学校、家庭、地域が共に進める学力づくりの実践研究-教育活動の改善に関する実践・調査研究を中心に-

沖縄県検証改善委員会

はじめに

 沖縄県では、児童生徒の学力向上を本県教育の最重要課題と位置付け、昭和63年度から学力向上主要施策を策定し、学力向上対策を推進してきた。
 その主な取組としては、学力向上主要施策の内容の周知や取組の進捗状況を確認するために、市町村教育委員会学力向上対策担当者・社会教育関係者連絡協議会並びに県指定基礎学力向上推進地域連絡協議会を開催した。また、学力向上対策学校計画訪問を実施するとともに学対ニュース(にぬふぁ星)を発行し、学力向上対策の機運の醸成を図ってきた。さらに、学力向上対策の取組の効果を確認するために、達成度テスト、学校図書館・読書活動の実態調査、児童生徒の生活実態調査等、諸調査を継続的に実施している。

1 検証改善委員会の体制について

 沖縄県検証改善委員会は、琉球大学教育学部教授である島袋恒男氏を委員長として、県立総合教育センターの教科研修課長1名、産業経済団体関係者1名、社会教育関係者1名、沖縄県高等学校PTA連合会事務局長1名、沖縄県教職員組合委員長1名、県内の小・中・高等学校の校長等(校長3名、教諭2名)、沖縄大学教授等の学識経験者5名の計15名の検証改善委員から構成される委員会である。

2 学校改善支援プランの概要

 本県の全国学力・学習状況調査の結果から、小・中学校の平均正答率は、国語、算数・数学の各教科で全国平均を下回っており、児童生徒の基礎的・基本的な知識・技能の習得、課題を解決する力、思考力・判断力・表現力等の学力向上は喫緊の課題となっている。
 また、「児童(生徒)質問紙調査」から、児童生徒の学習意欲やねばり強く課題に取り組む態度に個人差が生じていることや家庭学習も含めた学習習慣の確立に課題が認められる。
 沖縄県検証改善委員会では、これらの課題を受けて、児童生徒の「確かな学力」の向上のため、関係機関との連携の上、中・長期的に取り組むことをまとめた学校改善支援プラン(「確かな学力の向上」支援プラン)を策定した。
 その概要は、以下のとおりである。

  • (1) 県教育委員会及び各機関等における学力向上に係る学校支援のための取組事項
  • (2) 「全国学力・学習状況調査」の結果の概要及び対応策
  • (3) 学校における「確かな学力の向上」の取組事項

3 全国学力・学習状況調査の結果分析について

 本県の全国学力・学習状況調査の結果について、検証改善委員会で分析を行ったところ、以下の点が明らかになった。
 教科に関する分析では、本県において全体として「活用」問題について小・中学校ともに課題が共通してみられた。また、個別の教科について具体的にみると以下のような特徴と課題が見られた。

<小学校:国語A>

(1)平均正答数分布グラフ

 全国と比較して下位層と上位層が少なく、中位層が多い傾向となっている。

(2)平均正答率と無解答率の概況

 全国平均と比較して、平均正答率の差は、5ポイントとなっている。また、無解答率は約2倍となっている。

(3)領域ごとの概況

 すべての領域において、全国の平均正答率を下回っており、特に「書くこと」において差が大きい。

(4)評価の観点ごとの概況

 すべての観点において、全国の平均正答率を下回っており、特に「関心・意欲・態度」の差が大きい。

(5)問題形式ごとの概況

 「選択式」「短答式」において、全国の平均正答率を下回っており、特に「短答式」の差が大きい。

<小学校:国語B>

(1)平均正答数分布グラフ

 全国と比較して上位層が少なく、下位層が多い傾向となっている。

(2)平均正答率と無解答率の概況

 全国平均と比較して、平均正答率の差は、9ポイントとなっている。また、無解答率は約2倍となっている。

(3)領域ごとの概況

 すべての領域において、全国の平均正答率を下回っており、特に「言語事項」「書くこと」において差が大きい。

(4)評価の観点ごとの概況

 すべての観点において、全国の平均正答率を下回っており、特に「書く能力」「知識・理解・技能」の差が大きい。

(5)問題形式ごとの概況

 すべての形式において、全国の平均正答率を下回っており、特に「短答式」において差が大きい。

<小学校:算数A>

(1)平均正答数分布グラフ

 全国と比較して下位層と上位層が少なく、中位層が多い傾向となっている。

(2)平均正答率と無解答率の概況

 全国平均と比較して、平均正答率の差は、約6ポイントとなっている。また、無解答率は約2倍となっている。

(3)領域ごとの概況

 すべての領域において、全国の平均正答率を下回っており、特に「数量関係」において差が大きい。

(4)評価の観点ごとの概況

 すべての観点において、全国の平均正答率を下回っており、特に「表現・処理」の差が大きい。

(5)問題形式ごとの概況

 「選択式」「短答式」において、全国の平均正答率を下回っており、特に「短答式」において差が大きい。

<小学校:算数B>

(1)平均正答数分布グラフ

 全国と比較して上位層が少なく、中・下位層が多い傾向となっている。

(2)平均正答率と無解答率の概況

 全国平均と比較して、平均正答率の差は、約9ポイントとなっているまた、無解答率は約2倍となっている。

(3)領域ごとの概況

 すべての領域において、全国の平均正答率を下回っており、特に「数と計算」「図形」において差が大きい。

(4)評価の観点ごとの概況

 すべての観点において、全国の平均正答率を下回っており、特に「数学的な考え方」の差が大きい。

(5)問題形式ごとの概況

 すべての形式において、全国の平均正答率を下回っており、特に「記述式」において差が大きい。

<中学校:国語A>

(1)平均正答数分布グラフ

 全国と比較して下位層と上位層が少なく、中位層が多い傾向となっている。

(2)平均正答率と無解答率の概況

 全国平均と比較して、平均正答率の差は、約7ポイントとなっている。また、無解答率は約2倍となっている。

(3)領域ごとの概況

 すべての領域において、全国の平均正答率を下回っており、特に「書くこと」「言語事項」において差が大きい。

(4)評価の観点ごとの概況

 すべての観点において、全国の平均正答率を下回っており、特に「知識・理解・技能」の差が大きい。

(5)問題形式ごとの概況

 すべての形式において、全国の平均正答率を下回っており、特に「短答式」の差が大きい。

<中学校:国語B>

(1)平均正答数分布グラフ

 全国と比較して上位層が少なく、中・下位層が多い傾向となっている

(2)平均正答率と無解答率の概況

 全国平均と比較して、平均正答率の差は、8ポイントとなっている。また、無解答率は約2倍となっている。

(3)領域ごとの概況

 すべての領域において、全国の平均正答率を下回っており、特に「言語事項」において差が大きい。

(4)評価の観点ごとの概況

 すべての観点において、全国の平均正答率を下回っており、特に「知式・理解・技能」の差が大きい。

(5)問題形式ごとの概況

 すべての形式において、全国の平均正答率を下回っており、特に「短答式」において差が大きい。

<中学校:数学A>

(1)平均正答数分布グラフ

 全国と比較して上位層が少なく、中・下位層が多い傾向となっている

(2)平均正答率と無解答率の概況

 全国平均と比較して、平均正答率の差は、約15ポイントとなっている。また、無解答率は約2倍となっている。

(3)領域ごとの概況

 すべての領域において、全国の平均正答率を下回っており、特に「数と式」において差が大きい。

(4)評価の観点ごとの概況

 すべての観点において、全国の平均正答率を下回っており、特に「知識・理解」の差が大きい。

(5)問題形式ごとの概況

 「選択式」「短答式」において、全国の平均正答率を下回っており、特に「短答式」において差が大きい。

<中学校:数学B>

(1)平均正答数分布グラフ

 全国と比較して上位層が少なく、中・下位層が多い傾向となっている

(2)平均正答率と無解答率の概況

 全国平均と比較して、平均正答率の差は、13ポイントとなっている。また、無解答率は約2倍となっている。

(3)領域ごとの概況

 すべての領域において、全国の平均正答率を下回っており、特に「図形」において差が大きい。

(4)評価の観点ごとの概況

 すべての観点において、全国の平均正答率を下回っており、特に「数学的な見方・考え方」の差が大きい。

(5)問題形式ごとの概況

 すべての形式において、全国の平均正答率を下回っており、特に「記述式」において差が大きい。

<児童・生徒質問紙>

 全国と比較して有意な差がみられた主な設問は、以下のとおりである。

(1)普段(月曜日~金曜日)、何時ごろ起きますか。

    6時30分以前 6時30分以降
27.0パーセント 73.0パーセント
全国 34.3パーセント 65.5パーセント
26.5パーセント 73.4パーセント
全国 31.7パーセント 68.1パーセント

(2)普段(月曜日~金曜日)、何時頃寝ますか。

    11時以前 11時以降
76.6パーセント 23.4パーセント
全国 82.5パーセント 17.5パーセント
37.2パーセント 62.9パーセント
全国 29.8パーセント 70.1パーセント

(3)普段(月曜日~金曜日)、1日あたりどれくらいの時間、テレビやゲーム等をしますか。

    2時間以内 2時間以上
85.0パーセント 15.0パーセント
全国 79.9パーセント 20.1パーセント
83.5パーセント 16.4パーセント
全国 76.7パーセント 23.1パーセント

(4)学校の授業時間以外に、普段(月曜日~金曜日)、1日あたりどれくらいの時間勉強をしますか。

    1時間未満 1時間以上
37.7パーセント 62.3パーセント
全国 42.1パーセント 57.9パーセント
45.1パーセント 54.6パーセント
全国 34.8パーセント 65.0パーセント

(5)国語、算数、数学の勉強が好きな児童生徒の割合。

    国語 算数・数学
56.5パーセント 56.5パーセント
全国 59.6パーセント 65.0パーセント
53.9パーセント 53.0パーセント
全国 56.8パーセント 51.0パーセント

(6)読書が好きな児童生徒の割合。

  小学校 中学校
72.2パーセント 63.8パーセント
全国 71.3パーセント 67.9パーセント

(7)将来の夢や目標をもっている児童生徒の割合。

  小学校 中学校
84.6パーセント 71.6パーセント
全国 83.7パーセント 70.7パーセント

 生活習慣の面で本県は、全国に比べて起床時間が遅く、就寝時間もやや遅い傾向がみられる。また、テレビやゲーム等の時間については、全国に比べて短い傾向がある。学習時間に関しては、小学校においては全国よりも長く、中学校で短い傾向がみられるが算数・数学が好きな児童生徒の割合や将来の夢や目標をもっている割合は、本県の方が高い傾向が見られる。

<学校質問紙>

 全国と比較して有意な差がみられた主な設問は、以下のとおりである。

(1)児童生徒に対して「朝の読書」などの一斉読書の時間を設定している学校の割合。

  小学校 中学校
98.2パーセント 96.1パーセント
全国 92.0パーセント 84.6パーセント

(2)ICTを活用した授業を行っている学校の割合。

  小学校 中学校
91.9パーセント 87.6パーセント
全国 86.4パーセント 80.0パーセント

 本県は、学力向上対策の取組事項に「読み聞かせ」「音読」や「ICTを活用した指導」を示し、読書活動及びコンピュータを活用した指導を推進している。その結果、これらの項目について全国を上回る結果となっていると思われる。

4 学校改善支援プランについて

 3で述べた分析結果を受け、(1)学力向上に係る「学校支援のための取組事項」、(2)「全国学力・学習状況調査」結果概要及び対応、(3)「確かな学力の向上」の取組事項について学校改善支援プランとしてまとめ、提言を行った。

(1)学力向上に係る「学校支援のための取組事項」

  • 「確かな学力」向上のための授業実践の指針作成
  • 「授業実践事例集」の作成
  • 達成度テストの内容及び活用の改善
  • 学力向上対策学校計画訪問の実施方法等の改善
  • 教育課程の編成及び実施状況調査結果の活用の改善
  • 「全国学力・学習状況調査」結果の概要整理・報告
  • 高等学校入学者選抜学力検査問題の改善
  • 家庭や地域・学校が連携した支援事業
  • その他の支援

(2)「全国学力・学習状況調査」結果概要及び対応

  • 全国学力・学習状況調査の結果を受けて、「本県及び全国の正答率の状況」や「各教科の正答数の度数分布」「各教科の特に課題となる領域等一覧」「児童(生徒)質問紙調査の結果」などについて、その概要をまとめ、各教科の課題に対応する授業等の手だて(授業づくり)を示す。

(3)「確かな学力の向上」の取組事項

どのような「授業づくり・授業実践」を行うのか

  • 授業づくりにあたって、児童生徒に育てたい学力観を明確にするとともに教師の指導観について共通理解を図る。
  • 授業づくりの段階で、「どのような学力を身に付けさせるのか。(内容)」「どのような子どもを育てるのか。 (目標)」「どのような手だてを講じるか。(指導方法)」「子どもたちの学力の状況把握やフィードバックをどうするか。(評価内容・評価方法)」「学習の遅れた児童生徒への手だてをどうするか。(いつ、どのように)」を明確に持って、わかる授業〔習得型、探求型〕を構成する。
  • 授業実践の段階では、授業過程における5つの視点(「教えること」「わかる・できること」「定着すること」「活用すること」「楽しいこと」)をふまえるとともに、教科の学び方を身に付ける授業や形成的評価の位置付けなどを重視する。

学習を支える力の4つの重点事項

(1)「家庭での学習」の習慣化と質の向上

 「確かな学力」の向上を図るためには、「新しいことを学ぶ、わかる・できる、定着する」ための学習活動を確保する必要があり、日々の授業の充実と家庭学習の習慣化が大切である。学校と家庭の学びの往還による効果的な学習活動が展開され、充実した授業が構築される。学習を支える力の一つとして、家庭学習の方法(学び方)を丁寧に指導する。

(2)「学習用具等の準備」の習慣化

 「学習用具等の準備」は、個々の児童生徒の1単位時間の授業すべての取組に影響する。学習の準備が日々できていない児童生徒に対しては、個別指導や家庭との連携協力のもとに改善を図る。

(3)授業開始時刻の徹底(ベル席)

 「授業を開始時刻通り始める」ことは、児童生徒の学校での生活リズムや時間に対するけじめを育てていく上で重要である。全職員体制で日常的に授業開始時刻の徹底を図り、「学習を支える力」を育成する取り組みを行う。

(4)地区学力向上対策推進委員会など組織的な取組をとおして、重点事項に係る保護者等への周知及び協力体制の強化
  • 学校と地域の連携を図り、学校支援ボランティアの組織化や地域住民、社会人講師等地域人材の活用等により、児童生徒の実態やニーズに応えるきめ細やかな授業を支援する。
  • 児童生徒一人一人が毎日の授業に意欲的に取り組ませるために、その基盤となる生活リズムの確立や規範意識の醸成など家庭において日常生活に必要な習慣を身に付けさせるとともに、心身の調和のとれた発達を図る。
    • 基本的生活習慣の確立
    • 親子のコミュニケーションづくり

達成度テスト結果の有効な活用

(1)全職員による結果及び課題の共通理解・共通実践

 一人一人の教員が共通した問題意識をもち、全職員体制で確かな学力の向上に取り組むためには、現状の成果や課題を全員で確認し共有することが大切である。その中から、何が課題なのか、どのように改善を図るか、などの方策を見出していく組織的な動きを構築する。

(2)早い時期のフィードバック

 達成度テストが終了し、採点・集計の終了の後には、早期に学校の状況をまとめ、児童生徒にテストを返却し、テストの振り返りを図る。

教育課程の改善

(1)授業時数と内容の計画について

 単元ごとのテストの実施・振り返り・定着を図ることや体験活動・作業活動・捜査活動などを位置付けて取り組むゆとりある授業時数を確保する。

(2)行事時数と内容の計画について

 児童生徒の負担感のない行事や「豊かな体験」の実感ある内容・計画を工夫する。

学ぶことと将来の目標をつなぐ取組

(1)「教科等を学ぶのはなぜか」

 各教科等において将来の生き方や職業観等とかかわらせた児童生徒の夢や希望、目標へとつなげる指導の充実を図る。

(2)児童生徒が「夢・希望を語り合う」取組の充実

 夢や希望をもつことができる話題や環境づくり・出会いづくりをするとともに、教科等の実践と進路を関連させた授業構成を工夫する。

5 学校改善支援プランを受けた取組について

(1)学力向上フォーラムの開催

 3月に「沖縄県学力向上フォーラム」を開催した。(1,100名余参加)その目的は、児童生徒一人一人に「確かな学力」を育むための気運を醸成するとともに、学校、家庭、地域が連携協力した県民総ぐるみの取組を推進することである。
 フォーラムでは、文部科学省初等中等教育局学力調査室より講師を招き「全国学力・学習状況調査をどう活かすか」をテーマとした講話をして頂き、全国学力・学習状況調査の分析結果から「『知識』だけを身に付けさせても活用力は身に付かない。『知識』と『活用』は学力の両輪であり、バランスよく身に付けさせる必要がある」と活用力向上の必要性を確認した。
 また、「今、わたしたちができること」をテーマにしたシンポジウムでは、山盛敦子那覇市立真和志小学校長、大城美智子那覇市社会教育委員、玉村昌順沖縄トヨタ自動車常務取締役が、それぞれの立場から学力向上について提言した。
 山盛校長は、算数の授業時間増やノート指導、ドリル学習、月二回の放課後学習などを実施し、基礎基本の定着を図るとともに、「掃除をしっかりする」「あいさつを進んでする」などの7項目の「本校の凡事徹底」を推奨することで校内に落ち着きを与え、9割の子どもが「楽しい学校」と評価していると指摘した。
 大城社会教育委員は、保護者の立場で、会議で家庭のルールをつくることで絆が強まったと自身の経験を述べ、読み聞かせや子守歌が子どもに安らぎを与え、コミュニケーションを深める上で重要と強調した。玉村常務は「仕事も勉強も基本は同じ。知識や技術のだけではなく、豊かな心などプラスアルファの付加価値が必要。教育はバランスよく実践することが大事だ」と指摘し、「大人が『社会は捨てたものではない、バーチャルより実像が楽しい』ということを子どもたちに教えてほしい」と要望した。
沖縄県学力向上フォーラム

(2)指導主事研修会の開催

 指導方法の具体的な改善に活かすべく、市町村学力向上担当者等連絡協議会や全県指導主事研修会において、指導主事を集めた研修会を開催した。全国学力・学習状況調査の結果を踏まえ、授業改善の支援や基本的な生活習慣の確立の方法について意見交換を行った。グループ協議では、教員が手本となる授業を見て学ぶ機会の提供や地域との連携との重要性などについて確認した。

6 学校改善支援促進事業について

 文部科学省が募集(後期)した学校改善促進事業に応募し、12月に選定された。
 本事業のテーマとして、沖縄県検証改善委員会は、「学校、家庭、地域が共に進める学力づくりの実践研究-教育活動の改善に関する実践・調査研究を中心に-」を中心テーマとして打ち出した。
 以下、取組の概要について記述する。

(1)学力向上サポーターの配置

 課題の見られる学校へ学力向上サポーターを配置し、子どもの実態や指導場面に応じて、個別指導、グループ別指導、習熟の程度に応じた指導、補充的な学習や発展的な学習などの個に応じた指導を行い、児童生徒の学力の向上を図る。

 全国学力・学習状況調査の結果をふまえ、改善計画の内容に実効性が見られ、改善への見通し、効果が十分にあり、学校の創意工夫を生かした有効な手立てを有していると判断される学校(30校程度)に対して、中学校の数学を重点的に指導するための、学力向上サポーターによる人的支援を行った。また、実施目的を明らかにし、情報を共有させるためサポーターに対しての事前研修を行った。

(2)「確かな学力」を育成するための実践研究の実施

 授業研究会を中心とした実践研究を行い、教師の授業力の向上を図るとともに、児童生徒一人一人に基礎的・基本的な知識・技能を習得させ、思考力・判断力・表現力等の能力をはぐくみ、主体的な学習態度を養う。

 教育事務所単位に、小・中学校の国語、算数・数学への課題解決に向けた授業研究会を実施し、その成果を共有する等、教師の授業力の向上を図る取組を行っている。

(3)学校、家庭、地域が連携した実効性のある取組の実践研究

 知的好奇心を喚起し有能感をはぐくむ授業を展開し、効果的な家庭学習の手だてを講じることにより、児童生徒の学習意欲や学習習慣の形成を図る。

 児童生徒の知的好奇心を喚起し有能感をはぐくむ授業を展開し、効果的な家庭学習の手だてを講じることにより、児童生徒の学習意欲や学習習慣の形成を図る。特に家庭における学習習慣の形成を図るために家庭学習の手引きを作成した。

(4)優れた実践例の情報収集

 県内外の先進校における優れた実践例を収集し、『確かな学力の向上ための授業実践事例集』を作成・配付し、各学校の授業改善を支援する取組を行っている。
 今後とも実践事例の蓄積をとおして、授業改善の充実に努めたい。

 今回の学校改善支援促進事業において得られた成果については、家庭や地域社会の理解と協力を得て,学力向上を推進するとともに、文部科学省が平成20年度から実施する「全国学力・学習状況調査等を活用した学校改善の推進に係る実践研究」や「学力向上実践研究推進事業」においてもその取組を進めていく予定である。

7 おわりに

 本県教育委員会は、昨年度、学力向上主要施策「夢・にぬふぁ星プラン2」を策定した。平成20年度2月には、それを補完するものとして、「確かな学力の向上」支援プラン(学校改善支援プラン)を作成し、各市町村教育委員会及び学校に対して、その活用の促進を図っているところである。
 県教育委員会においては、今後とも、わかる喜び、成長する喜びをすべての児童生徒に保障していくことを基本にしつつ、「確かな学力」を身に付けさせるために学力向上対策の一層の充実を図っていきたいと考えている。

(参考)

-- 登録:平成21年以前 --