が挙げられており,さいたま市の「基礎学力定着プログラム」や「さいたま市国語力向上プラン」,さらに,「三室中学校基礎学力定着プログラム」とも合わせて,上記の課題に取り組んでいくことが,三室中学校にとってとても重要なことである。以上のことから,本年度も引き続き研究テーマを「自分をしっかり見つめ,自分の力で,自分を高められる生徒の育成」と設定した。
平成19年度実施の全国学力・学習状況調査の国語,数学のそれぞれの結果は,概ね良好だったが,「知識」に関するA問題に比べ,「活用」に関するB問題で正答率の低いところがいくつかあった。このB問題は,「1.知識・技能などを実生活の様々な場面に活用する力」,「2.様々な課題解決のための構想を立て,実践し,評価・改善する力」であり,本校の生徒は,課題発見や解決能力,論理的な思考力・判断力・表現力などの力がやや不足していると考えられる。
具体的に,国語では,「話すことの内容に応じて,適切な資料を選択・提示する力」,「効果的なインタビューの仕方」,「語句の意味を理解し文脈の中で適切に使う力」がやや不十分であると考えられる。また,「資料に表れているものの見方や考え方をとらえ,伝えたい事柄や考えを明確にして書く力」は,県・全国同様,正答率が低かった。
また,数学では,A問題において,「連立方程式の解をグラフ上の点から選ぶ問題」,「総当たり戦の試合数を求める問題」,全体的に数量関係に弱いということがいえる。さらにB問題において,「筋道を立てて考え数学的な表現を用いて説明したり,情報を読み取ったりする活用問題」において平均が低くなっている。
全教職員の共通理解をもとに,学習規律を高め,積極的に生徒同士の学び合い活動や反復学習を導入するなど指導内容・方法の工夫・改善を通して,基礎的・基本的な内容のさらなる定着を図る。さらに,書く(聞く)活動や前述の学び合い活動,発表などの諸活動を通して,課題発見や解決能力,論理的な思考力,判断力,表現力等を高め「確かな学力」の向上を目指す。
(1)さいたま市の「基礎学力定着プログラム」をもとに,昨年度から取り組んでいる三室中学校独自の「三室中学校基礎学力定着プログラム」を継続して実践する。具体的には,基礎的・基本的な内容の確実な定着のための資料や指導内容・方法の工夫を校内研修会・教科会を通して全教科で進めていく。
(2)国語・数学の思考力,判断力,表現力等について,全国や市の調査結果,テスト等を具体的に分析し,つまずきを明らかにし,反復学習・学び合い活動や書く(聞く)活動・発表等の活動を通して授業改善を進めていく。
「学び合い」〔富士市立岳陽中学校視察報告より〕
・「学び」とは,一方的に教えられる学習ではなく,自らその教科の持つ本質的な楽しさを追求していくもの(一斉授業では,授業は成立しているが,学びは成立していない)
・授業の3要素:活動,表現,共有
1.作業的な活動
2.小グループの話し合い〔表現と共有〕
3.発言(アイディア)の交流〔表現と共有〕
・小グループの目的は,底上げ(全員)とジャンプ(全員でなくても良い)
・「一人残らず学びに参加する」を目標に,学びに参加できない子どもをどうケアするかという視点から,グループ活動を授業に導入。
1 単元名「ものづくりの知恵」
2 研修課題との関係
(1)「三室中基礎学力定着プログラム」の視点から
授業のいろいろな場面で「書く活動」を効果的に取り入れ,根拠をもとに自分の考えをもち,筋道をたてて自分の言葉で正しく表現できる力を養う。
(2)「さいたま市国語力向上プラン」の視点から
自分の考えを書いて発表し,評価する機会を授業の中で設定する。そして,自分の考えに他の人の意見を取り入れ,考えをより深める。
(3)「学び合い」の視点から
小グループの話し合いを通して,友だちの多様な見方・考え方を知り,教材に対する考え,理解を深めさせ,多くの生徒に自分の考えを発表させたい。
3 教材観より
平成19年度および20年度の全国学力調査の結果を見ると,情報をもとに,根拠を明らかにしながら,自分の考えを適切に相手に伝わるように書くことについて苦手な生徒がいることが分かった。そこで,この単元では「ものづくりの知恵」という教材を用いて,文章の内容を整理し,内容を根拠にして作者の考えを読み取り,グループで伝え合うことによって自分のものの見方や考え方を広げる時間としたい。また,学習意欲に欠ける生徒や通常の授業についていくことが困難な生徒も話し合いに参加し,自分の考えをもてるように授業を展開したい。
4 本時の学習
(1)ねらい
1.積極的に発表や話し合いに参加している。【関心・意欲・態度】
2.文章の構成や展開に即して内容を正確にとらえ,ものづくりについての考え方を理解する。【読むこと】
3.文章中に出てくる語句について理解を深める。【言語事項】
(2)展開
1 単元名「比例と反比例」
2 研修課題との関係
(1)「三室中基礎学力定着プログラム」の視点から
本時は「比例と反比例」の導入である。指導に当たっては,生徒が興味・関心をもてるよう,身のまわりのいろいろな事象に関連付けた課題を設定する。
(2)「さいたま市国語力向上プラン」の視点から
具体的な事象を言葉・図・表・グラフ・式などを用いて考察し,考察したことを伝え合う活動を重視したい。そのために,授業の中で,生徒の発表の場を意図的,計画的に設定する。
(3)「学び合い」の視点から
小グループの話し合いを取り入れ,基礎・基本の徹底を図るとともに,個々の理解が一層深まることを期待したい。
3 教材観より
平成19年度,および20年度の全国学力・学習状況調査の結果を見ると「数量関係」の正答率が低いことがわかる。特に「反比例」に関する問題の正答率は極めて低い状況にある。
そこで,本時では,小学校で学習した「比例」を基に,比例以外の関数を同時に扱い,比較することにより,それぞれの関数の特徴をより明確にするとともに,3年間の関数の学習に見通しをもたせたいと考えている。
4 本時の学習
本校の課題である1.知識・技能などを実生活の様々な場面に活用する力2.様々な課題解決のための構想を立て,実践し,評価・改善する力つまり,課題発見や解決能力・論理的な思考力・判断力・表現力等の力を生徒に身に付けさせるための手だてとして,「三室中学校基礎学力定着プログラム」「さいたま市国語力向上プラン」「学び合い」の3つを柱とし,国語・数学科を中心とはするが,学校全体の取組としてきた。
特に,「学び合い」については,埼玉大学教育学部教授の庄司康生先生の講義,さらに,先進校(富士市立岳陽中学校)の研究授業視察等を積極的に行い,教職員の共通理解をしっかり図ることに努めた。
その成果の確認として,国語・数学の研究授業及び研究協議会を10月28日に行った。
本校の生徒に「確かな学力」をはぐくむため次の2点について重点的に実践していく。
1 教職員の共通理解を基盤に,学校全体での取組として継続していくこと
2 家庭との連携・協力を一層充実させること
1については,研究授業や校内研修のこれまで以上の充実を図る。過日の校内研究授業の協議会で,「学び合いの活動を取り入れることによって,学びが深まっていくことを実感する。」という意見が出され,学び合いの場面を意識して設定することの重要性が確認された。一方で,グループ学習による「学び合い」は,生徒の思考力・判断力・表現力等を身に付けさせるためにとてもいい学習方法であるが,時間がかかるので,基礎的・基本的事項を身に付けるための繰り返し学習とのバランスがとれない,という意見も出された。これらの意見を踏まえ,昨年度から行っている「三室中学校基礎学力定着プログラム」に引き続き重点的に取り組みながら,生徒達の主体的な学習形態について検討を重ね,各教科の年間指導計画の中に,《学び合いのグループ学習》と《繰り返し学習》を計画的に入れていくことに取り組んでいく。
2については,「確かな学力」を身に付けるためには,授業の充実とともに,家庭での子どもの生活習慣や学習習慣等の形成が重要であると考える。よい生活習慣や学習習慣は,学力の要素である「学習意欲」や「ねばり強く課題に取り組む態度」を支える基盤となる。家庭生活の中で,宿題や予習・復習という形で学習を補うと,学びが連続し,学習内容が確実に定着する。この家庭学習の習慣化のためには,生徒自身の努力はもちろん,学校と家庭が連携・協力して取り組むことが大切である。以上のことから,三室中学校では,現在「家庭学習のススメ」という冊子を作成中であり,今年度中にこれを配布し,家庭と連携し,家庭学習の習慣化を図ろうと取り組んでいる。さらに,来年度は,「よりよい家庭学習習慣を身に付けるためのチェック表」や「生徒用・生活ノート」を作成・実施し,取組の成果を具体的に表していきたいと考えている。
生徒の「確かな学力」を身に付けさせるために,教職員の共通理解・行動,家庭との連携を基盤に一歩ずつ着実に歩みを進めていきたい。
児童の学力については、PISAの調査結果や平成15年の文化審議会国語部会の答申『これからの時代に求められる国語力について』などで、「読解力」に課題があることが指摘された。このことを受け、改訂された学習指導要領では
“国語力”の定着が強く求められている。
こうした中、本校の実態に目を向けると、全国学力・学習状況調査やさいたま市学力調査において、知識分野でも活用分野でも全国・市内平均値と比較し高い値を示している。しかし、授業や生活の中の児童を鑑みたとき、それが“生きた学力”として児童の力を示しているのか、“国語力”が身についているのか、疑問が残る。
また、本校ではこれまで、“確かな学び”をはぐくむため、総合的な学習の時間、生活科、算数科の研究を行ってきた。この研究を通して、“伝え合い”の重要性を再認識するとともに、児童相互に学び合う力を高めることが課題となった。
以上のことを踏まえ、今年度より表現力と伝え合いをキーワードに研究を進めていくこととし、研究テーマを「国語科における表現する力・伝え合う力の育成」と設定した。
平成19・20年度の調査結果から、本校は「知識」「活用」両面で正答率が高く、特に基礎的・基本的な事項は定着してきていると言える。しかし、国語科で書く能力や読む能力、算数科では数学的な考え方では正答率が他に比べ低く、中には、全国平均を下回る設問もある。これは、問題の形式に慣れていないことや、授業を中心とした学習の中で、問題に示された内容や形式の学習体験が不足していることが原因になっていると考えられる。
また、生活の中で活用しようとする意欲や、条件内で記述したり、考えを深めたりする部分の定着が不十分であることが課題としてあげられる。
本校児童の基礎・基本の定着は、これまで継続的に取り組んできた15分学習や少人数指導の成果が表れていると考えられる。引き続き、基礎・基本の着実な定着をめざす活動に取り組む。
課題となった、(1)条件がある中での記述する能力の向上、(2)自己の考えを深め、表現する能力の向上を図ることについては、設問ごとに検討を行い、本校の実態をしっかりと捉える必要がある。
これらのことを通して、教員の新学習指導要領に対応する国語科教育の実践力を高めていくこと、児童に身につけたい力を整理し、適切な言語活動により、児童に“確かな学び”を保障することをねらいとして研究を進めていく。
また、全国学力・学習状況調査の検討を通し、旧来の授業実践を問い直し、児童の実態に即した、児童主体の学習活動への転換を図っていく。
まず、先進校の実践に学ぶとともに、新学習指導要領における実践の準備を進める。“国語力”につながる教育実践・授業研究を通し、児童に確かな学力を身につけるとともに“確かな学び”をはぐくむ実践研究を進めていく。研究の視点としては、以下の4点を上げる。
(1)全国学力・学習状況調査結果の分析と課題の設定
(2)書く活動の重視
(3)考えを深めるための“伝え合い”の重視
(4)指導計画の工夫と改善
本研究を実践するにあたり、以下のような研究組織で取り組むこととする。
本校児童の実態把握を図り、また全国学力・学習状況調査の結果等を理解するため、指導者を要請し、研修会を開催した。
本校児童の実態を以下のようにまとめた。
これを受けて、課題を以下のように設定した。
○書く活動で相手・場所・目的を高める方法を工夫する。
○学年に応じた書き方の工夫をする。
○書く活動や話し合う活動を重視する。
社会の学習などで戦争や原子爆弾に関する本やビデオを紹介し、意欲・関心を高めるとともに、文章を書く際の知識を得られるようにした。
学習の到達点を、生きもの図鑑や食べもの図鑑を作成して図書室に置くこととし、目標をもたせた。学習計画をたて、目標に向けて単元全体の見通しをもち、振り返りながら学習に取り組むようにした。
モデル文を作成し、読み取る項目、書き取る項目を明確にした。また、モデル文の提示のしかたを工夫した。
2年生の実践では、書き方を学習した時に使用したモデル文の資料を修正やつけ足しをしながら、毎時間掲示し、参考にさせた。
3年生では、説明文を書く学習を行った。そこではモデル文を掲示用ボードに貼り付け、全体での学習や提示だけでなく、作文を書く際の個別支援にも役立つようにした。
6年生での実践では、書くことを明確にし、読み取ったことから、自分の考えをまとめて、書く活動を行った。書く項目を明確にし、児童が「思い」を表現できるようにした。
考えを深め、表現力を高めるためにも書く活動や“伝え合い”の場面(交流)を重視し、単元の各所に意識的に設けるようにした。
授業の中で書く活動と友だち同士で伝え合う活動を入れていくように、単元指導計画を工夫した。
単元での学習活動の位置や学習内容によって、伝え合いのグループや形態を工夫するようにした。
形態A 2人組:席順を基準にした隣りどうし
形態B 3~5人グループ:異なる内容・テーマ
形態C 3~5人グループ:同じ内容・テーマ
形態 | 成果 | 課題 |
---|---|---|
2人組 | ・すぐに、いつでも行うことができる。 ・読む(確かめる)観点を明確にすれば効果的に行うことができる。 |
・自分と異なる考え方に触れることはできるが、表現力等が十分でないと互いに高め合うまでは至らない。 |
異質グループ゚ | ・興味をもって、他の発表を聞くことができる。 | ・グルーピングに時間を要する。 ・伝え合う項目の精選が必要である。 |
同質グループ | ・取り組みが遅れている児童にとって参考になる。 | ・同じような作品になってしまう。 |
より効果的な指導計画の作成・見直しを行うために、本年度は、各学年による「指導事項マトリクス」の作成と研究授業における自作教材の作成を行った。
各単元において、つけたい力や言語活動等を計画的、系統的に行うために、各学年で表にまとめた。(次頁:3年指導事項マトリクス)
「サンゴの海の生きものたち」(教科書教材)を使い、生きものと複数の生きもの間の共生の特徴を読み取る学習を行った。読み取る力や学習した内容の活用を図るため、19作の自作教材を作成し、児童が自由に選択して読み取る学習を行った。
「すがたをかえる大豆」(教科書教材)を用い、説明文の特徴を学習し、説明文を書く学習を行った。その際、非連続テキストからの読み取りを意識し、「食べ物パンフレット」を8種類作成した。児童は、説明文を書くために参考とする資料として使用した。
「確かな学び」をはぐくむために、特に表現力を高めるために、書く活動を積極的に取り入れ、研究に取り組んだ。
研究を通して、モデル学習や“伝え合い”活動(交流)が表現力を高めるために有効であることが確かめられた。モデル文の作成やワークシートなど教材を工夫し、学習内容に応じた教師自作の教材文を作成した。また、言語活動を計画的に、有効に行うことを目的に、全学年で「指導事項マトリクス」を作成した。
その結果、成果として以下の点が挙げられる。
○伝え合い活動により、自分の考えを積極的に友だちに伝えることで、児童の表現力の向上が見られた。
○友だちの考えや書き方等に触れ、自分の学習を振り返ることができた。
○モデル文の作成を通し、教師が指導内容を的確に確かめることができ、授業展開や助言の在り方など、よい教材研究を行うことができた。
本年度は、書く活動を中心に研究を行った。そのため、“読むこと”についての研究が不十分であったことが反省としてあげられる。また、不連続テキストなどから分かったことをもとにして、条件に即して書くなど、重点的な取り組みも不十分であった。
本年度、書く活動を中心とした研究から明らかになった課題に対して、次のような点について研究を深めていく。
○ワークシートなど教材を工夫して継続的な活用にしていくとともに、教材の改善に努める。
○児童相互や教師の支援など、評価の在り方についても工夫が必要である。
○つけたい力が明確なモデル文をさらに他の単元でも作成し、効果的に授業で活用する。
○系統性のある指導計画を立案する。
初等中等教育局参事官付学力調査室
-- 登録:平成22年03月 --